第5期
2024年
第4期
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
第3期
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
第2期
2014年
2013年
2012年
2011年
第1期
2010年
2009年
2008年
2007年
質問事項
2021年10月6日
公明党大阪府議会議員団の加治木一彦です。
新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、今現在闘病されている方々に一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、医療や介護、教育など様々な社会の現場を支えてくださっている皆様に敬意と感謝の意を表するものです。それでは、我が会派を代表して、順次質問、提案をさせていただきます。
まず、ワクチン接種の進捗について伺います。
ワクチン接種は、2月の医療従事者等への優先接種に始まり、高齢者、高齢者以外の方への接種と国、自治体、医療関係者が一丸となって取り組んでおります。
10月1日に公表された9月末時点の医療従事者等を含めた全国民の接種率は、1回目接種が70.4%、2回目接種が59.8%でした。国は、10月から11月の早い時期に希望者全員がワクチン接種を終える目標を掲げています。
大阪府の9月末時点の接種率は、どの程度だったのでしょうか。府は、市町村の接種の進捗率を把握し、府全体で接種を推進していく必要があると考えます。また、接種を完了できる時期をどう見込んでいるのか、併せて健康医療部長にお伺いします。
府の接種状況については、ワクチン接種記録システム――VRSのデータによると、9月末時点で府民全人口の1回目接種率が60.2%、2回目接種率は50.9%となっています。これに医療従事者などや職域接種の実績を加味すると、お示しいただいた全国レベルとおおむね同水準の接種率になるものと考えています。
希望する府民への接種完了時期については、府としては11月中の完了を見込んでおり、引き続き接種の実施主体である市町村をはじめ、医療関係団体や国などとも連携を図りながら、希望される方に一日でも早く接種を終えることができるよう取り組んでまいります。
若年層の方々は、上の年代の方々に比べると、感染しても重症化するリスクは低いものの、第5波は新規陽性者が急増したため、感染拡大の大きな要因となり、また児童、学校関連のクラスターも多数発生しました。ワクチン接種が、年齢の高い世代から順次進められてきた実情を踏まえると、感染対策と社会経済活動の両立を図るには、若年層の接種を確実に進める必要があります。
SNSやインターネット等の一部には、必ずしもエビデンスに基づかない様々な情報が飛び交っています。府は、若年層の接種促進に向け、どのように取り組むのか、健康医療部長にお伺いします。
若年層への接種促進に当たっては、ワクチンに関する正しい情報を効果的に発信するとともに、接種を迷っている方が、自らの意思で接種いただけるような方策を実施することが重要と認識しています。
そのため、府としては、大阪府コロナワクチンポータルサイトをはじめ、9月に新たに開設したコロナワクチン公式ツイッターなどを通じて、ワクチンの有効性や副反応など接種の判断材料となる情報や、接種を促すメッセージなどの発信に努めています。
さらに、20代、30代の接種促進に向けた機運醸成を図る観点から、民間企業などから景品の協力も得て、公式ツイッターを活用したキャンペーンを昨日より開始したところであり、引き続き、より多くの若い世代の方に接種いただけるよう、しっかり取り組んでいきます。
11月中の接種完了に向け、府も接種会場を新設するなど、鋭意取組を進めております。一方で、接種の意向はあるがまだ接種されていない方や、これまで接種の意向はなかったが今は接種を迷っている方などもいらっしゃり、市町村での接種も終盤を迎えている中、こうした方々から、どこで接種できるのか分からないといった声も聞きます。
11月中に2回目の接種を終えるには、10月中に1回目の接種を受ける必要があります。接種を希望される方が、誰一人取り残されることなく一日でも早く接種いただけるよう、府も接種機会を確保するとともに、市町村とも連携し、改めて府民の皆さんに対し広く接種を呼びかけていくことが必要と考えます。府は、どのように取り組むのか、健康医療部長にお伺いします。
ワクチン接種により、感染した際の重症化を予防するとともに、感染予防効果により、社会全体として感染拡大の波をできる限り抑制するためにも、幅広い年代の方に一人でも多く接種いただくことが重要と認識しています。
このため、現在、府が運営している接種会場では、接種対象年齢を16歳以上に拡大するとともに、予約なしでも接種可能とするなど、接種機会のさらなる充実を図っているところです。
さらに、市町村に対して、住民へのきめ細かな情報発信を行っていただくよう働きかけるとともに、府としても、各部局を通じて所管する団体へ接種の呼びかけをお願いするなど、希望する全ての方ができる限り早く接種いただけるようしっかり取り組んでいきます。
海外の研究によりますと、新型コロナワクチンは、接種後の時間経過に伴い有効性が減少する可能性があると指摘されています。また、世界的に速いペースで接種を進めたイスラエルは、感染力が強いデルタ株が猛威を振るい、感染者が再拡大したことから、いわゆるブースター接種と呼ばれる3回目の接種が既に始まっています。ドイツやフランスなどでも、ハイリスク者を対象に追加接種が進められています。
我が国でも、3回目の接種や、1回目と異なるワクチンを2回目に接種する交互接種の議論が始まっています。ファイザー社やモデルナ社は、追加接種の安全性や効果に関する臨床試験を実施しています。科学的知見に基づき、安全性や有効性を確認することは当然として、具体的なスケジュールを含めた接種の進め方や優先順位の考え方、接種主体となる市町村や都道府県の予算、人員体制への影響等も考慮しなければなりません。
また、ワクチン供給量が安定しないことにより、予約が取りづらい状況が生じたことなど、ワクチン接種を進めてきた中での課題や、改善が必要な点も十分に踏まえて制度設計すべきです。
国の検討状況を注視し、3回目の接種や交互接種の実施に当たっては、府民の手間や負担ができる限り軽減され、府内の各自治体が接種を円滑に進められる仕組みとなるよう国に求めるとともに、府も積極的に取り組んでいただくことをお願いしておきます。
2021年10月6日
次に、大阪コロナ大規模医療・療養センターについて伺います。
コロナ感染拡大の第5波は、第4波と比べ感染者数は大きく増えたものの、死亡者数は減少しました。過去の教訓を踏まえ、感染者の受皿となる病床や宿泊療養施設を確保してきたことが大きかったのではないでしょうか。
今後、新たな感染拡大の波がいつ起きてもおかしくない中、感染が落ち着いている今のうちに、感染の急拡大に備えた医療・療養体制の充実確保を済ませておくべきだと考えます。
先(9)月末に第一期整備を完了した大阪コロナ大規模医療・療養センターは、今後の感染急拡大に備え、急増するおそれのある感染者の受皿となる施設です。しっかり準備を進めてください。
大阪府が、この施設を有効に活用するには、これまでの感染者の特徴等を踏まえ、入所対象者を適切に設定する必要があると考えます。改めて、大規模医療・療養センターの入所対象者の考え方を知事にお伺いします。
公明党大阪府議会議員団を代表されましての加治木議員の御質問にお答えを申し上げます。
第5波では、ワクチン接種の進展等もあり、第四波と比べ重症者は減少したものの、軽症、無症状者が増加をいたしました。それに伴い、軽症中等症病床が逼迫し、自宅療養者も大幅に増加をいたしました。
大規模医療・療養センターは、感染爆発により軽症中等症病床や宿泊療養施設が逼迫した場合に、自宅療養の軽症患者等を中心に受入れを行うものです。さらに、今後整備する中等症病床において、軽症、中等症Ⅰまでの患者を対象に、一時避難的な対応や緊急治療の実施を検討しています。
いつ起こるか予測できない、まさに災害級の感染爆発時に、最後のとりでとしてこれらの患者等を受け入れることで、家庭内感染や自宅で症状の急変される方等を少しでも防いで、そして府民の命をしっかりと守っていきたいと思います。
大規模医療・療養センターは、当初、野戦病院という言葉が広がったため、施設内は男女の区別もなく、ベッドだけが並べられ、十分な治療等が受けられる施設ではないとの印象を府民に与えたのではないかと危惧しています。
私は、先日開催された内覧会にお伺いしました。こちらを御覧ください。
各居室は、パーティションで区割りがなされ、テレビや冷蔵庫が備え付けられています。また、共同利用できる空間も用意されていました。一定の居住環境等の確保ができていると感じました。(スライド1)
府民に安心して利用してもらうには、施設内の居住環境等に問題がないことを示していく必要があると考えます。府は、入所者に対し、どのような配慮をしていくのか、危機管理監にお伺いします。
スライド1
大規模医療・療養センターは、感染爆発により医療・療養体制が逼迫した際に、臨時の医療施設として開設するものです。そのため、宿泊療養施設に比べ居住環境は十分とは言えないものの、現地の看護師による健康観察や、オンラインでの医師の健康相談、処方などに加え、日中は医師が常駐するなど、安心して療養できる体制を確保しています。
居住環境としては、入居者の男女エリアを完全に分離することはもとより、お示しのようにパーティションで個室空間をつくり、一定のプライバシーを確保しています。また、第五波で増加した家庭内感染にも対応できるよう、未就学児や就学児等の陽性者を親子で受け入れる男女別のファミリールームや共用スペースも設置しています。
こうした取組について、しっかり情報発信を行うことで府民の不安解消に努めてまいります。また、今後、センターの運用開始に向け、入居者の生活の質がさらに高まるよう、引き続き検討してまいります。
2021年10月6日
次に、府立高校の学びの保障について伺います。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、8月以降、多くの府立高校が、学級閉鎖や臨時休業を余儀なくされています。
府立高校は、昨(2020)年度よりモバイルルーターを貸し出すなど、必要なICT環境や校内体制を構築し、様々な工夫を重ねながら、臨時休業期間にオンライン学習を進めてきました。
一方、この臨時休業期間中は、ふだんの学校と異なる環境で学ぶため、特に大学受験等を控える生徒の中には、本来学ぶべき内容が身についているのかといった不安の声もあると聞いております。 登校再開後は、十分なフォローアップが必要だと考えます。教育庁の取組をお答えください。
教育庁では、登校再開後、学級閉鎖や臨時休業の期間に実施した学習内容について、その定着状況を的確に把握し、必要に応じて補講等、さらなる学習保障を実施するよう、各府立高校を指導しているところでございます。
各校におきましては、一人一人の学習状況を確認するとともに、学習の定着が十分でない生徒や、学習状況等に不安を持つ生徒などに対しまして、学習支援員も活用しながら個別の支援を行っております。
今後も、府立高校における全ての生徒の学びを保障するという観点から、臨時休業時等におけるオンライン学習の充実を図りますとともに、学習の遅れが生じることのないよう、登校再開後もきめ細かな支援を行ってまいります。
府立高校が、オンラインによる学習保障を行う一方で、状況に応じて個別に支援をしているとのことです。全ての生徒の学びを保障するという観点を大切に、継続して取り組まれるよう求めておきます。
2021年10月6日
次に、コロナ禍での女性支援事業について伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大は、特に女性に対して雇用や生活面に様々な形で深刻な影響を及ぼしています。
我が会派は、コロナ禍で孤立し、不安や悩みを抱えた女性たちに対する相談体制のさらなる充実や居場所づくりの提供など、民間団体等と連携した支援を強化することを知事に強く要望しました。早速、大阪府は、国の地域女性活躍推進交付金を活用し、今(2021)年7月、コロナ禍で困難や課題を有する女性に対する新たな支援事業をドーンセンターで始めました。(スライド2)
この支援事業は、女性カウンセラーが様々な相談に応じ、民間企業等から協賛を受けた衣類や生活用品等を提供しております。また、同じ悩みや不安を抱える人同士が交流できる場を用意していることもあり、利用してよかったとの声が寄せられていると聞いております。
困難や課題を抱える女性に寄り添った支援の取組を充実強化していくためにも、こうした利用者の声に耳を傾けるとともに、民間企業等の協力をいただきながら本事業を進めていく必要があると考えます。事業の実施状況について、府民文化部長の所見をお伺いします。
スライド2
コロナ禍において、特に女性が様々な面で深刻な影響を受けていることが顕在化している中、困難や課題を抱える女性に対するきめ細かい支援を充実強化していくことは重要であると認識しております。
このため、本府では、不安や悩みを持つ女性が、事前予約なしにカウンセラーによる相談を受けられるとともに、また必要に応じて就職活動用のスーツや生活用品などを提供する事業に取り組んでいるところでございます。利用者からは、相談に乗ってもらうだけでなく、スーツ等も提供していただき、次のステップに進む力になったなど、利用してよかったという声が多く寄せられているところでございます。
今後とも、女性が抱える困難や課題に対処していくため、民間企業等との連携を深めるとともに、協力の輪を広げていくなど、事業のさらなる充実を図り、より多くの女性の支援につながるようしっかりと取り組んでまいります。
開始から2か月半ですが、本支援事業は、コロナ禍で不安や悩みを抱える女性に対する支援策として重要な役割を果たしています。
府民文化部長から、事業のさらなる充実を図り、より多くの女性の支援につながるようにしっかりと取り組んでいくとの答弁をいただきましたが、本支援事業は、国の交付金を活用しているため、令和4(2022)年3月末までの実施となっております。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響が長期化することも想定され、次年度も継続的な実施が必要と考えます。府民文化部長の所見をお伺いします。
先般、国における来年度予算の概算要求に当たっての本事業の実施見込み調査において、本府としては、引き続き実施したい意向を回答したところでございます。
次年度の事業実施につきましては、新型コロナウイルス感染拡大による女性への影響や、国の交付金制度の状況等を踏まえ、実施に向けた検討を行ってまいりたいと思います。
2021年10月6日
次に、コロナ禍での文化芸術活動への支援について伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大による文化芸術活動への影響は、昨(2020)年から長く続いています。現在も、イベントの開催に当たって収容率や人数が制限され、大きな打撃を受けています。
9月30日をもって緊急事態宣言が解除されましたが、依然先行きが不透明な中、大阪の文化芸術の灯を守り、将来につなげていくためには、文化芸術に携わる関係者への支援を継続し、行政も一緒になって文化芸術活動を盛り上げていただきたいと考えます。そこで、コロナ禍での文化芸術活動に対する支援について、府民文化部長にお伺いします。
新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、文化芸術活動が大きな影響を受けております中、大阪の多彩で豊かな文化技術を絶やすことなく継続していくためには、感染対策との両立を図りながら、その活動を支えていくことが重要と考えております。
このため、昨(2020)年度に引き続き、大阪にゆかりのあるアーティストや演芸人、楽団などが活動できる場を創出いたしますとともに、府民に文化芸術に触れる機会を提供できるよう、大阪市とも連携しながら取り組んでいるところでございます。
具体的には、大阪を中心に活動するオーケストラのコンサートや、上方落語家総勢約250名が出演する高座をはじめ、演劇、アート作品の展示などを感染対策を図りながら開催することとしておるところでございます。
さらに、今(2021)年度は、府内における文化芸術活動の継続、回復を図りますため、舞台公演や作品展示に係る施設利用料を新たに補助することといたしまして、文化芸術家や団体等の支援にも取り組んでいるところでございます。
文化芸術は、人々の心を癒やし、人の心を豊かにする、社会にとってなくてはならないものであり、今後とも、こうした取組を通じて文化芸術活動を支援してまいります。
文化芸術は、豊かな感性を育み、創造性を高めることからも、子どもたちに文化芸術の鑑賞や体験ができる機会を提供することは非常に重要であると考えます。
しかしながら、現在、コロナ禍にあって、大阪の次世代を担う子どもたちが、文化に親しみ、参加、表現する機会が減っているのではないかと危惧しております。
次世代の担い手となる子どもたちに対し、文化芸術に触れる機会の提供や、文化芸術活動を行う場の創出について、具体的にどのように取り組んでいるのか、府民文化部長にお伺いします。
次世代の担い手となる子どもたちが、文化芸術を鑑賞、参加、創造できるような機会を創出していくことは重要であると認識しております。
第5次大阪府文化振興計画におきましても、文化芸術を通じた子どもや青少年の成長する機会の提供や、文化芸術を創造し、支える人材の育成支援の充実に取り組むこととしているところでございます。
このため、府内の子どもたちが参加し発表する文化芸術活動や、優れた文化芸術の鑑賞機会などを提供する事業に対しまして補助を行っているところでございます。また、府立江之子島文化芸術創造センターにおきましては、子どもたちを対象としたアート講座や美術展覧会など、気軽に文化芸術に触れ、楽しむ機会を提供しているところでございます。
さらに、次世代の文化芸術の担い手を育成する観点から、高校生や若手芸術家に対して、大阪文化芸術支援プログラムでのライブペインティングやアート展示会、ステージ公演などにおいて、発表の機会を設けておるところでございます。
今後とも、次世代を担う子どもたちが、文化芸術への興味や関心を深め、豊かな感性や創造性を育むことができるよう、文化芸術に関わる機会を創出してまいります。
子どもたちが、文化芸術に触れる機会の提供等について御答弁いただきました。
未来を担う子どもたちや若者が、文化芸術に触れ、その創造性を高めることで、将来の大阪が一層魅力的なまちに発展するものと考えます。引き続き、コロナ禍を乗り越え、文化芸術のまち大阪を築くべく、あらゆる機会を捉え、しっかりと取り組んでください。
一方、コロナ禍にあって、文化芸術の分野に携わる若手芸術家たちの生活が立ち行かないというような話を聞くことがあります。これからの活躍が期待される若い人たちが、文化芸術の分野でも将来に展望を抱くことができるよう、ぜひ取り組まれることを要望しておきます。
2021年10月6日
次に、本議会に補正予算案として上程されております、おおさか観光消費喚起事業についてお伺いします。
新型コロナウイルスの感染拡大により、コロナ発生前には80%近くあった客室稼働率が30%以下に激減するなど、宿泊業界をはじめとする観光関連業者は深刻な状況下にあります。昨(2020)年度実施された関西2府4県からの宿泊者にキャッシュレスポイントを還元する大阪の人・関西の人いらっしゃい!キャンペーンは、約16万件の利用があり、その経済波及効果は推計で60億円を超えるとお聞きしました。観光関連事業者の支援に一定の効果があったと思われます。
今回のおおさか観光消費喚起事業が、昨年度以上の効果を上げ、依然として厳しい状況にある観光関連事業者の支援につながることを期待しております。本事業の実施に当たり、昨年度と比べてどのような点が変更されているのか、またこの事業にどのような効果を期待しているのか、府民文化部長にお伺いします。
おおさか観光消費喚起事業を行うに当たりましては、より多くの府民の方に御利用いただけますよう、昨(2020)年度の事業を拡充し、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けております府内の観光関連事業者の支援につなげていくことが重要と認識しております。
このような認識の下、今年度は国の補助金も活用いたしまして、宿泊代金や旅行代金の2分の1を最大5000円まで割り引く仕組みを新たに実施することにより、利用者のさらなる増加を見込んでいるところでございます。
また、宿泊だけでなく、観光バスなどを利用する日帰り旅行につきましても新たに対象に加え、さらには参加者に配布する最大3000円分のクーポンの利用対象を府内の観光関連施設等に限定するなど、より事業効果が高まるようにしたところでございます。
今後、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第、速やかに事業を開始し、観光関連事業者の支援が実現できるよう、着実に準備を進めてまいります。
2021年10月6日
同じく、補正予算案として上程されているゴールドステッカー認証施設利用促進事業について伺います。
この事業は、農林水産省が感染症対策に取り組みながら頑張っている飲食店等を応援するために実施していますGo To Eatキャンペーンと連携したものと聞いております。
大阪府では、国から事業を受託した大阪観光局を代表とする事業者の共同体が、加盟飲食店で使用できるGo To Eat大阪キャンペーン・プレミアム食事券を発行しています。令和2(2020)年10月中旬から販売を始め、同年11月下旬に新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、大阪府が新規販売の一時停止を要請するまでの間、約72万部、90億円相当の食事券を3回に分けて販売、高い消費喚起効果があったと思われます。
補正予算案では、食事券に府が国のプレミアム率を上乗せするとしています。どういった効果を想定しているのか、政策企画部長に伺います。
また、食事券が利用できる加盟飲食店は、感染防止認証ゴールドステッカーを取得している必要があります。加盟飲食店に混乱が生じないよう、十分なゴールドステッカーの取得勧奨をすべきです。どのように取り組むのか、危機管理監にお伺いします。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、飲食店には営業時間の短縮の御協力を求めることなどによりまして、大きな影響を受けておられます。今回、国の食事券のプレミアム率へ府が上乗せすることによりまして、感染症防止対策に取り組んでおられるゴールドステッカー認証店への府民の利用を促進するとともに、認証店への消費を喚起し、経営を支援したいと考えております。
これによりまして、ゴールドステッカーの取得を促進し、府内の感染防止対策の強化にもつなげたいと考えているところでございます。
Go To Eat加盟店へのゴールドステッカーの取得勧奨につきましては、加盟店に係る認証店舗の情報を提供するなど、大阪観光局と連携しながら、本事業再開の際に全ての加盟店がゴールドステッカーの認証を受けているよう、非認証店への取得勧奨を行うこととなっています。
今後とも、庁内関係部局と連携して、より多くの店舗にゴールドステッカーを取得していただくよう、普及啓発に取り組んでまいります。
2021年10月6日
次に、大阪・関西万博に関連して幾つかお伺いします。
2050年までに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を盛り込んだ改正地球温暖化対策推進法が成立し、来(2022)年4月に施行の予定です。また、脱炭素社会の実現に向け、森林の循環を進めるために木材の積極的な利用を促す改正公共建築物等木材利用促進法が令和3(2021)年10月1日から施行されるなど、カーボンニュートラルの実現に向けた取組が強く求められています。
先日、我が会派が、大阪府木材連合会と意見交換をした際に示されたイメージ図は、非常に興味深いものでした。2025年の大阪・関西万博で、会場のシンボルとなる大屋根リングに木材を利用するという提案です。脱炭素社会に貢献する取組の一つになると考えます。
スクリーンを御覧ください。
一周2200メートルの大屋根リングと会場の鳥瞰図です(スライド3)。同連合会の試算によれば、階段やエレベーターなどを除き、リング本体のみで建設費は103億6200万円とのことです。
もう一枚お願いします(スライド4)。大屋根リングの下部を描いたもので、地面が緑化されており、暑さ対策も期待できます。大屋根リングに使用される資材等は、今後、博覧会協会が決定するものと思いますが、現在の検討状況について、知事にお伺いします。
スライド3
スライド4
大阪・関西万博を持続可能な万博としていくために、基本計画では、会場整備において温室効果ガスの排出抑制に取り組むとともに、リサイクル素材やリユース・リサイクル可能な部材を積極的に活用することとされています。
大屋根リングについては、先日、万博の会場デザイン担当でもある藤本プロデューサーに私自身が直接お会いをして話しさせてもらった際に、プロデューサーのほうから、木材などの環境に配慮した資材について検討しているということもお聞きしたところです。
今後、基本設計を行う中で検討されていくことになると思いますが、府としても、SDGsの達成に向けて、環境に配慮した資材が活用されるよう協会に求めていきます。
2021年10月6日
大阪府市が、地元自治体として出展の検討を進めている大阪パビリオンでも、万博のテーマの「いのち」と「健康」の観点から、未来に向けた新たな価値を創造し、大阪の元気魅力を世界に発信していくとともに、大阪が目指すSDGs(持続可能な開発目標)先進都市の実現に向けた取組を実践、発信していくと聞いております。
大阪パビリオンの出展に当たり、SDGs達成に向けた大阪の姿勢を示すためにも、木材の活用など、カーボンニュートラルに向けた取組を進めるべきです。政策企画部長の所見をお伺いします。
SDGs先進都市を目指す大阪府が、大阪パビリオンにおきまして、国内外から訪れる多くの来館者に対しまして、カーボンニュートラルなど環境負荷低減に向けた取組を発信することは、SDGsの達成に向け貢献していく上で重要と考えております。
このため、建築面における省エネルギー化や木材の活用、また運営面における再生可能エネルギーの導入といったカーボンニュートラルに資する取組につきまして検討を進めてまいります。
さらには、出展企業と協力しながら、脱炭素社会に向け開発が進められております様々な技術につきましても、積極的な導入に努めてまいります。
2021年10月6日
次に、大阪・関西万博には、世界的な課題解決を図るための最先端技術やサービスなどが提案される「未来社会の実験場」という役割が期待されています。かつて鉄腕アトムに親しんだ子どもたちが、大人になったらアトムを作るんだと夢を抱き、日本でロボットの技術者が多く誕生したように、大阪・関西万博で一足早く未来社会を体験した子どもたちが、20年後、30年後に課題解決を現実のものにしてくれることを願っております。
昨(2020)年9月定例会の我が会派の代表質問の際、府内の小中学校で博覧会協会と協働して作成した教育プログラムを実施しているとお聞きしました。この取組は、協会が編集したテキストや映像などの専用教材を用いた授業を通し、子どもたちにSDGsや万博への理解を深めてもらうものです。
未来を担う子どもたちが、開催前から大阪・関西万博に向けた取組に参加し、SDGsについて学び、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」のためのアイデアを考えることや、実際に万博会場へ行きたくなるよう興味や関心を高めていく取組がなされることは、万博の機運を高めていく上で極めて重要なことです。本教育プログラムの大阪府内の学校での実施状況と今後の展開について、教育長に所見をお伺いします。
本プログラムにつきましては、昨(2020)年度、府内の小中学校14校を実践推進校として、「すべての命輝くSDGsアイデア」を考える探究学習を進めてまいりました。
年度末に開催しましたジュニアEXPOにおきましては、中学生は、万博会場でのごみの減量や世界から飢餓をなくすなどのアイデアについてプレゼンテーションを行い、小学生は、地球温暖化や食品ロスの解決などについてまとめましたポスターを作成し、中央図書館で展示をしたところでございます。
これら実践推進校におきましては、万博への興味関心や、SDGsの達成等に向けて主体的に学ぶ意欲が高まり、「将来の夢や目標はありますか」というアンケート項目の肯定的回答が全国平均以上となったという効果も出ております。
今(2021)年度は、実践推進校を府内公立私立の小中学校合わせて26校に広げますとともに、オンラインを活用し、アイデアについて企業からのアドバイスも得ながら取り組んでいるところでございます。今年度の発表会は、関西圏の小中学校と共に実施することを予定しております。
先ほどの教育長の答弁にありましたとおり、教育プログラムは、万博への興味関心やSDGsの達成等を目指した子どもたちの主体的に学ぶ意欲が高まるなど、非常に重要な取組です。この教育プログラムを大阪、関西にとどまらず、広く全国へ展開していくべきと考えます。政策企画部長に所見をお伺いします。
また、先ほど答弁のあった中学生のプレゼンテーション発表会や小学生のポスター展示会でのすばらしいアイデアや作品を、発表会や展示会の終了後も、万博の機運を高めるために活用してはどうでしょうか。
次世代を担う子どもたちのすばらしいアイデアを万博会場で発表や展示をする機会ができれば、子どもたちにとっていい目標になります。万博の機運醸成に大いに役立つのではないでしょうか。政策企画部長の所見を併せてお伺いします。
博覧会協会が実施する教育プログラムにつきましては、先ほど教育長から御答弁されましたが、今(2021)年度、対象地域を関西圏にまで拡大することになっております。
さらに、協会におきまして、関西にとどまらず全国への展開を検討していると聞いておりまして、本府としても、本プログラムのさらなる普及を図るため、引き続き協会の取組に協力してまいります。
また、本プログラムでの成果を万博会場で発表する機会を持つことは、学校現場や子どもたちの機運醸成にもつながることから、本府としては、発表や展示の場の提供につきまして、大阪パビリオンで検討するとともに、協会へも働きかけてまいります。
2021年10月6日
大阪府は、大阪・関西万博で空飛ぶクルマの実用化を目指しているとのことです。万博で発信する最先端技術の一つとして、大いに期待しています。国内、海外問わず多くの企業が万博を好機と捉え、大阪の空で自社の空飛ぶクルマを飛ばしてくれることを願っています。
この空飛ぶクルマは、国内外で様々な動力源を活用した機体の研究開発が進んでいます。世界中が、SDGsの達成を目指して取組を進める中、次世代モビリティーである空飛ぶクルマの開発は、いわゆるグリーンイノベーションでなければなりません。大阪で飛行する機体の動力源は、当然、蓄電池や水素など、ゼロエミッションのクリーンエネルギーであるべきです。特に軽量で高エネルギーが得られる水素を活用すれば、長距離飛行が可能になると期待されます。これらは、大阪、関西が強みを発揮できる産業分野であり、産業振興の観点からも有意義と考えます。
一方、2025年に、万博会場やその周辺で実際に空飛ぶクルマの搭乗体験ができる人数には限りがあると思われます。
そこで、大阪で空飛ぶクルマの実用化を加速するには、万博会場の外、例えば淀川上空などで空飛ぶクルマが飛べるようにしてはどうでしょうか。より多くの方々が目にすることで、空飛ぶクルマを身近に感じてもらえると思います。
万博に向け、2023年にも事業開始が見込まれている空飛ぶクルマの実用化に向け、府はどういった機体を想定し、どのように取り組むのでしょうか、商工労働部長にお伺いします。
空飛ぶクルマは、これまでにない乗り物、輸送・運送の手段として多様な場面での利活用が期待されており、府では、昨(2020)年11月に立ち上げた大阪ラウンドテーブルに40を超える国内外の有力な企業、団体の参画を得て、実現に向け取り組んでいるところです。
空飛ぶクルマの機体は、開発途上ですが、蓄電池による電動の垂直離着陸の機体eVTOLが主流になると考えられ、府においてもこの機体を想定しています。
今(2021)年度は、大阪での運航管理システムの検証、既存ヘリポートを活用した離着陸場の実現可能性調査、社会受容性の向上を図る実証など5件の実証実験を支援し、その成果を踏まえ、具体的な行動計画などを盛り込んだ大阪版ロードマップを策定する予定です。
そして、2025年の大阪・関西万博までにeVTOLの飛行を現実のものとするため、取組が加速するよう、国をはじめ関係機関と連携を密にし、進めてまいります。
また、こうした取組を府内企業や府民と広く共有することが社会受容性を高めることにもなるため、今後のPRにも工夫を凝らし、空飛ぶクルマの利活用への期待や関心が高まるよう取り組んでまいります。
2005年の愛・地球博の際、愛知県内の市町村が、万博の公式参加国を地元として温かく迎え、地域ぐるみで万博を盛り上げる一市町村一国フレンドシップ事業というものがありました。
当時の新聞記事をひもとくと、交流相手国のナショナルデー当日に人口1400人の村から300人が万博会場に駆けつけた、幼稚園児が相手国の愛唱歌に合わせてダンスを披露した、小中学校の給食に相手国の料理が出たなど、多種多様で楽しい取組にあふれていました。
大阪・関西万博でも、ぜひ関西の市町村と公式参加国の交流の機会を用意していただくよう強く要望しておきます。
2021年10月6日
次に、大阪の成長に向けた取組について伺います。
開催まで4年を切った2025年の万博の開催に向け、大阪、関西はもとより、日本全体で機運醸成を図るとともに、世界に万博の開催をアピールしていくことが必要です。
しかしながら、2025年に向け、世界が注目する会議やイベントは、今年開催予定であったワールドマスターズゲームズが来年に延期となった以外、特にないのが現状です。
万博の成功に向け、世界の目を大阪、関西に向けさせることが必要です。大型の国際会議の誘致などで、大阪、関西万博を広くPRすることも一つの有効な手段と考えます。政策企画部長の考えをお伺いします。
2025年大阪・関西万博に向けましては、現在開催中のドバイ万博におきまして、大阪の歴史や文化、観光など、大阪の魅力を広く世界に発信するプロモーション活動を行うなど、万博の周知に取り組んでいるところでございます。
万博を成功に導くためには、ドバイ万博終了後も、あらゆる機会を通じまして、万博をはじめ大阪、関西の魅力を世界に発信していくことが必要です。御指摘の大型国際会議の開催は、万博をアピールする場として効果的と考えられることから、各部とも連携しながら会議の誘致に向けて検討してまいります。
先ほど、政策企画部長から国際会議の誘致を検討する旨の答弁がございました。2025年の万博開催までの中間年に当たる2023年には、G7サミットの首脳会議と関係閣僚会議が我が国で開催される予定です。G20大阪サミットを成功させた大阪の経済成長にも期待が持てると考えます。
万博の成功、ポストコロナの大阪の成長に向け、首脳会議をはじめ、例えば万博のテーマSDGsとの親和性を踏まえると環境大臣会合、国際金融都市大阪に向け大きな弾みにするには財務大臣会合も含め、誘致に取り組むべきと考えます。知事のお考えをお伺いします。
各国の主要な要人が集まり、そして世界的な課題を議論するG7サミットは、大阪、関西が世界から注目され、2025年大阪・関西万博を国内外に広くアピールできる絶好の機会でもあると思います。
サミットの誘致に当たっては、大阪、関西の成長発展を加速させるために、大阪が目指す国際金融都市と親和性の高い財務大臣会合や、G20大阪サミットで採択された大阪ブルー・オーシャン・ビジョンと関連する環境大臣会合などを誘致したいと考えています。
G20サミットを開催しました経験を生かして、経済界をはじめ関係機関と調整を図り、関係閣僚会議の誘致に向けて努力をしていきます。
2021年10月6日
大阪が、国によるスタートアップ・エコシステム拠点都市の選定を受けてから1年たちました。産学官連携のコンソーシアムを中心に、現在、様々な取組がなされています。
大学の研究シーズの事業化に向けたプロジェクトや、海外トップアクセラレーターを活用したプログラムなど、有望なスタートアップが生まれ、大きく成長できる環境づくりが進められていると認識しています。大阪が、京阪神、関西のハブとして、今後も取組を牽引することを願っております。
スタートアップは、社会課題の解決を目指す存在であり、大阪、関西にあってはライフサイエンス関連が特に進んでいます。バイオ、ヘルスケア、難病治療用の創薬といった分野は、まさに人類共通の社会課題です。大阪は、彩都や健都に加え、中之島の拠点整備も進め、スタートアップの成長支援に長く取り組んできた結果、株式上場に至る企業も出てきました。
イノベーションによる課題解決に挑む対象として、環境問題も重要な分野です。政府は、2050年の脱炭素社会実現と、環境技術の経済成長への活用を目指す方針を打ち出しています。2025年大阪・関西万博は、新たな関連技術の実験場という役割が期待されています。
スタートアップの成長環境整備が緒に就いた今、今後は、このような人類共通の社会課題に対し、スタートアップの力を活用していく取組が重要と考えます。商工労働部長の見解をお伺いします。
スタートアップは、新たな優れた技術で企業価値を高めようとするチャレンジングな企業であり、その中には、社会課題の解決に貢献する意欲を持つスタートアップも少なくありません。
2025年の大阪・関西万博では、開催コンセプトの「未来社会の実験場」が示すように、イノベーションの創出に取り組むスタートアップも開催の大きな力になると考えます。
昨(2020)年来、大阪においては、産学官連携のオール大阪のコンソーシアムが形成され、スタートアップの育成支援に向けたエコシステムの構築と取組が進められています。中でも、大学の研究室は、技術シーズの宝庫でもあり、スタートアップが多く生まれています。この流れを加速するため、今年度から、京阪神の自治体や大学を中心に、産学官の41機関が参画し、研究開発に向けた国の資金の獲得や、人材育成を進めるプラットフォームを形成したところです。
こうした取組を活用しながら、スタートアップの支援、育成の推進組織でもある大阪産業局とも軌を一にし、社会課題の解決に寄与できるスタートアップの創出に意を用いてまいります。
2021年10月6日
次に、スマートシニアライフ事業についてお伺いします。
かねて我が会派は、SDGsの達成を見据えた誰一人取り残さない課題解決に向け、民間企業が社会課題のビジネス化に取り組む動きと連携していくことが重要だと主張してまいりました。こうした公民共同のモデルになる事業として、(2021年)5月議会の際、スマートシニアライフ事業の実現を今(2021)年度中に目指すという答弁がありました。
この事業は、高齢者に使いやすい設計で、行政と民間のオンラインサービスをワンストップで提供する、全国的にも先進的かつユニークな取組を目指しています。我が会派も、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博開催地である大阪から、高齢者にやさしいスマートシティーを打ち出すことに大きな期待をしております。
スマートシニアライフ事業を進めるに当たり、高齢者の多様なニーズやお困り事に応える魅力あるサービスを増やしていくことが不可欠で、社会課題の解決そのものが目指すべきゴールだと言えます。国のスタートアップ・エコシステム拠点都市の選定なども踏まえ、アイデアあふれ、社会課題解決に寄与できるスタートアップ企業の創意工夫を取り込んでいくことが重要だと考えます。
しかしながら、スタートアップ企業は、技術力があってもビジネス化のノウハウや資金力に課題を抱えていることがよくあります。優れたスタートアップ企業等のスマートシニアライフ事業への参画促進について、どのように取り組んでいくのか、スマートシティ戦略部長にお伺いします。
スマートシニアライフ事業が、高齢者に魅力的なサービスを提供し、様々な社会課題を解決していく上で、スタートアップ企業は、革新的なサービスの重要な担い手となると考えております。しかし、御指摘のとおり、スタートアップ企業には、優れたアイデアや技術があるものの、投資力に余裕のない企業が多いことも事実でございます。
本府といたしましては、補助制度に加え、コーポレート・ベンチャー・キャピタルやソーシャル・インパクト・ボンドなどを提供する金融機関などに本事業への理解を深めてもらい、参加に意欲的なスタートアップ企業に資金的支援の特別枠を設定してもらえるよう交渉を進めているところでございます。
いずれにしましても、大阪が、高齢者向けマーケット参入を目指す様々なプレーヤーに注目され、ヘルスケアで起業するならば大阪と言われるような場となることを目指してまいります。
2021年10月6日
次に、副首都ビジョンのバージョンアップについてお伺いします。
(2021年)8月30日の副首都推進本部会議で、副首都ビジョンのバージョンアップに向け検討を進めていくことが府市間で合意されました。社会経済情勢の変化等を踏まえれば、時代に即してビジョンを見直すことは必要だと考えます。
副首都ビジョンは、大阪府の様々な計画の基礎をなすものとのことです。また、大阪市域にとどまらず府域全体の発展を目指すのが目的ですので、府内市町村と手を携えて進めていくべきです。
バージョンアップの検討に当たっては、府内市町村が共有できるビジョンにするべく、幅広い意見を基に議論を進めていただきたいと考えます。知事の見解をお伺いします。
副首都ビジョンは、策定から五年近く経過しており、この間、新型コロナウイルス感染症の影響をはじめ、大きく変化した社会情勢を踏まえ、副首都化に向けた新たな羅針盤を示す時期に来ています。
お示しのとおり、副首都大阪の確立のためには、大阪府市だけではなくて、府内の市町村と共有できるオール大阪のビジョンにしていくことが重要です。
こうした認識の下、府内市町村の状況もしっかり把握しながら、幅広い意見を基にバージョンアップの検討を深めていきます。
2021年10月6日
スクリーンを御覧ください。
現代の基本的な先物市場の仕組みを備えた世界初の組織的な取引所、堂島米市場の跡地に建つモニュメントです。それぞれ「一粒の光」、「稲に遊ぶ子供」という名前がついております。(スライド5)
次、お願いします。
大阪市立中央公会堂の展示室にある岩本栄之助の銅像です。(スライド6)
明治時代末期、株式取引で得た利益、当時の金額で100万円を公会堂建設に使ってほしいと大阪市に寄附した人物です。一個人で巨額の寄附ができるぐらい大阪の株式取引が活況だったあかしと言えるでしょう。
次、お願いします。
昭和62(1987)年6月、当時の大阪証券取引所で、戦後初となる株式の先物取引が始まった日の記念式典の様子です。(スライド7)
30年以上の時が流れ、株式に加え、国債や商品の先物取引が、現在、大阪取引所でなされています。日本国内で先物取引なら大阪となるための重要な出来事だったと考えます。
当時の新聞記事に「東京を意識するのではなく、地に足のついた対応をすることが、大証の先物取引の活況と相まって、大阪を国際金融都市として発展させることにつながるかもしれない」とありました。21世紀になった今でも通じる指摘と感じます。
兜町や北浜の証券取引所に場立ちと呼ばれる人たちがいて、株式の売買を仲介していた30年以上前とは大きく異なり、全ての売買がシステム化されました。今の時代に合った強みを持つ都市像や取組を打ち出せなければ、国際金融都市は夢のまた夢となることでしょう。
様々な規制やライセンスを前提に動いている金融という分野で、成長の突破口を見いだすには規制緩和が不可欠です。国に対し、どのような規制を緩和すれば日本の金融、ひいては経済の活性化につながるのかを大阪が明確に示し、働きかける必要があります。
国際金融都市の実現のため、府としての取組だけでなく、規制の見直しなど、国への働きかけが重要です。今後、どのように進めたいとお考えでしょうか、知事の所見をお伺いします。
スライド5
スライド6
スライド7
新たな金融ビジネスが次々に生まれる国際金融都市を目指していくためには、既存の枠組みにとらわれず、自由な発想で革新的な商品やサービスを生み出すことができる環境の整備が重要です。
このため、(2021年)9月に取りまとめた戦略骨子においても、規制やルールの枠にとらわれず実証実験を行えるレギュラトリー・サンドボックス制度を活用した取組など、規制の見直しを重点取組案として示したところです。
現在、国内外のスタートアップがイノベーションを創出し、新たなビジネスを展開するために必要な内容やニーズについての調査を進めているところであり、その結果も踏まえ、必要な規制の見直しについて、経済界と連携してしっかりと国に働きかけてまいります。
昭和62(1987)年の株式先物取引の実現に向けては、当時、大阪大学教授だった蝋山昌一氏をリーダーとする7名の学者集団が活躍したそうです。どのような金融商品を取り扱うかが、国際金融都市実現の鍵を握ります。詳細は委員会で議論します。
2021年10月6日
次に、未来医療国際拠点の整備推進についてお伺いします。
再生医療分野で、昨(2020)年、大阪大学の澤芳樹教授が、iPS細胞を用いた心臓細胞シートを移植する臨床試験を世界で初めて実施しました。今(2021)年6月には、西田幸二教授の開発技術を導入した世界初の角膜治療を目的とする細胞シートが、企業により製品化されるなど、実用化に向けて進んでいます。
いよいよ、中之島の未来医療国際拠点が2024年春オープンの予定で、京都大学iPS細胞研究財団の進出、目の再生医療を行うアイセンターの開設など、拠点の主要なプレーヤーが姿を見せてきました。京都大学iPS細胞研究財団は、多くの患者さんにiPS細胞を早く安く届けることを目指すプロジェクト拠点を中之島に開設し、大阪・関西万博の2025年の細胞提供開始を目指しています。
未来医療国際拠点は、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を象徴するプロジェクトであり、その理念を継承していく大きな存在になるべきものであると考えます。
そのためには、全国に類を見ない都心立地という特徴を生かし、拠点へ訪れる幅広い方に再生医療のことを知ってもらい、理解を深めてもらうべきです。再生医療が身近なところまで来ていることを多くの方に実感してもらい、難治性疾患に苦しむ方が、未来の医療に希望を持てるような機能を有することが大切です。
そのような視点を踏まえて、未来医療国際拠点の整備を推進していくべきだと考えます。商工労働部長の所見をお伺いします。
未来医療国際拠点の目的である再生医療をベースとした未来医療の提供と産業化を推進していくためには、医療技術の開発や実践のみならず、再生医療に対する社会の関心を高め、理解の促進を図ることが不可欠です。
こうした認識に立ち、同拠点では、再生医療の創造、実践とともに、情報発信や展示、体験などにより再生医療を広く知ってもらう共有の機能を整備する予定です。
府としても、医療関係者、患者やその御家族など、できるだけ多くの方に再生医療の今と将来の可能性を知ってもらい、従来の医療では治療が困難であった疾患の克服に期待が持てる拠点であることを広く共有できることが重要と考えます。
今後、その具体化に当たりましては、未来医療推進機構、京都大学iPS細胞研究財団をはじめとする関係者と鋭意検討を進めてまいります。
2021年10月6日
次に、水素産業の振興について伺います。
大阪・関西万博は、カーボンニュートラルに貢献する最先端の技術等を発信し、未来社会を共創するとされています。
今(2020)年6月、2025年日本国際博覧会協会が、万博で目指すべき環境エネルギーの姿などを示した「EXPO 2025 グリーンビジョン」を発表しました。現在、ビジョンの具体化に向けたタスクフォースが、万博会場内外での環境エネルギー技術の実証・実装事業の具体化に向け、検討を進めています。
このビジョンでは、水素・アンモニア発電等の水素エネルギーが、核となる技術の一つとして示されています。水素エネルギーは、地球温暖化対策の切り札になり得るものです。現在検討中の国のエネルギー基本計画案は、水素の供給コストを長期的に化石燃料と同程度の水準まで低減させ、我が国全体で現在の200万トンから2030年に最大300万トン、2050年に2000万トン程度に供給量を増やすことを目指すとしています。
大阪・関西万博の開催を契機に、水素社会の実現に向けた取組を加速すべきです。万博に向けた新しい水素関連技術の社会実装やビジネスの創出に向け、未来社会の姿を俯瞰する視点を持って、大阪、関西の優れた技術力を有する水素・燃料電池関連企業を巻き込んでいくことが重要と考えます。 大阪府はどのように取り組んでいくのか、商工労働部長にお伺いします。
大阪府では、2016年3月に取りまとめたH2Osakaビジョンで示した方向性に沿って、水素エネルギーの利活用の拡大と機運醸成に取り組んでまいりました。
このビジョンの実現に向け設置いたしました産学官から成るH2Osakaビジョン推進会議では、昨(2020)年8月に水素船、水素発電、再生可能エネルギーによる水素製造など、大阪・関西万博での水素の利活用やプロジェクトの提案を日本国際博覧会協会に対して行ったところです。これらの一部は、同協会が策定する「EXPO 2025 グリーンビジョン」に盛り込まれ、国の公募事業にも採択されたところです。
今後、万博での具体化を目指し、国や協会、推進会議のメンバーなどが一丸となり、取組を進めてまいります。
府としては、これらプロジェクトに一つずつ着実に取り組むことを通じ、将来の大阪の成長、燃料電池産業など関連産業のビジネスチャンスの拡大が図られるよう取り組んでまいります。
2021年10月6日
次に、雇用対策について伺います。
2025年大阪・関西万博を控え、今後の大阪の経済成長を大いに期待したいところですが、新型コロナウイルスの影響で、大阪の有効求人倍率は令和2(2020)年の春から秋頃にかけて低下をし、その後、目立った回復がなく、おおむね横ばいの状態が続いております。
低迷する雇用状況の改善を図るには、コロナ禍での社会潮流の変化を踏まえた成長戦略を描くとともに、連動した雇用対策に取り組むことが必要だと考えます。商工労働部長の所見をお伺いします。
大阪の雇用情勢を見ると、サービス業を中心に離職者が増える一方で、運輸や製造業などを中心に人材不足が続いています。また、社会のデジタルトランスフォーメーションの加速により、中小企業においてもDXを担う人材の確保が急務となるなど、円滑な労働力の移動と確保を図ることがこれからの課題と認識しています。
この観点から、府では、本(2021)年3月からグーグルや日本マイクロソフトなどのIT企業など八社とパートナーズ協定を締結しました。そして、若者にデジタルスキルなど就職後に役立つ技術や知識の基礎を身につけた上で就職活動に臨んでもらう「リ・スキリング」を取り入れたマッチング事業を展開しています。これまでに約1300名が研修を受講し、新たな就職につながりつつあります。
この事業への参加企業も増えており、多彩な研修メニューをそろえることが、就職への選択肢を増やすことにもつながります。(2021年)今(10)月には、データサイエンス分野での実績がある滋賀大学との協定締結を目指しており、研修内容の拡充、サポート体制の強化など、引き続き積極的に取り組んでまいります。
大阪経済の成長を担う人材の育成は、雇用施策としても重要です。離職者に対する公共職業訓練や、大阪産業局と実施しているDX推進事業など様々な取組を連動させ、進めてまいります。
大阪経済の成長を担う人材の育成は、極めて重要ですので、しっかり取り組んでください。
今回は、アフターコロナを見据えた雇用対策についてお聞きしましたが、現下のコロナ禍にあって、雇用情勢は依然厳しく、離職を余儀なくされた方々の早期就労は喫緊かつ重要な課題です。
府は、昨(2020)年10月、緊急雇用対策特設ホームページ「にであう」を開設し、離職者と求職者のマッチングを支援するとともに、企業が採用意欲を高めるよう支援金を支給しています。本(2021)年6月からは、支援金の利用を促すため、申請手続を簡素化したことが功を奏し、企業からの評判がよく、1万6000件を超える就職マッチングを成立させています。こうした取組を評価しております。
一方、この雇用対策は、(2021年)来(11)月末までが期限と聞いております。コロナの感染状況に関して、第6波の可能性も指摘されており、まだまだ予断は許せません。経済活動の本格的な回復が見通せない中で、雇用情勢も厳しい環境が続きます。
企業に雇用を働きかけ、求職者を就職につなげる取組は重要であり、当面継続することが望ましいのではないでしょうか。引き続き、実施されることを要望しておきます。
2021年10月6日
次に、ZEB化の推進について伺います。
2050年に二酸化炭素排出量の実質ゼロを実現するには、都市部が広がる大阪だと建築物の省エネ化が不可欠です。快適な室内環境の実現と、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることの両立を目指したネット・ゼロ・エネルギー・ビル、いわゆるZEBが注目されております。
ZEBは、省エネによる環境への効果だけでなく、光熱費の削減、快適性の確保、業務効率の改善といった様々なメリットがあります。環境省によりますと、光熱費は一般建築物より40から50%もの削減になるとのことです。また、断熱改修で適正な室温に整えることが、健康上のメリットにつながるという専門家の研究結果もあります。ZEBの普及には、これらのメリットを積極的に発信することも重要と考えます。
府域のZEB事例はまだ少ないものの、民間事業者の取組を促す観点から、府有施設は長寿命化を原則とするのではなく、ZEB化も考慮した整備計画を考えるべきではないでしょうか。
府有施設のZEB化をどのように推進していくのか、環境農林水産部長にお伺いします。
二酸化炭素排出量実質ゼロの実現に向けて、建築物におけるZEB化は非常に有効な方策であり、大規模排出事業者でもある本府が率先して取り組むことが重要と認識をしております。
このため、本(2021)年6月に、府有施設ZEB化推進ワーキンググループを立ち上げ、他の自治体における先進事例の調査研究や、国、建築設計事務所へのヒアリングを精力的に行うなど、制度面、技術面での課題整理を行っているところです。
ZEB化に向けましては、建設予算の確保等の課題がある一方で、維持管理コストを含めたトータルコストの低減効果を踏まえつつ、建て替え予定の施設についてモデル事業を検討するとともに、技術的な指針やルールづくりを進めてまいります。
2021年10月6日
次に、脱炭素化の推進について伺います。
昨晩、皆様も御存じの大変うれしいニュースが飛び込んできました。今(2021)年のノーベル物理学賞が、眞鍋淑郎・アメリカ・プリンストン大学上席研究員をはじめとする3人に送られました。心よりお祝い申し上げます。
今朝の新聞報道を見ますと、受賞理由は、地球温暖化を確実に予測する気候モデルの開発などです。ノーベル賞の選考委員会は、眞鍋氏が大気中のCO2濃度上昇が地表の温度上昇につながることを実証したとしています。選考委員会のメンバーは、記者会見で「世界のリーダーにメッセージが伝わっているかは分からない。地球温暖化という概念は確かな科学に基づいている。」と強調していました。脱炭素化は、待ったなしと言えるでしょう。
国は、本(2021)年4月、2050年目標と整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すと表明しました。5月に地域の脱炭素化を促進することを目的として、温暖化対策推進法改正案が成立、6月に地域の成長戦略ともなる地域脱炭素の行程と具体策を示した地域脱炭素ロードマップを公表するなど、脱炭素化に向けた対策メニューを次々と打ち出しています。
大阪府は、今(2021)年3月、地球温暖化対策実行計画をまとめました。2050年の二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すとともに、温室効果ガス排出量の2030年度の削減目標は40%を掲げています。
国の動きが加速する中、府は、今後どのように対応していくのでしょうか、環境農林水産部長にお伺いします。
本(2021)年3月に策定をいたしました大阪府地球温暖化対策実行計画の削減目標は、当時の国の計画における省エネ促進や再生可能エネルギー導入等による削減見込み分のみならず、想定される国による追加の対策強化分も先取りして加え、さらに府独自の対策による削減見込み分を上乗せして40%と設定したものです。
2050年実質ゼロに向けましては、今般の国の動きに呼応し、府としても脱炭素化の取組を加速していくことが重要と認識をしております。
今後は、新たな国の対策メニューも積極的に活用し、実行計画に掲げる削減目標を確実に、かつ前倒しで達成できるよう取組を推進してまいります。
大阪府も、国から次々と打ち出される動きに呼応することが重要です。とりわけ、地域脱炭素ロードマップに示された地域における脱炭素化について、2025年万博の開催都市である大阪が、先導的に取り組み、諸外国に引けを取らない対策をアピールすべきだと考えます。
8月に国が発表した令和4(2022)年度予算概算要求には、本ロードマップに基づき、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方自治体等を複数年度にわたり支援するスキームとして、200億円の新たな交付金が要求されています。
本事業は、2025年までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域をつくり、併せて脱炭素の基盤となる重点対策を全国で実施して横展開することを目的として設けられています。事業内容は、市町村を主に対象とした脱炭素先行地域への支援と、都道府県等を対象とした重点対策に取り組む地域への支援の二つの枠組みがあります。
府も、こうした交付金を活用し、府域の脱炭素化を加速していくべきだと考えます。環境農林水産部長にお伺いします。
府域の脱炭素化に向けましては、いち早く実質ゼロを実現するモデルとなるエリアを創出し、さらにその取組を府域全域に広げていくことが重要であると認識をしております。
そのため、府では、今(2021)年度、府内の16市町が参画するおおさかゼロカーボンシティ連絡会を立ち上げたところでございます。
お示しの新たな交付金の積極的な活用により、市町村における脱炭素化の強力な推進を図るため、本連絡会などを通じ、国から入手した情報の迅速な提供のほか、事業計画の策定に向けた支援等を行っているところです。
今後、国と連携協力して、市町村へのサポートを一層進めるとともに、国の事業内容を十分に精査した上で、庁内全体の推進体制である温暖化対策推進会議等を通じて、本府自らもその積極的な活用について検討してまいります。
次に、港湾の取組について伺います。
国土交通省は、港湾エリアで脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通し、2050年に温室効果ガスの排出を全体としてゼロを目指すカーボンニュートラルポート--CNP形成の取組を全国に展開するとしています。
CNP形成に向けた温室効果ガスの排出削減対策例として、船舶用陸上電力の供給や、脱炭素エネルギーである水素や燃料アンモニアの利活用に取り組むとされています。
大阪、関西は、万博開催及びその後を見据え、脱炭素化に向けた取組を進める必要があると考えます。港湾での脱炭素化の取組をどう進めようとされているのか、大阪港湾局長にお伺いします。
港湾におきましては、国内外貨物輸送等の海陸の結節点として、多くの船舶や大型車両の出入り、ターミナルでの荷役など物流活動が行われていることから、環境対策に取り組むことは重要と認識しております。
このため、大阪港湾局では、統合前の平成29(2017)年より、船舶の燃料を重油からCO2やNOX排出量の少ないLNGへの移行を検討するLNGバンカリング検討会を実施しているところです。
一方、国土交通省では、昨(2020)年度より脱炭素化に向けた検討が本格化し、カーボンニュートラルポート--CNP形成の施策の方向性の取りまとめと、計画策定マニュアルの作成を年内をめどに行う予定で、本(2021)年8月に中間取りまとめが公表されたところでございます。
このような動きを受けまして、現在、大阪港湾局では、港湾管理者と民間事業者等が連携し、中間取りまとめに示されているCNP形成計画を策定するため、港湾利用企業や立地企業等も参画する協議会を年度内に設立するよう準備を進めております。
今後、国の施策の方向性やマニュアルも視野に入れ、関係事業者等の協力を得て、速やかに検討を進められるよう取り組んでまいります。
2021年10月6日
次に、警察業務のデジタル化について伺います。
本(2021)年9月、デジタル庁が発足し、国のデジタル化に向けた動きは活発となっております。警察におきましても、デジタル化に向け、取組を全国的に推進されているとのことです。大阪府警察での今後のデジタル化の方向性について、警察本部長にお伺いします。
現在、社会全体でデジタル化の流れが急速に進んでおりまして、大阪府や国においても、デジタル化について積極的に取り組まれております。
大阪府警察におきましても、デジタル化による府民の利便性の向上と警察業務の効率化を図るべく、令和2(2020)年12月に大阪府警察デジタル化施策総合戦略推進委員会を設置しまして、デジタル化推進に向けた取組体制を構築しているところであります。
引き続き、関係機関と連携しつつ、デジタル化に向けた取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。
大阪府警察では、大阪府警察デジタル化施策総合戦略推進委員会が、交番に設置されているパソコンのオンライン化についても検討されているとお聞きしております。
交番のオンライン化は、府民の利便性の向上、警察業務の効率化の観点から、ぜひ全交番等への整備を願うものです。現時点での交番のオンライン化の現状等について、警察本部長にお伺いします。
交番のオンラインとは、警察内部のネットワークに接続することによりまして、システムを用いた様々な業務を交番等において行うことを可能とするものであります。
この交番のオンライン化は、府民サービスの向上や警察業務の効率化に大きく資するものでありまして、現在、未整備の交番についてオンライン化を早急に行っていくことが喫緊の課題であると認識しております。
現在、大阪府警察におきましては、府下の全交番及び駐在所647か所の約3割に当たる167か所において、オンライン化が既に実施済みでありますが、大阪府警察のデジタル化に向けた重要な施策の一つとして、この交番のオンライン化のさらなる推進に向け取組を進めてまいります。
2021年10月6日
次に、防災・減災の取組について伺います。
昨(2020)年12月に閣議決定された防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に、激甚化する風水害や切迫する大規模地震への対策として、ため池の防災・減災対策が位置づけられました。
大阪府は、令和6(2024)年度を目標年次とする大阪府ため池防災・減災アクションプランに基づき、ハード・ソフトを合わせた総合的な対策を進めています。プランの目標に係る現在の進捗は、耐震対策やハザードマップの作成等はおおむね計画どおりとのことです。
その反面、老朽化対策となるハード整備は、農家の費用負担がハードルとなり、思うように進んでいないとのことです。都市部にため池が多数存在する大阪で、万が一決壊するようなことが起これば、下流に甚大な被害をもたらすことが想定されます。今後、ため池の防災・減災対策のさらなる取組強化が必要と考えます。環境農林水産部長の所見を伺います。
豪雨などの自然災害が頻発化、激甚化する中、開発された都市域がため池と近接する大阪におきましては、ため池の防災・減災対策を集中的かつ計画的に進めることが重要と認識をしております。
そこで、ため池下流域における被害防止の早期実現に向け、限られた財源を効率的、効果的に活用するため、余水吐など防災上重要な施設に限定してハード事業の加速化、事前の放流など池の水位低下を行い、洪水調節容量の拡大による下流被害の軽減、デジタル技術等を活用した自動放流によるため池管理の省力化、これらを新たな方針として、さらなる対策の強化を検討しております。
今後、数値目標をはじめ、優先度を踏まえた対策スケジュールを具体化し、今(2021)年度末までにため池防災・減災アクションプランの改定を行い、府民の安全安心の確保を最優先に取り組んでまいります。
2021年10月6日
大阪府は、地震時等に著しく危険な密集市街地2248ヘクタールを令和2(2020)年度末までに解消するという目標を掲げ、事業に取り組んできましたが、1014ヘクタール残っております。全国で約2200ヘクタールある密集市街地の約半分を占めております。
府は、昨(2020)年度末に密集市街地整備方針を改定、令和7(2025)年度末までに2248ヘクタールの9割以上を解消、令和12(2030)年度末までに全域解消という目標を新たに設定しました。
解消目標の達成に向けた老朽建築物の除却や道路の整備などを進める上で、住民の協力が不可欠です。我が会派が、繰り返し指摘をしております住民理解をさらに深めることが重要と考えます。 著しく危険な密集市街地の解消に向け、どのように取り組むのか、住宅まちづくり部長にお伺いします。
事業の推進には地元住民の協力が不可欠であることから、これまでも、まちの燃え広がりにくさを示した防災性マップを活用するなど、住民理解を得ながら取組を進めてきました。その結果、著しく危険な密集市街地を令和2(2020)年度末までの7年間で2248ヘクタールの約55%に当たる1234ヘクタール解消したものの、今後、残り1014ヘクタールを確実に解消していくためには、住民理解をさらに深めることが重要と認識しています。
このため、各市は、確実な解消に向け、GISを活用し、延焼拡大の危険性を効果的に低減できる箇所を特定し、解消に必要となる事業量や事業内容を設定するとともに、燃え広がる範囲やその改善に向けた事業を分かりやすく示した火災延焼の危険性・改善マップなどを盛り込んだ整備アクションプログラムを昨(2020)年度末に策定し、現在、重点化した事業の推進方策について、府市が連携し、調整しているところです。
今後は、重点化した事業を着実に進めるため、同マップを活用した所有者への戸別訪問を行うなど、事業の必要性の理解をさらに深め、令和7(2025)年度末までに35%に当たる約790ヘクタールを加え、9割を解消、令和12(2030)年度末までに全域解消を目指してまいります。
密集市街地の解消には、火災延焼の危険性・改善マップを十分に活用し、5年で35%に当たる約790ヘクタールを10年で全域を解消するように取り組んでください。
また、このマップは、ぜひとも年度ごとに更新し、事業進捗の一層の見える化で住民理解を深めるとともに、これまで以上に進捗をしっかり管理し、事業が計画どおりに進んでいない場合はその要因を分析し、事業計画を見直すことなどで確実に目標を達成するようお願いをしておきます。
2021年10月6日
次に、分譲マンションの管理、再生について伺います。
昨(2020)年6月、マンション関連法が改正され、令和4(2022)年4月に全面施行されます。この改正で、地方公共団体の役割が強化され、町村域は府、市域は市が、管理適正化に関する施策などを定めたマンション管理適正化推進計画の策定や、管理組合への助言指導や勧告ができるようになります。管理水準の維持向上や管理状況が中古住宅市場で評価される環境整備を図るため、管理組合が作成した管理計画を府、市が認定する制度も創設されます。
分譲マンションの大半は、市域に立地しており、それぞれの市が主体的に取り組むことが基本ですが、府も市の取組を支援するべきです。管理適正化や再生の推進には、マンション管理士や建築士など様々な専門家と連携して管理組合を支援することも重要です。
分譲マンションの管理適正化や建て替え等の円滑化に向けた大阪府の今後の取組について、住宅まちづくり部長の所見をお伺いします。
本(2021)年4月に、有識者やマンション関連団体、マンション管理組合団体等で構成する大阪府マンション政策懇話会を設置しました。そこでいただいた様々な意見を踏まえ、8月に大阪府分譲マンション管理適正化及び再生円滑化基本計画案を公表したところで、今後、改正法の施行に合わせて策定する予定です。
この基本計画案では、地方公共団体の実態調査の必要性や、分譲時からの適切な管理の推進、その後の期間における維持保全面での管理組合の適切かつ自律的な運営の促進、建て替え等の再生の円滑化の推進など、それぞれの時期に必要な施策を示しています。
また、管理組合が適正に運営されているか、合理的な長期修繕計画が策定されているかなど、国が定めた管理計画認定制度の基準に、府独自基準としての耐震改修計画の作成や防災対策の実施を追加で設定することにしており、災害への備えを促進していきたいと考えています。
本府として、このような考え方の下、市のマンション管理適正化推進計画の指針となるよう、この基本計画を策定するとともに、府、市町、専門家団体で構成する協議会において、各市だけでは対応できない場合に専門家がサポートできるよう専門家団体との連携体制の充実を図るなど、積極的に各市を支援し、分譲マンションの管理適正化や再生の円滑化を推進してまいります。
来(2022)年4月のマンション関連改正法の全面施行に向け、府や各市が、マンション管理適正化推進計画を策定し、府内全域で施策を充実させることが重要です。市によっては、すぐに策定できないところがあるかもしれませんので、大阪府が十分に支援していかれるようお願いしておきます。
2021年10月6日
次に、地籍調査について伺います。
人口減少社会等の進展に伴う土地利用ニーズの低下等による所有者不明土地等の増加が、インフラ整備や防災上の重大な支障となっていることから、昨(2020)年度、国土調査法や土地基本法が改正され、地籍調査の迅速かつ円滑な実施が可能となりました。
一方で、大阪府の地籍調査の進捗は、全国ワーストツーと大きく遅れており、16の市町村が未着手とのことです。大規模災害に備えるためにも、全ての市町村で地籍調査を実施すべきと考えます。
府として、どのように取り組んでいくのか、環境農林水産部長にお伺いします。
地籍調査は、土地の情報を明確化するものであり、災害からの早期復旧復興にも資することから、迅速かつ円滑に実施していくことが重要と認識をしております。
昨(2020)年度の国土調査法等の改正では、官民境界のみの調査結果が地籍図として認められるほか、固定資産課税台帳等による所有者特定が可能となるなど、調査の効率化が図られました。
このため、市町村に対し、これらの新たな調査手法の活用を働きかけるとともに、地籍調査の専門知識を有するマンパワーの不足に対応するため、地籍アドバイザーの利用や調査作業全般の民間委託を提案するなど、市町村の負担軽減を図り、早期に着手できるよう様々な支援を行っているところです。
引き続き、災害に強いまちづくりに資するよう、昨年策定いたしました地籍調査促進戦略2020の重点目標である全ての市町村での調査実施に向けまして、より一層働きかけを進めてまいります。
2021年10月6日
個別避難計画、災害用備蓄物資、子ども・青少年施策の発言通告の3点につきましては、委員会での質疑に回します。
次に、性的マイノリティーの理解増進に向けた取組についてお伺いします。
先日、東京オリンピック・パラリンピック2020大会が閉幕しました。オリンピック憲章に定める根本原則の6には、「このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない」と規定されています。
報道によれば、性的マイノリティーであることをカミングアウトした少なくとも142人の選手が、東京オリンピックに参加するとのことでした。2012年ロンドン大会の23人、2016年リオデジャネイロ大会の56人を大きく上回りました。さらに、オリンピック史上初めてトランスジェンダーの選手が出場する大会ともなりました。
性の多様性が尊重され、全ての人が自分らしく生きることができる社会の実現を目指す機運が世界的に醸成される一方で、性的マイノリティーの方が日々どのような悩み事を抱えているのかといったことは、十分に共有されていないのではないでしょうか。
昨(2020)年度に引き続き、我が会派の議員が、性的マイノリティー当事者等を支援しているNPO法人を訪問させていただきました。性的マイノリティーの方の切実な悩みや課題は、十分に行政や社会に届いておらず、改めて性的マイノリティーの方が身近に存在し、様々な悩みを抱えながら生活していることを多くの人が理解し、課題を共有していくことが必要であると感じました。
国での対応が図られておりますが、なかなか前進が望めない中、まず府として、積極的な姿勢を見せていくことが重要と考えます。
府議会に意見が求められております大阪府の人権施策推進基本方針の変更案は、性的マイノリティーの人権問題が、新たに取り組むべき主要課題に位置づけられています。
性的マイノリティーの理解増進に向けたこれまでの具体的な取組と、この基本方針の変更案に基づき、どのような取組を進めていこうとしているのか、併せて府民文化部長にお伺いします。
性の多様性についての理解を深め、偏見や差別意識がなくなるよう、啓発をはじめ当事者が抱える様々な課題に対する取組を進めていくことは重要であると考えております。
このため、大阪府人権施策推進基本方針の変更案におきましても、性的マイノリティーの人権問題は、取り組むべき主要課題の一つとして新たに明記したところでございます。
こうした認識の下、本府では、性の多様性理解増進条例を踏まえ、性的マイノリティー当事者の方々が、社会において自分らしく生きられるように、当事者に寄り添う取組を進めてきたところでございます。
具体的には、性的マイノリティーの実際の声を広く社会に伝えるため、当事者が抱える悩み事をテーマとしたセミナーの開催や、パートナーであることを公に認めてほしいという当事者の思いに応えることを目的といたしましたパートナーシップ宣誓証明制度を実施しております。
また、今般の基本方針の変更案に基づきまして、市町村や学校現場との連携協力を深めるとともに、性の多様性に配慮した先進事例を基に、民間企業や事業者団体への働きかけも行うこととしておるところでございます。
今後とも、社会全体で性的マイノリティーへの理解増進が進むよう努めてまいります。
2021年10月6日
先日、摂津市で3歳の男の子が熱湯をかけられて亡くなり、母親の交際相手の男が逮捕されるという痛ましい事件が発生しました。報道によれば、保育所や母親の知人から市に対し、虐待を疑わせる連絡や相談もあったとのことです。市は、この家庭について、継続的な見守り、支援を行うとともに、要保護児童対策地域協議会でも関係機関と情報共有をしていたとのことですが、このような悲しい結末を迎えてしまいました。亡くなられたお子さんに対し、衷心より哀悼の意を表するものです。
先日の維新の代表質問で、知事より、この事件については弁護士や医師、学識経験者で構成される児童虐待事例等点検・検証専門部会において、原因の分析を行って必要な対策などの提言をいただくこと、提言を基に再発防止策を講じ、府域全体の児童虐待の対応力を一層強化していくとの答弁がありました。事例の検証をしっかりと行い、提言を踏まえて、再発防止策に取り組んでいくことは大変重要だと考えます。
本日午前、点検・検証専門部会が開かれ、検証が始まったようです。どのような議論がなされたのでしょうか、福祉部長にお伺いします。
大阪府の令和2(2020)年度の相談対応件数は1万6055件と、過去最高だったとお聞きしております。増え続ける児童虐待に対応するため、大阪府は、子ども家庭センターの体制強化をはじめ、警察との全件情報共有、市町村での子ども家庭総合支援拠点の設置促進など、児童虐待防止に向けた取組を進めていました。そのような中で、今回の事案が発生してしまいました。
この事案がそうだったように、子ども家庭センターだけでなく、市町村が通告を受理し、地域で見守りを継続しながら対応や支援を行っている事案は数多くあります。市町村を含めた児童虐待の対応力の底上げが不可欠です。府は、市町村職員の専門性の向上をはじめ、市町村の体制強化に向けてどのように取り組むのか、福祉部長にお伺いします。
まず、本日行われた点検・検証専門部会ですが、事案の概要の確認や、今後の進め方などが議論され、来(2022)年1月までに提言の取りまとめを目指すこととされたところでございます。
次に、児童虐待の対応等を適切に行うために、住民に身近な市町村の相談体制強化は非常に重要でございます。そのため、府では、市町村における専門性を有した人材の確保、育成のため、市町村職員が、専門職員として必要な知識、技術を取得するための研修や、子ども家庭センターでの受入れ研修を実施しております。また、各子ども家庭センターに市町村支援担当児童福祉司を配置し、市町村の相談支援体制、専門性の強化を図っているところでございます。
また、要保護児童等への切れ目のない支援を一体的、継続的に行うため、市町村における子ども家庭総合支援拠点の設置を促進しております。府内では、政令市を除く27市町村が既に設置しており、今後、府内全市町村で設置がなされるよう、市町村の体制強化に向けて引き続き取組を進めてまいります。
2021年10月6日
次に、府立高校の再編について伺います。
現在の再編整備計画は、平成31(2019)年度から令和5(2023)年度までの間、将来の中学校卒業者数の推計等を踏まえ、府市合わせて8校程度の募集停止を公表することにしており、既に3校の募集停止を公表、残り5校となっていました。
今回、令和3(2021)年度の再編整備実施対象校案として、3校の募集停止が公表されました。対象校の一つである府立泉鳥取高校は、阪南市にただ一つの高校で、阪南市からは、府南部に居住する生徒の普通科高校進学の機会の確保のため、存続を求める要望があったとお聞きしております。
我が会派は、かねて再編整備に当たり、市町村やPTAなど関係者の幅広い意見を聞いた上で、生徒が安心して通うことができる、地域に根差したセーフティーネットとしての府立高校の在り方を検討するよう要望してきました。
今回の案は、どのような観点に基づいて検討がされたのか、また阪南市の要望を受けてどのように考えるのか、教育長にお伺いします。
再編整備に当たりましては、公立高校の基本的な役割は、全ての子どもに教育の機会を保障することであるとの認識の下、高校進学を希望する中学生の受皿となる府立高校を十分に確保しながら進めてまいりました。
今回、募集停止校案としました島本高校と茨田高校は、3クラス規模で募集定員が未充足となっており、泉鳥取高校は2クラス規模で募集定員が未充足になっていることに加えまして、同校生徒の主な出身行政区におけます今後の中学校の卒業者数の減少見込みが、府全域と比較しましても大きい状況となっております。このような状況を踏まえまして、大阪府立学校条例第2条に規定する「改善する見込みがないと認められるもの」と判断をいたしました。
阪南市からは、地域の生徒の就学機会確保のために、泉鳥取高校の存続を求める要望をいただいておりますけども、地域の中学校卒業者数の動向や公共交通機関の状況、周辺高校の設置状況を勘案した結果、募集停止をしたとしましても就学機会は確保できるというふうに考えております。
また、今回の再編整備案におきましては、募集停止とする3校の特色ある教育活動を他校に継承、発展させる機能統合を行い、教育内容の充実も図ることとしております。
府立高校の再編整備案につきましては、これまでと同様に、議会での御議論や関係者からの様々な御意見も踏まえまして、(2021年)11月の教育委員会会議で最終決定をしたいというふうに考えております。
府立高校の再編整備は、募集定員に満たない数など数字のみを根拠に進めるのではなく、市町村やPTAなど関係者の幅広い意見を聞きながら、その学校が地域で果たす役割など、府立高校の在り方を十分に検討していただくよう要望しておきます。
2021年10月6日
次に、医療的ケア児の教育環境の充実について伺います。
我が会派は、かねて学校内外で医療的ケア児の教育環境の充実を求めており、この(2021年)9月には医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行されました。この法律は、学校設置者に「学校に在籍する医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするため、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずるものとする。」と強く求めています。
府は、これまでも府立学校に看護師を配置してきました。法律の趣旨を踏まえ、各府立学校の医療的ケア児の実情に応じた客観性のある配置をすべきと考えます。教育長にお伺いします。
教育庁では、医療的ケアが必要な子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう、各学校の実情に応じて看護師を配置してまいりました。(2021年)10月1日現在で、府立支援学校に通学をしている医療的ケアが必要な児童生徒436人に対しまして、看護師を112人配置しておりまして、必要なケアは実施できているものと考えております。
しかしながら、医療的ケアが必要な児童生徒の状況は様々であり、それに対応した看護師配置に当たっては、客観的な指標が設定されることが望ましいというふうに考えております。
御指摘のように、新たな法律が施行されましたものの、学校におけます看護師配置の基準は示されておりません。法律上、国には、施策を実施する責務もありますことから、国に対しまして、客観的な基準の設定と、それに対する十分な財政措置を求めていきたいと考えております。
医療的ケア児通学支援事業は、コロナ禍にもかかわらず、昨(2020)年度に引き続き50件を超える制度利用があります。
この制度を利用したある生徒が、卒業を間近に控えた最後の利用の日、お世話になった担当の看護師に手書きで「看護師さん、ありがとう」と記したお礼の手紙を渡し、看護師が目頭を熱くしたというエピソードをお聞きしました。学校での医療的ケア児支援の重要性を繰り返し主張してきた我が会派として、大変に喜ばしい限りです。
しかし、通学支援を担う看護師や車両が見つかりにくいことにより制度の利用が遅れた、手続が煩雑であったため申請書類を何回か出し直したとの保護者の声もお聞きしております。
コロナが終息すれば、通学支援制度を利用する子どもが増えることが見込まれます。より使いやすく、よりよい制度としていくためにも、今の段階からきめ細かく保護者の声を聞いておくべきだと考えます。教育長にお伺いします。
医療的ケア通学支援事業につきましては、本格スタートから1年が経過する中で、学校長等を通じて利用者の声の把握に努めており、これまでも利用に係る手続をできるだけ簡素化する等の改善を図ってまいりました。
今後、この事業をさらに利用しやすいものとするために、利用を希望している全ての保護者等を対象としたアンケートを実施することによりまして、保護者の声を丁寧に把握し、可能なものから順次改善に着手をしていきたいと考えております。
2021年10月6日
次に、公的賃貸住宅の在り方について伺います。
このほど、年内に改定が予定されている住まうビジョン・大阪と大阪府営住宅ストック総合活用計画の案が示されました。住まうビジョン・大阪案では、公的賃貸住宅は量的縮小を図ることとし、30年後の戸数の指標が設定されました。全体で現在の約2割減、府営住宅は約3割減とされています。
住宅セーフティーネットは、民間も含めた市場全体で対応するとの考えの下、将来の人口、世帯数の動向や、世帯人員に応じて生活保護の住宅扶助費相当の4万円や5万円以下の比較的低廉な家賃の民間賃貸住宅の供給動向などを踏まえて推測したと聞いております。
しかしながら、人気の高い府営住宅は、入りたくても入れないとの声がまだまだ多く寄せられております。
このような状況で、府営住宅をはじめとする公的賃貸住宅の戸数を縮減するという方針が打ち出されました。今後の公的賃貸住宅の在り方をどのように考えているのか、住宅まちづくり部長の見解をお伺いします。
現在、日本は、既に本格的な人口減少社会に入っています。大阪府においても、推計では今後30年の間に約2割人口の減少が進むとされており、セーフティーネットとしての住宅を必要とする世帯についても一定減少することが見込まれます。
公的賃貸住宅は、住宅に困窮している世帯に対し、引き続きセーフティーネットとして重要な役割を果たしていきますが、最低限の質を備えた低家賃の民間賃貸住宅が相当戸数、より府内一円に立地しており、随時入居が可能であるなどの利点もあることから、これら民間賃貸住宅も含めた住宅ストック全体を活用して府民の居住の安定の確保を図ることとし、取組を進めています。
公的賃貸住宅の中でも、特に府営住宅は、今後一斉に更新時期を迎える高度経済成長期に建設した大量のストックへの対応が必要です。このうち、需要の低い団地を中心に再編整備を通じ、管理戸数の適正化とともに、複数団地を建て替える場合の需要の高い団地への集約、またエレベーターや風呂設備の設置などの住宅性能を高める等、良質なストックへの更新を図っていきます。
さらに、公的賃貸住宅全体では、各事業者が連携して将来像を共有しながら、まちづくりに取り組む中で、同様に団地を再編整備し、管理戸数の適正化を図ってまいります。そして、それにより創出される活用用地に、府内の各所において既に事例があるように、新たに高齢者や子育て支援の施設、店舗等の商業施設を導入するなど、入居者だけでなく、地域住民の暮らしを支えるような、状況に即した土地利用の転換を行う取組をより一層進めることによって、地域の再生にもつなげていく所存です。
2021年10月6日
民間賃貸住宅を活用して居住の安定の確保を図るとのことです。
現在の民間賃貸住宅の状況を見ると、身寄りのない単身の高齢者の入居は、将来の不安から敬遠されがちです。年金暮らしの高齢者にとって、毎月4万円や5万円の家賃負担は決して軽いものではなく、残念ながら民間任せにできないと考えます。
さらに、府営住宅は、現在改定作業が進められている府営住宅ストック総合活用計画案で、ビジョン案の考え方を踏まえ、10年後の管理戸数を現在の11万7000戸から10万5000戸に減らすこととしています。
府営住宅への入居希望者が依然多い状況の中、府民の希望に応えられないだけでなく、現在府営住宅にお住まいの入居者にとって、このような計画を示すと、自分の住宅はどうなるのかといった将来に対する不安が募る一方であり、府が常日頃から言っている府民が安心できる居住環境の確保がなされるか疑問です。
本当に住宅に困っている方が、民間で住宅を確保できるのでしょうか。また、現在府営住宅にお住まいの入居者は、引き続き安心して暮らすことができるのでしょうか。あわせて、住宅まちづくり部長の見解をお伺いします。
大阪府では、これまで民間賃貸住宅を活用した居住支援体制の充実に注力してきました。その結果、居住支援法人やセーフティーネット住宅の登録数など、量的には全国トップレベルであると自負していますが、高齢者や障がい者など配慮が必要な方々がより円滑に入居できるよう、さらなる取組が必要と考えています。
今後は、民間賃貸住宅がより一層活用されるよう、大阪府居住安定確保計画を新たに策定し、現在、豊中市及び岸和田市で設立されている市区町村単位の居住支援協議会が、ほかでも設立されるよう働きかけるとともに、居住支援法人の活動支援などに引き続き取り組んでいきます。
府営住宅については、ストック総合活用計画案において、需要の低い団地を中心に、昭和50年代以前に建設した団地の再編整備を通じて管理戸数の適正化、良質なストックの形成、まちづくりへの活用に一体的に取り組むこととしています。築年数やバリアフリー化、設備などの住宅の性能等を踏まえ、今後10年間で取り組む事業量を設定し、これらの事業を通じ、市への移管による減少と併せ、10年後の管理戸数を10万5000戸と見通しています。
現在、団地ごとの事業方針を検討しており、事業の実施に当たっては、約9万5000戸の入居者をはじめ、地域の声も聞きながら丁寧に進めてまいります。
また、府営住宅をはじめとする公的賃貸住宅の将来必要戸数については、人口、世帯数の動向や、民間賃貸住宅を活用したセーフティーネット機能の状況等を踏まえ、5年ごとの計画の改定に合わせ、継続的に検証し、必要に応じ見直していきます。
今後も、住宅確保に配慮を要する全ての府民が、安心して住宅を確保できるよう、全てを民間賃貸住宅に委ねるということではなく、公的賃貸も併せた住宅ストック全体を活用して、居住の安定確保に向けた取組をより一層進めてまいります。
2021年10月6日
次に、府営住宅のエレベーター設置について伺います。
府営住宅入居者の高齢化率は約46%と、大阪府の人口全体の高齢化率約28%と比べてかなり高く、府営住宅のバリアフリー化を進めることは重要です。とりわけ、4階建て、5階建ての中層住棟には、エレベーターが設置されていないものが多く残っています。府が、エレベーター設置を進めているものの、入居者からはできるだけ早く設置してほしいとの声が多く寄せられています。
現在の大阪府営住宅ストック総合活用計画では、平成28(2016)年度から令和7(2025)年度までの10年間で2650基設置という目標を掲げておりますが、計画どおり進んでいないのが現状です。我が会派は、これまでも早期の設置を強く求めてきました。
現在、パブリックコメントの手続が行われているストック総合活用計画の改定案では、中層エレベーター設置事業の想定事業量が約1000基となっており、単純に考えると大幅に縮小されたように受け取れますが、中層エレベーター設置事業を今後どのように取り組んでいくのか、住宅まちづくり部長にお伺いします。
議員御指摘のとおり、府営住宅の入居者は高齢者が多く、バリアフリー化は重要と認識しており、中層住棟へのエレベーター設置事業を順次進めていますが、様々な要因が重なり、計画どおりに進捗していないのが現状です。
設置事業の対象団地は、大量に建設された高度経済成長期のものが大半で、今後一斉に更新時期を迎えることへの対応が大きな課題となっており、今般のストック総合活用計画の改定に当たっては、エレベーター設置を含め、事業の総点検を行うとともに、各団地の活用方針や事業方針を検討しているところです。
具体的には、エレベーターが必要でまだ設置されていない団地を築年数で分け、昭和60年代以降に建設された団地については、エレベーター設置事業を継続します。昭和50年代以前の団地は、集約や建て替えによる再編整備の事業対象としますが、事業着手までに一定の年数を要する団地については、原則として引き続きエレベーター設置を進めます。いずれの場合も、入居者の状況等に応じた住み替え促進も含め、計画的に入居者の利便性向上に取り組みます。
これにより、中層エレベーター設置が必要となる総事業量を約1000基と見込み、原則、高齢世帯率の高い団地から順に着手し、令和12(2030)年度までの計画期間内に事業完了できるよう取り組んでまいります。
2021年10月6日
次に、なにわ筋線について伺います。(スライド8)
なにわ筋線は、JR難波駅、南海新今宮駅と2023年春開業予定のうめきた(大阪)地下駅とを結ぶ新たな鉄道であり、このなにわ筋線が整備され、南海電車が新大阪に乗り入れることになれば、大阪南部地域から梅田や新大阪へ乗り換えることなくアクセスでき、同地域の利便性が大きく向上するなど、そのほかにも様々な効果を期待しております。
なにわ筋線の整備に向けて、必要な手続を経て、今後、現地着手をしていくとお聞きしております。一刻も早い開業に向けて、事業を進めていただきたいと考えます。
なにわ筋線の整備に関し、その意義や具体的な効果と、現在の取組状況を都市整備部長にお伺いします。
スライド8
なにわ筋線は、現在進められているうめきた地下駅の整備と併せ、関西国際空港と大阪・梅田間の所要時間が約10分から20分短縮されるなど、新大阪や大阪都心部と関西国際空港や大阪南部地域とのアクセスを強化するとともに、大阪・梅田や中之島をはじめとする沿線地域の拠点開発を促進させるなど、大阪、関西の成長に不可欠な路線と認識しています。
2020年の認可取得以降、これまでに整備主体である関西高速鉄道株式会社が、用地交渉や鉄道施設の詳細設計、工事に関する説明会など、工事着手に向けた準備を進めており、(2021年)今(10)月中には仮称中之島駅、西本町駅部において本格的な工事に着手する予定となっております。
今後とも、2030年度末の開業に向け、関係者一丸となって着実に取り組んでまいります。
2021年10月6日
次に、新大阪駅周辺地域のまちづくりについてお聞きします。
新大阪駅周辺地域都市再生緊急整備地域検討協議会は、国、大阪府、大阪市、関係事業者、経済団体、学識経験者と共に、地元を代表し淀川区長と東淀川区長がオブザーバーとして参加し、十三から淡路を含むエリアのまちづくりを検討しています。当協議会は、昨(2020)年3月、まちづくりの方向性や導入すべき都市機能などを示したまちづくり方針の骨格を公表しました。方針の作成に向け検討が進み、(2021年)8月19日に第5回協議会が開かれました。
このまちづくりが進むことで、スーパーメガリージョンの西の拠点として、日本全体の発展を支えていくことはもちろん、来訪者はもとより地元の方々にとっても魅力ある空間となっていくことを期待しております。
リニア中央新幹線や北陸新幹線の完成には時間がかかりますが、少しでも早く実現するためにも、先行してまちづくりを進めることが必要だと考えます。
新大阪駅周辺地域の魅力あるまちづくりに向けた検討状況と、今後どのように進められるのか、住宅まちづくり部長の所見をお伺いします。
新大阪駅周辺地域では、日本における国際都市としての顔にふさわしい高い魅力を持った都市空間が必要であるとともに、そこで活動、滞在する人にとって居心地のよい空間形成を図ることが重要と認識しています。
第5回協議会では、新大阪エリアにおけるみどり・オープンスペースや魅力ある商業・文化施設等、十三エリアにおける淀川の自然を生かした光、みどり、水を感じる空間、淡路エリアにおける鉄道高架下も活用したにぎわいやゆとりある空間といった各エリアの機能集積のイメージをお示しするなど、来訪者や地元の方々にとっても魅力的な空間となるよう、まちづくりの検討を進めているところです。
2025年の大阪・関西万博の開催時期が近づいていることも考慮すると、まちづくりの将来像を早期に示し、多くの方々と共有する必要があると認識しており、北陸新幹線等の駅位置は明らかにはなっていない状況ではありますが、可能な範囲でまちづくり方針を作成するなど、スピード感を持って取り組んでまいりたいと思います。
2021年10月6日
最後に、淀川流域でのにぎわいづくりについてお伺いいたします。
淀川は、身近に自然とふれあえる貴重な空間として府民に親しまれており、これまでも、府が淀川流域のまちづくりを進めているところであります。今回、新たに淀川下流域で2つのハード整備が行われることになりました。
こちらを御覧ください。
一つ目は、淀川河川事務所が十三に緊急用の船着場を整備するものです。この後背地においては、淀川区役所跡地を活用した民間主体の事業が進んでいることから、地元では地域の活性化につながるものと非常に期待をしております。(スライド9)
次をお願いします。
2つ目は、今年度から工事が着手をされます淀川大堰での閘門設置です。現在は、このように上流と下流が分断をされております。(スライド10)
次をお願いします。
このイメージ図のように、淀川大堰に閘門が整備されますと、大阪湾から京都までつながり、船の運航が可能となります。(スライド11)
これら二つのハード整備を契機に、淀川の地域資源や魅力を生かした流域のにぎわい創造に向けた取組をさらに進めていくべきと考えます。住宅まちづくり部長の所見をお伺いします。
スライド9
スライド10
スライド11
淀川には、豊かな自然や様々な歴史文化資源があり、その魅力を活用した広域連携のまちづくりを進めることが重要と認識しており、地元市町や民間のまちづくり団体と共に、淀川沿川の魅力情報の発信や、観光資源を活用した地域のイベント等に取り組んでいます。
お示しの新たに船着場が整備される淀川河川敷十三エリアにおいては、関係者で構成する当エリアの魅力向上協議会に本府も参画し、十三駅に近接した立地条件を生かした河川空間のにぎわい創出に向けた検討を進めており、公募される市場調査の結果も踏まえ、今後の民間主体の事業成立性を見極めていきます。
また、淀川大堰閘門の整備については、国において、大阪・関西万博までの完成に向け、今年度中の現地着手が予定されています。これら船着場と閘門の整備を契機に、舟運を生かした沿川の魅力あるまちづくりを実現するため、船着場周辺のにぎわいづくりや安全な航路の確保等について、関係機関等と協議を進めてまいります。
今日の質疑の中で、空飛ぶクルマを触れさせてもらいました。できれば、万博会場から飛んできて、この十三のエリアに降りていただけると非常にうれしいなと思って見ておりました。
今月の日本経済新聞朝刊の連載「私の履歴書」にノーベル化学賞受賞者の吉野彰さんが登場されています。5日付の記事で、京都大学3回生当時、後にノーベル化学賞を受賞された福井謙一教授の授業での出来事をつづられていました。「私は『その程度なら知っている』と思って板書を始めたが、途中まで書き進めたところで、立ち尽くした。知っているつもりが、実は分かっていなかったのである」、「この失敗を痛切に覚えているのは、何を研究するにしても基礎となる古典理論がいかに重要かを教えられたからだ。」との一文は、あらゆる分野に通じることでしょう。改めて心すべきだと痛感した次第です。
以上で、代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。