第5期
2024年
第4期
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第1期
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2007年
2020年12月10日
公明党大阪府議会議員団の加治木一彦です。冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今現在、闘病されている方々に一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、医療や介護、教育など、社会の様々な現場を支えてくださっている皆様に敬意と感謝の意を表します。私も、これ以上感染を広げないようにしっかりと心がけていきたいと思います。
それでは、質問に入ります。まず、クールスポットモデル拠点推進事業についてお伺いをいたします。
令和元(2019)年度の決算概要等報告書・説明書の105ページに、環境保全基金事業費を使い、ミスト発生器、日よけや緑化などを複合的に活用して他のモデルとなるクールスポットを創出する民間事業者への補助事業、クールスポットモデル拠点推進事業が実施をされました。このところ、毎年のように、災害並みの猛暑という表現が当てはまる夏が続いております。府域でクールスポットをつくり出し、屋外で昼間に体感する暑さを少しでも軽くできることが非常に重要だと考えます。令和元(2019)年度の本補助事業の実績効果について、まずお聞きをいたします。
また、この事業は平成28(2016)年度から令和元(2019)年度までの4年間実施をされましたので、この4年間まとめての実績や成果につきましても、併せてエネルギー政策課長、お聞かせください。
クールスポットモデル拠点推進事業につきましてお答えいたします。
本事業は、毎年2か所、800万円の予算を措置し実施してきましたが、平成30(2018)年夏の記録的な猛暑を踏まえ、最終年度の令和元(2019)年度は予算を拡充しました。併せて、ミスト発生器は暑熱環境の改善効果及び視覚的な涼しさもあることから、その新設の場合には補助要件を一部緩和し、事業を実施しました。こうした事業見直しなどの結果、6か所、合計1801万2000円を補助しました。
その事業効果につきましては、事業者から、地表面温度や暑さ指数の改善効果のほか、ミスト発生器前で足を止める通行者が多く、涼しさを実感いただいていると報告を受けています。また、その中の一つであります茨木市立東市民体育館芝生広場のクールスポットにおけるみどりのカーテンづくりは、民間事業者の顕彰制度で表彰もされました。
次に、平成28(2016)年度からの4年間では、商業施設や商店街、大学など合計10か所のクールスポットを創出しました。その中の一つであります千里中央の商業施設SENRITOよみうりでは、補助事業実施後、隣接部分で民間事業者が自主的にエリアを拡張するなど、クールスポットのさらなる整備を促すことにつながりました。また、あべのキューズモールのクールスポットで本府の暑さ対策のイベントを実施するなど、普及啓発にも活用しています。
2020年12月10日
次に、都市緑化を活用した猛暑対策事業についてお聞きいたします。
今お聞きしましたクールスポットモデル拠点推進事業が昨年度で終了しました。そのことを受けまして、今(2020)年度からは森林環境税を財源とする都市緑化を活用した猛暑対策事業が始まっております。この事業は、暑くても待たざるを得ない駅前広場などで緑化とミストなどを組み合わせて暑さ対策をするものです。そこで、このモデル事業を通して得られた経験などをどのように生かしているのでしょうか。
また、今(2020)年度、猛暑対策事業として21か所を採択したとのことです。1か所当たりどれくらい助成をしたのか、こちらはみどり企画課長、お願いいたします。
都市緑化を活用した猛暑対策事業についてお答えいたします。
都市緑化を活用した猛暑対策事業の実施に当たりましては、クールスポットモデル拠点推進事業の成果を踏まえ、ミストや保水性ブロックなどの対策メニュー設定をはじめとする制度設計を行うとともに、整備費用や維持管理に要する費用等について事業者に助言するなど、事業推進に活用しております。
また、事業規模を拡大して効果を高め、早期の事業実施を促すため、補助金の上限を400万円から1500万円に引き上げるとともに、補助率を2分の1から全額助成とし、市町村を実施事業者に追加しております。ただし、15年間の維持管理運用を義務づけ、結果として府が負担するイニシャルコストと事業者が負担するランニングコストが同程度となるように設定しております。
なお、今(2020)年度、駅前広場を14か所、バス停を7か所、事業採択しておりますが、このうち9か所の事業費は上限の1500万円に近い額となっており、そのほかは、数百万円から1000万円と幅のある額でございました。
今(2020)年度採択した事業のうち4か所が頑張って、この夏から稼働させてくれたとのことであります。その効果について、どのようなものだったのでしょうか、お聞かせください。
お答えいたします。この事業による暑熱環境改善効果を把握するため、暑さ指数、いわゆるWBGTの測定と利用者へのアンケート調査を実施することを事業者に求めております。
WBGTは熱中症の危険度を判断する数値で、気温と湿度、並びに日射や輻射など、周辺の熱環境の3つを基に算出するものであります。この値が28度を超えると熱中症患者の発生率が著しく増加すると言われております。そのため、この数値をどれだけ引き下げることができるかが事業効果を把握する上で重要であり、今夏に事業を完了した4か所では、WBGTを最大で2.9度、最小で2.3度引き下げる効果が確認できました。
また、アンケート調査では、お答えいただいた164名の約8割に当たる130名の方から「涼しく感じた」もしくは「少し涼しく感じた」との回答をいただいております。
私自身、ドライミストのあるところに行きますとちょっと立ち止まって涼んで、そこからまた歩いていくというようなことをよくしておりますので、体感ではやっぱり涼しいもんやというのは感じておりましたが、やっぱりこうやって数字で出てきますと、その体感が間違っていなかったということを非常に私も納得した次第です。
この事業ですが、次(2021)年度の実施に向けて市町村や公共交通事業者に意向調査をされたところ、実施したいと意向を示したのが市町村を中心に43か所だったとのことです。市町村や公共交通事業者とも、新型コロナウイルス感染症が拡大していく中で、なかなか新しい事業に投資できない、踏み切れないというのは致し方のないとこやとは思います。とはいえ、4年間で150から200か所やりますという目標を掲げている以上、単年度としてはもうちょっと頑張ってほしいなという気もいたします。
早期に事業効果を出すため、イニシャルコストを全額助成するという、本当に思い切った事業制度になっております。先ほどの答弁を踏まえますと、涼しく感じたとの体感や暑さ指数の数値が下がったという効果がありました。コロナ禍の影響が払拭されて社会状況が改善された際には、ぜひとも多くの事業者に応募していただきたいと期待をしております。
その際には、4年間で15億円という限られた事業費が有効に生かされますよう、より高い効果が見込める実施場所をしっかりと選んでいくべきだと考えます。どのように優先順位をつけて事業として採択をしていくのか、お聞かせください。
事業採択の優先順位等についてお答えいたします。
優先順位につきましては、多くの府民が駅前広場などで暑熱環境の改善効果を受益できるよう、駅の乗降人員数等を基本とし、2025年大阪・関西万博を見据え、内外からの来阪者や暑さの影響を受けやすい高齢者の利用状況などを勘案の上、事業採択箇所の選定を行うこととしております。
コロナ禍が公共交通事業者などの事業実施体制に影響しているところではございますが、引き続き計画目標の達成に向け、猛暑対策事業を着実に実施してまいります。
気象庁のホームページをちょっと見まして、皆さんは覚えてはるかと思いますが、今(2020)年の8月、一日の平均気温が30.7度、大阪で気象観測を始めてから過去最高を記録したということで、改めてこうやって数字を見て驚いた次第です。自分が子どもで大阪で暮らしていた頃、ここまで暑かったかなと、ずっと自分の子ども時代を見たら、大体27とか28とかでしたので、やっぱり間違いなくこのまち自体が暑くなっている。いろんな要因があって暑くなっているのは確かではあると思います。
こういうクールスポットをつくっていく事業は、確かに一個一個点を打っていく事業ですので、なかなか一気に広がるということではないと思うんですが、今御答弁いただいたとおり、効果的なところにつけてもらうことで、出歩くときに、出かけるときに、ちょっとでも涼んでもらう。今(2020)年の夏なんかは、本当に信号待ちのほんの1分かそこらの間でも暑くてやってられない。どこかに陰はないかと求めて、それこそ立っておりましたし、木の陰は涼しいというのを本当に実感させてもらいました。
こういう形で、せっかく森林環境税を使って、期限を区切って、なおかつ100%補助するという非常に思い切った政策をされていますので、ぜひともこの効果を府民の皆さんにも実感してもらえるように取組を進めていただきたいとお願いをしておきます。
2020年12月10日
次の項目に移ります。子育て施設の木質化の推進ということで、決算概要等報告書73ページの森林環境整備事業についてお伺いをいたします。
こちらも平成28(2016)年度から森林環境税を使った取組として実施をされております。この子育て施設の内装木質化について、その事業内容と令和元(2019)年度の事業実績につきまして、これは森づくり課長、お願いいたします。
本事業につきましては、子どものうちから木に接することでそのよさを体感し、森林の大切さへの理解を深める木育を促進することを目的に、幼稚園、保育所などの子育て施設を対象として、床や壁などの内装の木質化を支援したものでございます。
具体的には、内装の木質化に要する費用の2分の1以内を補助するものでございまして、その上限額は250万円でございます。補助の要件としては、府が認定した大阪材を一定量以上使用することをはじめ、木や森に関する絵本の読み聞かせなどを行う木育リーダーを配置することも求めております。
令和元(2019)年度は、31園に対しまして5477万3835円を補助し、木育リーダーは41人配置されました。
ありがとうございます。この事業は平成28(2016)年度から始まり、令和元(2019)年度で終了したとお聞きしております。事業を説明するパンフレットを幾つか事前に頂いておりまして、見させてもらいました。どの施設とも本当に木の温かみを感じさせる空間に仕上がっているというのがうかがえます。本当にうらやましい限りです。
子育て施設の壁や床を木質化することでどのような効果があったのか、4年間の事業全体の実績と事業効果についてお聞かせください。
本事業は、平成28(2016)年度からの4年間で合計131園に対し約2億2000万円を補助し、木育リーダーは167人配置されました。
本事業を含めた森林環境税を活用した全事業の効果につきましては、大阪府森林環境整備事業評価審議会において中間評価を平成30(2018)年に行い、全体事業終了後の最終評価は平成3年度に行うこととしております。
中間評価の一環として、施設職員及び施設利用者である保護者にアンケートを実施したところ、子どもたちの様子としては、「保育室の床がきれいで温かい感じになり、とても喜んでいる」などといったコメントがございました。アンケート結果データといたしましては、本事業の実施により、88.6%の方が「木質化や木製品に対する関心が高まった」と回答し、80.9%の方が「家庭でも床や壁などに木を使いたいと思った」と回答しております。また、80.2%の方が「木育を通して木質化、木製品や森林に関心を持った」と回答しております。
すいません。ちょっと発言を訂正いたします。本事業の評価でございますけども、中間評価を平成30(2018)年に行い、全体事業終了後の最終評価を先ほど平成と申し上げましたけども、令和3(2021)年度に訂正いたします。失礼いたしました。
中間評価につきましては、事業評価審議会からも、施設の木質化と木育活動の実施は木材利用に関する理解度を向上させるのに有効であると御意見をいただいております。
幼少期から木と触れ合える環境を整え、木育を推進していくことは、子どもたちにとっていい影響を与えるとともに施設利用者の意識も高めるものであると御答弁をいただきました。
このような子育て施設での木材利用について、国から市町村へ直接譲与される森林環境譲与税を活用して市町村が主体となって取り組むことができるようになりました。子育て施設の木質化に市町村さんが取り組む際は、せっかくこれまで大阪府が4年間ノウハウを蓄えてきたと思います。府が積極的にサポートしていくべきと考えますが、今後の取組についてお聞かせください。
令和元(2019)年度から市町村へ配分が始まっております森林環境譲与税は、森林のない市町村においては主に木材利用に使っていくことになり、今後は様々な木材利用が検討されていくと考えられます。中でも、子育て施設の木質化は、木の温かみが子どもの体調や行動によい影響があるとともに、実際に見て体験することで森林や木に対する関心を深める効果があると考えております。
譲与税の活用方向のヒアリングの中で、子育て施設の木質化の意向を示した市町村に対しましては、府として4年間の事業で培ったノウハウといたしまして、例えば木の特性や床や壁の施工単価、木の調達にかかる期間等の情報を提供するなど、引き続き取組が円滑に進むよう支援してまいります。
非常にいい取組やと思います。ちょうど私の子どもが今幼稚園の年長組なものですから、この取組を見ながら、うちもやってくれへんかなとか、結構うちの幼稚園も内装に気を遣ってくれていますので、親としても非常に実感をしていた次第です。やはりこれだけ4年間で131園ですか、やったということは非常にデータとしても興味深いものがあるんやないかと思います。
これは環境農林水産部で終わらせるんじゃなくて、こういうデータ、データの取り方とか、アンケートの取り方を工夫していただいて、ぜひとも幼稚園とか保育園とか、そういう子育てに関わる人たちに、直接現場でやっている人たち、またそういう研究者たちに情報発信していただいて、やっぱり木育が非常に効果があるんですよというようなアピールもしていただければ、木材利用にも広い意味でつながっていくんやないかと思います。いろんな調査の仕方があるかと思いますので、ぜひとも工夫していただければと思います。
2020年12月10日
では、次の質問に移ります。地籍調査です。
東南海・南海大地震が発生すれば、大阪のまちにも大きな被害が出る。これはもう皆さんもそういう想定はされているかと思います。大規模災害から府民の生命、財産を守るため、行政として当然、災害への備えを万全にしておくとともに、災害が発生した後は迅速な復旧復興に取り組むことが重要であるのは言うまでもありません。例えばですが、岩手県は県域の9割が地籍調査を済ませていたので、東日本大震災の後、迅速な復旧復興が可能であった。これも有名な話やと思います。
このように、地籍調査の大きな効果として、大規模な災害からの迅速な復旧復興が挙げられます。ほかにどのような効果があるのか、こちら整備課長、お願いいたします。
地籍調査についてお答えいたします。
地籍調査は、土地一筆ごとの所有者、境界、面積などを調査し、明確化を図るものでございます。その効果といたしましては、委員お示しの大規模な災害からの復旧復興の迅速化が大きな効果としてございますが、土地の情報が明確化されることによる円滑な土地取引や民間開発の流動化、道路整備などの公共事業の円滑化などがございます。
決算概要等報告書の57ページにあります。地籍調査費として約9900万円の予算が執行されました。この金額でどの程度の面積が調査できたのか、お聞かせください。
お答えいたします。
お示しの地籍調査費は、国土調査法に基づく補助金であり、国50%、府25%の計75%に相当するものでございます。令和元(2019)年度は、寝屋川市など14市町に加え、山林部を大阪府森林組合が実施するなど、計15団体において大阪ドームの60個分に相当する約2平方キロメートル分の地積調査が行われました。
今御答弁ありましたとおり、府内15団体が地籍調査を令和元(2019)年度は実施したということです。とはいえ、残念ながら大阪府、令和元年度時点で、この地籍調査の進捗率一覧表を頂きました。全国平均が52%、優秀なところは90%台が3件、80%台が6件、大阪府のグループでいいますと約20%以下ということで、11府県、大阪府は10%という状況であります。
確かに簡単な話ではないとは思いますが、大阪、これだけ数字が悪いと、何が課題なのかということは非常に気になります。改めて大阪の課題ということについてお聞かせください。
お答えいたします。
大阪などの都市部におきましては、土地が細分化されていることから、筆数や土地所有者の数が多く、他の地域に比べると調査に多大な時間と労力を要しております。そのため、事業主体となる市町村におきまして、調査を実施する人員体制の確保が課題となっております。
まさに人手のかかる事業であります。とはいえ、限られた人員体制の中で地籍調査をやっていくように、事業主体となる市町村に府がどのように働きかけをしているのでしょうか、お聞かせください。
お答えいたします。
市町村の調査が円滑に進められるよう調査の体制や手順などの助言を行う国の地籍アドバイザー派遣制度の活用や、都市部では国による官民境界調査の導入、また山村部では航空写真などを用いた現地立会を必要としない効率的な測量手法の導入など、市町村が調査に着手しやすい環境づくりに努めております。
特に、未着手、休止の市町村に対しましては、災害復旧の迅速化や公共物管理の適正化など、市町村行政の施策推進上のメリットを丁寧に説明し、調査の必要性を理解してもらえるよう市町村長などにも直接働きかけているところでございます。
これらの取組により、直近3か年では新たに大阪市、八尾市、豊能町、熊取町が地籍調査に着手することとなりました。今後も、これらの制度や効率的な手法をPRすることで、府内全市町村の調査着手を目指してまいります。
ありがとうございます。このお話を聞いてて、なかなかやっぱり進まない。いや、大事なのは分かるけど、これって今すぐ要るのかということを言われると、よくお聞きしております。そんなことをお聞きしながら、ふと思ったのが健康診断。健康診断へ行って、血圧高いですねとか、血糖値高いですねと言われて、それでどれだけの人がすぐ、じゃあ改善しようという気になるか。私も自分の胸に手を当てて考えはしたんですが、そのとき、今すぐなくても困らへんやろうけど、これが何年後かに困るかもしらんよなということなんじゃないかなと。
また、随分前ですけど、見たテレビ番組で、それこそ明治時代の公図しかなかったと、手書きの。そこに測量に入ったら、どうも現状と全然違っていたと。地権者さんが、こんなもん、わし、絶対認めへんみたいになって、結論が出ないままその番組は終わってしまったんですけど、こういうようなことがあっては本当に困るわけです。いざ災害が起きて、もう一回まちをつくり直しますとなったときに、本当にどうしようもなくなってしまう。
あれこれちょっと思っていましたら、皆さん、昔、地図に残る仕事という某ゼネコンがCMをやってたの覚えてはりますか。それでいったら、これ、地図を残す仕事なんですわ。正確な地図を残す仕事。今すぐ役に立つかと言われたら、なかなかかもしれません。
災害が起きるという意味では起きないほうがいいんですけど、それ以外にもやっぱりこれはきちんと、やはり基礎基本ですので、しっかりと取り組んでいただきますように、うまいこと市町村にも働きかけながらやっていただきますよう、お願いをいたします。
2020年12月10日
次に、6次産業化に取り組む農業者の支援についてお聞きをいたします。
決算概要等報告書48、49ページにございます大阪産(もん)6次産業化サポートセンターについてお聞きをいたします。農業は、食の根幹を担う重要な産業であるのは言うまでもありませんが、全国的に農業に携わる人の数が減り続けており、大阪も例外ではありません。農業が職業として選ばれる魅力的な産業となるために、農業者の所得を増やすことが重要と考えます。
大阪は、一農家当たりの農地面積が35アールと、全国で最も小さいというのが現状です。そのような中、水なすなどの単価の高い農産物を手がける農家さんもいてはります。さらに、農産物の加工販売や販路の開拓を通し付加価値を高める6次産業化、これは農業経営で収益を高めるための有効な手段の一つとなっております。しかし、6次産業化に取り組むためには、加工ができる委託先を探す、商品の劣化を防ぐ衛生管理の知識を身につけるといったことが必要です。農業者にとってなかなかハードルが高いというのも現実です。
6次産業化を成功に結びつけるためには、経験や専門知識を有する専門家を派遣するなど、農業者がハードルを越えられるようサポートすることが求められます。大阪府は、大阪産(もん)6次産業化サポートセンターを設置し、農業者からの相談を受け、また専門家を派遣するなどの支援をしております。そこで、このサポートセンターがどの程度利用をされて、またどのような成果を上げているのか、令和元(2019)年度の実績についてお聞かせください。
大阪産(もん)6次産業化サポートセンターでは、令和元(2019)年度は商品デザインや販路開拓など234件の相談に対応いたしました。このうち、経営状況の把握や課題の整理、商品そのものの見直しといった専門的な支援が必要な案件に対し、経営コンサルタントやデザイナーなど専門知識を有した6次産業化プランナーを33事業者へ延べ121回派遣しております。
こうした支援のうち、一例といたしまして、農業者によるハーブを使った健康飲料の開発において近隣の農作物も活用するといった地域一体の加工体制が評価され、国の優良事例となるなど有望な案件も生まれているところでございます。
令和元(2019)年度も数多くの農業者から6次産業化に係る多様な相談を受けましたとの答弁であります。課題解決に向けて後押しをし、地域と連携した有望な案件も育ってきているとのことで、期待をしております。
一方で、令和2(2020)年度からこのサポートセンターの支援は経営改善を重視するように国が制度を見直したとお聞きしております。順調に進んできたのであれば変更する必要はないと考えるのですが、なぜこのように見直しをされたのか、その理由についてお聞かせください。
農業者が6次産業化に取り組んだ結果、魅力的な商品を開発し、経営が向上する事例がある一方で、思ったように売れない、コストが合わないなど、必ずしも順調でない事例もあったところでございます。そこで、より消費者目線で商品を比較する、あるいは商品の開発や販売に係るコストを厳密に計算するなど、6次産業化事業が経営として成り立つための取組となるよう、国において見直しがされたところでございます。
国が制度を改正して経営改善を重視するようにしたとのことです。その狙いは分かりますが、サポートセンターが具体的にどのように経営改善を支援していくのでしょうか、お聞かせください。
従来の商品企画や販路開拓における支援に加え、経営面での指導が重要となったことから、今(2020)年度は8名の中小企業診断士をプランナーとして登録し、派遣体制を整えているところです。
また、複数年にわたる支援を行うこととしておりまして、1年目は診断士を中心に経営改善に向けた計画の策定を支援しています。今(2020)年度は9事業者に対して診断士等を延べ25回派遣したところです。2年目以降は、デザイナーやプロデューサーなどのプランナーも加え、計画の実現に向けた取組を支援する予定にしています。このように、事業の段階ごとに応じて継続的な支援を行うことにより、経営改善の実現を目指してまいります。
引き続きサポートセンターによる経営改善の支援をしっかりとお願いをいたします。
一方で府は、サポートセンター以外の支援として6次産業化に係る人材育成研修会や2次・3次産業の事業者との交流会を開いているともお聞きしております。新型コロナウイルスの影響により多くの人が一堂に会する研修会や交流会を実施しにくい状況ではありますが、6次産業化の支援が滞らないことを願っております。
研修会や交流の実施には工夫が必要となることも多いでしょう。どのように6次産業化の支援を続けていくのでしょうか、お聞かせください。
6次産業化の推進に当たっては、知識の向上に資する研修会や人的ネットワークを拡大できる交流会は大変重要であると認識しており、今年度は感染対策に最大限配慮して実施しているところです。
研修会につきましては、HACCPの知識取得を重点テーマとしているほか、商品PRのためのSNSのさらなる活用など、新型コロナウイルスによる社会の変化にも対応した内容としています。また、農業者が府内の優れた加工事業者や流通事業者と出会う機会を提供することは、よりよい商品開発のための有効な手段であることから、グループ単位での意見交換や双方向の交流ができるよう工夫をした上で、ウェブ形式も取り入れた交流会を三月に実施する予定にしております。
引き続き、6次産業化に取り組む農業者をしっかりと支援し、経営の向上につながるよう努めてまいります。
昨日やったかな、たまたまテレビをつけていましたら、高知県の黒潮町の缶詰の話が出ていまして、何かウナギの缶詰、一番いいのは3つセットで7000円というのから、土佐の名物カツオを使った缶詰とか、お手頃な値段の缶詰とか、いろんなのを作って頑張っていますという話でした。6次産業化するに当たって一番基本は、どんな農産物をそこから作ってはるのか、果たしてそれが魅力的なものなのか、ちゃんと勝負できるものなのか、やっぱりその一番の基礎がしっかりしてないとあかんのかなと改めて感じた次第です。
ですので、それをまずしっかりやって、そしてその先、製造、流通という部分で。なかなかその作り手は自分の物が一番やと思って作ってやっていくと、めちゃめちゃ高い値段になって、それ売れるかみたいになってしまったら、本当に残念な限りです。やはり、どこのお客さんを狙ってどういうものを作ってと、きちんと全体で業として成り立つようにサポートセンターさんに頑張っていただければと思います。
2020年12月10日
では、最後の質問です。栽培漁業センターの改修についてお聞きをいたします。
70年ぶりに漁業法が改正されました。この(2020年)12月1日からもう施行されております。先ほどもちょっとございましたが、この改正漁業法、水産資源の保存や管理を大きな柱としております。今後は、漁獲可能量の設定などで適切な資源管理をすることになります。
しかし、大阪湾など、この沿岸域は、生息域の減少、また漁場環境の悪化などで多くの魚種で漁獲量が減る傾向にあるともお聞きしております。
このような魚種は、資源管理の取組とともに資源を増やす取組も必要と考えます。特に、稚魚を一定の大きさまで育ててから海に放流する栽培漁業というのは、資源を増やす上で重要な取組と考えます。大阪府は、今(2020)年度から栽培漁業センターの改修を始めております。まず、これまで栽培漁業でどのような取組をしてきたのか、水産課長、お願いいたします。
栽培漁業センターの取組についてお答えいたします。
栽培漁業センターは、本府における栽培漁業の中核施設といたしまして、平成3(1991)年に現大阪府環境農林水産総合研究所水産技術センターの附属施設として整備してまいりました。オープン当初は、大阪府栽培漁業基本計画に基づきまして、クルマエビ、ヨシエビ、ガザミ、クロダイ、オニオコゼ、マコガレイ、アカガイの7種類の放流を行っており、クロダイやオニオコゼなどは資源量が増加するなど、一定の成果が見られました。
その後、資源状況や漁業者、専門家の意見も踏まえまして、放流対象をより放流効果の高い魚種に変更を重ね、現在、第7次大阪府栽培漁業基本計画に基づきまして、キジハタ、ヒラメ、トラフグ、アカガイ、以上の4魚種の放流を行っているところでございます。
ありがとうございます。今の御答弁によりますと、放流効果が高い魚種にシフトしているとのことです。となりますと、この施設の改修というのは、これらの放流魚種の変化に対応するものなのでしょうか。その具体的な内容についてお聞かせください。
改修の内容についてお答えいたします。
改修前の水槽は、ガザミなどの甲殻類の生産に適した構造になっていたため、水深が深く、壁面に凹凸があるなど、キジハタなどの魚類の生産には不向きな面がございました。このため、今回の改修では水深を浅くしまして、魚の取上げがしやすいような溝を作るとともに、併せて水槽の壁面を滑らかにするなど、14槽の水槽全てにおいて構造を変更するものでございます。
これらにより、稚魚の生存率を高めるとともに、稚魚の取上げや選別作業の効率化、取上げ時の稚魚へのストレスの軽減を図ることができると考えております。
今の御答弁をお聞きしますと、全部やり変えるということですね。これも本当思い切ったことやないかと感じた次第です。一方でですけど、これはかなりこれまで無理していたわけですよね。ガザミの水槽でキジハタを育てたといったら。となりますと、今度、キジハタなどの魚に適した施設に改修したら、かなり成果があるのではないかと期待をしてしまうのですが、どのような効果が見込めるのか、お聞かせください。
改修による効果についてお答えいたします。
今回の水槽やろ過施設の改修等によりまして、例えばキジハタでありましたら、生産能力が2倍になり、年間の生産量は約2万1000尾増加することから、年間11万尾の稚魚を放流することが可能となります。キジハタは、魚庭(なにわ)あこうとしまして広く府民の方にPRを行っており、ブランド化を進めている業種であることから、漁獲量の増加を図ることによりまして、多くの府民の方に味わってもらうことができると考えております。
今後とも、栽培漁業センターを核としまして栽培漁業を推進していくとともに、稚魚の生産場となる藻場の造成なども併せまして、キジハタなど大阪湾の水産資源の増大を図ってまいります。
私も、岬町の栽培漁業センター、何年か前に伺いました。その時に初めてキジハタの本物を見たんですが、本当それまで知りませんで、そのときにやはりこれから楽しみですよという話をされていたのを覚えています。こういう形で着実にステップアップしているのかなというのは非常にうれしい限りであります。
先日の本会議で知事が2026年の全国豊かな海づくり大会の開催を目指すという答弁もされております。このメイン行事はやっぱり放流式典。頂いたパンフレットを見ていますと、各地、そこの名物の魚とか、いろいろ工夫して流されています。ぜひとも大阪のシンボル、いろんな種類を流すでしょうけど、イの一番はキジハタやと言って放流できるように、今後ともしっかりと取り組んでいただければと思います。以上で私の質問を終わります。