大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

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環境農林水産常任委員会質疑

2021年3月15日

大阪府循環型社会推進計画

質問

 公明党府議団の加治木一彦です。

 私からも、まず新型コロナウイルス感染症で亡くなった方々の御冥福を、そしてまた今現在闘病されている皆様方の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、この社会の日常生活を守るべく、あらゆる場面で活動されている皆様に厚く敬意を表するものであります。

 それでは、質問に入ります。まず一問目は、大阪府循環型社会推進計画であります。

 府は、循環型社会の実現を目指して、廃棄物処理法に基づき大阪府循環型社会推進計画を5年ごとに策定しております。この計画を基に、廃棄物の3R--リデュース、リユース、リサイクルや適正処理を進めるというものです。現行計画が今(2020)年度で終了するため、現在、2021年度から2025年度を対象とした次期計画を取りまとめている最中です。まず、この現行計画に掲げている目標の達成状況についてお聞かせください。

答弁
資源循環課長

 本府では、2020年度を目標年度とした循環型社会推進計画を策定し、一般廃棄物については、排出量、リサイクル率、最終処分量、一人一日当たり生活系ごみ排出量の4項目で目標を設定して取り組みを進めてまいりましたが、食品ロスの排出削減やプラスチックごみの分別排出が想定どおり進まず、紙類の資源化量も減少したことなどから、いずれの項目でも目標を達成できない見込みとなっています。

 次に、産業廃棄物については、排出量、リサイクル率、最終処分量の3項目を目標とし、排出抑制や再生利用の取組により、排出量とリサイクル率の目標については達成の見込みとなっていますが、最終処分量については、建設混合廃棄物の発生抑制が進まなかったことなどにより目標を達成できない見込みでございます。

 以上の現行計画のこの5年間を振り返っての結果は、廃棄物の排出量などは、過去20年では減少しているものの、この5年では下げ止まっているものと見ております。

質問

 今(2020)年度で終わります現行計画の数値目標について、一般廃棄物は全ての項目で、産業廃棄物は最終処分量の目標を達成できない見込みとのことです。特にこの5年間が下げ止まっているというのは非常に気がかりな点です。次期計画も、一般廃棄物と産業廃棄物ともに数値目標を立て、排出量の抑制や再生利用率の向上などに取り組んでいくとのことです。簡単なことではないと考えますが、なぜ達成できなかったのか、要因をしっかりと分析し、効果的な対策につなげてください。

 次期計画は、新たにプラスチックごみを目標項目に加えて取り組むとお聞きしております。この目的と数値目標についてお聞かせください。

答弁
資源循環課長

 次期計画では、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの早期実現や地球温暖化対策にも資するため、社会全体で取り組まなくてはいけないプラスチックごみについて、新たに府独自の2025年度目標を設定いたします。

 具体的には、2030年までに使い捨てプラスチックの排出を25%削減するなどの目標を掲げた国のプラスチック資源循環戦略を踏まえまして、使い捨てプラスチックの削減、リサイクルの推進に向けて、排出量を2019年度から14%削減して21万トンとし、リサイクル率を23ポイント上げて50%と設定しています。

 また、プラスチック全体についても、焼却量を25%削減して36万トンとし、リサイクル以外にも、熱利用も含めた有効利用率を6ポイント上げて94%とする目標も定め、次期計画ではプラスチックごみ対策を重点的に取り組みます。

質問

 次期計画は、プラスチックごみに関する新たな数値目標を設定し、重点的に取り組むとの御答弁をいただきました。

 2019年度の実績値を見ますと、府内でプラスチックごみが76万トン排出されているとのことです。このうち、市町村が処理する家庭から出る一般廃棄物は49万トン、事業活動に伴って排出される産業廃棄物は27万トンだそうです。

 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で外食が減り、総菜を買ってきて自宅で食べる機会が増えていることから、家庭から排出されるプラスチック容器などが増えているとも聞いております。私も週1回、水曜日ですが、容器包装プラスチックの収集日、自分の住んでいるマンションの集積所を見ていると、確かに増えているような気がします。

 国は、今(3)月9日、プラスチックごみの削減やリサイクルの促進を目指すプラスチック資源循環促進法を閣議決定したところです。プラスチック製品の設計から販売、回収、リサイクルまでを考慮して、使用量を削減して資源の有効利用を促すものです。これまで回収されていなかったプラスチック製品も対象に入ることで、一段のごみ削減が求められています。

 次期計画で取り組む一般廃棄物でのプラスチック対策についてお聞かせください。

答弁
資源循環課長

 一般廃棄物のプラスチック対策としては、プラスチック容器などの使い捨てプラスチックの使用を削減するため、料理や飲物、洗剤等の日用品を府民が持参するマイ容器で購入できる店舗を情報発信するとともに、マイバッグやマイボトルの常時携帯を府民へ啓発するなど、社会全体で使い捨てプラスチックを削減できるよう取り組みます。

 また、プラスチックごみのリサイクルを促進するため、プラスチック容器の分別収集を未実施の市町村に対して働きかけるとともに、府民へ啓発するほか、御指摘の新法に基づいてリサイクルが行われる製品プラスチックの回収も市町村や事業者に働きかけていきます。

質問

 家庭から出るプラスチックごみの削減、意識啓発など、市町村とも連携してしっかりと取り組んでください。

 プラスチック製品は、身の回りの至るところにあり、それこそこのボールペンもそうですが、その製造過程や事業所で不要となったものも多く排出されているのではないでしょうか。ごみ削減について、産業廃棄物に入っているプラスチック対策も重要と考えます。この点についてお聞かせください。

答弁
産業廃棄物指導課長

 産業廃棄物についてお答えいたします。

 産業廃棄物として排出される廃プラスチック類の現在の処理状況を見ますと、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、熱利用を合わせて7割近くは有効利用が図られています。この有効利用率をさらに向上させるため、現在熱利用されていない廃プラスチック類は、少なくとも焼却時に熱回収し、さらに素材等としての利用率を高めていくことが重要であると認識しています。

 そのため、次期計画では、廃プラスチック類に関する分別排出やリサイクルの事例集の作成に加え、素材等へのリサイクルを行う処理業者の情報発信などに取り組み、工場における製造工程等の見直しや、排出抑制、分別排出の徹底へと誘導していきます。

 また、本来産業廃棄物である、事業所から排出されるペットボトルなどが一般廃棄物に混入し、市町村の処理施設に持ち込まれている実態がありますことから、市町村とも協力し、事業者に対して分別排出の徹底について指導啓発を行っていきます。

質問

 先ほども御答弁いただきましたが、現行計画は目標達成が厳しいということです。次期計画は確実に目標が達成できるよう取り組んでいただきたいと願っております。2025年度の目標達成に向けて、どのように進行管理をしていくのか、お聞かせください。

答弁
資源循環課長

 計画の進行管理につきましては、毎年度、府や市町村の施策の実施内容や排出量などの目標項目の進捗状況のほか、事業系ごみ排出量などの進行管理指標も確認して公表し、市町村と情報共有して、府民にもホームページを通じて提供することとしています。府としては、これらの進行管理を確実に行い、府民や事業者、市町村などのあらゆる主体と連携協働し、計画の目標達成に向けてしっかりと取り組んでまいります。

意見

 次期計画に掲げます目指すべき将来像には、2030年には3Rの取組が一層進み、生じた廃棄物は、ほぼ全量が再生資源やエネルギーとして使用される、さらに2050年には循環型経済に移行し、できるだけ少ない資源で最低限必要なものが生産され、全ての府民が持続可能なライフスタイルを実践するとあります。大切なことだと考えます。

 とはいえ、オランダのING銀行が2020年1月に公表したリポート「Rethinking the road to the circular economy」、循環型経済再考の道という意味ですが、5年前に比べ、経済全体は成長したものの、循環型経済は逆に縮小していると指摘をしております。このレポートでは、循環型経済に取り組む企業の事例が幾つか紹介されております。例えば、壊れた部品やアップデートしたい部品を交換することで、より長持ちするスマートフォン、再生プラスチックを使うオフィス家具メーカーなどがありますが、こういった再生品を使うことで、かえってコストが高くなっている、それでなかなか普及しにくくなっている、こういった現実もあります。先ほど西野委員からも似たような指摘がございました。

 循環型経済というのは手段であって目的ではないとこのレポートは指摘をしております。改めて、この目標達成というのは大切なことですが、なぜ達成しなきゃいけないのか。その先にある、例えば処理費用の軽減、環境負荷の軽減をしっかり意識して取り組んでいただきますようお願いをいたします。

2021年3月15日

大阪府海岸漂着物等対策推進地域計画

質問

 次に、大阪府海岸漂着物等対策推進地域計画についてお聞きをします。

 こちらも他会派の委員からも質問がございました海洋プラスチックごみですが、大阪府は一大消費地としてプラスチックを多く利用していることから、府が率先して大阪湾での対策を進め、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現に貢献していくべきと考えます。

 そこで、今(2020)年度末に改定が予定されております大阪府海岸漂着物等対策推進地域計画について、まずその策定根拠と、今回の変更に至った背景についてお聞かせください。

答弁
環境保全課長

 地域計画は、平成21(2009)年7月に施行された海岸漂着物処理推進法に基づき、海岸漂着物対策を総合的かつ効果的に推進するため、国の基本方針に基づき、都道府県知事が策定することができるものであり、本府では平成29(2017)年3月に計画を策定しております。

 今回の変更は、平成30(2018)年の法改正に伴い、国の基本方針が令和元(2019)年に改定され、漂流ごみ、海底ごみやプラスチックごみ対策が追加されたこと、また令和元年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが共有されたことなどを踏まえたものであります。

質問

 大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの共有を踏まえての変更ということです。ビジョンの実現に向け、この計画に基づき、大阪湾の海洋プラスチックごみ対策がしっかり推進されなければならないと考えます。長期的な将来像と、その実現に向けた計画の目標についてお聞かせください。

答弁
環境保全課長

 本地域計画では、良好な水環境や生態系の保全等が保たれた豊かな大阪湾を実現するため、2050年を想定した長期的に目指す姿として、プラスチックごみを含め、人の活動によるごみの流入がない大阪湾を目指すことを掲げております。

 計画目標については、2030年度までに大阪湾に流入するプラスチックごみの量を半減することとしております。これは、長期的に目指す姿を踏まえ、2050年に近づくほど年ごとの削減量が減っていくことを考慮して設定したものであります。

質問

 この計画では、2030年度までに大阪に流入するプラスチックごみの半減を目指すということです。その進捗状況を定期的に確認するためには、基礎となるデータとして、現時点の流入ごみの量がどれだけあるのか把握する必要があると考えます。

 現在、大阪湾に流入してくるプラスチックごみの量がどれだけあるのか、またその量をどのように調べようとしているのか、手法についてお聞かせください。

答弁
環境保全課長

 大阪湾に流入するプラスチックごみの量については、その全量を直接把握することは事実上困難であるため、流入量と相関が高く、かつ定期的に入手可能なデータを用いて目標の進捗状況を管理していくこととしております。

 具体的には、港湾管理者が日常的に清掃船を用いて回収している漂流ごみや、河川等における清掃活動で集まったごみ、上下水道などの管理者が事業に伴って回収、処理しているごみのデータを用いることとしております。来年度は、国の補助金を活用し、その量や種類を分析することなどにより、現状の流入量を推計する予定であります。

質問

 本地域計画では、目標達成に向けて取り組む施策として、効果的な発生抑制、円滑な回収、処理、海洋プラスチックごみ等の実態把握、海洋プラスチックごみ問題の啓発、国際連携といった5つの柱を立てています。中でも、大阪湾に流入するごみを減らすためには、陸域での効果的な発生抑制と海洋プラスチックごみ問題の啓発が不可欠と考えます。

 流入するごみを減らすため、今後どのような発生抑制対策と啓発に取り組むのか、お聞かせください。

答弁
環境保全課長

 鹿児島大学の調査では、瀬戸内海に流入するごみの約7割は陸域由来であると推定されており、大阪湾においても同様の傾向と考えられることから、本地域計画では、陸域のできる限り早い段階でプラスチックごみの発生抑制対策を行うこととしております。

 そのため、市町村や事業者等と連携して、3Rの取組を徹底してごみの飛散防止を図るとともに、ポイ捨てされやすい場所での防止策、ごみ集積所における散乱の防止等、個々の要因を踏まえたきめ細かな発生抑制対策を推進してまいります。

 また、来(2021)年度新たに、ファミリー層をターゲットに、マイボトルの持参など、一人一人の日常生活における行動が海洋プラスチックごみの削減につながることを分かりやすく伝える短編シリーズ動画を作成し、SNS等で広く啓発してまいります。

意見

 海洋プラスチックごみ問題は、海の生態系を脅かす世界的な課題です。様々な報道でも皆様御存じのとおりです。そのため、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンのお膝元の自治体、大阪府が、まず大阪湾に流入するプラスチックごみゼロの実現に向け、本地域計画に基づく陸域におけるごみの散乱防止対策や府民への啓発などの対策を着実に推進することが重要です。ビジョンの実現をリードする存在であってください。

2021年3月15日

おおさかスマートエネルギープラン(案)

質問

 次の質問に移ります。おおさかスマートエネルギープラン(案)についてお聞きをします。

 先ほども質疑がございましたが、これまで大阪府は、現行のおおさかエネルギー地産地消推進プランに基づきエネルギー政策に取り組んでまいりました。このプランの趣旨やこれまでの経過について、改めてお聞かせください。

答弁
エネルギー政策課長

 おおさかエネルギー地産地消推進プランは、2011年3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を契機として、関西においても電力需給が逼迫するなど、府域の住民や事業者に大きな影響が出たことから、エネルギー政策を国や電力事業者任せにせず、自治体が自らの問題と位置づけ、積極的に取り組んでいくことを目指して、大阪府と大阪市が共同で策定したものです。

 このプランでは、再生可能エネルギーの普及拡大を中心に、地域特性に応じたエネルギーの効率的な使用など、エネルギーの地産地消の推進を目的に、2020年度までの供給力の増加と需要の削減により、新たに原子力発電所おおむね1.5基分に相当する150万キロワット以上を創出するという目標を設定し、様々な取組を進めてきたところです。

 この目標値に対し、2019年度末時点の進捗状況は、太陽光発電78.1万キロワットを含む116.8万キロワット、達成率は77.8%であり、プランの期限である2020年度末の達成率はおおむね8割になると見込んでいます。

質問

 おおむね8割ということで、8割はよく頑張ったと言うべきなのか、もうちょっと頑張ってほしかったと言うべきなのか、そこは評価をお任せいたしますが、やっぱりしっかりと取り組んでほしかった、もう一息やったなというのが実感です。

 次に、現在改定を進めておりますおおさかスマートエネルギープラン案について詳しくお聞きをいたします。

 これまでの地産地消という言葉がなくなり、名称そのものからの見直しをしております。大阪のような大都市では、太陽光発電などの自然エネルギーのほか、ごみ処理施設における余熱、下水熱、地中熱など都市型のエネルギーの有効活用を進めることは引き続き重要と考えますが、それだけでこの大阪の都市の全てのエネルギーを賄うというのは現実的ではないと考えます。府域を超えて再生可能エネルギー電気を調達するといった取組も必要なことです。

 今回のプランの改定により、どこが大きく変わるのか、またその狙いについてお聞かせください。

答弁
エネルギー政策課長

 新たなプランでは、大阪の成長や府民の安全安心な暮らしを実現する脱炭素化時代の新たなエネルギー社会の構築を先導していくことを目的として掲げ、目標や取組の方向性も含めて見直しを行っています。

 具体的には、これまでの目標の考え方を引き継ぐ自立・分散型エネルギー導入量に加え、新たに2つの目標を掲げたいと考えています。

 その1つが、再エネ利用率の倍増です。再生可能エネルギーの導入ポテンシャルがエネルギー消費量に対して小さいという大消費地大阪の特性を踏まえ、再生可能エネルギー電気の利用を促進する観点から、府域の電力需要量に占める再生可能エネルギーの利用率を倍増し、2030年度に35%以上とすることとしています。

 もう1つが、エネルギー利用効率の向上です。エネルギー消費量が減少しても、経済活動が縮小しては意味がないという考え方の下、エネルギー利用効率の向上を促進する観点から、府内総生産当たりのエネルギー利用量を抑制し、社会・都市全体でのエネルギー効率の向上を図り、2030年度において2012年度比40%以上改善することとしています。

 これらの目標達成に向けて、様々な取組を進めていくことで、社会の変革を促し、環境にやさしく災害に強いスマートエネルギー都市の実現を目指してまいります。

質問

 名称や目標を含めて見直し、再生可能エネルギーの利用率の倍増やエネルギー効率の向上といった新たな取組の方向性を示すのが今回のプラン改定の狙いとのことです。

 こうした方向性を踏まえ、大阪府が大口需要家として大手前庁舎で使用する電気を再生可能エネルギー100%の電気に切り替えるなど、自ら取り組むことは大変に有意義なことと考えます。しかし、新たなプランに掲げますスマートエネルギー都市の実現に向けては、府民や事業者とも広く連携して、様々な取組を効果的に推進していくことが必要ではないでしょうか。このプランに基づく取組を推進していくための体制についてお聞かせください。

答弁
エネルギー政策課長

 本府では、これまでも、エネルギー政策を効果的に推進するため、府民、民間事業者、市町村、エネルギー供給事業者等で構成するおおさかスマートエネルギー協議会を活用して取組を促進してきたところです。

 新たなプランにおいても、再生可能エネルギーの利用率の倍増やエネルギー利用効率の向上といった新たな観点も含め、プランに基づく取組を効果的に進めていくためには、これまで以上に府民や事業者との連携を強化していく必要があると認識しています。

 このため、本協議会の下、事業者、家庭や市町村といった部門ごとに開催している部門別会議を積極的に活用し、各主体がテーマごとに検討を行い、取組の促進を図っていくことが効果的であると考えています。

 今後も引き続き、こうした関係者との意見交換等を通じ、スマートエネルギー都市の実現に向けた課題や対策について継続的に検討を行いながら、エネルギー対策推進の拠点として大阪市と共同で設置しているおおさかスマートエネルギーセンターを中心に、効果的な施策、事業の展開を図ってまいります。

意見

 今後の2、30年間が極めて重要である。過去のパターンから抜け出すときが来ている。開発と環境保全に関する従来のアプローチの中で社会や生態の安定を維持しようとすれば、かえってマイナスとなるだけである。今後の2、30年間が人類社会の将来にとって重大な時期である。この地球という惑星に対する脅威は前例のないものであり、人類が経験したことがないような速度と規模で増大しつつある。

 さて、この文章はいつ書かれたものだと思われますか。これは、我が会派の代表質問でも触れた環境と開発に関する世界委員会、いわゆるブルントラント委員会が、1987年(昭和62年)の4月に公表した報告書「Our Common Future」日本語版だと「地球の未来を守るために」の中にある文章です。

 また、この報告書には、産業革命前に比べCO2の排出量が大きく増えていることで、地球の温暖化が進み、熱帯地域より高緯度地域の冬の季節により大きく影響が出るとの予測を紹介しておりました。

 今、日本も、世界各国も、地球温暖化を食い止めるべく、2050年のカーボンニュートラルに向けて取組を進めております。今から30年ほど先が目標です。ならば、30年前の人たちがどんなことを考えていたのか、そしてどんな行動を取ってきたのか、振り返ってみるのも一つ参考になるのではないでしょうか。言い古された表現ですが、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーです。大阪がスマートエネルギー都市のお手本となれるよう、各主体と連携して取り組まれていくことを切に願っております。

2021年3月15日

森林環境税

質問

 次に、森林環境税についてお聞きをいたします。

 森林の土石流・流木対策と都市緑化を活用した猛暑対策を緊急かつ集中的に実施するべく、平成28(2016)年度からの4年間に引き続き、令和2(2020)年度から5年度までの4年間、個人府民税均等割額に上乗せする形で年間300円を御負担いただいております。府民の皆様からいただいた貴重な財源である森林環境税が有効に活用されているか、その状況を確認すべきと考えております。

 前回の委員会では猛暑対策についてお聞きをしました。

 今回、まずこの土石流・流木対策について、今(2020)年度から新たに56の地区を選び、計画的に対策を進めるとお聞きをしております。令和2年度の進捗状況、また令和3(2021)年度の予定をお聞かせください。

答弁
森づくり課長

 森林環境税を活用した土石流・流木対策につきましては、今(2020)年度19地区で事業に着手し、測量設計を進めるとともに、地域の森林内の危険情報を掲載したマップを作成し、それを用いて下流の保全対象の方々を対象とした防災教室を開催することで、防災・減災意識の向上を図っております。また、このうち4地区につきましては、治山ダムの整備や渓流沿いの危険木の伐採、搬出などにも着手しております。

 令和3(2021)年度につきましては、新たに15地区で事業着手し、令和2(2020)年度からの継続地区と合わせて32地区で事業を予定しております。事業開始2年目となりますので、治山ダムの整備等、事業が本格化することから、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

質問

 次に、都市緑化を活用した猛暑対策について伺います。

 昨(2020)年8月に府が実施をしました府民1000人へのアンケート調査、大阪府政策マーケティング・リサーチによれば、約8割の方が駅前広場やバス停での緑化や暑さ対策を望んでいるとの結果が出ておりました。また、今(2021)年2月に発表された気象庁の季節予報を見ますと、この夏の大阪の気温は平年並み、または平年より高い確率がともに40%と、厳しい暑さを見込んでおります。このような状況下で、事業効果を府民に実感してもらいつつ、猛暑による府民の健康被害を少しでも軽減することができるよう、事業を着実に進めることが重要と考えます。

 そこで、まず令和2(2020)年度の進捗状況について、そしてまた来(2021)年度は4億9000万円の予算を要求し、50か所での事業実施を想定しているとのことです。令和3(2021)年度の予定についても併せてお聞かせください。

答弁
みどり企画課長

 都市緑化を活用した猛暑対策につきましては、今(2020)年度には21件の事業採択を行い、うち4件が昨(2020)年夏に供用を開始し、残り17件は今年度末までに竣工となります。

 来(2021)年度事業につきましても、今(2021)夏から事業効果を発揮できるよう、2月18日から3月24日まで募集を行っており、予算の御議決をいただければ、今(2020)年度内に事業採択箇所の選定を行うこととしております。

 コロナ禍が、事業実施主体となる公共交通事業者に加え、市町村の事業実施体制にも影響を及ぼしておりますが、本事業の必要性や効果について、丁寧な説明に努め、理解を深めていただくことにより、着実に実施できるよう事業者に働きかけてまいります。

意見

 土石流・流木対策、猛暑対策ともに森林環境税の徴税目的にのっとって着実に実行されているとのことです。土石流・流木対策には地域の理解と協力が不可欠です。また、前回の委員会でも取り上げました猛暑対策は、事業主体となる公共交通事業者にコロナ禍の影響が懸念されるなど、それぞれに難しい課題があると考えます。府民の皆様から超過課税として特別にいただいている森林環境税です。有効に活用して両事業を推進し、その効果を実感していただけるように強力に取り組んでいってください。

2021年3月15日

大阪エコ農業総合推進対策事業

質問

 次に、大阪エコ農業総合推進対策事業についてお聞きをします。

 本事業の内容として①化学肥料や農薬の使用を半分以下に抑えた栽培をする大阪エコ農産物を認証すること②府内産農産物の安全性を確認するための残留農薬の分析などを通して農業による環境負荷の軽減を図ること③府民の求める安全安心な農産物を供給すること、があるとお聞きをしております。

 来(2021)年度の予算案を見ますと、約5300万円を計上しており、令和2(2020)年度と比べると約3100万円の大幅な増額となっております。その理由についてお聞かせください。

答弁
推進課長

 大阪エコ農業総合推進対策事業につきましては、大阪エコ農産物の認証制度などのほかに、国が指定する重要病害虫等の防除の推進についても行っております。

 令和3(2021)年度につきましては、府内において、桃やスモモなどの農作物で被害を拡大させていますクビアカツヤカミキリが新たに国の重要病害虫等の防除対象となったことから、その対策を強化するため増額したものでございます。

質問

 このクビアカツヤカミキリについては、府内でも桜を中心に被害が拡大をしております。過去に魚森委員、また須田委員が取り上げられておりまして、府が全国に先駆けて防除推進計画を策定するなど、府立環境農林水産総合研究所や市町村と連携し、防除対策に取り組んでいるということも既に議論をされております。

 桜だけでなく、桃やスモモといった農作物への被害が拡大しているとのことです。クビアカツヤカミキリによる府内農作物への被害状況についてお聞かせください。

答弁
推進課長

 クビアカツヤカミキリの農作物における被害につきましては、平成28(2016)年に大阪狭山市の梅で確認されて以降、南河内地域を中心とした8市町村に桃などへの被害が広がっている状況です。特に、河内長野市の桃産地においては、令和2(2020)年度の調査では、産地内の4割程度の木において発生していることが確認されるなど、甚大な被害となっています。

質問

 府内の桃産地でかなり甚大な被害が出ているとのことです。桃農家が何年も丹精を込めて育ててきた木が枯れるということは、経営面の影響が大きいだけでなく、精神的にも非常につらいものがあるとお察しをいたします。早急に対策をすべきです。府として今後どう取り組むのか、これまでの取組と併せてお聞かせください。

答弁
推進課長

 府では、府立環境農林水産総合研究所などと連携して、有効な農薬の効果試験や防虫ネットを用いた防除方法を確立するとともに、その対策をまとめた技術資料を作成するほか、講習会による指導を継続して実施するなど、被害発生地域での防除対策に取り組んでまいりました。

 また、府内最大の桃産地であります岸和田市など、他の地域への被害を拡大させないことも重要と考えており、継続的に被害状況のモニタリングを行っています。

 さらに、令和3(2021)年度からは、これまでの取組に加え、新たに国の事業を活用し、生産者団体などに対して、農薬やネットなどの防除資材購入費のほか、被害の防止拡大に向けて、被害樹の伐採処分に係る費用を補助することとしています。

 これらにより、発生地域でのさらなる防除対策に取り組むとともに、いまだ発生していない地域への浸入を警戒してまいります。

意見

 新聞記事のデータベースを検索しますと、各地でこのクビアカツヤカミキリの被害を防ぐべく、様々に取り組んでいる事例が出てきました。例えば、群馬県館林市は、成虫400匹を上限に1匹当たり50円で買い取る懸賞金制度を取り入れ、2019年は6648匹集まったそうです。

 次年度予算を大幅に増やしたということは、危機感の表れと受け止めております。府内の農業者を守るために早急に対策に取り組んでください。

 また、府内には、農業の産地だけでなく、多くの桜や梅の名所があります。他県だと、桜を伐採するとのつらい決断をした高校もありました。このような被害を食い止めるため、集中的に駆除に取り組むとともに、さらなる有効な防除方法の開発や普及で、農業者が安心して農作業へ従事できるような支援をお願いいたします。

2021年3月15日

持続可能な食料調達手段

質問

 次に、食の分野における環境への配慮に関連し、持続可能な食料調達手段として注目を集め始めた培養肉や代替肉についてお聞きします。

 動物から取り出した細胞を増殖させた培養肉や大豆などの植物に由来する代替肉は、先端技術を食品分野に応用するというフードテックの最前線です。

 先日、牛の細胞から育てた培養肉を3Dプリンターでリブステーキの形に作り上げ、食卓に提供するというネットの動画を見ました。日本経済新聞の電子版によれば、欧米やイスラエルのベンチャー企業など数十社が開発を競い合っていますが、今のところ、市場投入が明らかになっているのはシンガポールでの一例だけだそうです。

 一方、日本植物蛋白食品協会のまとめによれば、植物由来の代替肉は、昨(2020)年1年間で3万6000トンの生産量があったそうです。令和元(2019)年度の牛肉と豚肉の国内生産量が約176万トン、それと単純に比べると約2%ということになります。国内では、代替肉の規格づくりや普及を目指し、昨年秋に農水省と民間でフードテック官民協議会が発足、さらに同協議会に参画する民間企業が団体を結成、令和三年度をめどに認証制度を整えるとしております。

 SDGsにうたわれております環境負荷の低減は重要な課題です。府内には、代替肉の分野で早くから活躍し、環境、社会、企業統治を重視するESG経営の推進を目指す先進的な企業があります。2025年の大阪・関西万博は、こうした企業と連携して、会場の内外で環境に配慮した食材を体験できるようにするなど、さすが食の都大阪というところを国内外に示す非常にいい機会です。万博やその後の将来に向け、食の分野における環境への配慮の普及に府としてどう取り組んでいくのか、お聞かせください。

答弁
流通対策室課長

 SDGsでは、生産者、消費者の双方に対して、地球の環境と人々の健康を守るよう責任ある行動を求めております。これについて、当然のことではありますが、府としてしっかり取り組んでいくべき課題と認識しております。

 近年、食品関連企業におきまして、環境への負荷低減を図るため、最先端の技術を活用した食料や食品の開発が進められるところです。2025年大阪・関西万博に向け、このような環境への配慮に先進的な企業の動向を把握するとともに、食品産業の振興につなげてまいりたいと考えております。

2021年3月15日

農林漁業者と異業種の事業者との連携

質問

 では、最後に、農林漁業者と二次・三次産業といった異業種の事業者との連携についてお聞きをします。

 (2020年)12月の委員会で、6次産業化に取り組む農業者の支援に関連し、コロナ禍において2次・3次産業の事業者との交流会をどのように実施するのか質問しました。それに対し、ウェブを活用して3月に実施するとの答弁をいただきました。

 この点につきまして、大阪の観光資源としての農林水産業をテーマとするおおさかもん都市農業EXPOと題した異業種交流会がこの(3月)18日に開催されるとお聞きをしました。農林漁業者などが、農林水産物の価値を上げるため、食品加工や流通、販売に取り組む6次産業化は、経営を向上させるための有効な手段です。これまで出会う機会のなかった異業種の事業者から新たな気づきや視点を得るなど、交流会を通して、よりよい商品やサービスの開発につなげていってほしいと切に願っております。

 今回の交流会は、新型コロナウイルスが社会に及ぼした影響を考慮しながら開催するとのことです。その狙いや現時点での参加申込者数についてお聞かせください。

答弁
流通対策室課長

 農林漁業者が府内の優れた加工事業者や流通事業者と出会うことは、商品やサービスの開発において有効な手法であると認識しております。このため、従来から異業種との交流を進めてきたところです。

 御承知のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食業や観光業は大きなダメージを受けております。今回の交流会は、これらの業種と農林漁業者が連携することで、インバウンド回復を見据えたツーリズムの開発につながることなどを想定しております。

 なお、今朝時点で、この申込者数につきましては、農業者や観光事業者など34名からの申込みがあったところです。

質問

 ぜひともいい出会いの場になることを願っております。

 令和3(2021)年度当初予算に、食に関する多様な関係者のマッチングを通し、新たな食ビジネスを創出するなど、食ビジネスの企画、実行に向けた環境を整備するための食農連携プロジェクト推進事業が計上されております。この事業も農林漁業者と異業種の事業者を対象としておりますが、これまでの事業からどのように変化、発展したのでしょうか。想定される成果と併せてお聞かせください。

答弁
流通対策室課長

 従来の農林漁業者と異業種との連携に加えまして、本事業では、交流で生まれたアイデアを実現化するため、各方面の専門家をアドバイザーとして派遣するとともに、試作品製造、デザイン、販路開拓などのための資金面の支援も行いたいと考えております。

 一般的に、6次産業化では、こういった商品を作りたいという農林漁業者などの発想から商品開発等がスタートしております。これに対しまして本事業では、商品開発前の段階から、農林漁業者に加え、研究機関や大学といった多様な主体がアイデアを出し合い、販売戦略等も含めた新たな食ビジネスという視点からの検討を行うこととしております。

 健康など2025年大阪・関西万博のテーマに沿った商品やサービスを目指して、例えば水なすに含まれるGABAなど、機能性関与成分を活用した健康食品や、家庭での食事機会の増加といった食生活の変化に対応したサービスの開発などを想定しております。

 ポストコロナや万博を見据えた事業者の新商品開発等の機運が高まる仕組みを整備し、大阪の食品産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。

意見

 ぜひとも、大阪ならではの食のメーカーの強みと、そしてまた農林水産物の強みを生かしたいいものができることを願っております。

 以上で私の質問を終わります。

 知事質問はございません。