第5期
2024年
第4期
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第3期
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第2期
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第1期
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2009年
2008年
2007年
2014年3月6日
まず、ピースおおさかの展示リニューアルについてお伺いします。
ピースおおさかは、平成3年の開館以来初めてとなる展示リニューアルに取り組んでいるところです。先日、運営財団から実施設計についての中間報告があり、概要について府民文化部より説明をいただきました。
昨(平成25)年9月定例会の際、我が会派は、戦争の悲惨さ、平和のとうとさを次世代に伝えるという開館以来の目的は堅持しながら、さらに実効ある取り組みとしていくために、絶対に戦争を起こしてはならないと子どもたちが体感できる場として、日本が戦争を経た歴史を学べる展示にすべきとの趣旨で代表質問をしたところです。その上で、今回のリニューアルをピースおおさかの新たな歴史の始まりとするべく、幾つかお聞きします。
まず、開館から20年以上経過していますが、一度も展示の更新がなされなかったことをどう受けとめるべきかということです。
手の込んだ展示物を作製したために、かえって更新しづらくなったのではないかと考えます。今後も、時とともに展示物が陳腐化していくことは、避けられないと思います。であるならば、今後は容易に展示がえができる柔軟性が必要ではないでしょうか。
次に、ピースおおさかには、戦争体験者やその遺族ら多くの方々から寄贈された貴重な資料があります。それらは、ピースおおさかならば、戦争のつらい、悲しい体験を後世に引き継いでいってくれると思って寄せられたものです。その思いを無にしないためにも、展示リニューアルに当たっては、これら寄贈品を最大限に生かすべきと考えます。
また、ピースおおさかには、大阪空襲の戦没者を追悼し、平和を祈念する場として、刻の庭が整備されています。ですが、大阪空襲で亡くなられた約9000人のお名前が刻まれているという事実は、府民に限らず、広く知られていないのではないでしょうか。展示リニューアルを機に、追悼の場、平和を祈念する場という役割を今まで以上に発信し、もっと多くの府民や来館者に知ってもらうべきと考えます。
さらに、大阪城公園には、国内外からの観光客も多くやってきます。この人たちにも足を運んでもらえるような工夫や外国語での情報発信にも力を入れるべきではないでしょうか。
以上、将来のリニューアルを見据えた展示の柔軟性、寄贈品の活用、大阪空襲の犠牲者を追悼する場であることのアピール、大阪を訪れる旅行者への情報発信の4点につき、府民文化部長の所見をお伺いします。
ピースおおさかの展示リニューアルにつきまして、4点にわたり御提案をいただきました。
まず、展示の柔軟性でございますが、展示物の劣化が進むほか、歴史研究の進展に照らして展示内容や説明文に変更の必要が生ずることもあることから、展示更新はしやすいように工夫をしていきたいと考えております。
次に、寄贈品の活用でございますが、今般の展示リニューアルでは、当時を物語るものとして最もパワーのある証言と実物を中心に展示を構成することといたしておりますが、実物については、当時の人々の思いのこもった寄贈品をできるだけ活用していくことが重要と考えております。
次に、大阪空襲犠牲者追悼の場であることのアピールでございますが、例えば数年前から、8月15日--終戦の日当日に、館の敷地内にある刻(とき)の庭において、戦争犠牲者追悼式や平和コンサートなどを開催しております。また、今般の展示リニューアルでは、大阪空襲の実相を展示するゾーンを、刻の庭と同じく一階に配置して関連性を持たせるとともに、庭に面するホールに、子どもたちの命へのメッセージとして絵や作文を展示するなど、展示ストーリーを工夫しております。これらを含めてピースおおさかが、大阪空襲犠牲者を追悼し、平和を祈念する場であることを広く知っていただきたいと考えております。
最後に、大阪を訪れる旅行者への情報発信でございますが、一人でも多くの方にピースおおさかに来館していただけるよう、今般の展示リニューアルを契機に、大阪城公園内での多言語の案内表示の工夫やインターネットによる情報発信に努めるなど、今後さらに取り組みを強化していきたいと考えております。
議員からお示しのこれらの点が、展示リニューアルや今後の事業展開にしっかり反映されるよう、大阪市とともに財団を支援してまいります。
開館に当たり、まとめられましたピースおおさかの設置理念を今回改めて読み返しました。その中に、「人類共通の願いである恒久平和は、戦争の惨禍を知る世界中のあらゆる地域の人々が、それぞれの体験を伝え合い、語り続けることによって達成されます」、「当センターも、大阪における戦争被害者に対する追悼の場であるとともに、平和に向けての新たな地域的な取り組みを意図したものです」とあります。まさに、このとおりだと思います。この原点を大切にし、平和創出に向けて大阪の見識を示す施設として充実させていくことを要望しておきます。
2014年3月6日
次に、子ども総合計画について伺います。
平成27年度からの開始に向け検討を進めている大阪府子ども総合計画(仮称)は、若者が自立できる社会、子育てができる社会、子どもが成長できる社会などを基本方向とし、大阪の若者が自立し、子どもを産み育て、やがて育った子どもたちが再び大阪で自立していくというよい循環をつくり出すことを目指しています。こうした循環の中でも、とりわけ親の育ちをどう応援していくのかということが、子どもにとっても重要な視点ではないでしょうか。
現在、中間まとめに向けた作業中とお聞きしておりますが、今後どのように取り組んでいこうとしているのでしょうか。
さて、先日、我が会派で大分県庁に伺いました。子育て満足度日本一の実現を旗印に、新おおいた子ども・子育て応援プランで決めた目標数値の達成に県を挙げて取り組んでいます。その結果、平成18年には1日当たり36分と全国最下位だった男性の家事、育児関連時間が、平成23年には86分で全国7位に急上昇するといった成果が出ました。父親の育児参加の体験談を漫画や写真を使ったわかりやすい冊子にまとめ、意識啓発に役立てています。
大阪府も、これまでこども・未来プラン後期計画に基づいて、子どもを産み育てやすい環境づくりを進めてきたとのことですが、子ども総合計画の具体化、実施に当たっては、現行の計画で取り組んできたことの評価を踏まえ、より実効性のある計画にし、しっかりと進捗管理をすべきと考えますが、福祉部長の所見を伺います。
仮称ではありますが、子ども総合計画の策定に向けまして、平成25年度は、現在のこども・未来プランの進捗につきまして中間評価を行いました。その結果、子育て支援に関連する施策の成果指標などは、ほぼ6割程度が目標を達成しているという状況にございます。
その中で、お示しの親の育ち、これをどうサポートするかという点につきましては、情報不足や孤立感に悩む親が児童虐待に陥るおそれも多く、こうしたことは、都市部において顕著でありますことから、特に意を用いて取り組む必要があるというふうに考えています。
現在、地域の子育て家庭も対象に、保育所等で育児相談が実施をされているほか、27年度からの子ども・子育て支援新制度では、認定こども園の普及により、総合的な子育て支援機能の充実を図るということになっております。今後、こうした動きや府の広域的な役割を踏まえまして、この親の育ちを支援し、家庭の養育力を高める、そのための施策を検討してまいりたいと考えております。
また、計画全体につきましては、お示しのような他府県の事例も研究をし、幅広い視点から検討を進めるとともに、その進捗につきましては、PDCAサイクルの中でしっかりと検証し、実効性あるものとしてまいりたいと考えております。
市町村ともしっかり連携し、子ども総合計画がしっかりと成果の上がるものになりますよう要望しておきます。
2014年3月6日
次に、がん対策基金について伺います。
我が会派が提案したがん対策基金が、平成24年11月に設立されてから、間もなく1年半になります。昨(平成25)年10月には、府内のがん検診車六台が府庁に集まり、がん検診受診率の向上を呼びかける出陣式がありました。また、がん対策基金の認知度を高めるため、府民からの公募で基金のシンボルマークができました。
大阪府がん対策基金条例の第一条には、「がんの予防及び早期発見の推進その他がん対策の推進に資する」と設置の目的を定義しています。全国でも最低レベルのがん検診の受診率の向上や児童生徒に対するがん教育など総合的ながん対策の推進をしていくには、寄附金の確保は欠かせません。
そこで、まず基金のこれまでの寄附額や平成25年度の事業内容をお聞きします。また、平成26年度は、がん患者やその家族といった当事者の意見を反映させた事業を実施してはいかがでしょうか。
以上、健康医療部長にお伺いします。
がん対策基金は、集中的にがん対策に取り組むといった観点から、総額3千万円という規模で、第2期がん対策推進計画の取り組み期間に合わせ、平成25年度からの5年間を対象としておりまして、寄附額につきましては、平成26年1月末現在、41件で1千万円を超える申し出をいただいているところでございます。今後も、これまでの活動を粘り強く継続し、当初予定の3千万円の寄附額を確保できるよう取り組んでまいります。
平成25年度のがん対策基金事業につきましては、大阪府がん対策基金のシンボルマークの公募やがん検診車を活用した普及啓発事業のほかに、府民の意見を反映させるため、企画提案型公募によるがん対策貢献事業として、がんの予防につながる学習活動、がん検診の普及啓発、がん患者の在宅療養・看護の3つのテーマに沿って活動する企業、団体への助成事業もあわせて実施しているところであります。
なお、平成26年度の基金事業につきましては、25年度と同様に、公募事業を継続して行う予定であります。実施に当たりましては、平成25年度の基金事業の検証を行うとともに、この3月27日に開催予定のがん患者、家族との意見交換会におきまして御意見をお聞きしながら、新たなテーマも検討してまいります。
基金に寄附された方々の思いをしっかりと受けとめ、有意義な事業を展開されますことを要望しておきます。
2014年3月6日
次に、中小企業の人材確保に向けて伺います。
大阪府では、昨(平成25)年9月にリニューアルオープンしたOSAKAしごとフィールドにおいて、府内中小企業と就職希望者のマッチング等に力を入れていますが、今後の生産年齢人口等の減少を踏まえると、大阪経済の基盤を支える府内中小企業に優秀な人材を確保することこそ、大阪の成長を考える上で欠かせない最優先課題ではないでしょうか。
特に若手人材の確保という点においては、マッチングの促進とともに離職予防の取り組みが重要です。昨年九月末の大阪労働局の発表によりますと、平成22年度3月の大卒就職者のうち、31.1%が3年以内で離職しており、若者の高い離職率は、大きな社会問題となっています。
この問題を解決する一つの手法として、インターンシップ--職場実習があります。学生たちが在学中から実際に企業で働く経験を得るインターンシップは、若年者の離職防止策として有効と言われておりますが、とりわけ知名度の低い中小企業にとって、企業の魅力や働きがいを学生に伝える上で効果が高いと思われます。インターンシップは、基本的に大学で取り組むべきであるとは思いますが、中小企業振興と雇用対策を所管する府の商工労働部におきましても、大学等の取り組みをサポートしていくことが必要であると思います。
このような学生向けのインターンシップの取り組みを初め、キャリア教育に熱心な府内の大学や地域の優良な中小企業など産学官が連携協働し、府内中小企業の若手人材確保支援にさらに取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、商工労働部長にお伺いします。
府内中小企業の若手人材確保支援についてお答えいたします。
中小企業におきまして、人材は極めて重要な経営資源であり、中でも若手人材の確保は、企業の成長、ひいては大阪産業の活性化に不可欠と認識をしております。
大阪府では、OSAKAしごとフィールドを中心に、優良企業就活ガイドの発行や金融機関と連携した合同企業説明会の開催、離職予防セミナーの実施など、若者と中小企業のマッチングや就職後の離職予防に取り組んできたところでございます。
また、大学に在学中から中小企業との接点をつくり、相互理解を促すことが重要であることから、緊急雇用創出基金事業も活用しながら、インターンシップの取り組みや、PBLと呼ばれておりますが、企業などが抱える実践的な課題を学生の力で解決させる実践型授業というような取り組みへも参画をしているところでございます。
今後、OSAKAしごとフィールドを核に、小規模事業経営支援事業も活用しながら、商工団体や金融機関などと地域の大学の連携を深めまして、若者が中小企業の魅力に触れる機会をふやすことで、府内の中小企業で定着し、働き続ける産業人材の育成に取り組んでまいります。
昨(平成25)年の夏、会派の視察で、はこだて未来大学に行きました。開学14年目と若い大学ですが、人材育成や地域貢献に大きな成果を上げています。その一つが、3年時に履修するプロジェクト学習--先ほど御答弁にありましたPBLのことです。今年度は、北海道新幹線開通に備えた御当地キャラクターのデザインづくりや、やわらかさを感じることのできる義手の開発など20以上のテーマがありました。学生のフレッシュな感覚が、地元自治体や企業、団体の課題解決に役立っています。
大阪でも、多くの学生がこのような学習の機会に恵まれるよう、府が大学と企業、団体の橋渡し役をされてもよいかと思いますので、要望しておきます。
2014年3月6日
さて、企業の人材活用に当たり、今後の組織改革も必要です。例えば、アメリカで生まれたダイバーシティーマネジメントという考え方があります。これは、多様な人材を雇い、異質な知識、技術、経験を発揮してもらうことで会社の競争力を高める取り組みで、大企業にとどまらず、中小企業も大いに取り入れるべきと考えます。
日本企業の多くは、いまだに働く人が組織のルールに合わせるべきだという旧来の考え方が色濃く残っており、例えば時短勤務をしている育児中の女性に対して、残業できない人は使えないと評価しがちです。こうした考え方を180度転換し、働く人たちに組織が合わせる、これがダイバーシティーマネジメントの基本で、多様な働き方に対応できるよう業務体制を変えていき、社員の能力発揮を妨げている職場環境の要素を一つずつ取り除いていくようなダイバーシティーマネジメントの考え方を浸透させることも重要と考えます。
今後、大阪府として、このダイバーシティーマネジメントの考え方を浸透させるためにも、あらゆる労働者が生きがいを持って働く職場環境づくりや、中小企業の多様な人材確保の支援に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、商工労働部長にお伺いします。
労働力人口が減少する中、中小企業が求める人材を確保するためには、若者や女性、障がい者や高齢者など多様な方の就業機会の拡大と、これらの方が生きがいを持って働き、その能力を最大限発揮できる職場環境づくりに取り組むことが重要であります。このため、大阪府では、OSAKAしごとフィールドや障がい者雇用促進センターにおきまして、人材を求める企業に対し、求人条件や職場環境の見直しに向けたアドバイスなどきめ細かな支援を実施し、就職の促進に努めているところでございます。
また、職場環境づくりの観点では、大阪府総合労働事務所におきまして、労働環境の改善に取り組んだ先進的な中小企業を紹介するなど、経営者の意識啓発を実施しているところでございます。
今後とも、これらの取り組みを着実に推進することによりまして、議員お示しの多様な人材が活躍できる環境づくりを図ってまいります。
2014年3月6日
次に、高校における英語力の養成についてお伺いします。
府は、平成27年度から骨太の英語力養成事業と題し、高校3年間での英語学習の到達レベルを、生徒が英語圏の大学に進学できる程度にまで読む、聞く、書く、話すの4技能を引き上げることを目標に、TOEFL iBTなどを活用した英語教育を始めます。このため、教員免許の有無にかかわらず、高い英語力を持ったスーパーイングリッシュティーチャーを採用し、グローバルリーダーズハイスクールなど17校に配属するとお聞きしております。
高い目標を達成するためには、それだけの優秀な教員を確保するのが最優先なのは言うまでもありませんが、果たしてそのような人材の確保ができるのでしょうか。既に、第1回選考の出願に入っていますが、どれくらいの応募があるのでしょうか。また、優秀な人材を確保すべく府教委として取り組まれていることについて、現状と今後の見通しを教育長にお伺いします。
加治木議員から御指摘のありましたスーパーイングリッシュティーチャーですけれども、現在、TOEFL iBT100点、IELTS7.5点以上、いずれも4技能をはかる英語の試験ですけれども、これを応募の条件とさせていただいています。なぜかというと、TOEFLでいうと、80点から100点なければ海外大学の入り口に立たせてもらえない、入学、応募できないということなんで、そこを設定しています。
なぜ、海外大学に行けるようにしたいのかというと、海外大学に行けということを推奨しているんではなくて、やはり高校生に選択を与えたいと。日本と海外の大学を比較して、リーダー層が海外大学に行く実力がないから、諦めて日本の大学に行くというのでなくて、選んだ上で日本の大学に行く、これはこれですばらしいことだというふうに思っています。
現在の応募状況ですけれども、3月4日時点、これ第1回選考の状態ですけれども、15名の方が応募手続に入っていただいております。これ、応募に当たっては、広報活動として、ハーバード大学を初めとする海外の大学や東京大学、京都大学、大阪大学等の就職担当セクション、留学生のためのTOEFL iBT受験予備校、研究者の求人サイト、国際的に活動する教育関連のNPOへのアプローチなど積極的な広報を行いました。
7月には、第2回の選考もございます。これは、英語力だけあればいいということでは当然務まりませんので、何度も面接試験等を行いまして、先生としての資質を備えた人を選んでいきたいというふうに思います。平成28年度には、17校全てでTOEFL iBTを扱った授業を導入することと考えておりまして、今年度の選考での採用者を含め、20名程度のスーパーイングリッシュティーチャーを採用したいと思っております。
仮に、議員の御懸念にもありますように、すぐれた人材が見つからなかった--これは、原因は2つに集約されることになると思います。1つは、広報活動が悪い。その場合には、広報活動を見直します。それから、応募条件が厳し過ぎる。そうなった場合には、日本にそれだけの条件を備えた人がいないということがわかるわけですから、応募条件を見直していかなければいけない、そういうふうに考えております。
私が小学生のころ、授業の一環でアサガオを育てました。鉢植えのアサガオは、子どもの背丈を超して大きくなることはありませんでしたが、その種を翌年家の片隅にまいたところ、2階の屋根に届くほどに伸びました。同じアサガオでも、植える場所を変えれば、こうも違うものか、家族や近所の人たちと驚いたことを覚えています。アサガオを生徒とすれば、伸びていくための支えが教師と言えます。生徒にとって最大の教育環境は、教師です。ぜひとも、優秀な人に来てほしいと願っております。人数確保を優先する余り、生徒の可能性を引き出せないスーパーイングリッシュティーチャーもどきを採用されないよう強く求めておきます。
先日、我が会派で、大分県別府市にあります立命館アジア太平洋大学を視察しました。84の国・地域から約2500百人と日本の約3100人の学生が在籍し、各科目が日本語と英語で授業が行われております。何か教育長も、過去に視察に行かれたそうですね。日本語ができない留学生、英語ができない日本の学生とも、最初の2年間で各自にとっての外国語を身につけ、3、4年生は、全員が専門科目を日本語、英語の両方で学ぶカリキュラムが組まれています。
そこでお聞きしたことは、この大学の卒業生が、ある企業の苦情処理窓口で活躍しているとのことです。TOEFLやTOEICといった英語の試験の点数は、決して高くないそうですが、相手が何を伝えたいのか理解する能力にたけているのではないか。その背景には、この大学でいろんな国の学生といろんななまりのある英語で、またいろんな文化につかりながらコミュニケーションをとっていたからではないかと伺いました。
大阪府は、今年度までの3年間、府立高校24校を対象に使える英語プロジェクトを実施してきました。私も、平成24年9月定例会の一般質問で取り上げましたが、どのような成果があったのか、非常に気にかけております。
この使える英語プロジェクトに外国人講師としてかかわった私の友人に意見を求めたところ、よかった点として一つ、教科書が全て英語で書かれていたので、生徒が英語で考えられるようになった。二つ、分析や議論、チームワークや自発的にノートをとるなど、勉強をする上での技術を身につけられた。三つ、ほとんどの生徒が流暢に話せるようになり、英会話に自信を持つようになった。四つ、放課後も一緒に学んだ生徒たちは、ふだんのクラスも積極的に参加するようになった。
一方、改善すべき点として、一つ、日本人教員と外国人教員が、より対等な立場で授業運営をできるようにすべきだ。二つ、生徒と教員のやりとりをもっと積極的にできるようにすべきだ。三つ、授業時間のほかに英語でやりとりをする機会がほとんどないなどを挙げてくれました。
言葉を学ぶのは、楽器を習うのに似ている。例えば、ピアノがなぜ鳴るのか、仕組みを学んでもうまくはならない、練習することだ。失敗を恐れないように、そうでないと、流暢に話せるようにはならない。友人は、受け持ちの生徒と初めて会うとき、いつもこんな話をするそうです。
また、立命館アジア太平洋大学の方が、このように話されていました。「役所は、何らかの形を求める。英語教育なら試験の点数などです。教育に最も大事なことは、学生が学ぶための動機づけをすることであり、その場を提供することです」。
英語は、何も一部の選ばれた生徒にだけ必要な能力ではありません。同時通訳ができるぐらいの高い英語力がなくても、日本に来た外国人観光客相手の道案内はできますし、海外旅行に出かけたときに、自分のしたいことを相手に伝えることは可能です。
17校以外の府立高校に対し、英語の4技能を身につけてもらうための英語教育をどのように進めていくのか、教育長の所見を伺います。
先ほどの答弁の中でお答えしたのは、まさに海外大学に行きたい、あるいは行くだけの実力をつけたい、そういうことになると、これもう大学が要求しているのがTOEFL80-100なんで、これは点数から逃げることはできない、これはこれで一つの前提なんですが、しかしそうでない、必ずしも海外大学の進学を考えない人にとっては、議員御指摘のとおり、少しでも実践的な英語力を身につけたい、そういうための教育を提供していかなきゃいけないというふうに思っています。
実際に、17校以外の学校については、以下の事業を計画しております。
まず、意欲のある府内高校生を対象としたオールイングリッシュの土曜講座の実施です。これは、1クラス20人、4会場で実施する予定です。
次に、国の事業を活用いたしまして、学校が海外派遣プログラムを実施する際に、一定の要件のもとで生徒の個人負担を支援するものでございます。これは、1人当たり上限10万円が支出されます。
それから、生徒海外研修やスタディーツアーなどを行う場合に、付き添う先生、教員の支援を行うもの、こちらは上限が30万円でございます。
それから、教職員に対しては、授業を英語で行うためのオールイングリッシュの研修や、ディベート法、プレゼン能力育成等の研修を予定しています。
さらに、来(平成26)年度は、生徒の英語によるコミュニケーション能力アップに向けた学校独自の計画を提案できることとなっており、これは学校経営推進費として今回予算の中に入れさせていただいていますが、1校で上限750万円を予定しています。ですから、ある学校で実践的な英語教育のために力を入れたいので、プレゼンをしてもらって、そのプレゼンに説得力があれば、上限で750万円まで各校に援助を--これは校数は限られますが、援助していきたいというふうに考えております。
それから、小中学校からの英語教育を変えることで英語の基礎学力を向上させていったり、あるいは高校の入学者選抜--英語の入試ですね--の中身の改革も、来年度、今度の4月から計画しております。
こういったことを踏まえながら、高校においても4技能を高める授業を研究していきたいというふうに思います。
高校で私の友人の授業を受けた方よりメールをいただきました。同意をいただきましたので、一部を紹介します。
先生の授業は、私の一番好きな授業でした。先生の授業は、一つの記事から自分の知りたい情報を早く得る練習をしたり、すごく実用的に感じました。インターネットが普及していて、ネイティブの英語が簡単に聞けるにもかかわらず、授業でネイティブの英語を聞く機会は、ほとんどありませんでした。先生は、私たちが聞き取りやすいように、わかりやすく話してくれて、とてもありがたかったです。アメリカに留学して、語学学校に通って、初めてほかの国との教育の差を感じました。日本の英語教育は、リーディング、グラマーに集中し過ぎているのではないかと強く思いました。留学当初は、中学、高校と6年間英語を勉強し続けていたにもかかわらず、自分の英語のできなさにとても落ち込みました。リーディング、グラマーはできるので、レベルの高いクラスに入れたのですが、周りの留学生とのレベルの差がすごく大きかったように思いますと振り返ってくれました。
私も、大学時代、留学したことはございますが、まさに同じようなことを感じたことを思い出しております。
生徒にとり、英語を学ぶことについて、私なりに手段、目標、目的を整理してみました。きょう議論した使える英語プロジェクトや骨太の英語力養成事業は手段、TOEFLの点数や英語圏の大学に進学するということは目標です。では、目的は何でしょうか。英語を話せるようになることで、どんな自分になりたいのかということでしょう。いわゆるグローバル人材というのが、わかりやすい答えかもしれません。
言葉を学ぶ大切さを南アフリカ共和国初の黒人大統領、故ネルソン・マンデラ氏がこのように語っています。「相手の理解できる言葉で話せば頭に入る、相手の生まれ育った言葉で話せば心に届く」--公用語だけで11ある多民族、多言語国家のリーダーならではの言葉だと思います。
前知事の肝いりで始まった使える英語プロジェクトの3年間が、間もなく終わります。最終的にどのような評価が下されるのか、ここでは伺いませんが、英語の4技能を身につけるための教育が大事だということは、誰もが賛同できることでしょう。だからこそ、27年度からの骨太の英語力養成事業が、本当に生徒の役に立つものになるよう強く求めておきます。
以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。