大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

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本会議一般質問

2019年10月8日

日本語支援教育

質問

 公明党大阪府議会議員団の加治木一彦でございます。一般質問の機会をいただきましたので、順次質問を進めてまいります。

 まず、日本語支援教育に関連してお聞きをいたします。

 先日、文部科学省が実施をしました外国籍の子どもの就学状況に関する調査の結果が公表されました。日本に住む外国人の子ども約12万人のうち、約2万人が就学していない可能性があるとのことでした。

 また、外国籍の子どもの保護者に対しまして、就学案内を送付している市町村は、約6割という状況でありました。この状況について、(2019年)10月1日付日本経済新聞朝刊の社説は、次のように指摘をしています。「憲法26条は、義務教育の対象を国民と規定しており、外国人の子どもの面倒は見る必要はないと思われがちだ。だが、全ての者への教育の提供を定めた国連人権規約と児童の権利条約に日本も加盟した。憲法98条の国際条約の遵守義務により、政府には国内にいる子どもは国籍を問わず教育を受けさせる憲法上の義務が生じている」。

 私が視察に伺いました岐阜県可児市は、国籍を問わず全ての子どもが学校で学ぶことができるよう、保護者のもとへ家庭訪問をするなど、就学に向けた粘り強い取り組みを進めておられます。

 市町村の所管とはいえ、大阪府も、就学年限を迎えた子どもに小中学校の9年間は学校で学んでもらえるよう、就学を掘り起こすための指導助言や支援が必要ではないかと考えます。

 国の調査によると、大阪府内の外国籍の子ども8657人のうち、小中学校に通っている割合は約82%、確認できなかった割合は約18%でした。

 スクリーンをごらんのとおり、不就学の可能性がある子どもの数は、大阪府が全国ワースト5に入っています(スライド1)。

 市町村は、住民票のある外国籍の保護者に対し、就学通知を発送しています。一方で、国の調査結果のとおり、対象となる子どもたち全てが学校に通っていないという現実があります。住民票の住所と実際に暮らしている住所が異なるため、通知が手元に届かない場合もあれば、発送した通知文を保護者が無事受け取っても、何が書かれているか、日本語が十分に理解できない場合もあるのではないでしょうか。

 そこで、現在、就学案内の送付など、就学支援への取り組みについてはどのようになっているのでしょうか、教育長にお伺いします。


スライド1
答弁
教育委員会教育長

 外国籍の子どもたちへの就学支援の取り組みについてですが、大阪府では、全ての市町村において、外国籍の子どもの保護者に対しまして、校区の学校に就学できるよう案内を送付しておりまして、日本語以外の言語で案内している市町村も4割近くございます。

 また、当該保護者が、住民登録のために役所に来庁された際に、子どもの就学について通訳者が説明をしたり、就学案内に対して返信がない場合には個別に家庭を訪問し、状況を聞いたりすると、こういう取り組みを行っている市町村もございます。

 府教育庁といたしましては、市町村教育委員会に対して、それぞれの工夫された就学支援の取り組み事例というものを広く伝えまして、外国籍の子どもたちの就学機会が適切に確保されますように指導助言に努めているところでございます。

質問

 府内で、8割を超える外国籍の児童生徒が就学できておりますが、残り2割の子どもたちも就学できるよう、今後も引き続き家庭訪問など個別の対応を強化してもらえるようお願いをしておきます。

 ところで、外国籍の児童生徒が、日本の学校に通うようになり、友人と遊ぶといった日常会話はできるようになっても、授業の内容を理解するだけの日本語力がないといった状況はよくあると聞いております。また、日本国籍であっても、保護者が外国人のため、家庭で交わされる言葉が主に外国語であるなどの環境から、日本語が十分に理解できない場合もあり、そのような児童生徒には個別に日本語を教えるなどの支援が必要であると考えます。

 府内の日本語指導が必要な児童生徒の人数や言語の数などの状況はどのようになっているのでしょうか、また府はどのような支援をしているのでしょうか、教育長にお伺いします。

答弁
教育委員会教育長

 日本語指導が必要な児童生徒は、現在40市町村の小中学校に約2900人が在籍をしています。また、言語数も38に及び、増加傾向となっています。

 これまで、通訳の派遣を行うなどサポートをしてまいりましたが、当該児童生徒が社会で生きる力をつけるためには、学習の中で使われる日本語を理解し、学力を伸ばすということが必要です。

 そこで、今(2019)年度から学習環境の整備や日本語指導の方法などについて、スーパーバイザーを派遣し、当該児童生徒が在籍する学校を支援しており、一学期末までに26市町村90校を訪問したところであります。

質問

 日常生活で使う日本語が理解できても、学習の中で使用する日本語はレベルが違うため、府が、ノウハウのない市町村や学校を直接巡回訪問し、学習支援を進めることは大変有効であると考えております。対象となる児童生徒が、今後ますますふえることが予想されますので、ぜひ今後も支援していただきますようお願いしておきます。

 日本語の支援教育が必要な児童生徒に対する学習支援活動は、ボランティアの手により各地で進められております。まずは、大阪の繁華街ミナミで毎週火曜日の夜に開かれているMinamiこども教室です(スライド2)。次に、大阪国際交流センターで毎週月曜日の夜に開かれているこどもひろばです(スライド3)。冒頭で紹介をしました岐阜県可児市は、NPO法人可児市国際交流協会が市の委託を受け、日本語の学習支援をしております(スライド4)。

 ところで、今まで日本語指導の必要な児童生徒を受け入れたことのない市町村に、当該児童生徒が転入してくる事例がふえていると聞いております。そうした地域で、学校に一人や二人しか在籍していないため、ふだんの学校生活の際に心細い思いで過ごしている児童生徒もいるのではないでしょうか。そのような児童生徒にとって、学習支援だけでなく、アイデンティティーの保持、育成を初めとする自尊感情を育むことも重要と考えます。

 平成30(2018)年9月定例会、平成31(2019)年2月定例会の教育常任委員会で、学習意欲の向上や自尊感情を育むためのロールモデルとなる先輩との出会いをふやすよう質問をしました。

 その後、府としてどのような取り組みを行ったのか、教育長にお伺いします。


スライド2

スライド3

スライド4
答弁
教育委員会教育長

 児童生徒が、母国の文化に誇りを持ち、自信を持って生きていけるように、本(2019)年7月に当該の中学生が一堂に会し、ようこそ!OSAKA多文化共生フォーラムを実施いたしました。当日は、18市34校から12言語約50名の生徒が参加をいたしました。

 このフォーラムでは、中学生時代に来日し、努力して高校に進学した先輩の話を聞くなど、まさにロールモデルとの出会いによりまして、中学生が進路について展望を持つ機会となったのではないかと考えています。また、同じ言語を話す中学生や大阪大学の留学生と母国の文化などについて交流を行うことで、アイデンティティーについても考える機会となったのではないかと考えています。

 参加者のアンケートには、同じ国出身の人や同じ悩みを持つ人たちと会話ができて本当によかったという感想もございまして、取り組みの手応えを感じているところであります。

質問

 私も、この多文化共生フォーラムに当日お伺いをいたしました。同じルーツを持つ仲間同士、楽しそうに話をして、そして帰るとき、にこにこ仲よくうれしそうに帰っていった姿が非常に印象に残っております。

 また、この取り組みを引き続き来年度以降も続けていただきますよう、お願いをしておきます。

 続きまして、府立学校についてお伺いをいたします。

 スクリーンをごらんください。(スライド5)

 これは、国の調査で平成29(2017)年度中の日本語指導が必要な高校生等の中退、進路の状況です。全高校生等に比べ、日本語指導が必要な高校生等は、中退率、非正規就職率、就職も進学もしていない者の率が高く、進学率が低いという結果が出ております。せっかく小中学校を卒業し、高校に入学できたとしても、その次の段階にうまく進めていない現実があります。

 府立学校では、日本語指導が必要な生徒のための特別枠選抜を設けることや、そのような生徒を支援するためにNPO団体とも連携を図るなど、積極的に支援をしてきた経緯があるかと思います。

 そこで、これまでの取り組みとその成果について教育長にお伺いします。


スライド5
答弁
教育委員会教育長

 令和元(2019)年度、日本語指導が必要な生徒は、府立高校44校に381名が在籍をしておりまして、その言語数は20言語と多岐にわたっています。

 これらの生徒に対しては、平成13年度から特別枠選抜を実施するとともに、その他の選抜においても時間延長や辞書の持ち込みなどを認める制度を設けています。

 また、外部の支援団体と連携して、入学前には必要な生徒、保護者を対象に府教育庁主催の説明会を実施し、学校での過ごし方や就学支援金制度などの説明、個別相談などを行うとともに、入学後にはノウハウを持つ教育サポーターを派遣して母語による学習支援、日本語指導などを行っているところであります。

 こうした取り組みが、生徒の卒業及び進路実現につながっていると認識をしておりまして、卒業生が後輩たちを支援するケースもございまして、身近なロールモデルとなっております。

意見

 ドイツやフランスと国境を接するスイス第三の都市バーゼル市で、多様な言語、文化的なバックグラウンドを持つ子どもたちに対するドイツ語指導について調査をした文教大学の金森強教授は、ベネッセ教育総合研究所のホームページで以下のように指摘しています。ドイツ語というのは、バーゼル市の学校教育で使っている言語であります。「よき市民を育てるためには、よき教育の提供が不可欠であり、言語力の保障こそがその土台と考えられている。アカデミックな力を育むためには、それぞれの分野の専門的な語句、文体等の言語力の育成なくして、身につけさせることはできない」。

 大阪に暮らす外国にルーツを持つ子どもたちが、よき市民として大きな可能性を発揮するには、日本語を初めとした確かな学力を身につけてもらうことが不可欠です。

 府も、市町村やNPO団体と連携をし、彼らを取り巻く教育環境のさらなる充実を図るよう強く求めておきます。

2019年10月8日

大阪府国際交流財団

質問

 次に、在留外国人の生活支援や多文化共生に重要な役割を果たしております大阪府国際交流財団の取り組みについてお聞きします。

 大阪府国際交流財団は、かつて廃止の方針でしたが、我が会派が、外国人向けの生活相談や災害時の多言語支援の機能を持つこの財団を存続すべきだと強く求めてきたこともあり、平成29(2017)年に存続が決まりました。

 そこで、平成29(2017)年9月定例会で財団存続後の取り組みに関して質問しましたところ、中期経営計画を策定し、将来的には多文化共生のセンター機能を担えるよう検討していくとのことでありました。その後の2年間、大阪を訪れる外国人旅行者、在住外国人ともふえております。また、この間、大阪でも地震や台風といった大きな災害に見舞われました。

 財団として、具体的にどのような取り組みを進めてこられたのか、府民文化部長にお伺いします。

答弁
府民文化部長

 大阪府国際交流財団につきましては、平成30(2018)年3月に策定した中期経営計画において、多文化共生の拠点機関を目指し、外国人相談機能の充実や災害時多言語支援の強化を図ることとしています。

 外国人相談については、本(2019)年4月の入国管理法の改正に伴い、在留外国人の増加が見込まれることから、対応言語を9言語から11言語に拡充するとともに、夜間や日曜日にも窓口を開設するなど、相談体制の充実を図りました。

 また、昨(2018)年6月の大阪府北部地震の際には、府と財団が共同で災害時多言語支援センターを速やかに立ち上げ、在住外国人のみならず外国人旅行者も対象に、8日間にわたり24時間体制で相談に対応いたしました。

 さらに、今年度は、災害時多言語支援の一層の充実を図るため、外国人旅行者が必要な情報を一元的に多言語で提供するウエブサイトとアプリの開発を進めています。

 今後とも、財団の持つノウハウやネットワークを最大限に生かし、多文化共生の拠点としての役割を担えるよう、しっかり取り組んでまいります。

質問

 今定例会に、府が、出資法人等の事業の実施、役職員の状況、経営状況等の評価結果を提出しております。この中にある法人の総合的評価結果を見ますと、国際交流財団の点数は80点、役員業績評価はBとなっております。2年前は、それぞれ46点、Cだったことを踏まえると大幅に改善したと言えるでしょう。最重点目標の外国人相談の強化が、2年前は30点満点の零点でしたが、今回は30点満点だったことが大きく寄与しております。

 今後も、大阪で暮らす外国人はふえることが予想されます。まずは、身近な市町村が、生活相談に対応できるようにすべきと考えますが、市町村だけだと対応の難しい課題もあるでしょう。

 そこで、市町村の取り組みをしっかりバックアップするため、財団の持つ能力やノウハウを有効に活用する必要があると考えます。

 外国人相談について、財団が市町村をどのように支援しているのか、府民文化部長にお伺いします。

答弁
府民文化部長

 財団の中期経営計画において、事業実施に当たっては市町村などとの協働や役割分担を行うとともに、外国人相談事業については、財団がノウハウの提供やサポートを行うこととしています。

 具体的には、市町村での対応が厳しい、例えばベトナム語やフィリピン語などによる相談の対応については、財団が支援を行っています。また、法律や制度などに関する専門的な内容についても、財団において弁護士などによる専門相談で対応しています。

 さらに、市町村と財団による合同相談会の実施や市町村の相談員のスキルアップ研修、市町村と情報共有を行うネットワーク会議などにより、市町村における相談機能の強化を図っています。

 今後とも、財団における外国人相談の機能強化はもとより、市町村における相談対応の充実を図ることにより、府内で外国人が安心して生活できるよう取り組んでまいります。

意見

 法務省の在留外国人統計によれば、平成30(2018)年12月末現在、164カ国・地域出身の23万9113人が大阪府内に住んでおります。前年末に比べて4.7%ふえ、またこの人数そのものは東京都、愛知県に続き全国第3位です。

 平成29(2017)年12月末のデータですが、各都道府県の総人口に占める在留外国人の比率でいきますと、東京都、愛知県、群馬県、岐阜県に続き、大阪府は第五位でした。

 在留外国人の人数が多く、比率も高い大阪府という現状を踏まえれば、多文化共生の拠点機能を担うことになる大阪府国際交流財団の役割が、外国人向け相談と災害時の多言語対応だけでよいのか疑問を感じております。

 時代の変化についていくだけでなく、先取りできる大阪府国際交流財団になれるよう、人員や財政面など体制の強化を求めておきます。

2019年10月8日

府立高校の英語教育

質問

 次に、府立高校の英語教育についてお聞きをいたします。

 近年の社会状況を見ますと、在留外国人、外国人留学生や旅行者が増加するなど、国内でもますます英語でコミュニケーションを図る機会がふえております。そのため、たとえ英語が苦手な生徒でも、海外から来た方々と自然に英語でやりとりする力を身につけることで、これからの社会でみずからの可能性を広げることができると考えております。

 府立高校は、平成30(2018)年度、骨太の英語力養成事業を終え、今(2019)年度から新たな英語教育推進事業として、広がる英語教育推進プロジェクトが実施されているとお聞きしております。

 社会状況が変化する中、骨太の英語力養成事業の成果と課題を踏まえ、新たな事業においてどのような目標のもとに取り組みを進めているのか、教育長にお伺いします。

答弁
教育委員会教育長

 骨太の英語力養成事業は、平成26(2014)年度から府立高校17校を対象に実施をいたしました。実施校におきましては、授業改善が進むとともに、生徒がTOEFL iBT等で好成績をおさめるなど、高度な英語力の育成に成果があったというふうに考えています。

 一方で、国内外で英語によるコミュニケーションを図る機会がふえる中で、生徒の英語力向上をいかに府立高校全体に広げるかということが新たな課題となっております。

 そのため、今年度から令和五年度まで、広がる英語教育推進プロジェクトというものを推進することとしています。一人でも多くの生徒が、実際のコミュニケーションの場で英語を使う体験ができるように、長期休暇などを活用しまして国内のイングリッシュキャンプや海外研修を実施いたします。

 また、最初の3年間で、全府立高校を対象に授業改善を推進する中核教員に向けた研修を実施し、授業における教員の英語使用率を高めるとともに、生徒が英語でやりとりする力を育成することを目指しています。

 こうした取り組みを通じまして、全ての府立高校生が、それぞれの目標に応じて英語4技能をバランスよく身につけ、今後の社会において活躍することを目指してまいります。

2019年10月8日

グローバル人材の育成

質問

 次に、グローバル人材の育成についてお聞きします。

 平成24(2012)年度に始まったおおさかグローバル塾は、海外の大学で学位取得を目指す高校生を対象に、英語力やコミュニケーション能力等の強化を図るとともに、海外大学への進学指導を行うことによりトップレベルのグローバル人材を育成するもので、非常に有意義な事業と感じております。私も、これまでたびたび塾生の成果発表会や修了式に出席してきました。

 スクリーンをごらんください。(スライド6)

 これは、ことし(2019年)7月の前期成果発表会の様子です。大阪の歴史や文化、魅力を英語で説明をしております。途中で話す内容を忘れたのか、困ったそぶりを見せた生徒もおりましたが、全員が英語での説明に懸命に取り組んでいました。

 おおさかグローバル塾の取り組みは、2025年の万博開催、さらにその先の未来社会を切り開いていかなければならない府にとって、未来への必要な投資ではないでしょうか。

 留学を目指す高校生に向け、より広く周知するとともに、定員の拡充を図るべきと考えます。実際に、今年度の塾生の成果発表をごらんになった知事に、その感想と今後の方針についてお伺いします。


スライド6
答弁
吉村洋文知事

 加治木議員の御質問にお答えを申し上げます。

 おおさかグローバル塾については、私も、先日咲洲庁舎において、現実にこれを受講した高校生から短期留学の報告などを受けまして、英語のプレゼンテーション力の高さであったり、あるいは大阪の魅力発信に関するすばらしい提案に大変感銘を受けたところでもあります。

 大阪が、持続的に成長発展していくためには、人の力が何より大切だというふうに思っています。特に大阪の未来を担う若者が、グローバルな人材として世界で活躍するということは、大阪が発展していく上でも非常に重要だと考えています。

 こうした人材を育成しますおおさかグローバル塾については、これまで以上に広く周知を図るとともに、定員の拡充についても検討していきたいと思います。

2019年10月8日

大阪アーツカウンシル

質問

 それでは、知事、よろしくお願いします。

 次に、大阪アーツカウンシルについてお聞きします。

 大阪府と大阪市では、文化施策を推進する新たな仕組みとして、平成25(2013)年度に府市の附属機関である大阪府市文化振興会議の部会という位置づけのもと、大阪アーツカウンシルを設置し、行政と一定の距離を保ちながら、その専門性を生かした文化事業の評価審査や文化施策の改善に向けた企画、調査など、大阪における芸術文化を後押しする取り組みを行っております。

 芸術文化の専門家集団である大阪アーツカウンシルは、評価審査だけでなく、潜在的な文化の掘り起こしや将来の担い手支援も含めた目ききを行うため発足したと認識しており、その活動内容を積極的に発信することは、府民に対する認知度向上と大阪文化の振興にもつながると考えております。

 私は、平成29(2017)年9月定例府議会の一般質問におきまして、大阪アーツカウンシルの取り組みについてお尋ねし、文化振興会議で今後のあり方を検討している旨の御答弁をいただきました。

 まずは、それ以降の取り組みについて府民文化部長にお伺いします。

 また、現在の第4次大阪府文化振興計画では、大阪アーツカウンシルを評価・推進体制の柱とし、運営体制の強化に取り組むこととされておりますが、本計画は来(2020)年度末が終期であり、新たな計画策定に向けた準備を進めなければならない時期となっております。現在と同様、次期計画にも大阪アーツカウンシルの役割や機能を位置づけて、しっかり取り組んでいくことが必要であると考えますが、府民文化部長のお考えをお伺いします。

答弁
府民文化部長

 大阪アーツカウンシルにつきましては、議員お示しのとおり、平成29(2017)年11月に大阪府市文化振興会議において今後のあり方を検討し、取りまとめを行いました。

 その中では、方向性として、芸術文化の担い手を支援し、大阪の文化力のさらなる向上につなげていくため、引き続き評価審査機能を中心としつつ、企画や調査機能を強化して取り組み内容の質を高め、積極的に発信していくこととされています。

 この取りまとめを踏まえ、平成30(2018)年度においては、大阪府、大阪市が実施する40件全ての文化事業について、現地視察も原則行いながら、事業評価や改善提案などを実施し、PDCAサイクルによる文化施策の向上に取り組んでいます。

 また、芸術文化活動を行う人々を対象とするシンポジウムの開催や相談事業の実施、大学などが主催する意見交換会への参画など、芸術文化の担い手に対する支援としての交流の場づくりやネットワークの構築にも力を入れ、企画・調査機能を強化しています。

 引き続き、大阪アーツカウンシルのこうした取り組みを推進し、活動内容の積極的な発信に努めるとともに、来(2020)年度中に策定予定の次期文化振興計画にアーツカウンシルの役割、機能について盛り込めるよう、しっかりと議論を進めてまいります。

意見

 アーツカウンシルの先輩、イギリスのアーツカウンシルイングランドは、毎年度A4判で200ページ近い年次報告書を公表しています。助成金の支出額や助成した団体数などのデータだけでなく、ケーススタディーとして特筆すべき成果を上げた支援事例を紹介しております。私が見た中には、まさにこのアーツカウンシルの支援を受けたから自分の可能性を大きく広げることができた、そのような喜びの声を寄せる若手アーティストがいました。

 大阪アーツカウンシルには、芸術の分野で成果を上げることは広い意味で社会や経済にも貢献するとの考え方で、一層大阪の文化芸術の振興に取り組まれますよう求めておきます。

2019年10月8日

新大阪駅周辺のまちづくり

質問

 次に、新大阪駅周辺のまちづくりについてお聞きします。

 大阪を訪れる外国人観光客がふえる中、国内外の観光客やビジネス客の利用などで新幹線や在来線、地下鉄を合わせた新大阪駅の一日当たり乗車人員は、平成24(2012)年の約18万1000人から平成29(2017)年の約21万6000人へと5年間で約20%ふえております。

 本(2019)年3月、おおさか東線が全線開業し、新大阪と大阪東部や奈良方面の間で新たな人の動きが生まれています(スライド7)。8月には、JR新大阪駅中央改札口前に観光案内や旅行相談、チケット販売などのサービスを多言語で一体的に提供するトラベルサービスセンター新大阪がオープンし、新大阪の拠点機能がますます高まっています(スライド8)。

 将来、リニア中央新幹線や北陸新幹線が結節する広域交通ネットワークの一大ハブ拠点の役割を担うことになります。今(2019)年度より地方創生回廊中央駅構想の実現に向けた調査や、北陸新幹線の環境アセスメントの手続が始まるなどの取り組みが進んでいます。

 こうした中、都市再生緊急整備地域の指定を目指し、新大阪駅を中心に十三駅付近から淡路駅付近までの広い範囲を対象に、まちづくり方針の検討が進められていると聞いております。

 リニア中央新幹線や北陸新幹線の開業を見据え、新大阪駅周辺地域が、多くの人々が行き交う活気あるまちとして発展していくため、民間の意欲を引き出すようまちづくりの検討を進めるべきであると考えますが、住宅まちづくり部長の所見をお伺いします。


スライド7

スライド8
答弁
住宅まちづくり部長

 新大阪駅周辺については、1月に新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会を設置し、新大阪駅周辺地域の担うべき役割について意見交換を行うとともに、先月26日には第2回会議を開催して、導入すべき都市機能について意見交換したところです。

 会議では、圧倒的なアクセスのよさを生かし、さまざまな人が集まり、グローバル企業が拠点を置く環境整備や、駅内外やさまざまな交通手段への移動をストレスなく円滑にできるようにすること、そして淀川の貴重な環境を生かした舟運や高質な滞在機能など導入すべき機能について、幾つかの貴重な御意見をいただいています。

 これらの意見を踏まえ、引き続き協議会において対応すべき課題などの検討を進め、今年度中にまちづくり方針の骨格を作成し、民間の創意工夫による都市開発プロジェクトの機運醸成に努めてまいります。

2019年10月8日

淀川の景観資源の活用

質問

 続いて、淀川の景観資源の活用に関連してお聞きします。

 新大阪駅周辺地域は、鉄道を中心とした広域交通ネットワーク機能とともに、その南側を流れる淀川の自然を生かし、世界中から多くのビジネスマンや観光客が集う一大ハブ拠点となることを期待しております。このため、かねて大阪の貴重な水辺空間である淀川を活用することで、大阪の都市魅力を高めるよう提案をしてきました。

 私の地元の淀川河川公園西中島地区は、毎年、淀川アーバンキャンプが開かれ、淀川の魅力を満喫できる水辺のアクティビティーに加え、10月18日からは梅田の高層ビル群のすばらしい夜景を臨みながら夜の淀川を堪能できるナイトバルやナイトクルーズが予定されています。また、地下鉄西中島南方駅から歩いて行けるバーベキュー広場は、天気のいい休日、多くの人が集まり、にぎわいを見せております。

 さらに、淀川を行き来する観光船からは、さまざまなタイプの橋梁や川べりが入り組んだワンドなどの自然を見て楽しむことができ、八軒家浜と枚方を結ぶ定期航路に加え、新たな航路による船旅が企画されるなど、淀川の魅力ある景観を楽しむことができる民間の取り組みが進んでおります。

 2025年の万博開催に向け、大阪、関西のさらなる魅力向上が求められる今こそ、より多くの人の目が淀川に向くよう、こうしたすばらしい淀川の景観を生かしたまちづくりを進めていく必要があると考えます。

 住宅まちづくり部長の所見をお伺いします。

答弁
住宅まちづくり部長

 淀川の魅力ある景観を生かしたまちづくりを進めるためには、豊かな自然や歴史文化資源、多彩な表情を見せる橋梁や建物、さらにはイベントや自然保全を行う人々の活動風景などの貴重な景観資源を守り、育て、活用していくことが重要と認識しています。

 このため、昨(2018)年度にはフォトコンテストを開催し、淀川の魅力ある景観を発掘し、広く周知するとともに、淀川に関係する全ての人々が共有できる基本目標や景観資源を活用したさまざまな取り組みを取りまとめた景観づくりの方針を作成したところです。

 今後、本方針に基づき、淀川に関係するさまざまな団体等と協力しながら、例えばドローンで撮影した淀川の自然風景やまちづくり団体の活動状況を紹介するビデオなど、情報発信を効果的に行うことで淀川への関心や愛着を育んでいきます。

 また、沿川各地のまちづくり団体の交流を促進することで、景観資源を生かした活動を沿川全体に広げるなど、淀川の魅力ある景観資源を活用した広域的なまちづくりに取り組んでまいります。

結び

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。