大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

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本会議一般質問

2012年10月5日

関西国際空港

質問

 初めに、関西国際空港についてお伺いします。

 関西国際空港と大阪国際空港--伊丹空港は、本(平成24)年7月1日に経営統合し、新関空会社のもと、両空港の一体運営が始まりました。統合後に新関空会社が発表した経営戦略には、関西、伊丹両空港の平成26年度の発着回数を23年度に比べ30%増の30万回、旅客数は23%増の3300万人、貨物量は21%増の100万トンと高い目標を盛り込んでいます。関西空港で格安航空会社--LCC専用のターミナルビルが今⑽月28日から稼働するなど、新たな利用促進策を打ち出しており、民間金融機関出身の安藤圭一新社長の強い意気込みを感じます。

 空港利用者の利便性の向上と統合による経営の効率化を両立させ、事業価値の最大化を図ろうとする新会社の戦略に期待しております。

 また、今後の需要拡大が見込める航空貨物の分野にあって、関西空港の利用価値を高める上で注目したいのが、先日の我が会派の代表質問でも取り上げました関西イノベーション国際戦略総合特区の活用です。

 昨(平成23)年、国から特区の指定を受け、関西空港は、医薬品等の輸出入手続の迅速化や物流品質の向上、貨物便ネットワークの充実を進め、関西のライフイノベーションを支える戦略拠点に位置づけられました。関西空港は、これまでも医薬品を戦略貨物として、全国の空港に先駆け、医薬品専用の定温庫を整備するなど、この分野に力を入れてきました。昨(平成23)年3月の東日本大震災では、成田空港に着陸できなかった外国からのチャーター機が緊急着陸し、関西空港で積み荷をおろすことができたといったバックアップ機能も果たしました。

 今後、特区の制度を利用して、関西空港に対する新たな需要を生み出し、大阪、関西の産業政策との相乗効果を発揮させることで、日本だけでなく、アジア太平洋地域での航空貨物の拠点空港として存在を高めることにつながると思います。

 これまで、大阪府は、特区の推進に深くかかわってきました。大阪、関西の戦略インフラである関西空港での特区を生かした取り組みのうち、医薬品等の輸出入手続の迅速化に向け、府としてどのように支援していくのでしょうか、政策企画部長にお伺いします。

答弁
政策企画部長

 関空での医薬品等の輸出入手続の迅速化についてお答え申し上げます。

 航空輸送における医薬品等の物流につきましては、海外で輸出入手続の電子化が進む一方、我が国では、いまだ紙ベースでの煩雑な手続が必要とされておりまして、関係者から改善を望む声が多数寄せられてまいりました。

 このため、本府を初め新関空会社、大阪医薬品協会などで関空地域拠点協議会を立ち上げまして、特区を活用した医薬品物流の円滑化に向け、国と協議を重ねてまいったところでございます。その結果、来(平成25)年4月から、未承認の医薬品や医療機器などを対象に、医薬品等の輸出入手続の電子化の実証実験が、全国で唯一、関西国際空港で実施されることとなった次第であります。

 これによりまして、申請時の負担は大きく軽減され、手続も大幅にスピードアップされることに加えまして、医薬品物流の流れを関空に定着させる効果も期待されるところでございます。

 今後、実験の具体化に向けまして、電子申請に必要なシステムの開発を進めていく予定となっておりまして、本府も、こうした取り組みに関西国際空港促進協議会の枠組みを活用いたしまして、支援を行ってまいりたいと考えております。

要望

 今後も、完全24時間運用が可能な日本唯一の国際空港である関西空港の機能を最大限に活用し、特区を生かした取り組みを進めてください。

 ところで、新関空会社の収益力を高める上で、物販や飲食、駐車場などの非航空系収入をふやす経営の多角化も重要です。

 新関空会社の経営戦略にも、伊丹空港のターミナルビルを運営する大阪国際空港ターミナルビル株式会社(OAT)との経営の一体化が示されています。世界的に空港民営化の成功例として取り上げられるイギリス・ヒースロー空港など二空港を運営するBAAの平成23年12月期決算を見ると、航空系収入と非航空系収入の比率は56対44となっています。成田国際空港株式会社の平成24年3月期決算でも、航空系と非航空系の収入の比率が56対44でした。

 一方で、これまでの関西国際空港株式会社の平成24年3月期決算を見ると、航空系と非航空系の収入の比率は66対34とやや見劣りがします。

 OATは、平成24年3月期決算で、営業収益が188億4800万円、営業利益が13億100万円、最終利益で5億1000万円を計上、安定した経営を続けています。新関空会社とOATとの経営を一体化することで、非航空系収入がふえ、新関空会社の経営の自由度も高まると考えます。

 大阪府は、OATの株式の20%を所有する筆頭株主である一方、地元自治体として新関空会社の魅力を高め、世界の空港間競争で勝ち抜けるよう経営を側面支援する役割があります。府は、新関空会社やほかのOAT出資者など関係者と協議をし、一体化を進めるべきと考えております。この点、要望しておきます。

2012年10月5日

国際会議等の誘致

質問

 次に、国際会議等の誘致についてお伺いします。

 国際会議等の誘致は、海外から大阪への来訪者をふやすことで、大阪の知名度向上や経済の活性化につなげていく重要な取り組みです。国が、ことし(平成24年)3月に閣議決定した観光立国推進基本計画にも、国際会議や展示会、イベントなどのいわゆるMICE分野での国際競争力強化がうたわれています。

 府も、これまでから国際空港、会議施設を初めとする都市インフラの整備活用や観光情報の発信などで、国際会議等の誘致や開催支援を進めてきました。現状は、どうなっているのでしょうか。

 ベルギー・ブリュッセルに本部を置く国際団体連合が、ことし(平成24年)6月に公表した平成23年の国際会議の開催件数を世界の都市別で比べると、シンガポールが919件で第1位、日本のトップは東京の7位で153件、大阪は31件で52位でした。また、オランダ・アムステルダムに本部を置く国際会議協会のまとめでは、平成23年の都市別のトップは、ウィーンの181件、日本のトップは東京の50件で41位、大阪は19件で109位、団体によって集計している国際会議は異なりますが、どちらの順位を見ても、大阪の置かれた状況は、決して好ましいものではないと思います。

 そこで、府は、大阪の国際会議誘致の中核施設となる府立国際会議場の指定管理者をこれまでの株式会社大阪国際会議場から変更しようとしています。昨(平成23)年度の国際会議場会社の経営状況は、売上高が約16億円、約2億円の納付金を大阪府に支払った上で、1億4000万円の最終利益を上げています。さらに、府は、株主として1200万円の配当金を受け取っており、経営そのものは順調に推移しているように見えます。

 売上高や利益の数字だけなら、指定管理者をかえる理由はないように感じますが、なぜ今新たに指定管理者を公募するのでしょうか、そのねらいと効果についてお伺いします。

 また、府のねらいに合致する事業者が手を挙げてくれるのでしょうか、あわせて府民文化部長の御所見をお伺いします。

答弁
府民文化部長

 府立国際会議場の事業者公募について答弁をさせていただきます。

 大阪の発展のためには、国際会議等の開催を通じました大阪の知名度向上や地域経済の活性化、都市のにぎわいづくりが必要と考えております。しかし、お示しのように、国際会議の誘致につきましては、国内外の都市との誘致競争が最近ますます激化をしております。

 こうしたことから、大阪府立国際会議場の施設運営事業者につきましては、当該施設を単に収支均衡させるだけではなく、関係機関との連携協力のもと、新しいアイデアや幅広い経験、ノウハウを生かしまして、他都市との厳しい競争の中で国際会議等の開催をかち取っていく、そういう事業者を幅広く募集をいたしまして、最適な事業者を透明性の高い形で選定するということが必要であるというふうに考えたところでございます。

 現在、一者の随意契約ということになりますが、それから公募という形に変わることによりまして、事業者間の切磋琢磨が促され、よりよい運営につながるものというふうに考えております。こうした観点から、事業者公募の方針をお示ししたところであり、国際会議等誘致の取り組み方針や施設の維持修繕への協力などを指標といたしまして、今後、公募条件や事業者の選定方法を検討してまいります。

 あわせまして、株式会社大阪国際会議場所有の用地についての権限取得--今国際会議場の底地は、ほとんど会社の所有になっております、その一定の権限の取得の課題について同社と協議が調えば、平成26年度から新たな指定管理者による運営に向けて手続を進めていきたいと考えております。

 事業者公募について、応募の可能性ということでございますけれども、これについては、どのような条件を設定するかということにもよりますけれども、他府県における実例等々から考えますと、必要な能力と実績のある事業者から応募が期待できるものというふうに考えております。

質問

 府立国際会議場の指定管理者として、国際会議等の誘致をかち取れる事業者を幅広く公募するねらいや目的について御答弁をいただきました。

 現在の指定管理者である株式会社大阪国際会議場に関して、大阪府は、筆頭株主として取締役を送り込み、事業運営に対して一定の影響を及ぼすことが可能であったのに対して、今後、公募により選定される指定管理者は、大阪府とは関係のない事業者となることも考えられます。もし、国際会議場会社以外が指定管理者となってしまえば、府立国際会議場の運営に当たって、府の意向を反映させることがより難しくなると思われます。

 そこで、国際会議をふやすという目的の達成を府としてどのように担保するのでしょうか、府民文化部長にお伺いします。

答弁
府民文化部長

 国際会議をふやすという目的をどのように担保するのかという御質問でございます。

 まず、公募条件におきまして、国際会議の誘致指標、これを明確に設定をいたしまして、その指標をもとに応募者に提案をいただき、府としては、その内容を十分審査した上で、最適な指定管理者を選定したいと考えております。こうした手続により選定された指定管理者には、しっかりとその目標実現に向けて事業を推進していただくということになります。

 そして、指定管理者の業務に関する状況把握をきちんと行いまして、設定した目標の達成状況について、毎年度の実績に基づいてきっちり点検評価をしてまいります。こうした点検評価をもとに、業務改善や取り組み強化など適切な指導やアドバイスを行う等、目標とする指標を効果的に達成させられるように取り組んでいくとともに、目標達成に向けまして何らかのインセンティブが働くような仕組みの導入も検討していきたいと考えております。

 さらに、指定管理期間終了後に、当初の目標とその達成状況が乖離という形になれば、次期指定管理者の候補から除外するということも検討したいと考えております。

質問

 国内外での国際会議等の誘致合戦が激しくなる中、大阪が開催地に選ばれるためには、産学官が連携し、府立国際会議場だけでなく、府内のほかの会議施設やインテックス大阪など府内の関係施設をフル活用した誘致の取り組みが不可欠と考えます。

 一例を挙げますと、10月29日から11月1日までの4日間、インテックス大阪で開かれる世界最大の国際金融会議サイボスには、世界各国から約6000人の金融機関の首脳が集まります。ことし(平成24年)で35回目ですが、日本での開催は初めてです。サイボスの主催者は、経済波及効果を百億円と試算しており、会議の様子が世界各国に報道されることと合わせると、大阪にもたらす効果は多大なものとなります。

 また、大きな国際会議を誘致し成功させるためには、会議そのものだけではなく、滞在中の観光やショッピング等のプログラム、いわゆるアフターコンベンションに関する提案や協力も重要な要素となっています。関係者が多岐にわたればわたるほど、国際会議は一施設運営事業者だけで担えるものではなく、行政として大阪トータルの誘致プランの作成や関係者間の連携調整を積極的に進めるなど、地元自治体の役割のほうが大きくなってくると考えますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いします。

答弁
松井一郎知事

 国際会議の誘致に当たりましては、施設の運営事業者だけではなく、まさに地域の総力を結集して対応することが必要であると考えてます。こうした観点から、インテックス大阪を初めとする関係施設との一体的な連携等オール大阪で誘致を進める戦略プランの年度内の策定に向けまして行政、経済界、関連民間事業者が参画する協議の場で検討を進めてまいります。

要望

 知事、ありがとうございます。しっかりとしたプランと、そしてまた実行体制をつくっていただきますようお願いしておきます。

2012年10月5日

使える英語プロジェクト

質問

 次に、使える英語プロジェクトについてお伺いをします。

 きのうは小中学校に関してでございましたが、きょうは高校に関してでございます。

 情報化や国際化の流れは、とどまるところを知らず、実質的な世界共通語である英語の能力を身につけることがますます重要になっています。学校での英語教育が、受験目的から外国人との意思疎通を図るための手段を学ぶことに重点を置くようになる中で、子どもたちが実際に英語を使えるようになるためには、ネイティブスピーカーと英語でやりとりをする機会をより多くつくることが大切と考えます。

 私が、英語を学び始めたのは中学一年生からで、中学、高校はいわゆる受験英語でした。大学二年生になって、初めてネイティブスピーカーによる英会話の授業を受けました。授業のほかにも、アルバイトなどを通し外国人を相手に話す機会がふえていく中で、英語を話す度胸や自信もついてきました。もっと早い段階から、外国人教員による英会話の授業を受けられればよかったのにと、今の子どもたちを見ていてうらやましく思う次第です。

 府が昨(平成23)年度から始めた使える英語プロジェクト、我が会派の八重樫議員が、昨(平成23)年9月議会の一般質問でも取り上げましたが、大きく4つの取り組みがあります。授業を変える、機会を与える、さらに伸ばす、教員を鍛える、です。このうち、府立高校の生徒に対する取り組みについて、昨年度の事業実績を踏まえ、今年度の取り組み状況はどのようになっているのでしょうか、教育長にお伺いします。

答弁
教育長

 高校の使える英語プロジェクトでございますが、すべての府立高校生の英語コミュニケーション能力を向上させることを目指しまして、昨(平成23)年度から事業を進めてまいりました。

 ことし(平成24年)の1月には、この1年目のまとめといたしまして、オオサカ・イングリッシュ・フォーラムを開催し、府立高校32校の生徒がスピーチやプレゼンテーションなどを行いました。参加者は、保護者、中学生を含めまして延べ六百名を超えまして、生徒は、他校の取り組みに互いに刺激を受けておったように思います。

 今(平成24)年度は、各校での取り組みの充実と成果の発信に力を入れております。少し具体の取り組みを紹介いたしますと、茨田高校では、昨(平成23)年スピーチコンテストを実施いたしましたが、ことしは大学の留学生を招きまして、新たに英語合宿を実施する予定でございます。

 また、東百舌鳥高校では、府立高校教員や民間企業関係者など50名近い参観者を集めまして、タブレット端末を活用した公開授業を行い、好評を博しております。

 今後も、生徒が英語を使う機会をふやしますとともに、この情報発信を積極的に行いまして、府立高校における英語教育の充実に努めてまいります。

質問

 使える英語プロジェクトでは、府立高校24校をイングリッシュ・フロンティア・ハイ・スクールズに指定し、達成目標に応じてグループ1から3の3つに分けて取り組みを進めています。

 さて、私、9月25日に、地元淀川区の府立東淀川高校で開かれた使える英語プロジェクト公開授業に出席しました。この高校は、グループ一、ゆっくり話してもらうか繰り返しや言いかえをしてもらえば、簡単な会話は理解できるというのが、到達度の目安となっています。生徒たちと同じようにヘッドセットをつけ、道案内をする会話の練習を体験してきました。生徒たちが一生懸命に話す英語を聞いていると、英会話を学び始めたころの自分を見ているようで、大変懐かしく感じました。

 なぜ、英語を勉強するのでしょうか。この問いかけに、我太平洋のかけ橋とならんと答えたのは、若き日の新渡戸稲造でした。後に国際連盟の事務次長として活躍、著書の武士道は不朽の名作です。

 将来、国際社会で活躍することを目指し、日本の歴史文化と外国の歴史文化を深く理解し、日本語と同等に英語を使いこなせる、いわゆるグローバル人材を育てることも重要です。

 一方、大多数の生徒にとり、英語は、学校を卒業したら勉強しなくなる一科目でしかないかもしれません。ですが、英語を学ぶことを通して国際社会をより身近に感じ、外国人に対しても違和感なく自然な態度で接することができる。さらに会話ができるようになってほしいと願っています。

 せんだって訪れた東淀川高校の生徒たちは、多少照れたり恥ずかしがったりもしていましたが、英語を話すこと自体を楽しんでいるように思えました。また、授業以外でも、外国人講師と英語で話せる場づくりとして、一緒にお弁当を食べることのできるランチルーム、これアメリカ人の、外国人の講師の先生が自分でつくったものです、このようなランチルームがありました。

 基礎的、標準的な英語力を目標としているグループ一、二の研究校の生徒たちに、授業だけにとどまらず、授業以外の場でも、実践を通して英語が話せるおもしろさを実感してもらい、さらに勉強したくなるような教育を強く願うものですが、教育長の御所見をお伺いします。

答弁
教育長

 議員には、東淀川高校の公開授業に御参加いただきまして、本当にありがとうございました。

 議員お示しのとおり、この3つのグループのうち、グループ1及びグループ2では、基礎的、標準的な英語力の向上を目標としておりますが、これらのグループの生徒も含めまして、すべての生徒に対し、英語のコミュニケーション能力を身につけさせたいという思いは、議員と全く同じでございます。

 ある学校では、この授業で英語落語に取り組みまして、生徒が表情豊かに英語でしゃべり、聴衆を楽しませる話術を身につけたとの報告も受けております。また、お示しの授業外におきましても、英語ルームを活用いたしまして、昼休みや放課後にネイティブ講師を囲み、音楽やファッション、あるいはオリンピックなど身近な話題について英会話を楽しみ、自分が話す英語が通じた、あるいは相手が言ってることがわかったというような体験をいたしまして、英語を使う喜びを実感しているというような報告も受けております。

 今後も、英語を使うおもしろさを引き出す取り組みを充実させまして、英語を身近に感じ、英語が好きな生徒をふやしていきたいというように考えております。

意見

 ありがとうございます。

 私自身、英語を勉強、英会話を勉強しておりましたが、まず相手の言ってることがわかる、そして自分の言ったことがきちんと通じた、やはりそれがまた次の勉強しようという意欲につながっていく。やっていくうちに、大変だということはどんどんわかってくるわけですが、それでもやはりそこを通していろんな異なる歴史文化に育った人と交わることができる。英語に限らず、外国語という世界が開けることのすばらしさというのを非常に実感しておりますし、またそういうふうになってほしいと思っております。

2012年10月5日

淀川の活用

質問

 次に、淀川の活用についてお伺いします。

 我が会派の代表質問でも取り上げました行政計画グランドデザイン・大阪で、大都市間をつなぐ大阪都心の玄関口としての機能を生かす地域として、新大阪・大阪エリアというくくりが設定されました。

 これまで、大阪梅田と新大阪は、リニア新幹線の駅の設置をめぐる綱引きに見られるように、2つが別々の拠点としてとらえられていました。しかし、今回のグランドデザインは、緑をキーワードに両者を一体化しようとしています。

 うめきたと周辺のみどり化を手始めに、北は淀川を越え新大阪へ、南は御堂筋へと緑を広げ、新大阪・大阪エリアを緑豊かな都市の品格を感じさせてくれる玄関口に発展させようとする大胆な発想の転換だと思います。

 私にとって淀川は、子どものころの思い出がたくさん詰まった場所です。オタマジャクシやバッタを捕まえ、暗くなるまで草野球を楽しみました。もともと、大川の分岐からの下流は、1910年に開削された人工の川ですが、100年が過ぎ、すっかり大都市大阪の貴重な自然空間となっております。よく見ると、虹も出ております。

 大阪の中心をなす大阪梅田と新大阪の間を淀川が貫いているという点をどう見るか。外国の事例を見ると、川が国境となり、両岸の市や町の往来の妨げになっているところもあれば、橋をかけることで交流を深め、一体となって発展している、そういうところもあります。

 グランドデザインは、淀川を分断の象徴とするのではなく、大阪梅田と新大阪2つの地域が持つ潜在力を組み合わせ、大阪大都市での一大親水空間として、魅力を最大限に引き出そうとしているものと思えます。

 川の魅力を都市の観光資源として大いに活用している事例は、いくつもあります。例えば、ハンガリーの首都ブダペストは、まちの真ん中をドナウ川が流れ、数多くの遊覧船が昼夜問わず観光客を楽しませてくれています。国会議事堂を初め歴史的な名建築も、川に正面を向けるように建てられているため、船からの眺めは、ごらんのとおり見事なものです。

 私は、ことし(平成24年)8月の淀川花火大会の帰り、十三から長柄橋の近くまで淀川をさかのぼる船に乗りました。淀川で船に乗ったのは初めてのことで、いつも見ている梅田の夜景--奥のビルのほうが梅田ですが、この梅田の夜景も船の上から見ると、身近に、より美しく思え、改めて視点を変えることの大切さを痛感しました。

 もう一枚お願いします。

 こちらは、十三大橋からもうちょっと上流に行ったところです。月の光が川面に反映して、実際はこれ以上何倍もすばらしい風景が広がっておりました。

 淀川を管理している国は、大規模災害時に救援物資や復旧資材の輸送に淀川を活用するとの観点から、淀川大堰に船舶の行き来を可能にする閘門の設置を検討していると聞いております。写真の右側のほうになります。

 魅力と品格のある大阪の玄関口として、大阪梅田と新大阪エリアを発展させていくためには、淀川の利用を災害時だけに限定するのではなく、ふだんから近隣住民やこのエリアを訪れた人たちが淀川に親しみ、夜景や花火大会を川面から楽しむなど、魅力の発信、地域の活性化につなげることが重要と考えます。

 また、京都の伏見と大阪を結ぶ三十石船の復活など夢のある話もあります。出発、到着とも同じ場所という周遊ではなく、伏見から大阪湾の淀川河口部まで複数の地点間を船で移動できるようにすれば、地域が連携しての観光の活性化にもつながります。

 府域全体を対象とする新しいグランドデザインをまとめる際には、府域を横断する淀川を生かした都市の魅力づくりなど、広域的な戦略を盛り込んでいくべきです。河川管理者の国を巻き込んで淀川の活用に取り組んでいくことが重要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。

答弁
松井一郎知事

 新大阪・大阪エリアの中央を流れる淀川を取り込んでエリアの魅力を高めていくことは、大変重要であります。

 現在、国におきまして、災害時における水上輸送が可能となるように、淀川大堰における閘門の設置が検討されているところであります。閘門は、災害時の対応だけでなく、平常時の舟運にも活用をできることから、国の動きを促進し、ベイエリアから新大阪、枚方方面に至る舟運観光につなげるなど、広域的な視点から新しいグランドデザイン・大阪都市圏の中で検討してまいります。

結び

 ありがとうございます。土佐堀川、道頓堀川などを初めとする大阪の水の回廊にも負けないようなすばらしい淀川の空間になってほしいと切に願っております。

 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。