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2007年
2007年10月9日
大阪府住宅供給公社のあり方検討会は、ことし(平成19年)8月、少子高齢化に伴う人口減少社会への移行や社会経済情勢の変化、特殊法人改革の動き、大阪府の住宅市場の特性などを踏まえ、公社の役割や将来像についての中間取りまとめを公表しております。
この取りまとめによりますと、公社は、民間との役割分担のもと、潜在的な需要はあるが、市場が十分に拡大していないため民間が乗り出すにはリスクが大きいもの、子育て向け賃貸住宅の供給など現状では市場で十分対応できないもの、公的な信用力があれば効率性が増すサービス、そして公共団体がみずから実施するよりも外部化したほうが効率性の増すもの、以上4つに限って取り扱うべきとの提言がなされています。
当面は、税制上の特別措置や公益法人としての信用力など、現在の公社形態の利点を最大限生かしながら、府民への便宜の提供とさらなる経営改善による自立を目指すべきとし、今後の取り組みとしては、事業収支の確保や経営指標の向上、借入金の圧縮に向け、段階的に適正な事業規模に移行すべきだとされました。
しかし、現状は借り上げ特優賃の事業で毎年多額の赤字を計上し、公社の経営状況は見かけの収支より相当厳しいものではないかと認識しております。公社の平成18年度の決算に基づき実態はどのようになっているのか、答弁をお願いをいたします。
平成18年度一般会計決算の損益計算書によりますと、公社損益は190億円の赤字となっておりますが、御指摘の借り上げ特優賃の赤字であります借り上げ残期間に係ります損失見込み額、約183億円を計上したことによるものでございます。このため、今年度の赤字は実質的には約7億円となっております。なお、借り上げ特優賃につきましては、23億円の損失を出してございます。
貸借対照表では、賃貸事業資産が2,478億円、有利子負債残高が1,924億円、資本剰余金は289億円の状態でございます。
赤字の原因は、御答弁いただきました。まず何より、入居率を引き上げるための方策が求められます。新規の入居者を呼び込むためにどのような取り組みがなされているのでしょうか。
あり方検討会が指摘したように、政策的な配慮を公社としてなされているのでしょうか。また、オーナー側に支払う借り上げ料の引き下げ交渉を初めとする公社の費用負担の削減策、効果はどの程度出ているのでしょうか。
公社の借り上げ特優賃対策としましては、これまで借り上げ料を引き下げるためオーナーとの協議を重ねまして、現在、年間で言いますと、9億6千万円の効果を生じてございます。
このこととあわせまして、空き家を減らすために公社独自の家賃減額、あるいはインターネットの申し込みなどさまざまな方策を実施しました結果、前年度末と比較しまして、空き家数で言いますと、平成17年度末で1,405戸から18年度末の1,027戸へと378戸の減少。空き家率で言いますと、平成17年度末が30.9%でございましたが、平成18年度末には22.6%へと8.3%の改善をしてございます。しかし、まだ現状はかなり厳しいものと認識してございます。
また、今年度からは、府では良質なストックであります特定優良賃貸住宅を対象といたしまして、新婚子育て世帯向けに家賃補助制度を創設したところでございますが、現在ちょうど募集中でございます。これを公社借り上げ特優賃にも導入することといたしておりまして、その結果として損失額の削減につながるものと考えてございます。
次に、平成18年度の公社決算の貸借対照表を見ますと、賃貸事業資産、御答弁いただきましたとおり2,478億円計上してあります。平成16年度決算の2,402億円と比べますと76億円ふえております。恐らく、建てかえ事業によるものと推測をいたしますが、そもそもこの2,478億円という資産評価が実態を反映しているのか、疑念を抱いております。
剰余金として289億円を計上しております。ほとんどは資産価額の適正化による評価差額金、過去に賃貸住宅用に低価格で購入した土地の含み益であります。実際に現金として存在しているものではありません。
また、貸借対照表に計上されておる総額の約8割、1,924億円という有利子負債は、余りに多額であります。単年度収支は、借り上げ特優賃の赤字に足を引っ張られ、老朽化した賃貸住宅の建てかえ費用を賄えず、借入金に頼らざるを得ない状況で、財務の健全化が図れるわけはありません。建てかえはその必要性を再度精査し、計画そのものを見直す必要があるのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
公社の経営安定化に向けまして、有利子負債の着実な削減というものは、極めて重要な課題であると認識してございます。
このため、公社では昨(平成18)年11月に策定いたしました新経営計画の検証と対策に基づきまして、計画修繕あるいは建設に関するコストの削減、あるいは駐車場の一部外部開放、それから宅地開発事業によります保有地の速やかな処分などの削減対策を実施いたしまして、平成23年度までにおよそ132億円の効果を生み出すこととしております。
また、新たに借入金の大きな要素となっております建てかえ事業の抜本的な見直しを含めた全団地のアクションプランとなります管理計画を策定することといたしましております。管理計画の策定に当たりましては、団地ごとに老朽度や周辺の賃貸住宅需要などの特性を見きわめまして、建てかえだけではございませんで、統廃合、現状維持などその方向性を定めまして、事業収支を厳しく精査していくこととしております。
借り上げ特優賃住宅の収支の改善対策や、一部残っております宅地開発事業による保有地処分に加えまして、公社の主要事業でございます一般賃貸住宅事業の収支の改善対策など、総合的に対策を実施することによりまして、経営を黒字化して、有利子負債を着実に償還するなど、確実な経営改善が図れるように、公社とともに全力で取り組んでまいりたいと考えております。
公社の経営改善に対する取り組み、果たして計画どおりに進めることは可能なのでしょうか。実現するかどうか、まだまだ疑問が残っております。
国土交通省がことし(平成19年)9月に取りまとめた地方住宅供給公社の概要及び最近の状況によれば、北海道、長崎県、千葉県の3公社は既に経営破綻をし、特定調停が成立しております。また、青森県、岩手県、福島県は平成20年度末、高知県は22年度末、山形県は34年度末で公社を解散させることを決定しております。このほかにも、岡山県、香川県など6県が解散の方向を打ち出しております。
もちろん、手がけてきた事業内容、それぞれの公社は異なりますので、単純に比較するわけにはいきませんが、将来公社がどのような経営形態になるにせよ、当面は公社として独立して経営できる基盤づくりを求めます。借入金増加の原因となっている建てかえ事業には民間資金を活用し、資産、負債を公社から切り離すオフバランス手法を取り入れるなど、広く資金やアイデアを求める努力をされることを望んでおきます。
2007年10月9日
先日、この地を御案内いただきましたが、高台から見渡せば、周りを緑豊かな山に囲まれ、眼下に大阪湾を見おろし、関西国際空港やりんくうゲートタワービル、遠くは大阪市の湾岸地域を望む自然に恵まれた場所であると感じました。
また、この阪南スカイタウンから関西国際空港を造成するための土砂が採取されたときに、既存の市街地への影響を抑えるため、約20ヘクタールの前山緑地が残されたわけですが、現在はこの緑地の中に散策路や展望台が整備され、本年(平成19年)4月に完成したと伺っております。
私も実際この散策路を歩きましたが、犬を連れて散歩を楽しむ人たちを多く見かけました。憩いの空間として親しまれている非常にいい風景だと感じました。
まちの中の道路や公園といった社会基盤はほぼ整備が完了しているようです。住宅地の中、昔風に言えば路地裏に当たるようなところも案内をしていただきました。平成8年のまち開きから11年の歳月が経過し、あちこちで子どもたちが遊び、母親たちがその子どもたちの姿をほほ笑ましく見守る光景が見られました。失われつつある良好な地域社会が新しくはぐくまれている、そのようにも感じられました。
そこで、阪南スカイタウンの事業の進捗状況をお伺いをいたします。
まず、住宅用地の分譲状況はいかがになっているのでしょうか。
阪南スカイタウンでは、住宅地の分譲方法としましては、宅地にすぐにでも家を建てることができる状態まで造成したいわゆる完成宅地を府が直接分譲する方法、そしてこの完成宅地を民間事業者に卸売する方法、それから街区単位で粗造成の状態の宅地を民間事業者に卸売する方法、そういう3つの分譲手法を組み合わせながらまちづくりを展開しております。
最近の分譲状況でございますが、17年度で129区画、18年度は104区画と、年間約100区画程度の分譲で推移しております。
18年度までの住宅用地の分譲状況は、計画面積38.3ヘクタールに対しまして25.9ヘクタールが契約済みで、契約率で約67.6%となっております。
19年度は、完成宅地の府直接分譲としましては、27区画を2回に分けまして、第一弾の販売会を9月に既に実施し、第二弾の販売会を11月に実施する予定でございます。完成宅地の民間卸しでは2社に合計20区画を、また粗造成地の民間卸しでは1社に1街区、約1ヘクタールを既に契約済みです。今年度も約100区画程度の分譲ができる見通しとなってございます。
これらの契約によりまして、19年度末には計画面積38.3ヘクタールに対し約28ヘクタールの契約、契約率で約74%となる見込みでございます。
また、第二阪和国道沿いには既に幾つかの企業が進出し、操業もしております。阪南スカイタウンのコンセプトである住む、働く、憩うという三つの機能を複合させたまちづくりは、それなりに進んでいるようにもお見受けをいたしました。その企業誘致について進捗状況はいかがなっているのでしょうか。
業務系施設等の用地につきましては、18年度末までに計画面積24.9ヘクタールに対し11.5ヘクタールが契約済みで、契約率で46.2%となっております。
平成15年度に第二阪和国道が阪南スカイタウンまで開通した効果もあり、徐々に企業の進出意欲が向上し、平成17年度には4つの企業と契約が成立しており、現在は新たに6つの企業と合計約3.4ヘクタールの業務系施設用地について、契約へ向けての協議を進めております。
とりわけ、商業施設地区においてこのたび立地が決定したホームセンターにつきましては、敷地面積が約2ヘクタールを占める大型の商談であり、住民の要望も強い生活利便施設でございますので、来年年末のオープンを目指して精力的に協議調整を進めてまいります。
これらによりまして、19年度末には計画面積24.9ヘクタールに対し約15ヘクタールの契約、契約率で約60%となる見込みでございます。
阪南スカイタウンの社会基盤整備はおおむね完了し、住宅用地や業務系施設用地の分譲状況も何とか格好がついているように見えますが、現実はまだまだ売れ残りの開発用地が目についております。
特に住宅用地は、現地を訪れたときの説明ですと、今年度で完成宅地の在庫は完売できる見通しを立てているそうです。残りは民間事業者への卸売を想定した粗造成地の街区ばかりで、6街区、合計約10ヘクタール残っております。
開発から販売までの必要な期間が長く、費用の負担も大きくなることなどから、参画できるのは大手の住宅建設事業者に限られてしまうのではないでしょうか。阪南スカイタウン事業に府が投じた巨額の費用を少しでも回収するためにも、新たな住民を引きつける魅力あるまちづくりに力を入れる必要はあると思います。大手の住宅建設事業者だけに頼るのではなく、中堅や地場の住宅建設事業者の参画も可能となるよう分譲方法を工夫すべきではないでしょうか。
現在、平成25年度までに宅地の分譲を終わらせることが目標だと聞いております。より多くの民間事業者が参加できるようにすることで、少しでも早く分譲を進めるべきだと考えます。
そこで、現在の粗造成地を新たに完成宅地に仕上げて民間事業者に分譲するというお考えはありませんでしょうか。
民間事業者への卸売については、民間事業者のニーズ調査もしておりまして、確かに街区単位で宅地を購入し開発できる事業者は、一部の大手ハウスメーカーに限られますが、5ないし10区画程度の小規模単位での分譲であれば、中堅ハウスメーカーを中心として希望する民間事業者は数多くあるというのが現状でございます。
また、昨年末に新住宅市街地開発法の施行令が改正されて、民間卸しの単位が25区画以上から10区画以上にまで緩和されており、小規模な民間卸しも可能となってきております。
このような中、今年度中には完成宅地のストックがほぼ完売の見通しとなり、残るのは粗造成街区のみとなりますので、今後の阪南スカイタウン事業の展開を考えましたとき、お示しのように大手から中小のハウスメーカーまで多様な民間事業者の参画を図っていく条件整備として、粗造成地の一部を新たに完成宅地まで造成することを検討し、粗造成街区と完成宅地の両方を活用し、民間の力を引き出し、魅力あるまちづくりやまちの熟成の促進を図り、目標としている平成25年度までの住宅用地の分譲完了を少しでも前倒しできることにつなげてまいりたいと存じます。
阪南スカイタウンは、りんくうタウンとともに関西国際空港の開港に合わせて大阪府が巨額の費用を投じて開発をし、多額の財源不足が生じているのは、既に皆様御存じのとおりです。
今後求められるのは、これらの土地を府民のためにどう活用し、どうやって少しでも負債を減らしていくのかの具体策です。どうすれば住宅地、事業用地として買ってもらえるかの工夫です。その魅力を高める努力が、ひいては府の一般会計からの支援をわずかでも減らすことにつながると考えます。
今から100年ほど前、イギリスはロンドンの北約55キロの場所にレッチワースというまちが誕生しました。近代都市計画の祖と言われるエベネザー・ハワードという人物が目指した世界で初めての田園都市であります。住民の雇用の場を十分に備え、広大な農地で食料の自給も目指した自立的なまちです。日本でも東京都大田区の田園調布などの住宅開発に影響を与えたとされています。
レッチワースは、まちとしての魅力の高さから投機の対象となったこともありました。現在は、財団法人が中心となってこのハワードの理想を守るべく活動をし、またそれが多くの観光客を引きつける、そのような場所にもなっております。
この阪南スカイタウンは、住む、働く、憩う、このテーマのもと豊かな自然を大切にし、住んでいる人がここに住んでよかったと誇りに思ってもらえるまちに育てていく必要があるかと思います。50年後、100年後の未来の評価に耐え得る取り組みをしっかりとしていただきたいとお願いを申し上げます。
2007年10月9日
我が国日本は地震大国であり、平成7年1月の阪神淡路大震災では、地震により6千人を超える方の尊い命が奪われました。また、最近の新潟県中越沖地震、能登半島地震など大地震が頻発しており、いつどこで発生しても不思議ではありません。大阪府に関連するものでは、南海トラフによる東南海・南海地震、大阪市の真下を走る上町断層帯などによる直下型地震の危険性が指摘され、一たび地震が起きれば被害も大規模なものとなります。
そこで、昭和55年以前に古い耐震基準で建設された建築物について耐震化を図ることが、被害の軽減にも役立つと思います。府営住宅は、高度経済成長のもと人口流入の続いた昭和40年代に建設されたものが数多くあります。効果的に効率的に建築物の耐震改修を進めていくことが不可欠となります。
平成19年1月に見直しされた大阪府営住宅ストック総合活用計画で、府営住宅の耐震改修事業はどのように位置づけられているのでしょうか。
府営住宅の耐震改修事業についてお答えいたします。
府営住宅のストックは約380団地、13万8千戸を有しております。そのうち、現行の耐震基準が施行された昭和56年以降のストックが約32%の4万4千戸、昭和55年以前に建設されたものが約68%の9万4千戸でございます。
耐震基準の変更がなく安全であると判断される壁式構造の住宅や昭和56年以降の住宅など、耐震性を満たすと想定される住宅は、全ストックの約67%の9万3千戸でございます。残る約33%、4万5千戸が耐震性を満たさないと判断しているところでございます。
このうち、老朽化した中層ラーメン構造の住宅は建てかえ事業により、高層住宅は耐震改修事業を行うことにより、10年後には全ストックの9割以上が耐震性を確保できるよう事業を進めてまいります。高層住宅の耐震改修事業につきましては、ストック活用計画に示しますとおり、前期17団地、約7,000戸は平成22年度までに着手し、後期の28団地、約7,300戸につきましては、平成27年度までに完了する計画でございます。
府営住宅の耐震改修工事について、現在多くの方が入居をされ、お年寄りや幼い子どもたち、障害を持たれた方を初めさまざまな方がそこで日々の生活を過ごしていらっしゃいます。今住んでいる人たちは住みながらの工事になるのでしょうけど、どのような内容になるのでしょうか。
また、今年度から既に事業に取りかかる計画になっておりますが、現在どのような段階にあるのでしょうか、お願いをいたします。
耐震改修工事は、耐震性の低い高層住宅につきまして耐震基準を満たすよう改修工事を行うもので、住みながらの工事を基本といたしております。
現在、有力な工法として、既存住棟のバルコニーの外側に鉄筋コンクリート造の柱、はりでフレームを新設いたしまして、既存住棟と構造的に一体化させることにより耐震性の向上を図る工法、いわゆるアウトフレーム工法を想定しております。この工法は、住戸内に入ることなく工事が可能で、住みながら行う工事に適したものとなっております。
今年度は、耐震性の低い団地から優先的に6団地を選定し、耐震診断や改修計画等の策定中でございます。具体的には、コンクリートの圧縮強度等を調べるためのコンクリートのコア抜きや地盤の状況を調べるボーリング調査等、現状を調査し、耐震改修の計画策定を進めており、今年度中には6団地の実施設計を行う予定でございます。
また、6団地につきましては、8月に自治会説明を終えまして、おおむね了解をいただいておるところでございますが、今後とも事業の進捗に合わせ説明会等を行ってまいりたいと考えております。
住みながらの工事になるということですが、その場合、どのようなことが課題となるのでしょうか。そして、どのような対策を考えられているのでしょうか。そしてまた、この耐震改修工事が完了した場合に家賃はどのようになるのでしょうか、お願いをいたします。
耐震改修工事は、住みながらの工事を基本としておりまして、工事による騒音、振動等が発生したり、さらには工事ヤードを確保するために、駐車場や駐輪場などの一時移転が必要となります。また、既存のバルコニー部で工事を行いますことから、工事期間中、バルコニーを使えなくなる期間が発生するといった問題がございます。
対策といたしましては、できるだけ入居者の方々の負担が少なくなるよう工期短縮ができるのかなど検討を進めてまいります。
また、事前に住民の方々へ工事内容の説明を十分に行い、安全安心の確保のため御理解をいただくよう努めるとともに、工事期間中は入居者の方々に御不便をおかけすることとなりますが、できるだけ入居者の日常生活に支障とならないよう工事を進めてまいります。
また、家賃につきましては、現在のところ、耐震改修工事を行いましても利便性が向上しないため、値上げすることは考えておりません。これは、他府県の事例におきましても家賃の上乗せを行っていないという現状でございます。
私の地元大阪市淀川区にも、新耐震基準以前の昭和43年、44年建設の11階建て366戸の府営東三国住宅があります。この団地は、地下鉄御堂筋線東三国駅から北へ約10分歩けば着くところにあり、住むに便利な住宅だと思います。
私も何度も東三国住宅に行き建物を実際に見ておりますが、道路からの空きが少なく、また建物の間には駐車場がぎっしり詰まっており、非常に密度が高いと感じております。どのように耐震改修を進めていくのでしょうか。今後とも、入居者が安心して暮らせるよう、適切に維持をしていっていただきたいと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
数多くの府営住宅がある中でも、東三国住宅は、敷地規模に比べかなり住戸数が建て詰まっていることに加えまして、敷地外周に新御堂筋の側道が直近しているなど三方が道路に囲まれており、工事スペースの確保が難しいことから、先ほど御説明いたしましたアウトフレーム工法では耐震改修工事に支障があると考えております。このため、平成20年度には団地の現状を精査した上で、安心していただけるよう最も適切な方法等を総合的に検討してまいりたいと考えております。
これまでに東三国住宅を初め、同時期に建設をされた摂津市の南別府住宅、守口市の佐太中住宅も見てきました。そこで感じたのは、当時の設計者たちの意気込みです。エレベーターが飛び飛びにしかとまらないスキップフロア方式や、南別府住宅に見られる住戸の入り口と廊下の高さが異なる方式は、プライバシーを重視した、恐らく当時としては時代を先取りしようとした設計思想がうかがえます。残念ながら、住民の高齢化が進んだ現在となっては、それがかえってあだとなっているようです。
また、東三国住宅に限定すれば、耐震改修を予定しているため、新規の入居者募集を停止しているとも聞きます。人気が高いだけに何とかしてほしい、そういった要望も多く寄せられております。
耐震改修工事を実施するということは、この先も建物を20年、30年と使い続けるということにほかなりません。平成23年7月に予定されている地上波テレビのデジタル化への対応を初め、電気、ガス、上水道、電話などの配管、配線の更新といったその時代の変化に応じた施設整備も必要です。いつまでも安心して暮らせる府営住宅とするためにも、一連の耐震改修工事には細心の注意を払い、今住んでいる人たちに過度の負担とならないよう大阪府の配慮を強く求めておきます。
2007年10月9日
先ほど住宅まちづくり部での質問でも触れましたが、この数年、日本各地で大規模な地震が相次いで発生しております。ことしに入ってからも能登半島地震、新潟県中越沖地震で広範囲で長期間にわたる断水が続き、地域住民は不自由な生活を強いられました。私もかつて、平成16年10月に発生した新潟県中越地震の直後に小千谷市、川口町といった被災地を訪れました。復旧作業に懸命に働く水道事業関係者の姿を目にしました。本当に頭の下がる思いでありました。
水道は、府民生活の健康、安全にかかわる必要不可欠な生活基盤であります。府民が安心して使える水道水を安定して供給するため、災害に強い施設整備をしなければならないと考えます。現在どのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか、お願いをいたします。
府営水道では、平成7年に発生した阪神淡路大震災を契機に、水道管や施設の耐震化を進めるとともに、震災時や広範囲にわたる停電への対応としての非常用発電設備の導入など、危機管理能力の向上を図っております。
また、現在の水道施設の課題を踏まえて策定しました長期施設整備基本計画に基づき、平成17年度より老朽施設の更新とあわせまして、防災拠点の整備、浄水施設の系統分割、送水管路のループ化や耐震化を進めているところでございます。
この危機管理の考え方にのっとった施設整備方針、大事なことです。ですが、すべて完成するまでには長い時間と多額の費用がかかります。大規模災害や事故はいつ発生するか予測がつきません。ある日突然やってきます。そのときに、個々の水道事業者が単独で対応するにはおのずと限界があるでしょう。近隣の水道事業者と密接な協力関係を築いておくことが対策の一つになると考えます。
特に、大阪市は隣接する大規模な水道事業者であります。ふだんから緊密な協力関係を築いておくことで、一たび事が起こったときの対応能力も強化されると考えますが、いかがお考えでしょうか。
淀川から取水する水道事業者によって構成される淀川水質協議会に府市ともに参画し、水源事故が発生した場合などには緊急連絡網を活用して、事故や各水道事業体が必要に応じて講じた措置の情報を共有化するなど、協力関係を構築しております。
また、関西の大規模な水道事業者や学識経験者などで構成する関西水道事業研究会に府市ともに参画し、水道水質のリスク管理や地震発生時の被害予測などの共同研究に取り組むなどといった協力関係もあります。
大阪市とはふだんから協力関係があるということですが、水道事業に関する市との協議、災害対策にも十分に配慮した連携方策について検討を行っていくとのことで協議が始まり、昨年九月の府市首脳懇談会で、大阪府営水道が計画している施設整備費用の削減の可能性も検討していくことを合意して、今も協議が続いていると聞いております。この現在の協議状況はどのようになっているのでしょうか。
府民と市民にメリットのある連携方策の検討を行うために、府は水道部長を、市は水道局の理事をトップとする府市水道連携協議会を昨年12月に設置して、府市双方の経営資源を有効活用することにより事業の効率化が可能かどうか、その方法や課題について協議を行っております。
また、危機管理対策に加えて、職員研修の共同実施などの連携についても、順次実現可能なものから実施に向けた検討協議を行っております。
現在、その危機管理対策、協議中とのことですが、災害や事故のときに府と市が直接相互に応援できる手法、何か現在あるのでしょうか。
枚方市にある大阪府の村野浄水場と寝屋川市にある大阪市の豊野浄水場の水道管が近い場所に布設されていることから、大阪市の導水管から原水をもらうために村野浄水場付近で、また相互の応援給水のために、寝屋川市の高宮と門真市の下島頭において、それぞれ水道管を連結しております。この連絡管によりまして、災害や事故時には府市がお互いに水道水を応援し合うことが可能となっております。
連絡管の使用に関しましては、大阪市との間で昭和41年に締結し、その後昭和57年に改定をいたしました相互援助に関する協定によりまして、災害時などに連絡管を用いました応援給水、役務や資機材の提供などを相互に行うこととなっております。
大阪市とはこの三カ所で連絡管を整備をされているとのことですが、これらの連絡管、どの程度の能力があって、実際に利用した場合、どのような効果があるのでしょうか。
大阪市との協定では、連絡管による応援給水量はおおむね日量約20万立方メートルとなっております。
応援給水による効果としましては、一般家庭において一人当たり一日250リットルの水を使用するものと仮定しますと、おおむね80万人分の生活用水を賄うことが可能でございます。
相当な効果があるということはわかりましたが、では実際にこの連絡管、過去に使用されたことはあるのでしょうか。
水需要の増加が著しかった昭和48年に、夏場の水需要に対して府の磯島取水場から村野浄水場に導水している管が一時的に能力不足を来たしたことから、7月13日から25日の期間に、大阪市から原水約122万立方メートルの応援給水を受けました。
また、阪神淡路大震災後の平成8年に、災害への対応訓練として府市共同で浄水の連絡管を使って相互応援給水の訓練を実施いたしました。
府営水道は、大阪市を除く府内全域へ広域的に供給を行っている事業体であり、大規模な被害を受けた場合、府民生活に大きな支障が生じるのは避けられません。万が一、府営水道の給水能力が不足するほどの被害が生じた場合、現在は大阪市が唯一応援を受けられる事業体です。したがって、大阪市とは日ごろの訓練の充実など連携を密にし、相互に危機管理能力を向上させるよう努めるべきではないでしょうか。
本日、この危機管理対策の状況を伺いましたところ、府市の間の連絡管が整備をされ、協定も結ばれていますが、10年以上も訓練が全くなされていないとのことでした。実際に連絡管に水を流しての訓練は大がかりなものになると想定され、実際頻繁には行えないと思います。その場合は、連絡体制や作業手順を確認する図上訓練という手法を活用することも視野に入れるべきだと考えます。
事故や災害時などに使うことを目的にした施設は、日ごろから訓練の機会を積み重ねておかないと、いざというときに十分な機能を発揮できないことにもなりかねません。事故や災害を想定し、府と市が連携した災害対策訓練を定期的に行う考えはございませんでしょうか。
お示しの点につきましては、現在進めております大阪市との連携協議の中でワーキング部会を設置して、具体的な危機管理対策の検討を進めているところでございます。その中で、原水の連絡管を用いた応援給水訓練を今年度中に実施する方向で調整しております。さらに、浄水の連絡管を用いた相互応援給水訓練や机上での訓練の実施についても協議してまいります。
今後とも、府民、市民の視点から災害時などの危機管理対策の強化を図るとともに、淀川原水や浄水場内で発生する事故に対しても円滑に対応できるよう、相互に危機管理能力を高めてまいりたいと考えております。