大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

第4期

第3期

第2期

第1期

平成21年2月定例会 住宅水道常任委員会

2009年3月12日

りんくうタウン、阪南スカイタウン事業について



質問

 先日公表されました地域整備事業会計、まちづくり促進事業会計の収支見通しの改定によれば、平成23年度末廃止予定の地域整備事業会計の最終収支差が、249億円の赤字から123億円の黒字に、まちづくり促進事業会計の収支差は、5億円の黒字から2億円の黒字になると、それぞれ平成15年1月に公表された現行の見通しを修正されました。

 地域整備事業会計の収支改善の要因としましては、支払い利息が見込みより少なく済んだことや、府企業局の遺産ともいうべきタウン管理財団など出資法人の財団の活用、そのほか事業費の圧縮に努められた結果と聞いております。ともかく、収支が改善できそうなことは、一定の評価をすべきと考えます。

 りんくうタウンは、関西国際空港の機能を支援、補完する事業として計画されました。平成元年3月、整備方針を検討してきた有識者会議、「南大阪湾岸整備事業土地利用計画委員会」がまとめた最終報告の内容を報じた新聞記事によりますと、駅ビルは日本一の超高層ツインタワー、下水処理場の上はドーム球場か大型陸上競技場、中心地区は歩行空間を二階にする完全な歩車道分離、このように描かれた未来都市模様に、府企業局もいずれも時代を先取りしたものであり、難しい点も多いが、時間はかかっても提言どおりの未来都市となるよう最善を尽くすと答えていました。

 バブル経済の勢いに乗って、平成2年8月には、21区画に54グループの分譲申し込みがあり、同年12月、15区画に15グループの進出企業が決まりました。ここまでは、バラ色の未来が約束されているように思えました。

 ところが、土地関連融資への行政指導、いわゆる総量規制などでバブル経済は崩壊、展望のない中で対応策に追われます。「大阪府企業局事業46年の歩み」の中には、当時の関係者の苦悩ぶりが挟み込まれております。結局、平成12年の包括外部監査による指摘まで、不採算となることを前提とした対応策はできず、土地の契約率は低迷、平成13年に事業計画を抜本的に見直し、平成15年から定期借地方式を取り入れたことで、ようやく契約率が上昇しました。

 さまざまな紆余曲折を経て、平成21年2月末でりんくうタウンの契約率は、分譲、定期借地合わせて85.7%、事業費の執行状況で見た進捗率は96%と、まちづくりも大詰めの段階に差しかかってきたと言えると思います。

 そこで、100年に一度と言われる金融危機に見舞われる中、企業の誘致活動も苦戦をされていると思いますが、直近のりんくうタウンへの企業の誘致状況についてお伺いをします。

答弁
住宅まちづくり部誘致分譲課長

 昨年の秋からの経済情勢の悪化は、企業誘致活動にとって大変厳しいものであると受けとめております。過去3年の契約状況は、平成17年度が15件、6.7ヘクタール、りんくうプレジャータウンシークルと契約いたしました18年度が14件、13.6ヘクタール、府立大学校と契約をいたしました19年度が5件、3.3ヘクタールで、今年度は、契約に至ったものが、コインパーキングの事業者0.6ヘクタール、近々契約を予定しておりますものとして住宅型有料老人ホームの事業者0.4ヘクタール、りんくうタウンへの進出を決めているものとしましてスポーツ施設の事業者約0.6ヘクタールでございます。

 このうち、スポーツ施設の事業者は、金融機関からの融資の調整が長引き、契約には至っておりませんが、りんくうタウンへの進出意欲は高く、早期に契約できるよう引き続き働きかけてまいります。

 今年度、企業の投資情報に詳しい金融機関や建設事業者など七十社に対し、積極的に情報交換や誘致活動を行うとともに、府の企業誘致推進センターや東京事務所とも連携協力しながら、新規企業の発掘に取り組んでまいりましたが、今後とも新たな企業の発掘、誘致に全力を傾注してまいります。



質問

 次に、りんくうタウン駅北側の用地についてお伺いをします。

 府立大学獣医学科が入るりんくうキャンパスの建物は既に完成、このようにでき上がっております。平成21年4月から学生がここにやってきます。この府立大学の北側には、府の家畜保健衛生所も移転してきます。りんくうタウンは、計画面積のうち公共用地を除く129ヘクタールに対し、110.6ヘクタールが契約済みで、残り18.4ヘクタールのうち、駅北側の商業用地3・9ヘクタールが未処分で残っております。

 昨(平成20)年2月議会でも、この駅北地区の企業立地について質疑をしました。そのときは、地元の泉佐野市とも協議の上、最低開発面積を6千平方メートルから2,500平方メートルに引き下げるとの答弁をいただき、昨年4月から施工されております。駅前の一等地でもあり、どのような企業を誘致するのかは、今後のまちづくりに大きな影響を与えると思います。府立大の立地効果なども生かしたまちづくりに向け、どのように取り組まれるのか、お伺いをします。

答弁
誘致分譲課長

 りんくうタウン商業業務ゾーン、とりわけりんくうタウン駅北地区は、りんくうタウンの今後のまちづくりに大きな影響を与え、まちの顔とも言える地域であると認識をしております。このため、敷地を一体的に利用して効果的に事業展開を行い得る企業の発掘、アプローチを行いますとともに、大阪府立大学獣医系学舎の立地を機に、研究開発型企業を初めとするまちの顔にふさわしい企業が、より進出しやすくするため、昨年四月から、最低開発面積を6千平方メートルから2,500平方メートルに引き下げて誘致活動を行ってきているところでございます。

 残された最後の一等地とも言える駅北地区につきまして、どんな企業でも立地すればよいということではなく、りんくうタウンのまちづくりやイメージの向上に資する魅力ある企業の立地を図るべく、今後とも多方面に、積極的に、また粘り強く誘致活動を進めてまいります。


質問

 この平成8年秋にまち開きをしましてから既に12年半、りんくうタウンも大きく変化をしました。この1年半ほどの間でも、りんくうシークル、これは一昨年秋、まだ開業前です。これが、もうこのように営業を始めております。そしてまた、航空保安大学校、これはまだ建設途中ですが、これもこのように完成をしております。このようにまちづくりが進んできております。

 タウン推進室がまとめた施設整備状況の地図でも、空白の部分がかなり少なくなった結果、ある意味、残った土地が虫食い状態になっているようにも見えます。こうなると、逆に誘致活動を進める上で支障にならないのかとも気になります。地域ごとに利用目的が色分けなされているわけでございますが、大きな意味でのまちづくりを進める上で、土地利用を変更するなどの工夫をされてはいかがでしょうか。

答弁
誘致分譲課長

 りんくうタウンは、空港機能の支援、補完と地域の環境改善を目的としており、その土地利用計画も用途別に、商業業務ゾーンや空港関連産業ゾーン、工場団地ゾーンなど五つのゾーンを設定しているところであります。りんくうタウンの企業誘致も仕上げの段階に入ってきましたが、産業用地も残り少なくなり、立地を希望する企業の中には、その業種が土地利用に合致しないということで断念せざるを得ないケースも時折見受けられます。土地の利用方法については、工夫をする必要があると認識をしております。

 このため、さらなるりんくうタウンのにぎわいづくりの創出や、公園、緑地と調和したよりよいまちづくりが進められるよう、ニーズに合った土地利用の見直しを検討してまいります。



質問

 続きまして、阪南スカイタウンの状況についてお伺いをいたします。

 平成19年9月議会でも、土地の分譲状況などについて質疑をしました。粗造成地を完成宅地に仕上げた上でハウスメーカーに分譲する手法を取り入れて、住宅用地の分譲を促進するとの御答弁をいただきました。そしてまた、これは、現在もこのように大手ハウスメーカーが宅地を造成しております。ことしの春から分譲を始めるという予定でこのように進んでおります。

 阪南スカイタウンも、契約率が平成21年2月末で84.7%、うち住宅用地が81.7%、産業用地が65.5%となっております。こちらも、昨今の景気低迷の影響を受けて誘致活動が苦戦していると想像されますが、実際どのようになっているのでしょうか、現状をお願いいたします。

答弁
誘致分譲課長

 昨今の厳しい住宅市況の中ではございますが、阪南スカイタウンの住宅用地につきましては、平成20年度4月から2月末時点で65区画の分譲を終えております。これは、最近3カ年の年間平均分譲件数76区画と比べますと、約八割といったところでございますが、頑張って販売に努めているところでございます。

 直近の動きといたしましては、委員お示しがありましたように、昨年秋に民間事業者に卸売をした3.2ヘクタールの街区におきまして、平成21年4月からの分譲開始に向け、造成工事が急ピッチで進められております。既に、2月から数度にわたって現地見学会が開催されておりますが、事業者のお話によりますと、阪南スカイタウンの魅力も相まって、多くの方が現地を訪れ、好評を得ていると聞いておりまして、私どもも大いに期待しているところでございます。

 また、委員御提示がありました住宅用地の分譲を促進するために、大手から中小のハウスメーカーまで多様な民間事業者の参画を得ていく条件整備といたしまして、粗造成地を完成宅地に仕上げる工事も間もなく着工する予定にしております。

 次に、産業用地等につきましては、景気が低迷する中、契約につながりにくい状況ではございますが、平成19年9月定例会の当委員会で御質問いただきました時点から8件、4.8ヘクタールの契約が成立いたしまして、現在、11事業者が操業開始もしくは建設途上でございます。



質問

 地域整備事業会計を廃止する平成23年度末まで残り3年、阪南スカイタウン事業も府が主体的に取り組める時間が限られてまいりました。このように、住む、働く、憩うのテーマのもと、住んでいる人が住んでよかったと思ってもらえるまちに育てていく必要があると平成19年9月議会でも要望いたしましたが、この残された期間の府の取り組みについてお伺いをいたします。

答弁
誘致分譲課長

 阪南スカイタウンは、住む、働く、憩うのコンセプトのもと、まちづくりを進めております。昨(平成20)年9月、阪南スカイタウン再発見をテーマに、まちづくりフェスタを開催いたしました。まちづくりフェスタでは、まちの魅力を体感してもらうためのスタンプラリー、美しいまちなみづくりや市民参加などについて、専門家と住まい手であります住民が語り合うまちづくりシンポジウム、そして地元の特産品の展示販売を行う物産展が行われました。

 シンポジウムでは、阪南スカイタウンの開発経緯について開発前から最近の状況まで、その変遷を航空写真で紹介しました。また、パネルディスカッションでは、阪南スカイタウンをゆとりと温かみの感じられる牧歌的なまちにするため、まちの計画段階から御指導いただきました建築家の思い、ハウスメーカーの専門家からは設計面での工夫、住民の方からはまちづくり・防犯活動、建築協定の運営状況、地域が主体となった子育て支援等の福祉活動などがそれぞれ紹介されました。さらに、現在のまちなみが形成される過程やその魅力、住民参加によるまちづくりの大切さなどについて住民を初め参加者一同が語り合い、阪南スカイタウンの魅力を再認識したところでございます。

 現在、阪南スカイタウンでは、公園の清掃や花の手入れ、美化活動などのボランティア活動が盛んであり、まちを挙げて祭りや各種イベントなどを初めとする自治会活動も積極的に取り組まれ、新しいまちでありながら、心からまちを愛して活動されている方々が多数いらっしゃいます。

 こうした住民の皆さんの我がまちに対する思いを大切にしながら、長きにわたって心豊かに住み続けられるまち、阪南スカイタウンの総仕上げに努めてまいります。



要望

 これまで質疑を進めてまいりましたが、りんくうタウン、阪南スカイタウンとも、まちづくりの最終段階を迎えております。昨(平成20)年6月に公表されました財政再建プログラム案の検証を見ますと、りんくうタウンは、848億円を一般会計から、1,745億円を概成事業の利益などから繰り入れることで、府の負担、ロスを発生させたとされました。

 今この時点で、これらの事業を負の遺産だと切って捨てるのは簡単ですが、だからこそ学ばなければならない点は多いと思います。バブル経済の崩壊で、いわゆる土地神話も崩れました。未利用地、低利用地を手っ取り早く開発をし、民間に売却をして収益を上げる手法は、かつてほどの効果を発揮しなくなった現実を直視する必要があります。

 一方で、りんくうタウン、阪南スカイタウンとも、多くの企業が進出をし、また人々が暮らしております。りんくうタウンは、このように海だった場所、これは南海羽倉崎駅の沖ぐらいがまさにまだ海でございました昭和59年3月、これが平成4年11月になりますと、りんくうタウンのこういう土地が生まれております。

 そしてまた、阪南スカイタウンは、昭和58年12月、この写真の下のほうの何もない山だったところが、平成4年11月、この写真の右下の隅、ちょっと緑色がなくなっているところが、まさに阪南スカイタウンになったところですが、関西空港の埋め立てのために山を切り崩して、このように土地が造成をされ、どちらも今それまでなかったところに生まれたまちです。一定のにぎわいをもたらし、ここに住み、働く人たちにとっては、なくてはならない存在になっていることも確かです。

 まちづくりは、この事業会計を閉じたから終わるということではありません。定期借地で立地している企業は、二十年契約で進出をしており、契約が切れたら、最悪の場合、はい、さようならということだってあり得るわけです。無事に売却できて、ようやく事業として終結するわけです。企業、人とも、進出してよかった、住んでよかったと思ってもらえるよう、またいつまでもここにいたいと思ってもらえるまちづくりをタウン推進室の皆様にしっかりと取り組んでいただきますことを要望しておきます。

2009年3月12日

府営住宅の指定管理者制度のモデル実施について

質問

 府営住宅を管理していくには、入居者の募集に始まり、入居者の相談や苦情への対応、修繕など建物の維持管理まで、幅広い対応が必要となります。現在、大阪府住宅供給公社が、管理代行制度により、13万7千戸の府営住宅を入居者が安心して住めるよう同一の水準で管理を行っております。このたびの指定管理者制度の導入については、民間活力を生かした取り組みとして、管理費用の削減や住民サービスの向上にぜひともつながるものになってほしいと期待をしております。

 一方で、府営住宅の管理者が、公社と民間企業に分かれることで、府民にとってマイナスになることは起きないのでしょうか。

 まず、住宅の募集についてでありますが、現在、住宅の募集は、公社が府内各所に募集要項や申込用紙を配布し、府内同一の基準で行っております。一部地域が指定管理者に移管されることで、新たに府営住宅を申し込む人たちに何らか不便をもたらすようなことにならないのか懸念をしております。募集の公平性や平等性の確保について、どのように確保されるのでしょうか、御答弁をお願いいたします。

答弁
住宅まちづくり部住宅企画課長

 募集におけます公平性や平等性の確保についてでございますが、府住宅供給公社では、現在、年2回の総合募集を行いまして、府税事務所や市町村を初め、府内約130カ所において募集要項等を配布し、募集を行っております。この募集により、平成20年度で約5万3千人が応募している状況にございまして、平等な応募の機会の確保は重要な課題であると認識しております。

 募集事務につきましても、指定管理者への委託事務と考えていますので、一部の地区の募集を指定管理者にゆだねることになり、残りは公社で管理することとなります。このため、公社と指定管理者とが管理する住宅において、応募における機会の公平性や平等性が確保されるよう、総合募集については、公社と指定管理者とが同一時期、同一回数で行うこととするとともに、抽せんや募集に係る基本的事項についても、両者の間で差が生じないようにしてまいります。こうしたことについて、指定管理者の応募の条件として求めてまいります。

質問

 次に、入居者への対応についてであります。

 府営住宅では、13万7千戸、約28万人、人口にすれば八尾市に匹敵する人々の管理が求められており、この管理に伴いさまざまなトラブルに対応しなければなりません。具体的には、上下階の生活騒音の問題、ペット問題等、生活習慣の違いによるさまざまなトラブルが持ち込まれ、いろいろな問題が生じております。

 公社では、府内五カ所の管理センターで、これらの問題に対し適宜助言を行っていると聞いております。また、管理センターに出向かずとも、日常の相談や各種申請書の取り次ぎを行う巡回管理員が団地を訪問することで、高齢者や障がい者といった外出が難しい人たちへの配慮がなされております。

 恐らく、大規模マンションの管理など一定のノウハウを持った民間企業でないと、指定管理者に応募してこないことが考えられますが、住民や自治会から持ち込まれるさまざまな相談、苦情、トラブルの処理について、どこまで指定管理者がきめ細かく迅速に対応してもらえるのか、どのようにお考えでしょうか。

答弁
住宅企画課長

 府営住宅には、比較的所得の低い方を初め、高齢者の方や障がい者の方など、住宅におけるセーフティーネットとして、さまざまな方にお住まいいただいております。住民や自治会から持ち込まれますさまざまな相談、苦情、トラブルは、相隣関係における個人の問題として解決を図っていただくことを基本としておりますが、府営住宅に安心してお住まいいただくため、指定管理者になりましても、持ち込まれるトラブル等の対応について、必要に応じて自治会等と連携を図りながら対応していけるよう、指定管理者の応募の際の課題として検討してまいりたいと考えております。

 とりわけ巡回管理員につきましては、制度導入から3年を経て、住民の方々から身近な相談窓口として親しまれてきているものと認識しています。指定管理になりましても、この巡回管理員と同様なサービスが提供できますよう求めていきたいと存じます。

質問

 次に、緊急時の対応や修繕についてお伺いをします。

 日常生活の中で、突然の停電や水漏れ、さらには火災や突発的な集中豪雨による土砂崩れといった災害など、大小さまざまな緊急時の対応が昼夜を問わず発生をし、問題が持ち込まれております。こうした問題に対しても、公社は休日夜間でも対応できるよう緊急連絡センターを設置し、管理センターや緊急修繕業者と連携を図る中で、万全の体制をとられていると聞いております。こうした緊急対応のほか、ふだんの一般的な修繕についても、入居者の声をもとに対応がなされております。

 指定管理者は、こうした緊急修繕や一般的な修繕について、どこまで対応する必要があるのでしょうか。

答弁
住宅企画課長

 現在、夜間休日に生じた緊急修繕事案に対する公社の緊急対応の体制につきましては、居住者の方が緊急連絡センターに通報し、このセンターを通じ、緊急修繕業者に連絡され、速やかに措置されるとともに、大きな事故や災害などについては府へも報告されるシステムとなっております。

 御指摘のように、住宅を管理する上で、災害などの緊急を要する重大な事故や給水管の漏水、電気設備の故障による突発的な断水や停電への対応が、居住者の生活を守る上で非常に重要な要素と考えており、24時間365日、いつでも対応できる体制の構築が求められます。さらに、内装や建具の修繕、共用部における電気器具の取りかえなど、一般的な修繕に対する居住者の要望に的確にこたえるとともに、エレベーターの保守点検など、建物の安全性の確保が重要と考えております。

 指定管理者制度の実施に当たりましては、安全安心して住んでいただくことを基本に、緊急連絡体制の整備を初め、緊急時対応や建物の維持管理が適宜適切になされるよう、重要な募集要件の一つとして検討してまいります。

 なお、計画的な修繕につきましては、府営住宅を一元的に統一的な周期で管理する必要がありますことから、指定管理から切り離し、公社で一括して行う予定でございます。

質問

 ここまで、一部地域の府営住宅の管理が公社から民間企業に移るということで、既存入居者や新たに府営住宅に入りたいという人たちに不便や混乱をもたらすことはないのかとの視点でお伺いをしてきました。しかし、指定管理ということで、せっかく民間企業が公募により参入してくるのですから、管理について、入居者にとってプラスとなるような管理の方法を求めるべきではないでしょうか。

 例えば、自治会、団地周辺住民やNPOと連携して、集会所や空き住戸を活用するなどの民間のアイデア、活力を大いに活用するなど、積極的な提案を民間企業に求められてはいかがでしょうか。

答弁
住宅企画課長

 入居者の高齢化の進展や支援が必要な方々の増加によりまして、自治会のコミュニティ活動の低下など、さまざまな課題が顕在化してきています。こうした課題に対し、ふれあい喫茶やシルバーハウジングの整備など、府として取り組んできたところでありますが、指定管理者制度を導入する中で、こうした府営住宅が抱える課題に対し、新たな提案を期待しているところでございます。

 他府県におきましては、指定管理の実施に伴い、独居老人の見守りや高齢者の住まいにおける電球の交換サービス、軽微な補修や簡単な修繕サービスなど、さまざまな工夫を凝らした提案が実施されていると聞いています。

 府としても、指定管理者の公募を行う中で、民間ならではの提案を求め、府営住宅におけるコミュニティの活性化に向けた取り組みを少しでも進めてまいりたいと考えております。

要望

 指定管理者制度の導入は、何より既存入居者やこれから府営住宅に入居される人たちにとって、メリットのあるものになってもらわなければなりません。一方で、公社も、これまで長年培ってきたノウハウがあるでしょうから、みずからの強みを再点検し、コスト削減や住民サービスに一段と力を入れるべきと考えます。今回は、モデル実施でありますが、府は指定管理者を導入したことのメリット、デメリットをきちんと分析をし、公社、民間企業、いずれが府営住宅を管理するにしても、住民サービスが一段と向上するよう指導監督を続けられることを要望しておきます。

2009年3月12日

水道部の危機管理対策、災害対策について


質問

 私は、これまで水道部の災害対策や危機管理対策という観点から質問を続けてまいりました。平成19年9月議会で、大阪府と大阪市の水道の応援給水訓練について提案をし、昨(平成20)年2月には、実際このように村野浄水場で原水連絡管を使い、事故発生から応援を要請して、実際にバルブを開いて村野浄水場は原水を受け取るまでの一連の訓練が実施をされました。これは、まさに連絡給水管のバルブを開いているところの写真です。

 また、昨年の9月議会では、危機管理対策に関する計画づくりなどソフト面に関する質疑で、水道部より、危機事象に対するさまざまな対策を講じるとともに、特に地震に対しては、新しく業務継続計画−−BCP(ビジネスコンティニュイティープラン)を年度末までに策定し、今後とも地震に強い水道を目指し、ライフライン事業者としての社会的責務を果たしていくとの御答弁をいただきました。

 そこで、今回は、そのBCPの策定状況や今後の危機管理対策、災害対策などの取り組みについてお尋ねをします。

 まず、BCPは、どのような形でまとまりつつあるのでしょうか。

答弁
水道部調整課長

 まず、業務継続計画−−BCPの策定に係る基本的な考え方でございますけれども、あんしん水道、信頼される水道を目標といたしまして、危機が発生し、あるいは発生するおそれがあるような場合に、府民の生命、財産、さらに経済活動を保護するため、送水業務を継続しつつ、一定期間で速やかに応急復旧などの災害対応を行うことを最大の目的としたものでございます。

 今年度策定しております地震編のBCPは、大きく事前対策と事後対策の二つにまとめております。事前対策は、震災によりまして通常業務が中断しないよう、また中断しましても復旧活動が迅速かつ円滑にできますよう、執務環境の整備や資機材の確保方法などを定めております。事後対策は、初期活動や復旧活動などに加えまして、通常業務の中でも優先すべき業務を抽出いたしまして、その実行のために具体的な行動内容とその時期を定めております。

 今後は、年度末までに策定いたしまして、21年度から試行的に運用を開始する予定としております。その後は、運用状況を検証しながら、改善点については逐次改定していく、いわゆるPDCAのサイクルで継続的な改善を図ってまいりたいと考えております。

質問

 ただいまの御説明で、水道部のBCPは、大きく事前の対策と事後の対策の観点から整理をし、まとめられたとのことですが、事前対策は、本来水道施設の被害をできる限り少なくするハード面での対策がしっかりなされた上でソフト面からの対策が必要だと考えますが、その内容はどのようになっているのでしょうか。

答弁
調整課長

 ハード面の事前対策といたしましては、浄水施設の系統の分割化による被害の低減化ですとか送水管路等の耐震化など、施設そのものを地震に強いものにしておくということが重要となってまいります。しかし、この対策につきましては、多額の費用、それと時間が必要となりますため、整備事業計画に位置づけまして計画的、段階的に取り組むこととしております。

 今回の事前対策といたしましては、職員の参集体制、組織体制、また通信の確保、事務機器等の転倒防止などの庁舎の執務環境の確保など、地震発生後における初期活動の早期着手ですとか、復旧業務の円滑な遂行のための一般的な対策はもちろんのこと、浄水処理に必要となります薬品類ですとか、復旧などのための工事資材の確保、他の水道事業体との応援体制の確保など、水道事業者としての必要な対策を取りまとめているところでございます。

質問

 ただいま、この事前対策の概要についてお答えをいただきました。しっかりと練り上げられたものだと思います。ですが、その事前対策が十分講じられていたとしても、現実に地震が起こった場合、職員一人一人が情報の少ない中でどのように対応するのか、またできるのかが大切なのは言うまでもありません。地震発生後の混乱している中で、特に初期の対応が非常に重要になると思いますが、この事後の対応はどのような内容でしょうか。

答弁
調整課長

 事後の対策でございますけれども、特に地震発生直後の混乱した状況の中で職員が適切な行動を起こせますように、いつ、だれが、何をするという内容をできる限り具体的かつ時系列で取りまとめております。

 例えば、地震発生直後に行うべきこととして、職員は、安否や参集場所への到着予定時刻を報告することですとか、常駐している浄水や送水部門の運転管理職員の作業等の内容を取りまとめております。また、地震発生一時間後ぐらいに行うべきことといたしまして、早期に参集してきた職員による庁舎の使用可否−−使用できるかどうかの判断ですとか、受水市町村などを含めた部門外からの問い合わせ対応などを定めております。その後、職員が順次参集してくると想定されます3時間から6時間後では、二次災害防止のための応急措置や水道施設の被害調査などを定めております。

 また、水道部としては、受水市町村も含めた府域全体の水道の対応もあわせて行うこととしておりまして、受水市町村と連携しながら、応急給水や応急復旧活動などの実施、応援などについても取りまとめていくこととしております。

質問

 震災等により断水が発生した場合に、水道事業者として最優先に対応すべきは、実際に水を必要とする府民の皆様への応急給水活動になると考えられます。

 そこで、ただいま御説明をいただきました応急給水活動に関連をしまして、あんしん給水栓についてお伺いをします。

 平成21年度当初予算案に、あんしん給水栓の緊急改良に向けた事業費として1,800万円が計上されておりますが、このあんしん給水栓というのはどのようなものなのかの説明を含め、またどのような事業を実施されるのか、お伺いをいたします。

答弁
調整課長

 あんしん給水栓でございますけれども、災害時に府民や医療機関、避難場所等の重要施設への応急給水を支援するための施設でございます。あんしん給水栓には、浄水池やポンプ場に設置し、池の中に貯留している水を供給するものと、府営水道の送水管路上に設置しているものとの大きく二種類に分類されます。

 平成21年度当初予算において緊急改良費として計上しておりますものは、送水管路上のあんしん給水栓でございまして、これらは管口径が大きく、比較的地震被害にも強い府営水道の送水管に設置されております空気弁から簡単に水を取り出せるように、阪神淡路大震災以降、改良を加えてきたものでございます。

 このタイプのあんしん給水栓は、現在、府域に約500カ所配置しておりますが、既存の空気弁を利用しておりますことから、応急給水箇所が車道上となってしまうものもございます。受水市町村からのあんしん給水栓を安全な位置に移してほしいとの要望を受けまして、今回のあんしん給水栓の緊急改良に向けた事業では、あんしん給水栓の取り出し口を車道部から安全な場所に移設するよう改良を行うものでございます。

質問

 府の送水管の多くは、幹線道路に埋設をされているため、実際の使い勝手を考慮し、きめ細かな配慮をすることは、市町村が災害対策を進める上でも役に立つものと思います。今後、どのようにこの事業を進めていかれるのか、御説明をお願いいたします。

答弁
調整課長

 本事業は、今後の災害対策を推進していく上で、安全確保という観点から、できる限り早期に取り組むべきものと考えております。そのため、受水市町村と調整しながら、平成21年度に調査、設計を行いまして、平成24年度までに第一次緊急対策工事として府内42カ所の対策を行うことで、震災時の安心度をさらにアップを目指して事業を行うものでございます。

質問

 このように、大阪府と受水市町村が協力をして具体的な災害対策に取り組むということは、大切なことであると考えます。ですが、この施設が整備をされても、実際にそのときに活用できなければ意味がありません。

 そこで、提案ですが、さらに震災時の対応が円滑に行えるよう、このあんしん給水栓を活用した合同訓練を含め、受水市町村と共同で取り組めるような訓練を積極的に実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁
調整課長

 府営水道では、平成9年3月31日付で、受水市町村と大阪府水道震災対策相互応援協定を締結しておりまして、それ以降、毎年さまざまな合同訓練を実施してまいりました。訓練の内容といたしましては、情報伝達訓練や市町村と構成する対策本部の運営訓練のほか、このマンホール内にございますあんしん給水栓を利用し給水車に飲料水を取り込む運搬給水訓練などについても実施してまいりました。このような訓練を受水市町村と共同で実施することで、連携をより強化していくことは重要なことだと考えております。

 府営水道といたしましても、今後とも受水市町村と連携した取り組みを充実させることで、府域の水道全体が地震や災害に強くなるよう努めてまいりたいと考えております。

要望

 現在、府水道部は、大阪市水道局との事業統合の協議を進めておりますので、将来どうなるか不確定な要素もございますが、この協議を継続している間にも大規模災害が襲ってくる可能性があります。大阪府水道部として機能をし、存在し続ける限り、受水市町村や実際その水を使う府民に対して、安全で安心な水を安定して供給し続けるのは、用水供給事業者として当然の使命であります。

 今、あんしん給水栓に関係した取り組みの御説明をいただきましたが、今後とも共同訓練などに積極的に取り組み、危機管理能力が高められるように努めていただきたいと思います。また、さらにこのような訓練の結果をBCPに反映させることで、まさに御答弁をいただきましたこのPDCAのサイクル、きちんと実行をし、BCPの継続的な改善をお願いいたしまして、私のきょうの委員会での質問を終わります。