大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

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平成20年7月臨時会住宅水道常任委員会 知事質問

2008年7月17日

府営住宅の役割について


質問

 府営住宅、知事も中学、高校ぐらいの時代でしょうか、過ごしていらしたことがあると伺っております。私も知事と一学年違い、同じように団地暮らしではありませんが、それこそ団地に行ったらもう友達がいる、あそこにいなくても、次、隣に行けばだれかいる、そんな時代をきっと過ごしていらしたのではないかと思います。

 確かに人口統計を見ますと、昭和44年生まれ、知事も私もこの中に入るわけですが、188万9,815人の子どもが一年間で生まれております。これよりもうちょっと時代が4,5年下ったときは、ちょうど第二次ベビーブームで、ピークは昭和48年の209万1,983人、これは全国の統計ですが、このように子どもがいっぱい生まれていた。ですので、まあ言えば、まさに私たちが子どものころ、団地に行けば、それこそ子どもがにぎやかに遊んでいた。本当に活気にあふれていた、そういった姿がきっと知事の思い出の中にもあると思います。

 今はどうなのか。知事も、この4月に視察をされたと伺っております。また、その話は後ほどお聞かせをいただければと思いますが、私の今住んでおります隣に、大阪市営ですが、かなり規模の大きい団地が建っております。回ってみますと、かつての友達の名前がいまだに表札に残っております。訪ねてみますと、いるのはお父さん、お母さんだけ。私たちの父母の世代ですから、60後半から上の人たちだけです。何とか君はどうしましたかと聞きますと、就職してどっかへ行ったとか、結婚してどこそこへ行ったというような返事が返ってくる。もうそこへ残っているのはお父さん、お母さん、まさに高齢者の世代だけ。これはちょっと古いデータですが、府営住宅で平成17年度末で、高齢化率が24.5%、これはストック活用計画から見た数字でございますが24.5%。そのとき、大阪府の平均が18.5%だったと。もう子どもは少なくなる、お年寄りはふえる。そして、人口そのものも減っていく。少子高齢化、人口減少社会、これはもうだれもがわかっている話です。

 その中で、じゃこの府営住宅というのは、どういう役割が求められているのか。これは、国立社会保障・人口問題研究所の2005年から2030年までを見越した推計ですが、2005年が1億2,777万人に対して、2030年が1億1,522万人、指数でいいますと、2005年を100としたら、総人口は90になる。じゃ、総世帯数はどうなるか。4,906万世帯が4,880万世帯、余り減らないですね。100として99にしかならない。そのかわり世帯構成人員が2.56が2.27になる。じゃ、どんな世帯がふえるのか。まさにひとり暮らしの世帯がふえる。そしてまた、ひとり親と子どもだけで構成される世帯がふえる。このような推計が出されております。

 このような、まさに先を見据えた上で、府営住宅のハードも当然整備をしていかなければいけません。今、13万8千戸、約29万人の人が暮らしている府営住宅ですが、この社会変化、構造変化を見越した上で、どのように、まさに大阪府営住宅のいわば大家さんとして、大阪府営住宅をこの先どのようにしていくべきなのか、まさにあるべきなのか、そういった思いを知事に聞かせていただきたいと思います。まさに、おとついときょうの議論の中でも、府営住宅、今さまざまな問題を抱えているというのは、先輩議員の皆様からもさまざま指摘をいただいたところです。この中で、やはり一つ、4月のプロジェクトチーム案の中であった13万8千戸というボリューム自体が多過ぎるのではないかという議論もありました。今、これは日本全体の話ですので、大阪府で引き直すとどうなるのかわかりませんが、人口は減っても、思ったほどには世帯数は減らない。そうなったときに、府営住宅を供給する側の大阪府というのはどういうふうにするべきなのか。

 また、人口構成も変わっていきます。人口構成どおりに入れていけば、本当にお年寄りばっかりになって、言ってみれば団地、コミュニティとしての活力もないような状態になってしまう。そういったときに、どういった政策配慮が必要になってくるのか。また、そういったところをまさに是非論として知事の思い、また思い出、この4月の府営住宅、金岡団地を視察されたときの感想などを交えてお聞かせいただければと思います。

答弁
橋下徹知事

 これまで財政再建でひた走りに走ってきまして、正直次の一手の部分、まさにこの府営住宅のあり方は、これからの、9月からの重要な検討事項として住宅まちづくり部と大きな課題に挙げておりまして、財政再建の中でも、住宅まちづくり部の部長さんとメールでももうさんざんいろいろ議論はしている中で、まだ今のところ明確に、僕自身がこうあるべきという具体策を、具体的な内容まではちょっとここではお話しできないところは非常に恐縮な限りなんですが、ただあるべき論というか、大きな方向性としましては、やはりこれは府営住宅については、もう経済的な理由や高齢者、障害者、子育て世帯など、民間住宅市場において適切な住宅を確保できない府民に対してのセーフティーネットとして、今後も有効に活用していくことが必要であるということは認識しております。

 あとは、その活用の仕方なんですけれども、僕自身が府営住宅に住んでいたときは、ファミリー向けの大体住宅で、うちも狭かったんですけども、3DK−−6畳、6畳、3畳ぐらいの3DKだったんですが、一度視察に行ったときに、やっぱり間取りはもうちょっと違った間取りだったんですが、住宅まちづくり部のほうに、いや、今のような、僕が住んでいたようなあの間取り、ファミリータイプの間取りばっかりだと、やっぱりファミリータイプをねらってくる層しか来ないんで、どうなんでしょうと。もうちょっと柔軟に何か部屋の間取りとかできないんでしょうかね、今のままじゃまずいんじゃないでしょうかねなんていうことを部長さんにお尋ねしたら、もう既にそこはいろいろ考えられていて、1Lを二戸一にしたりとか、いろいろそういう配慮をされていると。やはり最低限のセーフティーネットということを考えたとしても、多くの若い世代からお年寄りの方まで入れるような間取り、ある意味、民間住宅に学ぶ政策マーケティングじゃないですけれども、ニーズにこたえるような府営住宅のあり方にしないと、なかなか僕が住んでいた当時のような、もう決まり切った間取りになってしまうと、なかなか多くの方々に入ってきていただけないんじゃないのかなというふうに思っています。

 ですから、セーフティーネットであるので、いろいろ制約はあるにせよ、やはりそこはニーズにこたえるような形で柔軟に間取りとか仕様の便益さ、そういうものを積極的に、民間がすべていいというわけではないんですけれども、やはり今までのような画一性というよりも、府民のニーズに沿ったような形での府営住宅にしていきたいというふうに思っていますが、戸数やそういう議論については、これから庁内でも議論しますので、またそこもぜひいろいろ議論させていただきたいというふうに思っております。

要望

 経済学の用語で、合成の誤謬という言葉があります。もう知事はよく御存じかと思います。一つ一つの場面に、それこそ絆創膏を当てる、薬を塗る、それをやったら、全体としてはかえってだめになってしまった。そういったことにだけは決してならないように、全体を見た上で判断をしていただきたいと思います。

 この府営住宅ですが、私、平成19年9月の委員会でも、府営住宅のあり方について議論させてもらいました。公営住宅ですので、余り豪華に、ぜいたくにつくれというわけにはいかないと思います。ですが、やはり時代を先取りしたつくり方というのはあると思います。去年の委員会で質疑をしました東三国団地、また摂津の南別府団地、当時としては本当に先端を行くものをつくったと思います。じゃ、今それがどうなのかというのは、今確かにそれが逆にかえってあだとなっている部分もあるわけですが、そこはやはり当時の人たちの技術者の意気込み、また時代を先取りしようという府職員の皆さんの意気込みがあったと思います。

 この府営住宅、先ほど言いました数字から言ってみたら、今の大阪府の一歩先を行っている、そういうコミュニティというふうにとらえてもらって、ぜひともこの府営住宅、まさに大阪府が目指す理想はこういうところにあるというものを、また知事とも議論をしたいと思いますし、また住宅まちづくりの皆さんとも一緒に議論をしながら、その方向を探っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。