大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

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本会議一般質問

2022年5月31日

在日外国人施策に関する指針見直し

質問

 公明党大阪府議会議員団の加治木一彦でございます。

 新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今現在、闘病されている方々に、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、医療や介護、教育など様々な社会の現場を支えてくださっている皆様に、敬意と感謝の意を表するものです。

 それでは、一般質問の機会をいただきましたので、順次質問をさせていただきます。

 まず、多文化共生社会づくりに関し、在日外国人施策に関する指針見直しについて伺います。総務省の多文化共生の推進に関する研究会が、平成18(2006)年3月にまとめた報告書によれば、地域における多文化共生を「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義しています。

 多文化共生を進めるには、「日本人住民も外国人住民も共に地域社会を支える主体であるという認識をもつことが大切である」と指摘しています。また、このときに総務省が提示した地域における多文化共生推進プランを受け、令和2(2020)年4月時点で全都道府県が多文化共生の推進に関し、何らかの指針や計画をつくっています。

 大阪府は、平成14(2002)年に大阪府在日外国人施策に関する指針を定めました。現在、この指針が国の示す地域における多文化共生推進プランに当たります。

 同指針の「はじめに」には、「『すべての人が、人間の尊厳と人権を尊重し、国籍、民族等の違いを認めあい、ともに暮らすことのできる共生社会の実現』に向け、在日外国人施策を推進する」とうたっており、この点は20年たった今も色あせていないと考えます。

 一方、この20年で大きく変わったことがあります。大阪府内の在留外国人の構成比です。人数や国籍数も増えていますが、韓国、朝鮮籍やブラジル籍の人が減った反面、中国籍やベトナム籍の人が大きく増えています。国籍の多様化、留学生や技能実習生といった人たちの増加などで、在留外国人の抱える課題やニーズは大きく変化していると考えます。(スライド1)

 知事は、昨(2021)年の9月定例府議会で、この指針を見直すと答弁されました。大阪府が培ってきた在日外国人施策の理念を引き継ぎつつ、多様化する課題やニーズに対応できる一層の共生社会の実現を目指すべきと考えます。

 新たな指針の策定に向け、どのような理念の下、どういった手順で進めていく予定か、府民文化部長の所見を伺います。

スライド1

答弁
府民文化部長

 在日外国人施策に関する指針は、全ての人が人権を尊重し、国籍、民族等の違いを認め合い、共に暮らすことのできる共生社会の実現を基本目標として策定し、本府では、これまで本指針に基づき、在日外国人施策を推進してきたところでございます。

 議員御指摘のとおり、外国人数の増加や多国籍化など、指針の策定時とは府内の在日外国人の状況は大きく変化しており、またヘイトスピーチの解消や、多言語によるコミュニケーション支援など、今日的課題への対応も求められておるところでございます。

 このため、指針の見直しに当たりましては、これまでの基本的な理念を踏まえつつ、現在の在日外国人を取り巻く実情を十分に勘案しながら、今後の府としての在日外国人施策の方向性を示す必要があると認識しております。

 検討に当たりましては、在日外国人の方や学識経験者などで構成する有識者会議の御意見もいただきながら、関係部局との連携も図りつつ、しっかりと取り組んでまいります。

2022年5月31日

大阪府国際交流財団(OFIX)

質問

 次に、在日外国人の生活支援や多文化共生に重要な役割を担っている、大阪府国際交流財団-OFIXについて伺います。

 私は過去2回、平成29(2017)年、令和元(2019)年の9月定例会で、同財団の機能強化を求める観点から一般質問しました。平成29(2017)年9月定例会で、当時の府民文化部長より、平成30(2018)年度から5年間の中期経営計画を策定し、府内市町村や国際化協会などとの情報交換を積極的に進め、将来は多文化共生のセンター機能を担えるよう検討しているとの趣旨の答弁がありました。

 また、令和元(2019)年9月定例会は、外国人向けの多言語相談の強化や、災害時の対応の充実について答弁がありました。このときは、時代の変化を先取りする財団になれるよう、人員や財政面での体制を強化すべきと要望しました。

 その後、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やウクライナからの避難民の受入れなど、平成30年に中期経営計画をまとめた際には想定しなかった事態が相次ぎました。担うべき役割も広がっていると感じます。

 財団は、今(2022)年度、次期中期経営計画をまとめる年度に当たると聞いております。次の計画は、これまでの成果や課題をしっかり検証し、外国人の方々が安心、快適に暮らせる環境の整備を通じて、大阪の多文化共生社会の実現に寄与するものであってほしいと考えます。

 現行の中期経営計画の下、財団がどのような対応をしてきたのか、また今後どのように取り組もうとしているのか、府民文化部長に伺います。

答弁
府民文化部長

 大阪で暮らす外国人の方が安心して快適に過ごせるよう環境を整備いたしますことは、多文化共生社会を実現する上で重要であると認識しております。

 このような認識の下、大阪府国際交流財団と連携した取り組みを進めてきたところであり、財団におきましては、事業基盤の確立と多文化共生機能の強化を目標とする中期経営計画に沿って、災害時の多言語支援の強化や、外国人相談機能の充実などを図ってきたところでございます。

 具体的には、災害発生時に多言語で各種情報を入手できる携帯アプリの開発や、外国人相談体制の充実を図りますため、対応言語の拡充や夜間及び日曜日の窓口開設を行ってまいりました。

 さらには、新型コロナウイルス感染症の影響により増加いたしました生活相談の実施や、ウクライナ避難民の受入れに係るワンストップ相談窓口の設置など、不測の事態への対応にも取り組んできたところでございます。

 今後、財団における次期中期経営計画の検討に当たりましては、多文化共生社会の実現に向け、大阪に暮らす外国人や大阪を訪れる外国人の多様化するニーズに的確に対応できるものとなるよう、これまでの取組を十分に検証し、大阪府としても関係部局との連携強化も図りながら、財団と共にしっかりと取り組んでまいります。

2022年5月31日

日本語指導が必要な児童生徒への支援

質問

 大阪府内での日本語指導が必要な児童生徒への支援について伺います。

 スクリーンを御覧ください。日本語指導が必要な児童生徒数の推移です。年を追うごとに人数が増えているのが見てとれます。このグラフだけでは分かりませんが、一つの学校に数名しか在籍していない、いわゆる少数散在化や少数言語を含めた多言語化も進んでいます。(スライド2)

 我が会派はかねて、当該児童生徒が安心して学校生活を過ごせるよう、多文化共生に向けた取組が必要だと訴えてきました。

 私は、平成30(2018)年9月定例会の教育常任委員会で、ロールモデルとなる先輩と接する機会をつくってほしいと提案。府から、母国の言葉や文化に誇りを持ち、自尊感情を高めることができると、開催の意義を認める趣旨の答弁がありました。

 以後、令和元(2019)年から昨(2021)年まで計3回、OSAKA多文化共生フォーラムが開かれ、私も全て出席しました。写真は、昨(2021)年7月、府教育センターで撮影したものです。ふだんであれば、出会う機会の少ない当事者たちが一堂に会し、同じ思いをしているのは自分一人ではないと感じたことでしょう。(スライド3)

 外国ルーツの高校生が同じ立場の中学生に、自分たちの体験を共通の母語で話し、中学生も積極的に質問する姿に、開催した成果があったと強く感じました。今後も充実していくべきと考えます。

 また、日本語指導でも少数散在の児童生徒への対応として、オンラインを活用した仕組みをつくられるとのことでした。

 改めて日本語指導が必要な児童生徒への支援を今後どのように充実されるのか、教育長に伺います。

スライド2

スライド3

答弁
教育委員会教育長

 全ての日本語指導が必要な児童生徒が、大阪府域のどの学校に在籍しても、自らのアイデンティティーを大切にできるとともに、授業を理解できる日本語能力を習得していくことが必要と考えております。

 府教育庁では、日本語指導が必要な児童生徒や家庭に対する相談員の配置に加えまして、少数散在している学校の児童生徒への日本語指導を充実させるため、今(2022)年度より新たに1人1台端末を活用して、複数校の当該児童生徒をオンラインでつなぎ、府に配置した専門指導員4名が、双方向で日本語指導を行う取組を始めているところでございます。

 この授業の中では、指導員が日本語を教えるだけでなく、当該児童生徒同士が、お互いの国や好きな物事などを話すことで、安心して学ぶ様子が見られているところでございます。

 また、放課後でも児童生徒同士がオンラインで交流することができるように、ゲストティーチャーも参加したオンライン国際クラブを新たに開設をいたしました。これらの取り組みによりまして、子どもたちが安心して日本語学習を続けられるように取り組んでまいります。

2022年5月31日

在留外国人の就労支援

質問

 在留外国人の就労支援について伺います。

 府内には、様々な国籍や在留資格を持つ外国人の方がおられます。中でも、永住者や定住者、日本人の配偶者など身分に基づく在留資格の方々は、長く日本にとどまって地域に定着し、基本、どのような職種に就くことも可能です。

 現在、これらの方々の就労支援は、国のハローワークが中心ですが、府の総合就業支援拠点であるOSAKAしごとフィールドも積極的に支援に乗り出すべきだと考えます。

 大阪府内で在留外国人向けの支援に取り組む方に伺った、数年前の出来事です。あるブラジル国籍の若者が、高校卒業後に就職した会社をセクシャルハラスメントのため退職し、アルバイトを転々としていたときに、OSAKAしごとフィールドを訪れたそうです。自らのルーツを生かした仕事を見つけようと出向いたものの、外国籍の自分に合った職場や職業体験などに巡り会えず、それ以後、しごとフィールドに行っていないとのことでした。

 誰であれ、しごとフィールドの面談を一回受けただけで納得のいく答えを見つけるほうが難しいとは考えますが、そこに言語や文化の違いが加われば、より難しくなるのではないでしょうか。

 ポストコロナ、さらには、大阪・関西万博の開催を見据え、就労できる在留資格を持った外国人の方々に、大阪でさらに活躍していただくためにも、OSAKAしごとフィールドには、大阪府国際交流財団や市町村等関係機関と連携しながら、より丁寧できめ細かな支援を進めてほしいと考えます。身分に基づく在留資格の方々に対する就労支援の現状と、今後の取り組みを商工労働部長に伺います。

答弁
商工労働部長

 OSAKAしごとフィールドでは、セミナー受講や職場体験のほか、御本人の置かれた状況に応じて支援等を実施しています。

 さらに、在留外国人への支援に当たっては、その方の特性を踏まえて、やさしい日本語によるカウンセリングなど、きめ細かな対応を心がけているところです。また、カウンセラーの外国人対応能力向上のための研修を今(2022)年度から新たに行うなど、一層の支援サービスの向上に取り組みます。

 一方、府の労働相談センターでは、既に働いている在留外国人を支援するため、大阪府国際交流財団(OFIX)と連携し、英語、中国語など13言語に対応した労働相談を実施するとともに、ベトナム語など5言語によるワークルール冊子を作成し、府のホームページにも掲載しています。

 今後は、より多くの在留外国人の方にOSAKAしごとフィールドや労働相談センターの機能や情報が周知されるよう、OFIXや市町村などと連携して取り組み、多くの在留外国人が大阪で就労し、活躍できるようサポートしてまいります。

意見

 移住者やマイノリティーを含む都市住民が生み出す文化的多様性を、脅威ではなくむしろ好機と捉え、都市の活力や革新、創造、成長の源泉とする理念と政策を推進するという、ヨーロッパ発のインターカルチュラル・シティ・プログラムというものがあります。2008年に始まり、今朝ほどホームページを確認しますと、欧州内外の156都市、日本からも浜松市が参加しています。

 大阪府でも、外国人の受け入れ、共生社会づくりに向け、国や市町村、経済団体等が参画し、オール大阪で取り組む地域協議会の設置準備がなされていると伺っております。

 多文化共生を踏まえた外国人向け指針の見直しと併せ、外国人向け施策を俯瞰的に立案し、実施できる府の組織体制づくりを要望しておきます。

2022年5月31日

小中高等学校での一貫した英語教育

質問

 次に、小中高等学校での一貫した英語教育について伺います。

 大阪府はこれまで、府立高校で平成23(2011)年度から使える英語プロジェクト、26(2014)年度から骨太の英語プロジェクト、令和元(2019)年度から広がる英語プロジェクトとの事業名で、高校生の英語力向上を図っています。私も、何度か高校にお邪魔をして授業を見学したり、議会質問で取り上げたりしてきました。

 また、小学校は独自の英語教材DREAMを活用してきたほか、英語を専門的に指導する教員の配置、中学校でも英語教員の指導力を高めるリーダー研修を平成28(2016)年から3年間で240名が受けるなど、府は力を入れてきました。(スライド4)

 先日、文部科学省が公立学校を対象に、令和3(2021)年12月時点の英語力を調べた英語教育実施状況調査を公表しました。

 中学校で、発話をおおむね英語で行っている教室と、発話の半分以上を英語で行っている教師の割合は、大阪府が98.7と、47都道府県20政令市を通して全国トップです。高校は64.4%と、中学校と比較すれば低くなっていますが、都道府県に限れば5位でした。肝腎の生徒の英語力は、英検3級以上取得したか、教員が相当の実力があると判断した中学生の割合を見ると、大阪府は47.4%。国が目標とする50%に届かないものの、全国平均を0.4ポイント上回っています。

 高校は、政令市を含め英検準2級相当以上の英語力を有する生徒が48.2%と、こちらも国の目標の50%にあと一息。全国平均を2.1ポイント上回っています。

 一方で、英語担当教師の英語力に関しては、中学校、高校とも全国平均を下回っており、引き続き改善に向けた努力を求めます。

 英語をコミュニケーションの道具として使いこなせるようになれば、大阪の子どもたちにとって将来の選択肢が大きく広がります。また、文化の多様性を理解する外国語教育としても、英語教育を一層充実させてほしいと考えます。

 外国語活動として学び始める小学校3年生から高校3年生まで、10年間あります。子どもたちの英語力向上を確かなものとするため、今後、どのような取組を進めていくのか、教育長に伺います。

スライド4

答弁
教育委員会教育長

 英語教育におきましては、子どもたちが読む、聞く、話す、書く、の4技能を確実に身につけられるよう、教員の授業力向上が重要であり、引き続きしっかり取り組んでまいります。

 これに加え英語教育では、ネイティブの音声を聞く、英語を発声するなどの活動において、ICTを活用することが効果的でありますことから、1人1台端末を活用して、子どもの力に沿った個別、最適な学びの実現に取り組んでまいります。

 また、今(2022)年度は、まず子どもたちが身につけるべき英語力や、自らの学習状況を把握するために、これまでは講師ごとに作成しておりました指標を整理し、外国語の学習到達基準として国際的に使用されておりますCEFR(セファール)を基に、新たに大阪府としての10段階の指標を作成をいたします。これにより、児童生徒がそれぞれの英語力に応じて、英語の学習に取り組むことができるように努めてまいります。

 また、併せて、国のオンライン学習システム上に、児童生徒が授業や家庭において、自らの学習状況に照らして発展的な問題に挑戦したり、基礎的な問題を学び直すことができますように、府独自の英語学習ツールを作成していきたいと考えております。このようなツールを活用することによりまして、児童生徒の英語力のさらなる向上に努めてまいります。

2022年5月31日

ユニバーサルデザイン(UD)タクシーの普及促進

質問

 ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーの普及促進について伺います。

 全国ハイヤー・タクシー連合会がまとめたUDタクシーの導入状況によれば、令和2年3月末時点で、東京都は36.6%である一方、大阪は2.4%にとどまっています。

 我が会派は、平成31(2019)年2月定例会の代表質問以降、UDタクシーの普及促進を議会質問や会派要望で度々取り上げてきました。

 大阪府が今(2022)年度、1台当たり最大30万円を補助する大阪府ユニバーサルデザインタクシー普及促進事業補助金を創設したことは、非常に喜ばしいことです。

 UDタクシーは、高齢者や車椅子利用者、小さなお子さん連れや大きな荷物を持った旅行者など、誰もが快適に利用できる移動手段で、一層の普及促進を図るべきです。補助制度創設後、間もない状況ではありますが、現在の取り組み状況を都市整備部長に伺います。

答弁
都市整備部長

 ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの普及促進につきましては、2025年の大阪・関西万博の開催を見据え、令和6(2024)年度末までに導入率を約25%にすることを目標に、府独自の補助制度の創設など、具体的な普及促進策をアクションプランとして今(2022)年3月に取りまとめたところでございます。

 お示しの今(2022)年度創設した補助制度につきましては、要綱を定めた上で4月13日から募集を開始したところであり、さらにより多くの事業者に活用いただけるよう、同じ補助制度を持つ国や大阪市と情報共有を図るとともに、関係団体への周知や意見交換を行っているところでございます。

 引き続き、UDタクシーの普及促進に向け、取組を進めるとともに、国に対しても補助制度拡充の要望を行うなど、関係者一丸となって着実に取り組んでまいります。

意見

 国には、UDタクシー導入に1台当たり最大60万円の補助制度があります。大阪市内のタクシー事業者の場合、国の制度を使うか、もしくは大阪府、市双方の制度を併用することで、最大60万円の補助が受けられます。一方、大阪市以外のタクシー事業者は、国の制度の対象から外れた場合、府制度の30万円しか補助がありません。

 現在、国からの地方創生臨時交付金を財源にした補正予算の編成が進んでいると伺っております。その財源の一部を、大阪市以外のタクシー事業者への補助、上乗せにも活用されることを要望しておきます。

2022年5月31日

新大阪駅周辺地域のまちづくり

質問

 続きまして、新大阪駅周辺地域のまちづくりについて伺います。

 新大阪駅周辺地域は、平成31(2019)年1月、国、府、市、経済団体、民間事業者、学識経験者等による検討協議会が発足し、新大阪、十三、淡路を含む地域を対象に、20年から30年先を見据えたまちづくりを議論してきました。

 私は、地元である新大阪駅が、単なる乗換駅、通過地点から、北陸新幹線やリニア中央新幹線などが乗り入れることで、新幹線ネットワークの西の拠点となり、全国から多くの人が集まり、一段とにぎわいのある駅、まちになることを期待しております。

 スクリーンを御覧ください。

 以前にも紹介したことがありますが、昭和36(1961)年当時の新大阪駅周辺を撮影した航空写真です。新大阪駅も新御堂筋も、姿を見せておりません。北側に府立東淀川高校があります。(スライド5)

 昭和30年代前半は、雨が降ったら長靴を履いて登校しなければならない状況で、将来、オフィス街に発展するとは想像もつかなかったと、当時を知る同校OBの方にお聞きをしました。

 現在は、御覧のとおりです。60年以上の時が流れ、すっかりさま変わりしているのは、皆さんもよく御存じのことでしょう。(スライド6)

 私は、平成27(2015)年9月定例会の一般質問以降、機会をいただくたび、同地域のまちづくりを取り上げ、民間による都市開発の機運を高めていくことが必要だと訴えてきました。私の知るところでも、実際に民間による都市開発が動き始めています。好機を逃してはなりません。

 さきの(2022年)2月定例会で、我が会派の三宅議員より、新大阪駅周辺地域全体のまちづくりの進め方が取り上げられました。この4月から5月には、まちづくり方針2022のパブリックコメントもなされております。

 まちづくり方針は、地域全体の目指すべき将来像を示す全体構想と、新大阪、十三、淡路の各駅周辺の具体的な取組を示すエリア計画の二層構造となっております。今回の2022年版は、新大阪駅のエリア計画を作成し、新たなまちづくりを進めるとのことです。

 新大阪、十三、淡路の三駅のうち、新大阪駅エリアから取組を進めていく狙いを、改めて大阪都市計画局長に伺います。あわせて、3つのエリアの今後のまちづくりの進め方についても伺います。

スライド5

スライド6

答弁
大阪都市計画局長

 新大阪駅周辺地域につきましては、新大阪、十三、淡路を一体的なエリアとして捉え、駅とまちが一体となった世界有数の広域交通ターミナルのまちづくりの実現を目指しておりまして、この将来像を、公民が共有してまちづくりを進めるため、来月、6月中にまちづくり方針2022を取りまとめてまいります。

 これら3つのエリアのうち、これまで民間都市開発の機運醸成を図ってきたことにより、複数の具体的なプロジェクトが動きつつある新大阪駅エリアにつきましては、まちづくり方針2022において、リーディング拠点として位置づけ、広域交通の利便性が高いポテンシャルを生かし、質の高い機能集積を図るためエリア計画を作成し、先行して新しいまちづくりを進めることとしたところでございます。

 今後、十三駅、淡路駅エリアにつきましても、新大阪連絡線構想などのプロジェクトや、民間都市開発の状況を踏まえて、エリア計画の作成に向けた検討を進めることにより、3つのエリアが一体となったまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。

2022年5月31日

淀川の十三船着場周辺の魅力づくり

質問

 最後に、淀川の十三船着場周辺の魅力づくりについてお伺いします。

 スクリーンを御覧ください。

 川に面した場所に、船着場の予定地が整備されております。私の知る淀川は、都市部にあって豊かな自然と身近にふれあえる貴重な空間です。これまでも、国や府などが淀川流域のまちづくりを進めています。(スライド7)

 大川の分岐点からの下流は、1910年に開削された人工の川であるということをどれだけの人がふだん意識しているでしょうか。

 恵まれた地の利を生かし、淀川河川公園西中島地区では、キャンプや水辺のアクティビティーが楽しめる淀川アーバンフロントが開催されるなど、河川空間が広く活用され、親しみやすい場所となっています。(スライド8)

 昨日、淀川大堰閘門の工事現場を視察してきました。大型の建設機械が何台も並び、くい打ちなどが進められていました。現場での説明の際は、拡張現実ARを活用し、閘門が完成した風景を一足早くタブレット端末で拝見しました。

 平成24年9月定例会の一般質問で、淀川の活用を取り上げた際、閘門は災害時の対応だけでなく、平常時の舟運にも活用できることから、国の動きを促進し、ベイエリアから新大阪、枚方方面に至る舟運観光につなげるなど、広域的な観点から検討するとの趣旨の答弁をいただいております。10年が過ぎ、2025年大阪・関西万博に間に合わせるべく工事が進んでいる様子に、感慨深いものがありました。

 本(2022)年3月には、大阪・関西万博での舟運復活に向けた新たな協議会が誕生しました。大阪府もこれに参画し、今後、検討が進められると聞いております。

 万博に合わせた舟運の復活は、淀川流域の魅力を世界に発信する絶好の機会です。私も地域で、万博会場まで船で行けるようになるかもしれませんよと話しすると、皆さんがぜひ乗ってみたいと楽しみにされています。その実現には、流域のまちづくりを進めることが重要と考えます。

 昨(2021)年9月の本会議では、新たな整備となる十三船着場等を契機とした、淀川の地域資源や魅力を生かしたまちづくりについて質問したところ、船着場周辺のにぎわいづくり等について、関係機関等との協議を進める旨の答弁をいただきました。

 十三船着場周辺のその後の取り組みと今後について、大阪都市計画局長に伺います。

スライド7

スライド8

答弁
大阪都市計画局長。

 淀川の舟運を生かした魅力あるまちづくりを進めるためには、国や地元市、民間団体等の関係者と連携し、沿川のにぎわいづくりを進めることが重要であると認識しております。

 十三船着場周辺では、民間と連携したにぎわいづくりを進めるため、本府も参加する淀川河川敷十三エリア魅力向上協議会において、昨年度に実施された市場調査を踏まえ、河川管理者による親水空間の整備や、河川占用の規制緩和による水辺のにぎわい創出を行います、かわまちづくり計画の作成に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、2025年大阪・関西万博に向け、協議会等の活動を通じ関係者と連携し、淀川沿川における舟運を生かした魅力あるまちづくりに取り組んでまいります。

意見

 淀川は、舟運に限らず空飛ぶクルマの飛行ルートとしても貴重な自然空間と考えます。ぜひとも活用して、大阪の魅力を最大限に引き出していただければと願っております。

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。