大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

第5期

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総務常任委員会質疑

2021年11月16日

国際金融都市

質問

 公明党府議団の加治木一彦です。本日は10個のテーマで質問させてもらいますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、まず代表質問でも取り上げました国際金融都市についてお伺いをいたします。

 ポストコロナに向け、大阪・関西経済は再生を図るため、新たな成長の柱として、独自の個性、機能を持つ国際金融都市の実現を目指し、大阪府市や経済団体、金融機関などから成る国際金融都市OSAKA推進委員会が今(2021)年3月に発足しました。今(2021)年度中に戦略を取りまとめる予定で、9月には中間報告とも言える国際金融都市OSAKA戦略骨子が公表されました。これまでどのように検討を進めてきたのでしょうか、改めてお聞かせください。

答弁
企画室副理事

 お答えいたします。国際金融都市OSAKAの戦略策定に当たりましては、昨(2020)年度末に設立いたしました国際金融都市OSAKA推進委員会におきまして、本(2021)年秋に戦略骨子を、今(2021)年度末までに具体的な取組や目標を含む戦略を策定することとされておりまして、現在、推進委員会で議論を進めているところでございます。

 推進委員会の委員には、戦略策定後も具体的な活動を行っていただくため、証券、銀行、保険、取引所といった金融分野を中心としたメンバーに御就任をいただきまして、個別のヒアリングや実務者レベルで構成いたします幹事会を通じまして議論を進めているところでございます。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)ファイナンス、地域活性化、レジリエンス向上の3つのテーマにつきましては、推進委員会にそれぞれ部会を設置いたしまして、重点取組等について協議を行っているところでございます。

 あわせまして、学識経験者など推進委員会のアドバイザーからは、国際金融都市の実現に向けて取り組むべき方向性などの御意見をいただいているところでございます。

 こうした議論や御意見を踏まえまして、推進委員会の総会で戦略骨子が決定されたというところでございます。

質問

 戦略骨子につきましては、私も拝見をしました。骨子の取りまとめに際し、金融・証券系のメンバーを中心に様々な御意見をいただき、戦略づくりを進めているとのことです。

 一方で、(2021年)9月に公表したこの戦略骨子で引用している国際金融センター都市ランキングを見ますと、ビジネス環境、人的資本、社会インフラ、金融セクターの発展、評判という5つの観点で評価がされています。単に金融だけでなく、情報通信や交通のインフラといったハード面、都市のブランド力や文化の多様性といったソフト面でも競争力が問われています。このランキングの順位にこだわる必要はないかもしれませんが、金融以外のあらゆる観点から都市の実力が問われていると感じました。

 まちづくりの専門家や実際に進出を検討されている海外企業など、多くの分野の方から多様な意見をお聞きした上で戦略に反映させていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

答弁
企画室副理事

 お答えいたします。推進委員会には、金融機関に加えまして、経済団体や大学、ベンチャーキャピタル、不動産関連事業を行う企業などに幅広く御参画いただいているほか、金融法制の専門家である大学教授やブロックチェーン等先端分野での見識が深い弁護士、海外で活躍する実業家などをアドバイザーにお迎えいたしまして、御意見をいただいているところでございます。

 例えばまちづくりに関しましては、国際金融とは、まず都市としての活力があり、その後に国際金融都市として認知されるという順序で出来上がっていくものであり、金融より前に大阪をどのようなまちにしていくのかが重要、あるいは国際金融都市において海外からビジネスパーソンが集積するためには、居住環境などのインフラやまちづくりの観点が重要などの御意見をいただいたところでございます。

 また、海外企業や投資家を呼び込むため、現在、海外企業が進出地を選ぶ際のポイントや、規制のサンドボックス制度を活用する際の規制緩和のニーズ等についての調査を行っているところでございます。

 今後とも、多様な御意見をお聞きしながら、調査の結果も踏まえまして、戦略の具体的取組を検討してまいりたいということでございます。

質問

 代表質問でも触れましたとおり、江戸時代、大阪で生まれた堂島米市場は、現在の基本的な先物市場の仕組みを備えた世界初の取引所でした。このことは、大阪に暮らす私たちが忘れてはいけないことと考えます。

 大阪で株式の先物取引が復活したのは、昭和62(1987)年6月のことでした。平成元(1989)年に出版された「金融自由化の経済学」には、恐らく昭和40年代の後半から、何とか大阪に株式先物をという研究調査が進められていた、筆者も初期に参加した経験がある、しかし当初、大阪証券取引所は大蔵省と真っ向から対立し、説得するというイノベーティブな力をなかなか持てなかったと、当時大阪大学教授だった蝋山昌一氏が振り返っています。

 その上で、ともかく東京に先駆けて、現行法の範囲内で可能なことをまず始めなければならないという積極的、革新的な意気込みが、50種の株式を選び、そのパッケージを現物で受け渡しして決済することを可能とし、それらの平均株価の動きに関する先物を取引することになったのであると、突破口を開いていった経緯をつづられていました。

 このときに誕生した大阪証券取引所の株先50は、昭和63(1988)年9月の日経225先物市場が開設されるまでのつなぎだったとはいえ、戦後初の株式先物市場の復活となる先駆的な役割を果たしてくれました。

 今の大阪の強み、魅力は、このように歴史の中で先人たちが取り組んできたことの成果です。国際金融都市を目指す大阪が将来どのような姿になっているのかは、現在取りまとめ作業を進めている戦略次第と言えます。

 大阪独自の個性、機能を持った国際金融都市を目指し、どのような取組内容を戦略に盛り込んでいくのでしょうか、お聞かせください。

答弁
企画室副理事

 今(2021)年度末に策定予定の戦略には、戦略骨子で掲げましたアジア、世界の活力を呼び込み、金融をてこに発展するグローバル都市、先駆けた取組で世界に挑戦する金融のフロントランナー都市の2つの都市像を実現するための取組を盛り込む予定でございます。

 重点取組として骨子に記載しておりますスタートアップに対するさらなる投資促進に向けた支援、ブロックチェーン等の電子的手段を用いて発行する有価証券等であるセキュリティトークンによる資金調達をするスキーム、いわゆるSTOなど新たな手法を活用した資金調達の促進に向けた取組、アジア随一のデリバティブ市場に向けた先駆的な商品群の展開、企業におけるSDGs(持続可能な開発目標)債の発行促進などの取組について、どう具体化できるのか、推進委員会の中で議論を進めているところでございます。

 今後、こうした議論を踏まえまして、戦略の成案化に向けて具体的な取組を決定していきたいというふうに考えております。

意見

 昭和63(1988)年9月の日経225の先物取引開始を記念してのパーティーの様子をまとめた新聞記事には、大阪は先物取引で主導的な役割を果たすべきだとの声が相次いだとありました。来日していたレオ・メラメド シカゴ・マーカンタイル取引所上級理事会会長も、大阪が世界の先物市場の中心になる可能性があると、将来性を強調していたとのことです。

 30年以上の時が過ぎ、東京と大阪の取引所機能の再編の中で、株式に加え、国債や商品の先物取引が大阪に集約されました。ですが、国際金融都市のライバルは国内にはとどまりません。(2021年)今(11)月3日、シカゴ・マーカンタイル取引所グループは、グーグルクラウドと10年間の戦略的パートナーシップを結ぶと発表しました。グーグルのクラウドサービスを活用し、より多くの市場参加者を引きつけようとしています。

 「金融自由化の経済学」の中で蝋山氏は、ビジョンを想像し絵に描くことは簡単にできる。だが、それを画餅に終わらせないためには、絵を題材にして議論を積み重ねなければならない。国際金融都市大阪への歩みを続けていかなければ、大阪は東京の衛星都市の一つとして多数の中の一つに埋没していく可能性が高い。個性ある都市大阪がどうしても真剣に取り組まなければならないことなのであると指摘されていました。

 既に国際金融都市を目指して動き出している以上、先人の苦労、努力に応えるためにも、今を生きる私たちがなお一層知恵を絞って実現に向け進めていくことの重要性を指摘して、この質問を終わります。

2021年11月16日

外国人材の受入れ・共生社会づくり

質問

 次に、外国人材の受入れ・共生社会づくりについて伺います。

人口減少に伴い、労働力人口も減っております。中小企業をはじめとする人材不足が深刻化しており、待ったなしの対応が求められています。

 国は、平成31(2019)年4月、人材不足分野に注目し、一定の専門性、技能を有した即戦力となる外国人材を受け入れるための新たな在留資格である特定技能を創設しました。今(2021)年の6月時点で特定技能の人数は全国で2万9144人、そのうち大阪府が1521人、1年前の全国で5950人、そのうちの大阪府316人と比べ、どちらも約5倍に増えています。

 大阪府も、令和2(2020)年3月、外国人材の受入れ・共生社会づくりに向けた取組みの方向性を取りまとめました。大阪・関西万博への対応や、インバウンドの増加等に備え、市町村や経済団体との連携により、府民、事業者、外国人にとって三方よしとなる取組を推進しているとお聞きしております。

 大阪府におけるこれまでの外国人材の受入れ・共生社会づくりに向けた取組について、推進課長にお伺いします。

答弁
推進課長

 お答えします。国が特定技能制度を創設したことを受けまして、令和元(2019)年6月から、庁内関係部局で構成する外国人材受入れ・環境整備検討プロジェクトチームを設置しまして、このプロジェクトチームのコーディネーター役として、外国人材関係施策の情報共有や相互連携を図ってまいりました。

 また、このプロジェクトチームにおきまして、市町村、府内事業者や在留外国人などにアンケート調査を実施するなど、外国人材に関する実態把握や課題整理を行い、委員お示しの外国人材の受入れ・共生社会づくりに向けた取組みの方向性の取りまとめを行いました。

 今(2021)年度は、外国人材の受入れ促進を図るため、関係部局や市町村と連携しながら、府内企業や関係機関にヒアリング調査を実施し、企業の外国人採用に関する課題や支援ニーズについて整理を行ったところでございます。

質問

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、渡航、入国の制限や飲食店等の勤め先の休業など、外国人材を取り巻く環境は厳しいものがあります。一方、今(11)月8日から、原則停止とされていた外国人の入国制限が10か月ぶりに緩和されるなど、今後、外国人の入国が増加していくことが見込まれます。大阪で働く外国人やその家族が安心して暮らせるよう環境整備を進めていく必要があると考えます。

 今後、外国人材の受入れ・共生社会づくりに向け、大阪府はどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。

答弁
推進課長

 お答えします。今後の大阪の成長に当たりましては、人材不足の解消等、外国人材の受入れ促進が必要であるとともに、外国人の労働・生活環境を整えることが重要であると認識しております。

 現在、外国人材の円滑な受入れ促進と外国人が地域住民と共に暮らし支え合う共生社会づくりに向けまして、国、市町村、経済団体等が参画し、オール大阪で推進していく地域協議会の設置準備を進めているところでございます。

 今後は、地域協議会におきまして、企業の外国人材確保支援や日本語教育の推進など、外国人材の就労面や生活面での様々な課題の解決に向けまして関係機関と調整して進めてまいります。

意見

 地域協議会は既に立ち上げた県がございます。運営方法や協議するテーマの設定、参加団体の選び方などを参考にしながら、大阪の歴史などを踏まえた取組になることを要望しておきます。

2021年11月16日

NPOの活動支援

質問

 次に、NPOの活動支援についてお聞きします。

 新型コロナウイルス感染症の影響で失業や収入減を原因とした貧困の拡大や、人と人との分断による孤独や孤立が進むなど、様々な社会課題が顕在化しています。だからこそ、誰一人取り残さないというSDGsの理念の実現が求められていると考えます。

 大阪府は、昨(2020)年度から社会課題の解決に取り組むNPOの活動を支援する事業を進めています。これまでの取組について、推進課長にお伺いします。

答弁
推進課長

 お答えします。本事業は、一般財団法人村上財団の提案を受けまして、地域に密着しつつ活動を行っているNPOを支援することで、コロナ禍における社会課題の解決を図るため、昨(2020)年度から始まったものでございます。

 この取組におきましては、NPOが行う事業費の半分を、単年度に限り村上財団が資金提供し、残りはNPOが自ら調達することとしており、大阪府は情報発信や庁内関係部局との調整といった側面支援を担うという新たな支援スキームを取り入れております。

 昨(2020)年度は、モデル事業としまして3事業を採択しまして、あいりん地区における就労や居住の支援、府営住宅を活用した若者への就労や居住の支援、子ども食堂の支援を行ったところでございます。

 今(2021)年度は、採択数を5事業に拡大いたしまして、子どもたちの不安にチャットで相談に応じる活動や、若者や外国人留学生の就労支援、聴覚障がいのある子どもたちへの居場所づくりや学習支援など、様々な活動への支援を進めているところでございます。

質問

 クラウドファンディングで得た資金に民間財団からの寄附を合わせてNPOの事業費を賄うという、これまでにない新たな手法で活動支援を進めています。制度のはざまに陥りやすい方々への適切なサポートを期待しておりますが、より高い効果を求めるためには、活動が継続していくこと、これが何より重要です。

 本事業は、企業の支援を単年度に限定しております。この取組を使わなくてもNPOが引き続き活動できるよう、どのような工夫をされているのでしょうか、お聞かせください。

答弁
推進課長

 お答えします。社会課題の解決に取り組むNPOにとりまして、安定的な資金調達が活動の継続に向けた大きな課題であると認識しております。このため、今(2021)年度から、NPOに広く社会から賛同者を得て資金調達を行っていただくこととし、クラウドファンディングを活用する仕組みとしました。これによりまして資金調達の幅が広がるとともに、賛同者を募る過程におきまして、NPOの活動を広く周知することにもつながっております。

 このような今(2021)年度の成果を踏まえまして、今後はさらに多くの賛同者を募るため、クラウドファンディング事業者にも積極的に本事業に参画していただき、よりきめ細かな伴走支援を行ってもらう制度を構築するなど、引き続き、NPOが自ら継続して活動できるよう、さらなる工夫を検討してまいります。

意見

 私も幾つかNPO団体とお付き合いがございます。何よりやはり活動資金をどう確保するかというのが皆さん頭を痛めていらっしゃるところです。そのやり方をちょっとでもお手伝いできるようなことを引き続き考えていただきますようにお願いいたします。

2021年11月16日

子ども・青少年施策の統合

質問

 次に、子ども・青少年施策の統合について伺います。

 令和4(2022)年度当初より、大阪の成長戦略の司令塔となる組織の設置、都市整備部と建築部の統合、基礎自治機能の充実を図るための組織や、子ども・青少年施策をリードする組織の設置といった組織体制の強化を検討しているとお聞きをしております。

 我が会派は、これまでも、少子化対策、児童虐待の撲滅、SNSに起因する被害の防止等、子ども・青少年施策の充実や強化を要望してまいりました。

 そこで、子ども・青少年施策をリードする組織についてお伺いをします。

 現在の治安対策課と青少年課を政策企画部の中で1つの組織とする体制は、平成21(2009)年度当初の組織再編によるものです。当時、どのような課題意識でこのような体制にしたのでしょうか。人事課長、お聞かせください。

答弁
人事課長

 お答えします。平成21(2009)年度に組織再編を行った当時は、大阪の治安情勢は、ひったくりなどの街頭犯罪が全国ワーストワンでありまして、刑法犯少年の検挙・補導人員が全国ワーストワンであるなど、少年犯罪が喫緊の課題となっておりました。

 こういった状況を踏まえまして、総合的な治安対策の中で非行少年対策に力を入れていく必要があると考え、組織再編により政策企画部に青少年・地域安全室を設置したところでございます。

質問

 当時の課題意識と組織再編の趣旨については、今御説明をいただいたとおりです。今回の再編は、子ども・青少年施策をリードする組織を福祉部に設置するとのことです。前回の組織再編から現在まで10年以上が経過する中で、この間、どのような状況の変化があり、どのような課題認識で今回の再編に至ったのでしょうか。人事課長、お聞かせください。

答弁
人事課長

 前回の組織再編時に大きな課題でありました大阪の少年犯罪の状況としましては、刑法犯で検挙または補導した人員の中の少年の数、割合ともに、当時と比較して大幅に減少しているところです。

 一方、本格的な人口減少・超高齢社会の到来が目前に迫る中、社会のデジタル化やコロナの感染拡大などといった社会情勢の大きな変化は、子ども、青少年にも大きな影響を与えまして、取り巻く課題は複雑多様化しております。そういった状況を踏まえまして、これまでの部局間連携での対応から、より一層強化する必要があると考え、今回の再編案となったところです。

質問

 我が会派は、子ども・青少年施策の充実や強化を要望してきました。今回の再編で、支援が必要でも声が上げづらい子ども、青少年を取り巻く多様な課題に一体的に取り組めるようになることを期待しております。組織再編の具体的な内容と期待する効果について、人事課長、お聞かせください。

答弁
人事課長

 細部につきまして、国のこども庁創設に向けた議論も注視しつつ検討していきますが、政策企画部から福祉部へ青少年課を移管するとともに子ども室と再編統合し、名称は仮称ではありますが、新たに子ども青少年局を設置したいと考えております。

 今回の組織再編は、子ども、青少年とそれを取り巻く家庭に関する主要な組織を統合するものであり、少子化対策や子どもの貧困、青少年の健全育成といった、次代を担う子ども、青少年の多様な課題に対する取組を切れ目なく、より総合的かつ効率的に推進していくことができるものと考えております。

意見

 今回、御答弁いただきました子ども青少年局ということで、今まで福祉部の室だったものを局に昇格するわけでございます。それだけしっかり権限も持って仕事ができるようになるかと期待をしておりますので、ぜひともいいものにしていただきたいということをお願いしておきます。

2021年11月16日

町村の中長期財政シミュレーション

質問

 次に、町村の中長期財政シミュレーションについてお伺いします。

 今後も続く人口減少、高齢化を踏まえますと、府民の暮らしを支える市町村の行政運営はますます厳しくなることが予想されます。

 昨(2020)年度、府内の町村と共同で中長期の財政シミュレーションを作成し、試算結果が公表されました。この試算を見ても、税収が減る一方で、社会保障関係の経費が増えることで収支が悪化し、多くの町村は数年のうちに財政調整基金が枯渇するなど、非常に厳しい内容となっております。

 この財政シミュレーションはどのような目的で作成したのでしょうか。市町村課長、お願いいたします。

答弁
市町村課長

 これまで、人口減少、高齢化の中で、市町村が将来にわたり住民サービスを提供できるよう、基礎自治機能の維持充実に関する研究など様々な取組を行ってまいりました。

 昨(2020)年度は、その研究結果なども活用し、将来課題が長期的財政収支にどのような影響を与えるかを分析するため、府内10町村を対象に、人口推計や近年の決算の傾向などを反映した15年間の財政シミュレーションを共同で作成いたしました。

 この試算結果を基に、将来課題に向けてどのような施策を講じていくか、どのような予算編成を行っていくかなどの議論が各町村でより活発になされるよう働きかけていくことを目的としております。

質問

 市町村の将来課題が財政にどう影響するかを分析し、対応策などの議論を呼び起こすため、まずは町村から財政シミュレーションを作成されたとのことです。

 この試算結果を受けまして、現在どのような取組をしているのでしょうか。また、今後どのように対応していくのでしょうか。市町村課長、お願いいたします。

答弁
市町村課長

 将来課題への対応策の検討を働きかけるため、現在、この試算結果などを踏まえながら、各町村の長や議会との意見交換を行っているところです。今後は、作成した財政シミュレーションの時点修正を行うほか、希望する市についても、新たに共同で財政シミュレーションを作成する予定です。

 こうした取組を通じて、人口減少、高齢化という厳しい状況において、どのように住民サービスを持続的、安定的に提供していくかなど、基礎自治機能の充実に向けた議論をより一層活性化させていきたいと考えております。

意見

 住民にとりまして市町村は、最も身近な基礎自治体であります。今後見込まれる厳しい状況下でも住民サービスを安定的に提供していく、こういう責務があります。大阪府は、広域自治体として、引き続き、住民や議会が将来を議論する上で必要な材料を提供しながら、市町村の行財政運営の支援をお願いいたします。

2021年11月16日

府庁舎のセキュリティー強化

質問

 次に、府庁舎のセキュリティー強化についてお伺いします。

 国や都道府県、市町村の庁舎への入館方法は、それぞれ対応が異なります。国の省庁や大手前周辺の合同庁舎は、機械式ゲートを活用し、入館者のチェック体制を採用しているところが多くあります。

 府庁は、爆破予告や殺害予告等、相当件数の脅迫事案が発生しているそうです。今のところ幸いに実害はございませんが、府庁利用者の安全安心を脅かすものであります。決して見過ごすわけにはいきません。

 我が会派は、昨(2020)年9月後半定例会の代表質問で、庁舎を利用する府民の方や庁舎内で仕事をしている職員の皆さんの安全安心を確保するため、コロナ禍での安全対策や庁舎のセキュリティー強化を図っていくべきだと指摘をしました。

 今(2021)年度、府庁本館は、検温実施のコロナ対策と併せて、試行実施ではありますが、セキュリティー向上のため来庁者の入館方法を変更しました。今年度取り組んでいる本館のセキュリティー確保の試行実施状況はどのようなものでしょうか。庁舎管理課長、お願いいたします。

答弁
庁舎管理課長

 お答えいたします。本(2021)年6月14日より試行実施しております府庁本館への入館受付につきましては、一般来庁者の入り口を南玄関に限定し、警備員を新たに配置した上で、来庁される皆さんに検温の上、氏名や訪問先を記載する入館申請書を提出していただいており、こうした手続を経た上で、一人一人に入館証をお渡しし、在館中は常時携帯いただくよう協力をお願いしております。

 また、府職員をはじめ府議会議員の皆さんの入館につきましては、特に入り口は限定せず、名札やバッジを御提示いただき、その他庁舎内関係者の皆さんには、あらかじめお渡ししております入館証を御提示いただくこととしておりまして、現在のところ、多数の方が通行する出勤時間帯や昼休み時間帯に大きな混乱は見られず、比較的スムーズに実施されているものと考えております。

 参考までに申し上げますと、試行開始から10月末までの約4か月半で、一般来庁者は延べ2万7000人、平均すると1日約300人の方が来庁されているところでございます。

質問

 試行実施で一定のセキュリティー強化が図られた反面、本格実施に向けての課題も明らかになったのではないでしょうか。それらの課題に対して今後どのように対応していかれるのか、庁舎管理課長、お願いいたします。

答弁
庁舎管理課長

 御指摘いただいているとおり、試行実施を進めていく中で新たな課題も見えてまいりました。一例を挙げますと、本(2021)年夏に事前のアポイントがなく知事への面会を求める数十名の集団が突然来庁しまして、この集団が決められた入館手続を経ずに、警備員の制止を振り切って入館し、長時間庁舎内に居座り、職員と押し問答となる事案がございました。

その際、出入り口の警備員は1名配置としておりましたが、多数の来庁者への対応については、当初の配置では難しいという課題が明らかになりました。その後、警備員の配置人数を増やし、手動の木柵を設置するなど様々工夫してまいりましたが、警備員配置には限界もありまして、図らずもこうした課題が浮き彫りになったものと考えております。

 今後の対応でございますが、来庁者や職員のさらなる安全安心を確保していくため、機械式ゲートの導入も含め、より高いセキュリティー効果が期待できる方策を検討してまいりたいと考えております。

質問

 府庁舎は、何もこの本館だけではありません。別館や咲洲庁舎、新別館もあります。来庁者、職員の安全安心の確保は、本館以外の庁舎でも同様に重要です。今後は、本館以外でもしっかりとした警備体制を検討していくべきと考えます。庁舎管理課長、いかがでしょうか。

答弁
庁舎管理課長

 咲洲庁舎や新別館につきましては、ホテルやオフィス、レストランなど業態が異なる民間テナントが入居しておりますことから、一体的な庁舎警備は難しいと考えておりまして、今後の検討課題と認識しております。

 一方、別館につきましては、本館と隣接し来庁者も多うございますことから、委員から御指摘いただいたように、来庁者全体の安全安心を確保するため、それぞれの庁舎の利用実態にふさわしい効果的なセキュリティー方策を検討してまいりたい、このように考えております。

意見

 私も、国の省庁や国会議員会館などに出向き、所定の手続を経て、機械式ゲートを通るという経験は何度もしております。不審者対応は重要なことですが、過度な警備で入館待ちの行列ができてしまっては本末転倒ではないでしょうか。当面は、必要最小限の設備で警備員に機動的に対応してもらうということのようでございます。ですが、省力化や安全安心ということを考えれば、やはり機械式ゲートの導入を前提に検討すべきと考えます。引き続き、府民目線を忘れず、庁舎のセキュリティー確保をしっかりとお願いいたします。

2021年11月16日

効果的な資金調達

質問

 次は、効果的な資金調達についてお伺いをいたします。

 府政を円滑に進めていく上で、安定的かつ可能な限り低金利で資金調達をすることが重要と考えます。振り返れば、平成20(2008)年2月定例会で初めて一般質問に立った際、当時の橋下知事に対し、大阪府の財政状況について正確な認識と情報を持ってもらうよう、投資家向けの広報、インベスター・リレーションズに取り組むことを求めました。また、平成27(2015)年度の決算特別委員会の際も、効果的な資金調達をテーマに質問をしました。

 このところ、歴史的な低金利の水準が続いていると思われますが、令和3(2021)年度の市場公募債での大阪府債の発行状況は、他の地方公共団体と比べてどのようになっているのでしょうか。財政課長、お願いいたします。

答弁
財政課長

 令和3年度は、民間資金により6950億円を調達することとしておりまして、うち市場公募債として10年と5年の2年限を毎月各200億円発行することで4800億円を調達することとしております。

 市場公募債の直近の発行実績は、10月に10年債0.115%、5年債0.001%の発行利率で各200億円を発行できておりまして、直近の発行実績について他の地方公共団体と比較しますと、同日に条件決定した10年債では0.010%から0.025%、5年債は、現状に差はないものの、9月までは0.004%から0.009%、府債が低利となってございます。

 また、旺盛な投資家需要も確認できておりまして、現状では安定的かつ低利に資金を調達できている状況でございます。

質問

 大阪府のほうが他の自治体よりおおむね低金利で安定的に公募債を発行できているとのことです。

 平成20(2008)年2月定例会で一般質問したときに、大阪府の公募債が表面利率で他の自治体より高かったということを思い返せば、大きな変化です。ちょっと正確な数字は覚えておりませんが、0.0何%の単位で大阪府のほうが、そのとき同じ条件で出したところより表面利率が高かったというのが当時でした。

 なぜこのように効果的な資金調達ができるようになったのでしょうか、そのあたりをお聞かせください。

答弁
財政課長

 大阪府の起債運営における考え方といたしまして、安定的かつ効率的に資金調達する観点から、市場公募債を中心とし、10年債及び5年債を毎月平準発行することを事前に投資家へお示しするとともに、発行時期や年限、総額等をあらかじめ定めず機動的に発行するフレックス枠を活用した柔軟な起債運営に取り組んでいるところでございます。

 平成28(2016)年1月から日本銀行がマイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入して以降、債券市場は良好な市場環境が継続していることもあり、このような市場環境を前提として、市場公募債における大阪府の10年債及び5年債は、競争原理を働かせるため、入札形式で発行条件を決定していること、また投資家に本府の財政状況や行財政改革の成果、毎月の平準発行について御理解をいただいていることなど、様々な要因が相まって効果的な資金調達につながっているというふうに考えられます。

質問

 効果的な資金調達につなげていくためには、様々な投資家のニーズを捉えていくことが重要と考えます。そのためには、ニーズに応じた多様な年限で府債を発行する取組が安定的な資金調達につながり、ひいてはより効果的な資金調達にもつながっていくのではないでしょうか。

 先ほどフレックス枠を活用した柔軟な起債運営について御答弁いただきましたが、大阪府の発行年限はどのようにされているのか、お聞かせください。

答弁
財政課長

 委員御指摘のとおり、多様な年限で府債の発行を行うことで幅広い投資家ニーズを捉えることは重要だというふうに考えてございます。

 令和3(2021)年度の府債発行に当たっては、10年債及び5年債の発行のほか、フレックス枠を活用し、投資家のニーズを機動的に捉え、20年債及び15年債の発行を行いました。

 このように多様な年限で府債を発行することで、幅広い投資家ニーズを捉えるとともに、借換え時の金利上昇リスクにも対応した安定的な資金調達に努めているところでございます。

質問

 効果的に資金調達がされているということで今お話をいただきました。先ほどの答弁にもありましたが、投資家の理解を継続的に得るためには、この質問の冒頭で触れましたように、投資家に大阪府債を買いたいと思ってもらえるよう、大阪府の財政状況や投資家が必要とする大阪府に関する情報を提供する活動、いわゆるインベスター・リレーションズ--IR活動も重要だと考えております。

 大阪府では、これまでどのようなIR活動をしてきたのでしょうか。また、今後はどのようなIR活動をしていく予定でしょうか、お聞かせください。

答弁
財政課長

 安定的かつ効率的に資金調達を行うため、本府の財政状況や行財政改革の成果について投資家に理解を深めてもらうためのIR活動を実施することは重要だというふうに考えております。

 これまでの本府のIR活動といたしましては、投資家と直接対話をし、先方のニーズを把握することができる個別投資家訪問などを行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、投資家と直接的な接触機会が生じるIR活動は実施が難しくなってございます。

 このため、令和2(2020)年度より地方債協会のホームページに、投資家が閲覧できるよう、本府の財政状況などを説明した動画を公開し、新型コロナウイルス感染症の影響に対応したIR活動を実施しております。

 令和3(2021)年度においても、ウェブを活用した動画でのIR活動を継続するとともに、実際に府債を投資家に販売する証券会社のセールス担当者の理解を深めるため、セールスミーティングという手法でIR活動を実施する予定でございます。今後も、より効果的なIR活動の実施手法を検討してまいります。

意見

 この起債の取組、冒頭申し上げました平成20(2008)年の一般質問のときは、当時、各都道府県や政令市の起債に格付をつけるなんていうこともありました。結局、あまり役に立たんかったのかもしれませんが、今はないですよね。今またESG債とかSDGs債とかいろんな取組がなされております。それが今どれぐらい調達の面で有利になるのか、まだまだ分からない部分も多いんですけど、大阪府として、そういういろんな手法ですとかを常に研究調査していただいて、ちょっとでも有利な調達手段が使えるように、またいろいろ工夫をしていただければと思います。お願いいたします。

2021年11月16日

大阪府のデジタル改革

質問

 次に、大阪府のデジタル改革についてお伺いをいたします。

 昨今のコロナ禍でリモートワークが一般的になるなど、私たちの生活環境が大きく変わってきております。一方で、現金給付に係る電子申請のトラブル、感染者との接触を知らせるスマホアプリの不具合など、我が国のデジタル化が遅れている現実も見えてきました。同一金融機関で繰り返し発生したシステムのトラブルもあり、デジタル化は本当に大丈夫かと不安を持つ人もいらっしゃるかと思います。

 国においては、今(2021)年5月、デジタル改革関連法が成立をしました。9月にはデジタル庁が誕生したところです。デジタル化そのものはあくまで手段でありまして、目的ではありません。府も、住民がデジタル化の恩恵を感じたり、市町村や府の職員が働きやすくなったりするなど、府民、行政の双方がメリットを感じられるデジタル改革を推進していくべきです。

 先日、デジタル改革の実現に向けた中期計画の骨子が示されました。この計画の狙いについて、改めてお聞かせください。

答弁
スマートシティ戦略部副理事

 計画の趣旨についてお答えいたします。

 この計画につきましては、府として国のデジタル改革と歩調を合わせまして、この間、コロナ禍で顕在化しましたデジタル化の遅れを取り戻し、そして府民の生活の質--QOLの向上と、職員の業務効率化の加速化を図るために、システムの標準化、それと調達の一元化という2つの改革の方向性の下で、デジタル改革の将来像や具体的な取組を庁内外に示すものとして現在策定を進めているところでございます。

質問

 中期計画をつくることでシステムの標準化、調達の一元化をはじめとするデジタル改革を進めるとのことです。具体的にはどのようなことをするのでしょうか、お聞かせください。

答弁
スマートシティ戦略部副理事

 お答えいたします。一般的に情報システムについての専門的な知識がない状態のままシステムを導入し、その後、機能変更、これはカスタマイズと呼んでいますけれども、こういうのを繰り返した場合、開発、運用を行っている事業者にしかそのシステム内容が理解できずに、発注先を変更できなくなるいわゆるベンダーロックイン状態に陥るということで、結果的に運用コストが高止まりするというおそれがございます。

 また、府では、デジタル関連施策、あるいは情報システムの開発、運用というのを部局が個々に実施しておりますために、部局間でシステム調達の重複やデジタル関連施策の重複が生じるおそれがあるということがございます。

 こういった課題に対しまして、各部局が所管するデジタル関連事業や情報システムについて、デジタル技術に関する専門的な知見やノウハウを活用しまして、例えば過度なカスタマイズになっていないかどうかとか、標準的な仕様に基づく発注になっているかどうか、あるいは部局間でシステム調達やデジタル施策の重複がないかなど、こうしたことを事業実施のフレームが決定する前段階から横断的な視点で関与していくこととしております。

質問

 府庁のデジタル改革にシステムの標準化、調達の一元化が鍵となることはよく分かりました。これらを中期計画に示すとのことですが、今後どのように取りまとめていくのでしょうか。

答弁
スマートシティ戦略部副理事

 今般、(2021年)8月末にお示ししました内容ですけれども、こうした取組を進めるための大枠の骨子でございまして、府民のQOLの向上と職員の業務効率化に向けまして、今後は、先ほど申し上げた取組に加えまして、行政データの利活用の方針であるとか、ICTリテラシーの向上やテレワークといった庁内ICT環境の整備、そしてシステムの共同調達といった市町村のデジタル化の支援なども含めた計画の肉づけを図っていく予定としております。

 なお、こうしたデジタル改革をより加速させていくためには、デジタル専門人材の確保などが大きな課題と考えておりまして、現在、公民共同出資の事業体の設置といった選択肢も含めた推進体制の在り方についても検討を進めているところでございます。

 今後、庁内議論を重ねまして、今(2021)年度中に計画の策定を目指してまいりたいと考えております。

意見

 令和2(2020)年4月にスマートシティ戦略部が誕生しました。部長をはじめとして民間からも幅広く人材を集めてこられました。大阪府がこれまでもIT化に取り組んできたのは言うまでもないことですが、今回の中期計画に基づく府のデジタル改革は、従来施策の延長線上にとどまらないことを強く願っております。民間の視点も取り入れてよりよいものにしてください。

 これはITシステムに限ったことではないでしょうが、各部局や府内市町村の部分最適を集めたものが府の全体最適になるとは限りません。簡単なことではないのは十分承知しておりますが、大阪府庁内の全体最適だけでなく、府内市町村との全体最適も視野にデジタル改革に取り組んでいただきますようお願いしておきます。

2021年11月16日

少年サポートセンター

質問

 次に、令和2(2020)年度決算概要等報告書の55ページ、56ページに掲載されております少年サポートセンターについてお伺いをいたします。

 まず、この少年サポートセンターの運営について、その内容と決算額について、こちら青少年課長、お願いいたします。

答弁
青少年課長

 お答えいたします。少年サポートセンターは、大阪府、大阪府警察本部、大阪府教育庁の3者が連携して、大阪市内3か所、各府民センター7か所の合計10か所に設置し、立ち直り支援や非行防止などの少年の健全育成のための取組を行っております。

 現在の体制は、平成16(2004)年度に、立ち直り支援に重点的に取り組むため大阪府がケースワーカーを配置し、新たに育成支援室を設けて、従来から設置している少年育成室と合わせた2室で運営しているところでございます。

 少年育成室では、大阪府警察本部が、街頭補導や問題のある少年たちへの継続的な助言指導を行っており、育成支援室では、大阪府のケースワーカーが、補導された少年や、児童相談所、学校などから相談を受けた少年に対して、一人一人の状況に応じた立ち直り支援を行っております。

 また、中学生になると、小学生よりも行動範囲や接する人の幅が広がり、心身ともに大人に近づくことによって、非行への興味や誘惑となる要因が増加し、被害に遭う機会も増加するため、中学生になる前段階の小学5年生を対象にして、非行の重大さに対する理解や犯罪に巻き込まれることの未然防止を目的に、2室合同で各小学校に出向き、非行防止・犯罪被害防止教室を実施しております。

 少年サポートセンター運営費の決算額につきましては、立ち直り支援事業補助及び非行防止・犯罪被害防止教室に従事する11名の非常勤職員である青少年健全育成推進員の人件費としまして3002万8000余円、事務室の使用料や光熱水費、電話代などの固定費として1344万1000余円、立ち直り支援等事業に係るパソコン使用料、保険料及び会場使用料などの経費としまして1121万5000余円、合計5468万5000余円でございます。

質問

 今、少年サポートセンターの運営内容及び決算額をお聞きをしました。大阪府と府警本部、府の教育庁が連携をし、少年の健全育成に取り組んでいることは大変重要で意義のあることと考えます。

 少年サポートセンター事業の非行少年等の立ち直り支援及び非行防止・犯罪被害防止教室はどのような取組をしているのでしょうか、もう少し細かくお聞かせください。

答弁
青少年課長

 お答えいたします。まず、立ち直り支援事業は中学生が主な対象となっており、ケースワーカーが面談を行い、少年の性格、友人関係などの少年自身の問題や家庭環境の問題など、非行の原因、背景を把握し、その状況に応じて社会生活に必要な対人スキルを身につけるソーシャルスキルトレーニングや学習、体験活動などを行っております。

 例えば暴力行為が見られる少年には、ソーシャルスキルトレーニングや、怒りをコントロールするいわゆるアンガーマネジメントのプログラム、窃盗行為が見られる少年には、どのような問題や困り事が起きるか、どのような方法でやめることができるかなどを学ぶ窃盗防止のプログラムを実施しております。

 次に、非行防止・犯罪被害防止教室では、万引きや喫煙、また近年、少年の大麻使用が増加していることから大麻乱用などの非行の重大さや、SNS、声かけをきっかけとする犯罪に巻き込まれないための行動などについて教えております。具体的には、ルールを守ること、犯罪をしてはいけないこと、思いやりの気持ちを持つことの大切さを、パワーポイントのスライド映像や人形劇などを用いながら、子どもたちに直接語りかけております。

質問

 それぞれの少年に寄り添ったきめ細かな対応は非常に大切なものです。とはいえ、直接的な効果を図るのは難しいのではないでしょうか。

 本事業が子どもたちに及ぼす影響は非常に大きいものがあると思います。当事者からの意見を聞く必要もあるでしょう。この2つの事業を通して、少年たちや保護者、学校関係者等からどのような意見、感想が寄せられているのか、お聞かせください。

答弁
青少年課長

 お答えいたします。今後の取組に生かすために、立ち直り支援は支援終了時に、非行防止・犯罪被害防止教室は教室終了後にアンケートを実施し、率直な意見、感想を聞いております。

 まず、立ち直り支援事業につきましては、少年からは、自分の行動を見直すことができた、自分の話をよく聞いてくれ自分の居場所になったなど、保護者からは、家での会話が増えた、学校での問題行動が見られなくなったなどの声をいただいております。

 次に、非行防止・犯罪被害防止教室につきましては、児童からは、万引きと見張りのどちらも犯罪であることが分かった、犯罪に巻き込まれないよう断る勇気と思いやりの気持ちを持って行動したい、もし知らない人に声をかけられたらすぐに大きな声を出そうと思うなど、保護者からは、こういった教室をやっていただけるのはありがたい、家族で話し合うよい機会になったなど、教員からは、身近な事例を挙げて分かりやすく、子どもたちの心に響いた、子どもたちも真剣に犯罪について考える機会になったなどの声をいただいております。

意見

 多感な中学生時代に大人がどのように関わるかでその後の人生が大きく変わったというのが実際私の周りに何人かおります。

 青少年課は、来(2022)年4月の組織再編で福祉部の子ども室と統合されるということで、先ほど質疑やその狙いなどをお聞きしたところです。各地の少年サポートセンターが、少年の健全育成の上で頼りになる存在として今後も活動されることを願っております。

2021年11月16日

公民連携の取組

質問

 最後に、公民連携の取組についてお伺いをいたします。

 公民戦略連携デスクは、これまで多くの企業と包括連携協定を結び、様々な取組を進めてきております。決算概要等報告書の69ページに公民連携の取組の一つとして、OSAKA MEIKANプロジェクトが示されています。これも企業との包括連携協定に基づくものとお聞きをしております。大阪府及び府内市町村が連携するオール大阪の公民連携プラットフォームとして、大阪の魅力発信をしているとのことです。

 このOSAKA MEIKANの取組が始まった経緯や、その目的につきまして、行政経営課長、お願いいたします。

答弁
行政経営課長

 大阪府におきましては、包括連携協定を締結しています67社、4大学をはじめ、様々な企業、大学と連携し、それぞれの強みを生かした取組を積極的に進めております。

 OSAKA MEIKANの取組は、平成30(2018)年2月に締結しました株式会社F.C.大阪との包括連携に基づいた取組で、大阪の「ひと・もの・こと」の魅力をもっと広く知ってもらい、関心を持ってもらいたいという府の思いと、大阪のクラブチームとして地域の発展に貢献したいというF.C.大阪の思いが一致しまして、この取組がスタートいたしました。

 インターネット番組やSNS等を活用した情報発信をはじめ、未来を担う子どもたちに対する成功体験の機会の創出や、スタートアップ企業の強みを生かした地域課題への対応等に、公と民とが連携して取り組むことにより、府民生活の質の向上、社会課題の解決につなげていくことを目的としております。

質問

 新型コロナウイルスの影響で生活様式はますます多様化しております。府民生活の質の向上や社会課題の解決を目指すには、行政が企業の持つ強みやネットワークと連動することは大変に重要なことと考えます。

 OSAKA MEIKANは、情報発信をはじめ、公民連携により様々な社会課題の解決を目指しています。具体的にどのような取組をしているのでしょうか、昨年度の取組実績や効果についてお聞かせください。

答弁
行政経営課長

 OSAKA MEIKANの取組では、大阪の魅力や情報の発信に力を入れており、主なものとしましては、インターネットテレビによりライブ配信をしている大阪府TVがございます。これは、府の各部局の担当者が出演し、様々な府政情報をライブで詳しく紹介するものであり、令和2(2020)年度において月1回の実施で全12回の放送をいたしました。この取組は府内市町村にも広がりを見せており、昨年度は八市町において実施され、地域に根差した情報や魅力の発信にもつながっております。

 また、OSAKA MEIKAN NEWSというニュース専門サイトを開設し、府や市町村の公民連携の取組を広く発信いたしました。OSAKA MEIKAN NEWSで配信した記事は、連携する大手民間ニュースメディアでも掲載されるなど、発信力の強化につながっております。

 これらの情報発信に加え、OSAKA MEIKANでは、2025年大阪・関西万博に向けて様々なテーマで世界記録に挑戦するOSAKA子どもの夢応援事業を実施しております。これは、子どもたちの成功体験機会の創出や、やり抜く力の養成等を目指して取り組んでいるもので、令和2(2020)年度はオンラインで同時におにぎりを作った最多人数の世界記録に挑戦いたしました。見事985人の新記録が認定され、参加した子どもや親御さんからも、コロナ禍で様々な活動が制限される中、貴重な経験になったという声をいただいているところです。

質問

 情報発信に始まり、昨(2020)年度はギネスの世界記録に挑戦するなど、取組の幅も非常に広がっているようです。

 一方で、こういった連携は続けることで初めて社会課題の解決や府民生活の質の向上につながります。連携に協力する企業の府政や地域課題への理解はもとより、連携すること自体に企業がいかにメリットを感じてくれるかが重要と考えます。

 平成30(2018)年から始まったこのOSAKA MEIKANプロジェクトの現在の状況と公民連携を継続していくための大阪府の取組や考え方について、行政経営課長、お聞かせください。

答弁
行政経営課長

 今(2021)年度につきましても、昨年度に引き続き、大阪府TVやOSAKA MEIKAN NEWSによる情報発信を行うとともに、府や市町村が抱える地域課題に対して、スタートアップ企業から事業提案をいただくオンラインイベントを実施するなど、積極的な取組を進めています。

 また、OSAKA子どもの夢応援事業につきましては、多くの企業の協力の下、来(2022)年1月16日に、環境・ゼロカーボンをテーマにギネス世界記録にチャレンジいたします。今回は、子どもたちがこの社会課題について学ぶ機会となるよう、ユーチューブで環境サステーナビリティーレッスンを視聴した最多人数で記録に臨む予定です。これにつきましては2000人を目標にしており、現在参加者を募集しております。多くの子どもたちにとって心に残る経験となるよう、しっかりと準備を進めてまいります。

 府といたしましても、多様化する社会課題の解決には企業との協働は必須と考えており、企業には連携する意義を実感いただけるよう、常に対話を行いながら活動してまいりました。今後も、決して一方通行にはならないよう、企業とはウィン・ウィンの関係を築き、府民、企業、行政が三方よしとなる公民連携の取組を推進してまいります。

意見

 今、課長が最後に答弁をいただいたことはまさにそのとおりやと思います。本当に一方通行にならないように、そして企業とウィン・ウィンの関係で、府民、企業、行政の三方よし、これやと思います。言うたらこれが原点やと思いますので、これを決して踏み外すことなく、この公民連携がしっかりと実を上げていくことをこちらも願っております。以上で私の質問を終わります。