第5期
2024年
第4期
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
第3期
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
第2期
2014年
2013年
2012年
2011年
第1期
2010年
2009年
2008年
2007年
2008年8月21日
当委員会に限らず、一段と少子化、高齢化が進むと予測される中でどのように働き手を確保していくか、どうすれば働きやすい環境がつくられるのかという観点から、これまでも若者、女性、高齢者の活用ということがたびたび議論されてきました。
将来に目を向けますと、先ほども紹介ございました国立社会保障・人口問題研究所の推計で、大阪府の人口は2000年の880万人から2030年には766万人に減少すると予測されています。さらに、2050年、今から40年以上先ですが、静岡大学経済統計学研究室によれば、大阪府の人口の減少率は全国平均の減少率約25%より大きく、2000年に比べて32%減、約596万人にまで落ち込むと推計されています。
2000年に比べて人口がふえるのは東京都と沖縄県だけで、東京都は企業の本社機能が集中し、海外企業が拠点を置くため、沖縄県は出生率や人口の転入率が高いから人口増になると、静岡大学の土居英二名誉教授は理由を分析した上で、技術開発、海外市場開拓を担う人材を育成するための教育が重要になると、産経新聞の取材に答えています。
そこで、大阪府でも働き手を確保する上で中長期を見据えた人材育成、教育が大事になってくると考えます。そこで、きょうの委員会では小中学生を対象にしました、みずからの生き方を主体的に決定できる能力や態度を育て、社会人、職業人として自立していくためのキャリア教育と若者への就職支援の取り組み、2つのテーマについて質問を進めていきます。
まずは、大阪府内の公立小中学校でのキャリア教育についてです。
将来の不透明さが増す中で、就職、進学を問わず子どもの進路をめぐる環境は大きく変化しています。小中学校でもキャリア教育の一環として職場見学や職場体験学習を実施していると聞いておりますが、現状をお聞かせください。
実施の現状についてでございますが、小学校におきましては、1年生、2年生では生活科、3年生以上では社会科や総合的な学習の時間におきまして、身近な人の仕事、地域の企業や事業所についての調べ学習を行うなど、児童の発達段階に応じ働く喜びや意義について学習をしております。
中学校におきましては、働く意義を理解する機会として、職業調べや地域の方からの職業に関する聞き取り、あるいは事業所等と連携した職場体験学習などを実施しております。平成19年度の職場体験学習の実施率は96.9%、そのうち複数日の実施は87.2%となっております。
取り組みの効果や成果についてどのように把握されておりますでしょうか、お教えをいただきたいと思います。
職場体験を経験して、子どもたちは日ごろの生活環境とは異なる場所で、初めて出会った働く大人と接することを通じまして、学校生活では得ることのできない厳しさ、楽しさを得たり、またその中であいさつや服装、言葉遣い、働くことの大切さや進路選択についての情報などを身につけてくるという効果がございます。
職場体験を実施した学校からは、職場体験を通して仕事のやりがいを感じ、自分の将来への夢や展望が持てたということを初め、親の職業に対しての理解が深まり、両親に対する尊敬する心も芽生えたという報告もございます。さらに、保護者からは、家庭で親子の話し合う場面がふえたとの声も聞いております。
このように、みずから仕事を体験したり働く人に接したりすることにより、勤労観、職業観の育成や学習意欲、仕事に対する理解、あるいはコミュニケーション能力の向上など、高い教育効果があると認識しております。
子どもたちは生きる力を身につけ、社会の激しい変化に流されることなく、それぞれが直面するであろうさまざまな課題を柔軟かつたくましく対応し、社会人、職業人として自立していくことができるようにする教育の推進が大切だと考えます。
府の教育委員会では、平成17年4月に「キャリア教育を推進するために」という指針をまとめられ、学校教育活動全体を通して、子どもたち一人一人に豊かな職業観、勤労観をはぐくむキャリア教育の推進に努めていると聞いております。今後、このキャリア教育、どのように進めていくのか、その方向性、課題についてお聞きをします。
平成20年7月1日に示されました大阪府学校教育審議会の答申には、子どもたちが将来自立した大人として生きていく力を身につけるためには、キャリア教育と関連させながら人間関係形成能力や情報活用能力、将来設計能力、意識決定能力などの力や社会人、職業人としての基礎的な態度、資質の育成が必要となると述べられております。また、新しい学習指導要領の中でも、人間としての生き方についての自覚を深めるためには、職場体験活動等の体験活動の必要性が示されております。
これらの趣旨を踏まえまして、キャリア教育を推進するためには、これまでの体験活動などの取り組みが、子どもたちの将来を見据え小学校段階からの系統的、継続的なものとなることが重要であると考えております。そのためには、府教育委員会といたしましては、先進的な取り組みや指導資料を発信することにより、各学校において系統的なキャリア教育が実践されるよう働きかけてまいりたいと考えております。
このキャリア教育、私が実際に通い卒業しました中学校では、私が卒業してからかなり後になってからですが、そこの学校の校医さん、お医者さんが中心になりましてその地域で活躍する人、また中学校の卒業生などなど呼んで、そして子どもたちに実際にその人たちの仕事、職場を見てもらう、また仕事の体験を聞いてもらう、そういった取り組みをして非常に好評であります。
どうか、こういうキャリア教育、学校だけではなくさまざまなところの力が要るわけでございます。広く知恵を募って、子どもたちにとって有意義なものになりますように強く要望をしておきます。
2008年8月21日
続きまして、若者対策のほうに質問を進めてまいります。
大阪には、職についていない失業中の若者が約9万人いるそうです。また、フリーターやニートという問題もございます。その人数は減少傾向にあるとはいいましても、状況を詳しく見てみますと、就職氷河期に正社員につけなかったいわゆる年長フリーターや、自信喪失や精神疾患で働きたくても働けない状態になっているニートなど、より課題が専門化、複雑化しております。
こうした若者の就労に関する問題は、何もこの日本だけではございません。ヨーロッパでも1990年代後半から問題となり、各国がその対策に乗り出しております。特にイギリスでは、やはりニートという言葉が生まれた国でございます。イギリスでは、卒業後一度も就職することなく公的給付に依存する若者が増加したことから、コネクションズという取り組みを今実施をしております。
このコネクションズ、駅の近くや大通りといった人目につきやすいところに活動拠点を置き、13歳から19歳までのすべての若者を対象に、2001年から雇用、住宅、家族、精神衛生など、包括的に支援するサービスを行っております。施策の特徴としては、パーソナルアドバイザーと呼ばれる専門的知識を持ったスタッフを配置し、キャリア教育、就業支援を他の機関と密接に連携しながらワンストップで行っております。
さらに、クライアントになりすました若者が電話を入れたり、パーソナルアドバイザーに相談を持ちかけたりして、その対応を評価するといった第三者機関による監査も入り、その成果、実績をきちんと評価しているそうです。大阪府でもこのような施策、大いに参考にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
大阪府におきましても、委員お示しのコネクションズを参考にした若者の就労支援施策を2つ実施しております。
その1つが、フリーター対策としてのJOBカフェOSAKAでございます。JOBカフェOSAKAでは、コネクションズ同様、きめ細かな相談体制、キャリア教育支援事業など、若者の就労支援の拠点としてさまざまなサービスを実施しております。
もう一つが、ニート対策として平成18年9月から実施をしております大阪府若者サポートステーション事業でございます。この事業は、国の若者自立・挑戦プランにおきましても日本版コネクションズ構想として盛り込まれておりまして、厚生労働省と大阪府との協働事業でございます。これにつきましても、コネクションズ同様、サポートステーションが核となりまして、若者を支援するさまざまな機関が連携し、若者の置かれた個々の状況に応じて自立に向けた包括的な支援を継続的に実施しているところでございます。
大阪府がJOBカフェOSAKAや大阪府若者サポートステーション、ニートサポートクラブにおきまして全国に先駆けて実施をしておりますこの若者就労支援策につきましては、公明党もこれまで最大限応援をしてまいりました。私も、昨年春の当選後間もない時期にJOBカフェOSAKAの視察に行き、取り組みについてその話を聞いてきたところです。
JOBカフェOSAKAにつきましては、これまで多くのフリーターの若者を正社員として就職できるように支援するなど、大きな実績を上げております。JOBカフェOSAKAには、こうした就職困難者を支援する機能に加え、大阪を支える中小企業に人材を供給するという機能もあると思いますが、ものづくり関連の事業者からは、若者を中心に人材を確保できないという話をよく聞きます。
大阪には、先ほども指摘しましたとおり、9万人もの失業中の若者がいるのに、中小企業が人材難というのは、企業にも原因があると考えますが、若者の企業選びに偏りがあるのではないかとも思います。若者の仕事に対する意識の実態について御教示をいただきたいと思います。
若者の実態ということでございますが、2008年版ものづくり白書によりますと、29歳以下の若年者の職業別の求人求職状況を見てみますと、事務的職業では、企業の出す求人数が6万6千件であるのに対しまして若年者の求職者数が18万6千人となっており、非常に人気が高いのに比べまして、生産工程・労務の職業では、求人数が16万人に対しまして求職者数は13万5千人と、逆に不人気となっている状況でございます。
また、JOBカフェOSAKAでの若者へのカウンセリングを通じましても、事務職への偏重でありますとか、ものづくり職種の敬遠など、希望職種に偏りがあるということがわかってきたところでございます。
委員お示しのものづくりにつきましては、若者に敬遠されがちな職種の一つでありまして、その原因として、危険、きつい、汚いという3K職場のイメージが先行いたしておりまして、大阪の基幹産業であるものづくりの重要性でありますとか、ものづくりを通じて得られる喜びといったものがうまく浸透していないのではないかということは考えております。
若者が仕事の内容を詳しく知らずに、また考えずにイメージだけで企業を選ぶことは、その後の離職にもつながりやすく、大変問題であると考えられます。若者の仕事に対する誤ったイメージを払拭し、仕事の本質や重要性を伝えていくためには、大阪を支える産業の重要性をキャリア教育という形で働きかける必要があり、産業界と連携をしやすい商工労働部におきましても、教育委員会と連携して積極的に取り組んでいただくべきと考えております。
JOBカフェOSAKAにはイギリスのコネクションズ同様、キャリア教育支援事業のメニューがあると先ほど答弁でもいただいております。どのように取り組んでいらっしゃるのか、現状を御教示いただけますでしょうか。
委員お示しの職業観の醸成を行いますキャリア教育につきましては、職業人として職業生活を続けていく上での土台を形成するものであり、またさまざまな仕事に触れることで、それぞれの仕事が持つ楽しさでありますとかやりがいを実感でき、イメージにとらわれない職業観の醸成につながるものと考えております。
こういった観点から、JOBカフェでは経済産業省の事業も活用しまして、在学中の生徒等に対し、最先端の技術や企業人に接することにより、仕事への理解を深め、将来、中小企業を担っていただける人材となるようさまざまな事業を実施しております。具体的には、先端企業の技術やものづくりの真髄を学ぶため、工科高校の生徒に対しまして企業実習や企業従業員による技術指導などを実施しており、生きたものづくりの技術や楽しさを伝えるような取り組みを行っているところでございます。
また、早い段階からものづくりの魅力に触れ、その楽しさを理解してもらうため、中学生に対しましてものづくり体験ツアーなどの体験学習を実施しております。さらには、生徒の職業選択に大きな影響を与えると考えられる保護者等に対しましても、地元のものづくり中小企業の見学会等を実施しまして、イメージにとらわれない仕事の本質、企業の技術力などを体感してもらっております。
このJOBカフェOSAKAにおきまして、就労段階だけでなく教育段階からのキャリア教育を実施することにより、大きな効果を上げていらっしゃる。よくわかりました。
次に、ニート施策を実施する大阪府若者サポートステーションについてお伺いします。
ニート状態にある若者が多様な課題を抱えていることは、私もさまざまな形でお話を聞く中から感じており、労働施策というアプローチだけではこうした若者への対応は限界があると思っております。この点、このイギリスのコネクションズは、労働機関だけではなく、教育や福祉も含めた官民による組織によりネットワークを形成し、若者の支援に取り組んでおります。
大阪府若者サポートステーションでは、若者が抱えるさまざまな課題に対応すべく、どのように他の機関と連携をされているのか、お伺いをします。
大阪府若者サポートステーションでは、平成18年の設置以来、こころの健康総合センター、発達障がい者支援センター、ハローワークなど、医療、福祉、教育、労働に係る公的機関を初めとしまして、NPOや企業を構成員とするいわゆる若者支援機関によるネットワークを構築しております。そして、このネットワークにより、多様な課題を抱えたニート状態にある若者の支援に取り組んでいるところでございます。
これまで支援ネットワークの会議を四回開催をいたしまして、各支援機関から若者支援の現状と課題について御報告をいただき、それを踏まえた連携のあり方について議論を重ねてきたところでございます。そして、より連携した支援のため、相互の機関の支援内容の理解が不可欠であると判断をいたしまして、各支援機関とその支援内容を一覧にした若者支援関係機関マップというものを本(平成20)年2月に作成したところでございます。
現在、大阪府若者サポートステーションを中心に実施しているニート施策は、主にニート状態になった若者に対するものであります。これももちろん重要でありますが、JOBカフェOSAKAにおけるフリーター施策同様、もっと早い段階から働きかけ、ニートになることを事前に予防する施策の実施も重要であると考えます。
昨(平成19)年度に国が実施をしたニート状態にある若者に対するアンケート調査によりますと、ニート状態にある若者の学歴は、同世代の水準から見て特に低いとは言えない。しかし、進学後については高校、大学等での中退者が3割を超え、1カ月以上の長期欠席経験者も4割近くに上っていると、ニート状態にある若者の中には、学校段階でつまづきを経験している人が多く見られます。
こうしたことから、教育段階からの施策実施も重要になると考えますが、ニート予防について労働施策の側からどのように対応しているのか、お伺いをします。
委員お示しのように、ニート状態にある若者の多くが学校段階でつまづきを経験しているということが、府が実施しておりますカウンセリングを通じて、その中でも明らかになっているところでございます。
このため、JOBカフェでは厚生労働省の事業を活用しまして、早い段階からさまざまな事業についての大切さを理解できるよう、小中学生に対しましてワークショップ型の企業見学会を実施するなど、学校教育の段階からキャリア教育の実施に取り組んでいるところでございます。
また、教育委員会とも連携をいたしまして、高校卒業時点で就職できてない方や中途退学者に対しまして、直接働きかける就職支援希望カード制を導入しているところでございます。この制度は、学校の働きかけにより、未就職者等にあらかじめ就職支援の希望カードを登録してもらい、JOBカフェOSAKA等で実施する就労支援やスキルアップ研修等の情報を継続的に提供しまして、各種就労支援につなげていこうとするものでございます。
今後とも、教育委員会と連携をしまして、こういう制度を活用しながら、教育段階からの円滑な就労支援に努めてまいりたいと思っております。
この人口減少社会ということに対し、労働力が減って経済の活力が奪われる、国民の負担がふえるといった悲観的な論調のほうがどうしても日本の国、強くなっていると感じております。
元世界銀行の副総裁・西水美恵子氏は、日本経済新聞への寄稿の中で、逆境にめいらず、奮起一番、希望の光を見出せとの意味で「何事にも銀の裏地」との言葉を引用し、人口減少という難題を抱え、打開策に移民開国も取りざたされる今こそ、銀の裏地を探すときではないか。解決に長い年月がかかる問題なら、なおさらのことだと指摘しています。
人口減少の負の影響を克服した未来を想像し、その実現に何をすべきか考える。借金を返し終わるまで一般的に40年かかる、息の長い国づくりのための世界銀行の融資を手がけてきた西水氏の経験に基づく未来を基点に物事を考えるという発想が、大阪府にも大事だと思います。
この40年後の2050年、このときに大阪を現役世代として背負ってくれるのは、今の小学生、中学生の年代です。この子どもたちが今のうちから働く大人たちを身近に感じ、働くことの大切さを学んでくれることで、いざ働く年代になったときにスムーズに社会に出ていってほしいと願っております。
また、足元を見れば、他の年代に比べ失業率の高い若年層に働く意識を持ってもらい、その意欲を受けとめる場所が必要不可欠です。JOBカフェOSAKAや若者サポートステーションは悩みを抱える若者の側に立ち、しっかりと手を差し伸べていただきますようお願いをしておきます。
そして、私も議員として、まさに西水氏の指摘される何事にも銀の裏地、この考えでしっかりとまた取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。また、府の皆様にもしっかりと、その銀の裏地探し、頑張っていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。