大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

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本会議代表質問

2022年10月4日

原油価格・物価高騰対策

質問

 公明党大阪府議会議員団の加治木一彦でございます。

 まず、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、現在、闘病されている方々、後遺症に苦しんでおられる方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 また、医療や介護、教育など、社会の様々な現場を支えてくださっている皆様に、改めて敬意と感謝の意を表します。

 それでは、我が会派を代表して、順次質問、提案をさせていただきます。

 初めに、原油価格・物価高騰対策について伺います。

 ウクライナ情勢、円安等の影響を受け、原油や電気、ガスだけでなく、食料品等の生活必需品にも物価高騰が進み、府民の生活や事業者の経営への負担が大きくなっています。

 4月には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分が、大阪府に約221億円措置され、府は生活者や事業者の支援に積極的に活用してきました。
 物価高騰の影響は長期化し、今年の夏は例年にない猛暑に見舞われたほか、事業者にも燃料価格高騰分の価格転嫁ができていないところもあり、引き続き対策が必要な状況です。

 国は、先頃、ガソリン補助の継続や住民税非課税世帯への5万円給付等を決定するとともに、新たに電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援交付金を創設。先月、大阪府に約174億円を配分しました。

 府は、財源を活用し、一日も早く補正予算を編成し、困難を抱える府民や事業者への支援を急ぐべきと考えます。今後の方針を政策企画部長に伺います。

答弁
政策企画部長

 昨今の原油価格などの高騰や、円安の影響により、エネルギーや食料品を中心に価格が上昇を続けており、8月の生鮮食品を除く消費者物価指数は、前年同月比でプラス2.8%と高い水準となっております。

 物価上昇の影響は、府民全体に及んでおり、非常に厳しい状況にあると認識しております。

 本府では、これまで地方創生臨時交付金を活用いたしまして、府民には18歳以下の子どもへのギフトカードの配付、事業者には、福祉事業者や公共交通事業者、農業者等への燃料費等の支援などを実施してきたところでございます。

 今般、国から174億円の配分がありました電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援交付金を活用いたしまして、コロナ禍において価格高騰等で厳しい状況にある府民や事業者の皆様に、速やかに支援が届くよう支援策を検討してまいります。

2022年10月4日

全数届け出の見直し

質問

 次に、コロナ陽性者全数届け出の見直しに伴う発生届対象外の方への支援について伺います。

 9月26日より全国一律でコロナ陽性者の全数届け出の見直しが行われており、発生届の対象者は65歳以上の方、入院を要する方、治療が必要な重症化リスクのある方及び妊娠している方の4類型に限定されました。

 大阪府を見ますと、令和4年6月25日から8月21日までの陽性者約76万人のうち、重症化リスクを有する方、及び65歳以上の方の割合は約25%でした。制度見直しにより、残りの75%は発生届の対象外となります。

 これら対象外となる方も、府は新たに設置した陽性者登録センターで陽性者情報を登録し、希望者には自宅待機SOSを通じ、宿泊療養への移行や配食サービス等の支援をすることにしています。

 しかし、我が会派は、今後、感染拡大が生じた場合、支援が行き届かない状況が生じるのではないかと懸念しています。

 感染拡大期も含め、支援を必要とする方が支援につながるための体制づくりを健康医療部長に伺います。

答弁
健康医療部長

 今般の全数届け出の見直しは、通常医療への段階的移行の取り組みの一つであり、府としては、届け出対象外となる療養者に対しても、引き続き支援体制を維持してまいります。

 具体的には、届け出対象外となる方や、自己検査により陽性となった方の登録を受け付ける陽性者登録センターを9月26日に設置し、感染拡大期には1日1万5000人の登録が可能な体制を整備しました。

 あわせて、自己検査の促進に向け、新たに検査キット配布センターを設置し、無料でのキットの郵送をスタートしています。

 また、感染拡大期の自宅療養者への対応として、10月末を目途に、大阪コロナオンライン診療・往診センターを設置し、登録者も含めた自宅療養者が、診療や薬剤の処方を受けることができる体制を構築します。

 さらに、自宅療養者に対する相談支援の要となる自宅待機SOSについては、新たに医学的助言を行う医師を配置するとともに、感染拡大に応じた迅速な電話回線の増設や、宿泊療養などの支援など、全数届出見直し後もその機能を適切に確保してまいります。

2022年10月4日

高齢者施設等での対応

質問

 次に、高齢者施設等における新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料によると、高齢者施設等のクラスター発生数は、2月と3月を合わせて530施設であったのに対し、8月は1か月で977施設発生しており、クラスター発生施設での陽性者数も2月、3月の合計の1.5倍以上となっています。

 大阪府は、第6波以降、高齢者施設での早期の重症化予防治療の体制確保や、陽性者発生時の対応力向上など、施設の取り組みを支援してきました。

 本部会議資料から第7波の実績を確認しますと、クラスター発生施設当たりの陽性者数は第6波に比べて抑えられているほか、施設入所者の死亡者数も第6波に比べて大きく減少しているなどの変化も見られます。

 今後の感染拡大に備え、引き続き施設自体の対応力向上が必要であると考えます。

 府が施設の取り組みを支援してきた具体的な内容と、今後を福祉部長に伺います。

答弁
福祉部長

 高齢者施設等におけます新型コロナウイルス感染症対策につきましては、施設と医療機関との連携確保や、シミュレーション訓練の実施など、陽性者発生時に備えた対応力の向上が重要と認識しております。

 コロナ治療ができる協力医療機関の確保につきましては、今(2022)年4月以降、健康医療部と連携しまして、高齢者施設や医療機関等に働きかけてまいりました。その結果、高齢者施設等の協力医療機関の確保率は、働きかけ前の3月時点では約3割だったんですけど、現在7割近くまで増加しております。

 また、今年5月には、高齢者施設等に対しまして、陽性者の発生を想定した訓練の実施を要請しました。現在、実施率は、9割以上ということになっております。

 このように施設における陽性者発生時の対応力は、着実に向上したものと認識しております。 今後の感染拡大時におきましても、高齢者の命を守ることができるよう、引き続き高齢者施設等の取り組みに対する支援に努めてまいります。

2022年10月4日

子どもたちが万博に参加する機会づくり

質問

 次に、万博への府内の子どもの無料招待について伺います。

 いのち輝く未来社会のデザインをテーマとした大阪・関西万博が地元で開かれることは、将来の大阪を支える子どもたちにとり、様々な体験ができる有意義な機会です。

 我が会派は、未来社会を体感するとともに、国際交流の機会ともなる万博会場をぜひとも子どもたちへの学びの機会として提供していただきたいと考え、令和2年2月議会で万博への子どもの無料招待について質問をしました。

 知事も、大阪の子どもたちを無料招待できるように、関係者と協議していきたい旨の前向きな答弁をされました。

 来(2023)年度は、入場券販売が始まる予定です。2005年の愛知万博は、どのような対応をしていたのでしょうか。また、万博への府内の子どもの無料招待に向けた現在の検討状況について、万博推進局長の所見を伺います。

答弁
万博推進局長

 次世代の担い手となる子どもたちが、未来社会の実験場をコンセプトとした大阪・関西万博の会場を訪れ、最先端の技術やサービスに触れ、未来社会を直に体験することは、自らの将来について学び、考える絶好の機会であると認識しております。

 2005年の愛知万博は、自然との共生や環境問題の解決をコンセプトにしており、児童生徒が国際理解や、地球規模の環境を体験学習できるよう、愛知県内の国公私立の小中学生など約60万人が、学校行事として万博を見学した際、県がその入場料全額を負担しておりました。

 府内の子どもの無料招待につきましては、本(2022)年8月に大阪・関西万博推進本部に設置した参加促進部会におきまして、こうした過去の事例や、博覧会協会における入場券制度の検討状況を踏まえながら、対象者の範囲や無料とする手法をはじめ、課題への対応策につきまして、引き続き教育庁など関係部局と協議等を重ね、しっかりと進めてまいります。

2022年10月4日

大阪・関西万博における市町村参画の取り組み

質問

 府内の子どもたちの無料招待に向け、引き続き取り組んでください。また、全国の子どもたちにも、万博を訪れるための仕組みづくりが必要です。修学旅行などで万博に来てもらえるよう、博覧会協会や大阪観光局とも連携し、より多くの子どもたちが万博を体験できるようお願いします。

 次に、万博への市町村参画について伺います。

 万博は、大阪の成長の起爆剤であり、万博会場で地域の魅力や産品などを世界にPRすることは、地域の活性化にもつながる絶好の機会だとして、府内市町村も大いに期待しています。また、万博公式参加国との国際交流や、万博会場内での催事への参加など、積極的に万博に関わっていきたいという声もよく聞きます。

 万博への参加の枠組みは、国や博覧会協会で、今後、制度設計がなされることでしょうが、府もこれまで以上に市町村の声を聞いていただくなど、より積極的な役割を果たすべきです。万博への市町村の参画について、万博推進局長の所見を伺います。

答弁
万博推進局長

 府内市町村の大阪・関西万博への参画につきましては、これまでも博覧会協会の協力の下、市長会及び町村長会や府内全市町村が参画する万博首長連合などの場におきまして、会場での催事参加や、会場を訪れる人々を対象とした地域への観光誘客あるいは文化資源を活用した国際交流などにつきまして、呼びかけを行ってまいりました。

 会場内の催事につきましては、現在、博覧会協会におきまして、自治体等が参加する参加催事や、協会等が行う主催者催事などにより、会場の至るところでにぎわいを創出できるよう、来年度の公募に向け準備が進められているところでございます。

 また、万博を契機とした国際交流につきましては、国におきまして、地域の海外交流に向けた調査事業といたしまして、先進事例の調査等が検討されるなど、自治体と参加国との交流が全国各地で進められるよう取り組まれているところでございます。

 大阪府市といたしましても、こうした検討状況を踏まえまして、会場内での催事参加や、地域の国際交流などにつきまして、市町村とともに議論を重ね、国や博覧会協会に働きかけるなど、しっかりと取り組んでまいります。

2022年10月4日

中小企業の万博関連調達への参入促進

質問

 次に、中小企業の万博関連調達への参入促進について伺います。

 今回の補正予算案に計上された2025年日本国際博覧会受注機会確保支援事業費は、万博の発注情報を府内中小企業につなぐ枠組みとして、万博関連事業受注者登録システムを構築するものです。登録された受注側の企業情報や、商品、サービス、技術等の情報を発注者側に提供するとともに、収集した発注情報を受注者側に提供する機能も持たせるとのことです。

 中小企業など受注者がこの取組に寄せる期待は、大きいと考えますし、時宜にかなったものです。大切なことは、この取組が来年度後半と言われる万博の発注ピークに間に合うよう立ち上がることです。そして、多くの府内中小企業の登録情報と万博の多くの発注情報が登載され、双方にとって魅力的なシステムとなることです。府内中小企業の情報や発注情報をどのように増やしていくのか、商工労働部長に伺います。

 また、これまでのSDGsの達成や、Society5.0の実現といった理念とともに、約2兆円の波及効果があるといった経済面もしっかりアピールしていくことが、企業の関心を引くことにもつながると考えます。

 今回の登録システムによって、万博の経済効果が中小企業にもしっかりと届くことを示すことができれば、万博への関心や機運醸成にも寄与していくものと考えられます。商工労働部長の所見を伺います。

答弁
商工労働部長

 大阪・関西万博は、府内中小企業にとって新たなビジネスチャンスを獲得できる貴重な場であり、その機会を創出する仕組みとして万博関連事業受注者登録システムを立ち上げるものです。

 このシステムの機能を高めるには、多くの府内中小企業の情報が登録されることが不可欠であり、大阪産業局や商工会、商工会議所などの支援機関のほか、金融機関や税理士などと連携し、企業情報の登録を積極的に働きかけてまいります。

 また、発注側となる2025年日本国際博覧会協会をはじめパビリオンの出展者、さらには関連イベントの主催者やライセンスグッズの製作者など、万博関連事業を実施する様々な事業主体に対しては、発注情報の提供をお願いし、受注機会の拡大を目指してまいります。

 本システムにより万博に参入する機会が得られれば、中小企業の万博に対する親近感や参加意識も増し、さらなる参入意欲や大阪経済の活性化にもつながってまいります。こうした好循環によって、万博全体への協力や理解も促進されるよう取り組んでまいります。

2022年10月4日

万博における電気バス等の導入

質問

 次に、万博における電気バス等の導入について伺います。

 国際社会は、大気汚染物質や温室効果ガス等を排出しない自動車のゼロエミッション化が加速しており、大阪府も脱炭素モビリティ社会の実現を目指すことが重要です。

 2025年大阪・関西万博の開催時には、排出ガスがない電気バス、いわゆるEVバスなどを最大限導入し、世界に向け、カーボンニュートラルを推進する姿を分かりやすく見せていくべきです。

 会場へのシャトルバス等に使用されるEVバス等を導入する府内事業者を支援するべく、府市共同で国の補助金への上乗せ補助制度が創設されました。万博会場へのアクセスのゼロエミッション化を後押しする効果があると期待しています。

 しかし、今(2022)年度、全国から多くの申請があったため、国の補助金で府内事業者に多くの不採択が出たと聞いております。国と府市の補助金を活用して導入する車両の想定台数は、現時点で約100台程度と聞いておりますが、万博開催までの3年間で確実に導入できるのでしょうか。

 今(2022)年度は、国補助分も支援することとして、府市が補助制度を強化し、計画台数の導入を進めるとのことです。今後の事業者支援はどのように進めていくのか、環境農林水産部長に伺います。

答弁
環境農林水産部長

 大阪・関西万博の来訪者に対して、カーボンニュートラルに向けた取り組みをアピールできるよう博覧会協会と連携し、会場アクセスのゼロエミッション化を進めることが重要でございます。

 詳細な会場への輸送計画につきましては、現在、博覧会協会において検討されていますが、調達が可能と考えられるシャトルバス等につきましては、できる限りEVバス等が使用されるよう、今(2022)年度は予定台数の18台の導入を支援し、令和5(2023)年度、6(2024)年度の2か年で、さらに計画的に導入を促進してまいります。

 このため、府内事業者が国の補助制度を確実に活用できるようEVバスに係る予算枠の拡充と、府域への重点的な交付を国に強力に要望するとともに、府市による国の補助金への上乗せ補助制度の継続を検討してまいります。

2022年10月4日

インターネット上の誹謗中傷等対策

質問

 次に、インターネット上の誹謗中傷や差別等への対応について伺います。

 インターネットの普及で、SNSや掲示板等を活用し、手軽に情報を入手できるだけでなく、誰でも容易に情報を発信できるようになりました。

 一方で、インターネット上に、いわゆる同和地区の所在地を示すような情報や、過激なヘイトスピーチ、新型コロナウイルスが流行してからは、関連する誹謗中傷などの人権侵害情報が掲載され、大きな社会問題となっています。

 大阪府内の一部の市町村は、悪質な人権侵害情報の実態を把握するため、掲示板等を定期的に監視する、いわゆるモニタリングをしています。発見しても、すぐに人権侵害情報が削除されるわけではありませんが、極めて悪質なものは、人権擁護機関である法務局に削除依頼をしている市もあると聞いております。

 大阪府は、この市町村の取り組みをどのように支援しているのでしょうか。府民文化部長の所見を伺います。

 また、インターネット上の人権侵害に対応していくため、事後の対応に加え、加害行為の当事者への対応も必要になると考えます。

 国は、インターネット上の誹謗中傷等の抑止に向け、侮辱罪の法定刑を引き上げ、悪質な行為への対処をこれまで以上に厳しくしました。

 投稿した書き込みが誹謗中傷に該当するのかや、安易に拡散し相手から開示請求を受けているなど、自身の行為を後悔する加害者からの相談も増えてくることが予想されます。加害行為者から相談があった場合の対応策について、府民文化部長の所見を伺います。

答弁
府民文化部長

 インターネットを利用して人権侵害情報を拡散することは、決して許されないものという認識の下、府内の市町村におきまして、インターネット上の人権侵害事象の解消に向けた取り組みが進むよう、市町村に対する支援を行っているところでございます。

 現在、府内市町村の一部におきましては、お示しのように地域の実情に応じてモニタリングを実施するなど、人権侵害情報の早期発見と削除の取り組みが進められており、府としても削除に関するノウハウの提供や助言などの支援を行っているところでございます。

 さらに、いわゆる同和地区の摘示といった悪質な人権侵害情報につきましては、人権擁護機関である法務局やプロパイダに対しまして、市町村と連携し削除要請を行いますとともに、市町村に対しましても助言や研修等についての実施をしているところでございます。

 今後とも、各市町村における人権侵害情報の削除に向けた取り組みにつきまして、情報の集約や共有化を図るなど、より一層、市町村への支援を進めてまいります。

 次に、インターネット上の人権侵害に関する相談につきましては、大阪府人権相談窓口におきまして、被害者だけでなく、加害行為者から相談があった場合におきましても対応するようにしているところでございますが、現時点におきましては加害行為者からの相談は寄せられていない状況にございます。

 府としても、被害者はもとより加害行為者への支援も重要と考えており、今後、加害行為者がより安心して相談できる環境づくり等につきまして、インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議での議論等を踏まえ、しっかりと検討してまいります。

2022年10月4日

犯罪被害者支援

質問

 次に、犯罪被害者支援団体との連携について伺います。

 被害者支援に関する事業を適正かつ確実に行うことができる営利を目的としない法人として、認定NPO法人大阪被害者支援アドボカシーセンターが長きにわたり活動しています。

 近年、支援センターに対し、犯罪などの被害者や御遺族の方からの相談件数が増え続けており、被害者支援の重要性は増していると考えます。支援センターと大阪府警察が連携して、被害者等にどういった支援をされているのか、警察本部長にお伺いします。

答弁
警察本部長

 認定NPO法人大阪被害者支援アドボカシーセンターにつきましては、大阪府公安委員会が犯罪被害者等早期援助団体として指定しております。

 また、その支援センターに所属する相談員を民間被害者相談員として警察本部長が委嘱し、事件や事故の被害に遭われた方や御遺族の方からの相談、医療機関等への付添い、裁判の代理傍聴などの支援を行うことにより、被害者等の精神的被害の軽減、回復及び犯罪被害の潜在化の防止を図っているところであります。

 警察が民間支援団体と連携することにより、被害者等の心情に寄り添ったきめ細かい配慮をするとともに、専門的かつ継続的な被害者支援を実施しております。

意見

 先日、新聞で、大阪被害者支援アドボカシーセンターが、2018年度以降赤字が続き、潰れてしまうかもしれないといった記事を見ました。支援センターの財政基盤が危機的な状況にあることは、大阪府の知事部局や大阪府警察にも認識を持っていただいていると理解しています。

 警察本部長の答弁にもありましたとおり、大阪被害者支援アドボカシーセンターは、犯罪などの被害者や、その御遺族の方のためにもなくてはならない団体です。

 また、犯罪被害者等基本法でも、国及び地方公共団体は、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体が果たす役割の重要性に鑑み、その活動の促進を図るため、財政上及び税制上の措置、情報の提供等必要な施策を講ずるものと規定されています。引き続き、支援センターに活動を継続していただくため、売上げの一部を支援センターに寄附することができる寄附型自動販売機の設置を促進するなど、必要な支援をしていただくよう強く要望します。

2022年10月4日

ストーカー対策

質問

 次に、ストーカー対策大阪ネットワークの取組と今後の方針を伺います。

 ストーカー事案は、平成12(2000)年11月、ストーカー規制法が施行され、昨(2021)年、新たにGPSを取り付ける行為や位置情報を無断で取得する行為などが規制対象行為に追加される法改正が行われました。

 かねて我が会派は、さらなる被害者を出さないことを目的としたストーカー対策の強化を一貫して訴えてまいりました。

 昨(2021)年1月15日、警察本部、知事部局、教育庁や大阪保護観察所などの関係機関、団体が連携したストーカー対策大阪ネットワークが発足し、ストーカー対策の強化に動かれていると認識しております。

 本(2022)年3月の一般質問で、我が会派の議員がストーカー対策大阪ネットワークの活動状況をお聞きしました。その後の取り組みと今後の方針を警察本部長に伺います。

答弁
警察本部長

 本(2022)年3月以降のストーカー対策大阪ネットワークの活動状況につきましては、担当者会議を開催し、参画する関係機関、団体との意見交換や推進事業などについて確認を行い、継続したストーカー対策を推進しているところであります。

 具体的な取り組みといたしまして、ネットワークの推進事業の一環である若年者への被害防止啓発として、府警察と教育庁が連携し、府立の高等学校に協力を得て、生徒がデザインした被害防止啓発リーフレットを作成いたしました。

 完成したリーフレット30万部は、ネットワークの参画団体を通じ、府内の高等学校に在籍する全ての生徒や中学校、支援学校に配付いたしましたほか、図書館等の窓口に備え付けるなど、若年者に対する被害防止啓発を行っているところであります。

 また、加害者の再犯防止対策として、府警察とネットワークのアドバイザーとして参画する医療機関が連携し、加害者に対して精神科医療での治療を進める取組を行っております。本(2022)年は、7月末現在で42人に治療を勧めた結果、16人を受診につなげております。

 引き続き、ネットワークの相互連携を強化の上、各種媒体を活用したストーカー対策に関する広報啓発を行うとともに、本年度、府警察において創設した加害者の受診に係る公費負担制度を効果的に運用して、ストーカー被害の未然防止対策を推進してまいります。

意見

 ストーカー被害の未然防止に向けた広報啓発を継続して行っているとの答弁をいただきました。

 昨(2021)年、新たに規制対象として追加されたGPS機器等による位置情報無承諾取得等の被害防止に向けた効果的な対策を推進するとともに、ストーカー加害者の再犯防止対策として創設された公費負担制度を有効に活用していただくよう要望しておきます。

 今後も引き続き、警察による各種法令を駆使した検挙対策や、ストーカー規制法による行政措置を積極的に講じていただき、ストーカー対策大阪ネットワークに参画する関係機関や団体が相互に連携し、新たな被害者と加害者を生み出さないような総合的なストーカー対策を進めていかれますようお願いします。

2022年10月4日

大阪府警察職員の不祥事案に対する再発防止策等

質問

 次に、警察職員の不祥事案等に対する再発防止策について伺います。

 警察職員の皆様方におかれましては、昼夜を分かたず治安維持に当たっていただいていることに心より敬意を表するとともに、ますますの御活躍を期待しております。しかしながら、残念なことに(2022年)先(9)月初め、社会的耳目を集めた重要な事件の被留置者が、福島警察署留置施設内で自殺を図り、死亡するという事案が発生しました。

 さらに、府警本部の報道対応で事実と異なる説明をしたことが、新聞やテレビで大きく報道されました。大阪府警察は、調査チームを設置し、現在、これらの原因究明を進めているとお聞きしております。

 また、枚方警察署の警察署長が、複数の部下職員に対し、ハラスメント行為を含む不適切な言動を繰り返し、著しく職場環境を悪化させたとして更迭されるという事案も発生しております。

 さらに、本(2022)年に入り、大阪府警察の現職警察官が飲酒運転や盗撮行為などにより、既に6名も逮捕され、ニュースなどでも大きく報じられており、府民の期待と信頼を失いかねない事態になっていると考えます。

 平成29(2017)年から令和3(2021)年までの5年間、大阪府警察の懲戒処分者数は、平均すると年間15人弱で推移しています。職員数約2万3000人を抱える組織であっても、厳しい状況が続いているように感じます。

 一部の警察官のあってはならない行為により、警察全体の信頼が損なわれてしまうことは、本当に残念でなりません。このような現状を踏まえ、府民の皆様から信頼される大阪府警であり続けるため、警察本部長として、今後、どのように再発を防止していくのか、お伺いいたします。

答弁
警察本部長

 議員御指摘のとおり、大多数の職員が懸命に職務に当たっている中で、府民の安全を守るべき警察官が非違事案を起こして逮捕されたり、また部下を指導する立場にある上級幹部が、ハラスメントを引き起こして処分を受ける事案などが発生したことは言語道断であり、誠に遺憾であります。

 府民の皆様からの期待と信頼に応えていくためには、職員一人一人が、大阪府警察は府民のためにあるという思いを強く持ちながら、誇りと使命感を胸に自己に与えられた職務に邁進し、着実に結果を出していかなければならないと考えております。また、仕事を離れた私生活においても、清廉な生活態度を保持しなければならないことは言うまでもありません。

 そのために府警察では、警察職員としての職務倫理の基本を心に刻ませるため、警察官拝命時の初任科教養や上位階級へ昇任した際の入校教養等の各種学校教養、各所属への巡回教養、所属幹部による所属職員への教養等において、それぞれの属性に応じ、職務倫理、ハラスメント防止、非違事案防止等の教養を実施しているところであります。

 また、部下職員を指導すべき立場にある上級幹部に対しても、各種会議や新任所属長への研修等において、非違事案やハラスメントの絶無について指示、教養を徹底しているところであり、先般の9月30日に開催いたしました署長会議の席上でも、私から各所属長に対し、多発する非違事案やハラスメントの絶無を期すこと、常に府民の立場に立って活動するという警察の原点に立ち返ることの重要性について、部下職員に繰り返し指導するよう指示したところであります。

 今後も、これらの教養を継続するとともに、様々な取組を強力に推進し、職員の非違事案の絶無を期することで、大阪府警察に対する信頼の回復に努めてまいる所存でございます。

2022年10月4日

府営住宅

質問

 次に、府営住宅事業の地元説明の状況について伺います。

 昨(2021)年12月に改定された大阪府営住宅ストック総合活用計画は、更新時期を迎える府営住宅の再編整備や、機能向上が必要な住棟へのエレベーター設置などを盛り込んでいます。

 各団地にお住まいの入居者に安心して暮らしていただくため、事業の具体的な内容や実施時期などを丁寧に説明する必要があります。

 各事業の具体化をどう進めていくのか、我が会派が本(2022)年2月議会の代表質問で取り上げました。昨(2021)年12月の計画改定において、エレベーター設置を取りやめ、建て替えに変更するなど、事業方針を大きく変更した団地について、自治会に順次説明を始め、エレベーター設置を行う団地については、事業の進捗や、原則、高齢世帯率を基準に着手することを入居者に分かりやすく情報提供していく旨の答弁がありました。

 事業を待ち望んでいる団地の入居者からは期待の声もあり、応えるためにも具体的な内容を丁寧に説明していただきたいと考えます。現在の入居者等への説明状況を都市整備部長に伺います。

答弁
都市整備部長

 まず、エレベーター設置を取りやめるなど事業方針を変更した団地のうち、早期建て替えに着手することとした36団地につきましては、昨(2021)年度から説明を実施しており、本(2022)年5月までに全ての自治会で完了しました。

 また、入居者に対しましても、順次説明を行っており、今(2022)年度は建て替えの基本計画に着手した11団地を対象に進め、これまでに4団地で完了したところでございます。

 次に、エレベーター設置を行う団地につきましては、7月に各団地の設計や工事などの進捗状況を示した一覧をホームページに掲載するとともに、全入居者に配付する広報誌の夏号で、ホームページへの掲載をお知らせしております。

 また、個々の団地の状況等につきましては、設計や工事の時期が近づいた段階で、自治会を通じて掲示板等に掲載しているところでございます。引き続き、入居者に対し丁寧に説明を行いながら取り組んでまいります。

2022年10月4日

孤独・孤立対策

質問

 次に、孤独・孤立対策における関係機関の連携について伺います。

 令和3(2021)年より、国において、孤独・孤立対策が進められています。虐待や、ひきこもり、ヤングケアラーなど、社会が抱える課題は孤立化が遠因にあると考えられています。課題解決には、複合的な視点での支援が必要です。民間の力を取り込むことも重要だと考えます。府として、どのように取り組もうとしているのでしょうか。福祉部長の所見を伺います。

答弁
福祉部長

 孤独・孤立対策につきましては、議員お示しのとおり、行政と民間のNPO等の支援団体や、企業等との連携が不可欠であると認識しております。

 国におきましては、住民に身近な自治体が主体となって、NPO等との連携を進めていくことが必要との考えの下、官民連携プラットフォーム推進事業が公募され、今年七月に大阪府を含めた十八団体が採択されました。これを受け、府といたしましても、市町村やNPO、地域で活動している民間支援団体等に参画いただく公民連携プラットフォームを立ち上げることといたしております。

 今後、プラットフォームにおきまして参画団体との情報共有や、好事例の展開、意見交換等を行っていくことを通じまして、公民協働による取組を推進してまいります。

質問

 次に、ひきこもり支援について伺います。

 ひきこもりは、内閣府の調査で、若年のひきこもりが全国で約54万人、中高年のひきこもりが61万人と、国内のひきこもり状態の人は100万人を超えています。

 中高年のひきこもりの期間は、5年以上の人が過半数を占め、うち2割が20年以上であることから、20から30代でひきこもり状態となり、脱するきっかけのないまま長期化、高齢化しているケースも少なくないように思われます。

 本調査結果を大阪府の人口に当てはめますと、8万人以上と想定されます。誰もが生きづらいと言われる現代社会で、いつでも誰でもひきこもりになる可能性はあります。ひきこもり問題は、複雑な状況や心情等を理解し、丁寧に寄り添いながら継続的に支援をしていく必要があります。ひきこもり状態にある御本人や、どのように接したらよいか分からないと感じている御家族にとって、身近な市町村で、相談をはじめ当事者会の開催などの支援体制を整えることが重要と考えます。

 府は、本(2022)年4月、子ども家庭局の設置に伴い、若年のひきこもりを担当していた青少年課が福祉部へ移管されたことから、年齢いかんによらず一体的な取組ができると期待しています。 今(2022)年度、府は、どのようなひきこもり施策をしているのでしょうか。福祉部長に伺います。

答弁
福祉部長

 ひきこもり問題につきましては、当事者やその家族等の背景や事情に応じ、社会とのつながりを時間をかけて形成していく継続的支援が求められますことから、お示しのとおり、身近な市町村における支援体制づくりが重要と認識しております。

 このため、府では、ひきこもりに特化した相談窓口として、ひきこもり地域支援センターをこころの健康総合センター内に設置し、当事者や家族からの相談に応じますとともに、市町村等の支援機関に対し、専門的な助言や研修講師の派遣等を行っております。

 また、自立相談支援機関、民間支援団体、ひきこもりの当事者会、家族会など関係機関のネットワークの構築、機能強化を図りますため、市町村に対しまして助言等を行いますとともに、支援者のスキルアップのための研修会の実施や庁内関係課との連絡会議の開催など、年齢いかんにかかわらず一体的な取組を行っておるところでございます。

 さらに、当事者や家族が社会とつながりを持つことのできる環境づくりを進めますため、府、民間支援団体、市町村が連携して、ひきこもりの当事者会や家族会を複数市町村で開催するなどの取組も行っております。

 今後も、それぞれの市町村で効果的な取組を展開できますよう、引き続き市町村を支援してまいります。

2022年10月4日

医療的ケア児支援センターの設置

質問

 次に、医療的ケア児支援センターの設置について伺います。

 医療技術の進歩に伴い、日常的に医療的ケアが必要な子どもたちが増えるとともに、実態が多様化しています。個々の医療的ケア児や、その家族が心身の状況等に応じた適切な支援を受けられることが重要な課題となっています。

 医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、家族の離職の防止に資し、もって安心して子どもを産み育てることができる社会の実現に寄与することを目的とした医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が、令和3(2021)年9月、施行されました。

 医療的ケア児の支援は、専門性等から個々の制度の相談窓口だけで適切な支援につなげることが難しい場合があります。医療的ケア児の家族は、様々なニーズをどこに相談すれば適切な支援につながるのか分かりにくいという課題がありました。

 また、医療的ケア児の支援は、地域の医療、保健、福祉、教育、労働等の関係機関が連携して取り組むことが不可欠です。

 医療的ケア児や、その家族からの相談支援に係る情報の集約点になることや、どこに相談をすればよいのか分からない状況にある医療的ケア児の家族からの相談をまずはしっかりと受け止め、関係機関と連携して対応すること等を期待し、法律に基づき、都道府県は医療的ケア児支援センターが設置できるとされました。

 医療的ケア児の実情に応じて、複数の支援センターを設置する等、適切な支援ができる体制の確保を期待しています。我が会派は、これまでも支援センターの設置に関する質問をしてきました。現在の進捗状況及びセンターの機能について福祉部長に伺います。

答弁
福祉部長

 医療的ケア児支援センターの設置に向けまして、府におきましては、医療的ケア児や、その家族のニーズを調査、把握させていただくとともに、福祉、医療、保健の専門家や学識経験者、障がい者団体などで構成される大阪府障がい者自立支援協議会のワーキンググループにおきまして、支援センターの機能について検討を行っているところでございます。

 (2022年)先(9)月の14日に行われたワーキンググループにおきましては、調査結果等に基づき、関係機関と連携した切れ目のない相談支援、地域の事業所等への助言や好事例の紹介、医療的ケアの技術に関する研修や困難事例に対応できる人材の育成など、支援センターに必要な機能や複数箇所設置の議論があったところでございます。

 府といたしましては、今後、取りまとめられるワーキンググループからの提言をはじめ、医療的ケア児実態把握調査の調査結果等や、当事者団体、市町村その他関係機関からの意見をお伺いしながら、府としての方針を定めてまいります。その上で、重症心身障がい児施設や医療機関等の関係機関と連携し、さらに様々な意見をお伺いしながら、令和5(2023)年度の設置に向けて、医療的ケア児支援センターの体制や機能を精査してまいります。

2022年10月4日

ギャンブル等依存症対策

質問

 次に、ギャンブル等依存症対策について伺います。

 現在、大阪府はIR誘致を進めていますが、IR開業とは関係なく、今この瞬間もギャンブル等依存症に悩み苦しむ方がおられると聞きます。

 府は、大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画に基づき、大阪府依存症包括支援拠点--OATISを形成し、予防から相談、治療、回復支援体制の構築を進め、依存症の本人や家族への支援に努めてきました。

 今(2022)年度、第2期大阪府ギャンブル等依存症対策推進計画の取りまとめに向け、検討が進んでいます。特に、ギャンブル等へののめり込みを防ぐ、若年層向け予防啓発が重要と考えます。

 先日お会いした厚生労働省の担当者によれば、適切な医療提供も必要だが、何より、相談をきっかけに依存症者が抱える多重債務や生活困難といった関連する問題に関わる関係機関との連携支援体制が重要とのことでした。

 普及啓発や関係機関との連携支援体制に関する第一期計画での取組と、そこから見える課題、今後、どのように取り組むのかを健康医療部長に伺います。

答弁
健康医療部長

 ギャンブル等依存症の普及啓発については、広く府民を対象とした啓発セミナーのほか、若年層向けとして高校での出前講座や教員対象の研修などを実施してきましたが、府が行った実態調査によると、ギャンブル等経験者の約9割が20代までにギャンブル等を始めていることなどから、若年層への早期の予防啓発に、さらに取り組む必要があります。

 また、これまで、大阪府依存症包括支援拠点--OATISと関係機関や民間支援団体間の連携支援体制の構築を図ってきました。国調査によると、浪費、借金による経済的困難など、当事者や家族が抱える問題が多種多様であることから、今後、連携ネットワークの機能を当事者の個別支援において発揮できるよう、情報共有などの仕組みづくりをさらに進める必要があります。

 今(2022)年度予定している2期計画策定の中で、こうした課題を踏まえた具体的な取組について検討していきます。

2022年10月4日

小中学校における人的支援

質問

 次に、小中学校における人的支援について伺います。

 学校現場が抱える課題は、年々、複雑化、多様化しています。いじめや不登校など、生徒指導上の課題、また近年顕在化してきたヤングケアラー、長期化するコロナ禍における児童生徒のケアやフォローは、きめ細かな対応が必要で、現場の教職員の負担は増大しています。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門人材を配置し、学校や教員が多様な専門性や経験を持つ人材と連携し、チームとして対応していくことが重要です。

 我が会派も、これら専門人材の拡充をかねて要望してきました。府立学校は、スクールカウンセラーを全ての高校に配置しているほか、学校の実情を踏まえて、スクールソーシャルワーカーを配置し、支援学校は新型コロナ感染症への対応として、スクールサポートスタッフや学習支援員を配置するなど、府として専門人材の活用を進めてきました。

 一方で、市町村での各学校への専門人材等の配置は、府が財政面を含め支援をしていますが、コロナ禍で子どもをめぐる状況は一層厳しく、必要な支援が子どもに届かない状況があります。国や府に、配置拡充に必要な財政支援を要望する声も聞いております。

 我が会派は、未来ある子どもたちの健やかな成長を支えるため、小中学校への専門人材等の配置拡充に、府として十分な措置をしていただきたいと考えております。教育長の考えを伺います。

答弁
教育委員会教育長

 府教育庁では、児童生徒の支援体制の構築に向けて、専門人材等の配置拡充に努めてまいりました。

 スクールカウンセラーにつきましては、全中学校に週1回、配置をいたしておりましたが、コロナ禍の影響等により、小学校におけますニーズが高まりましたため、令和3(2021)年度より、府内の小学校に対して、学期に1回から2回の派遣ができるように拡充をいたしました。

 また、スクールソーシャルワーカーにつきましては、全中学校区に配置できるよう、令和元年度から仕組みを整備をしたところでございます。

 さらに、今(2022)年度は、コロナ禍の影響が続く中、児童生徒の心のケアや、保護者の悩み等への対応が増加をしておりますことから、国の地方創生臨時交付金を活用し、全ての小学校にスクールカウンセラーを月1回から2回派遣増をできるよう補正予算案を編成し、御審議をお願いをしているところでございます。

 今後も引き続き、児童生徒の状況に応じて、必要な専門人材等を配置するなど、支援体制の構築に努めてまいります。

2022年10月4日

1人1台端末活用促進における教職員の指導力向上

質問

 次に、府立高校での生徒1人1台端末の活用に関し、教職員のICT活用指導力の向上について伺います。

 昨(2021)年10月に整備した府立高校への生徒1人1台端末は、コロナ禍でオンライン学習等、様々な場面で活用されています。

 本端末の導入目的は、オンライン学習の実現にとどまらず、教育実践の蓄積にICT環境を効果的に掛け合わせ、子どもたちの学びを充実させることです。

 我が会派は、端末を使いこなすための教員のスキル向上が重要と指摘してきました。府教育庁は、昨年度より集合型の教職員研修や好事例共有などを進めています。

 端末配備から約1年が経過し、より深い学びの実現に向け、教職員のICT活用指導能力をさらに高めていく必要があると考えます。府教育庁の今年度の取組を教育長に伺います。

答弁
教育委員会教育長

 府立高校におけます教職員のICT活用指導力の向上につきましては、学校や教員ごとの状況に応じた支援を充実させるべく、今(2022)年度、新たにGIGAスクール運営支援センターを開設し、取組を進めているところでございます。

 具体的には、電話等による問合せ対応や技術指導をはじめ、ICT活用の好事例のホームページによる発信、学校訪問によるオーダーメイド型の研修などを行っております。さらに、民間企業と連携し、教職員のスキルや活用シーンなどに応じた、きめ細かなオンライン研修の開催も予定をいたしております。

 府教育庁としましては、これらの取組を通じまして、学校現場を支援し、教職員個々の状況に応じたスキル向上を進めることで、府立高校におけます生徒の学びを充実してまいります。

意見

 生徒1人1台端末は、生徒の学び方を抜本的に変え、より効果的な学びを提供できる非常に有意義なツールです。そのために、教職員の活用スキルを向上させることが成功の鍵を握ります。

 国の来(2023)年度概算要求には、今(2022)年度の約10倍となる約100億円を計上しています。GIGAスクール運営支援センターは、教職員を支える仕組みとして非常に効果的なものと考えます。次年度以降も、同センターを継続的に活用されるよう要望します。

2022年10月4日

支援教育の充実

質問

 次に、障がいのある子どもの学びの場の充実について伺います。

 本(2022)年4月、文部科学省から、特別支援学級及び通級による指導の適切な運用についての通知がありました。本通知は、昨(2021)年度、文科省が一部の自治体を対象に実施をした実態調査で、障がいの状態や特性及び心身の発達段階に応じた指導を十分に受けていない事例があることが明らかになったこと等も踏まえ、子どもの障がいの状況に応じた学びの場の判断や、学習状況等について適切な対応を求めたものです。

 府内の各市町村は、障がいのある子どもたち一人一人の教育的ニーズに的確に応えていくため、様々な検討をしています。支援学級に在籍する子どもの保護者の中には、環境や支援内容の変化にお子さんが対応していくことができるのか等、不安や戸惑いを感じている方もおられると聞きます。

 障がいのある子どもの学びの場は、個々の教育的ニーズや障がいの状況等を踏まえ、本人や保護者の意向を尊重して決定されるべきです。障がいのある子どもの学びを保証するため、支援学級や通級による指導のさらなる充実を図る必要があると考えます。府としての基本的な考え方を教育長に伺います。

答弁
教育委員会教育長

 府といたしましては、児童生徒1人1人の障がいの状況や、心身の発達等に応じた指導が適切に実施されることが重要であると考えております。

 各市町村に対しましては、支援学級の状況を丁寧に把握をするとともに、国通知の内容を踏まえつつ、本人及び保護者の意向も確認しながら、児童生徒にとって適切な学びの場を提供するよう指導、助言をいたしております。

 引き続き、障がいのある児童生徒1人1人の教育的ニーズに最も的確に応える学びの場の充実に向け、各市町村と連携し、支援学級や通級による指導に必要な教員が適切に配置されるよう、国へ要望してまいります。

意見

 府が、本人や保護者の意向を確認しながら、学びの場の検討を進めるよう市町村に伝えていることを確認しました。本人や保護者に寄り添った対応となるようお願いします。

 我が会派が推し進めた通級による指導担当教員の基礎定数化で、大阪府の通級担当教員数も増加しています。多様な学びの場の充実のため、必要な教員数を確保できるよう、しっかり国へ働きかけていただくよう要望しておきます。

質問

 次に、支援学校の環境改善について伺います。

 我が会派は、知的障がい支援学校に在籍する子どもの増加で起きる教室不足等への対応を議会等で議論し、府教育庁に早急に改善方策を示すよう求めてきました。

 今(2022)年1月と6月、我が党の国会議員、財務省主計官、文部科学審議官等が、過密化の進む支援学校を視察しました。

 この状況を放置してはならないという強い思いと、我が党の地道な取組も相まって、先日公表された文部科学省の令和5(2023)年度概算要求には、要求段階ではありますが、特別支援学校の教室不足の解消に向け、さらなる支援策を新たに盛り込むまでになりました。

 さきの(2022年)2月定例府議会代表質問で、府教育庁は、特別支援学校設置基準への適合状況等を踏まえ、知的障がいのある生徒の増加が見込まれる地域を中心に、今(2022)年度、基準適合に必要となる方策等の調査検討をし、次年度の予算要求に反映できるよう、結果を取りまとめるとの答弁をいただきました。

 検討の進捗状況を伺います。支援学校の教育環境が今後も持続可能なものとなるよう、抜本的な改善策となる新校設置等とともに、強い意志を明確に示す整備計画を早期にまとめ、学校整備を進めるべきと考えます。教育長に伺います。

答弁
教育委員会教育長

 児童生徒の増加に伴って、教室不足等が生じている知的障がい支援学校につきましては、できるだけ早期に教育環境を改善していく必要があると認識をいたしております。

 そのため、現在、地域ごとに知的障がい支援学校在籍者の将来推計を行いますとともに、特別支援学校設置基準の不適合や教室不足を解消するための手法を検討をしております。

 その手法につきましては、新たな学校整備による対応のほか、既存の教室改修等による対応や、それ以外の対応が可能かについて検討をいたしております。

 学校整備が必要な場合は、閉校となった府立高校の活用や、府立高校との併設、その他の効果的な手法も検討し、支援学校の教育環境の改善に向け、できるだけ早く計画的に整備が進められますように作業を急いでまいります。

2022年10月4日

工業系高校の充実

質問

 次に、工業系高校の充実について伺います。

 大阪府は、製造業の事業所数が全国1位の規模を誇るものづくり都市です。製造業に従事する人材の確保は重要であり、毎年、多くの卒業生が製造業に就職している工業系高校は、大切な役割を担っています。また、工業系高校への求人は、高倍率を保っています。産業界からの期待も変わらず高いものであることがうかがえます。

 府教育庁は、平成17(2005)年度に、工業高校を工科高校に改編したことに始まり、再編整備計画に基づき、人材育成の3つのタイプへの重点化や、各校のものづくり教育の特色化に加え、35人学級やPBL--課題解決型学習の導入等、様々、取り組みを進めてきました。

 しかし、ここ数年の工業系高校の志願者数は、非常に厳しい状況にあるそうです。求人が質、量ともに充実している等の工業系高校の実績や魅力が、十分に中学生やその保護者、中学校教員等に伝わっていないことがあるのではないでしょうか。府教育庁は、工業系高校の今後の在り方をどのように考えているのでしょうか。教育長に伺います。

答弁
教育委員会教育長

 府教育庁としましては、ものづくり人材の安定的な輩出という観点から、工業系高校が果たすべき役割は、引き続き重要であると考えております。

 一方、御指摘のとおり、ここ数年の志願者数は、厳しい状況となっております。そうした背景から本(2022)年5月、今後の工業系高校の在り方について、大阪府学校教育審議会に諮問をし、8月にはそれまでの審議を基に工業系高校の魅力化と規模の適正化、大学進学へのさらなる対応、時代に即した基礎基本への対応等が盛り込まれた中間報告が取りまとめられました。

 また、10月5日には、第5回の審議会を開催し、工業系高校の魅力発信とイメージ戦略につきまして御審議をいただく予定となっております。今後、さらに審議を進めた上で、11月末頃に取りまとめられます予定の答申を踏まえ、工業系高校のさらなる教育内容の充実や魅力発信に向けた具体的な取り組みについて検討を進めてまいります。

2022年10月4日

授業料無償化制度

質問

 次に、令和6(2024)年度以降の私立高校授業料無償化制度の検討について伺います。

 授業料無償化制度は、平成22(2010年度の創設以来、見直しを重ね、現在、年収590万円未満世帯の授業料負担が実質無償になるとともに、年収910万円未満の世帯は子どもの数に応じて支援が手厚くなるなど、全国的にも充実した内容となっています。

 一方、例えば東京都は、子どもが3人以上いる場合、大阪府が支援対象としていない年収910万円以上の世帯に年額五万九千四百円を支援しています。兵庫県は、近隣府県の私立高校に通う生徒に一定の補助をしています。ほかにも、世帯年収や子どもの人数等で、大阪府より支援が充実している府県もあります。

 府の現行制度は、令和5(2023)年度入学生まで適用し、令和6(2024)年度以降の制度については、令和4(2022)年度中に提示されるとのことです。他地域の事例も参考に、さらに支援内容を拡充すべきと考えます。現在の検討状況を教育長に伺います。

答弁
教育委員会教育長

 私立高校等授業料無償化制度につきましては、家庭の経済的事情にかかわらず、自由に学校選択ができる機会の保障と、大阪の教育力の向上を目指し、制度創設以降、順次、支援対象となる世帯や支援額等の拡充を図ってまいりました。

 現在、こうした制度拡充による支援対象割合の推移や、公私立高校生の保護者を対象としたアンケート調査の結果等を用いて、現行制度の効果検証を行っているところでございます。

 令和6(2024)年度以降の制度につきましては、こうした効果検証の結果も踏まえ、2月定例会までに制度内容をお示しできるよう検討を進めてまいります。

2022年10月4日

副首都ビジョン

質問

 次に、副首都ビジョンのバージョンアップについて伺います。

 副首都ビジョンは、大阪府域全体を見渡し、将来の大阪の方向性を定める役割があります。新たな社会潮流や、コロナの影響により、社会の価値観が変わっていく中、ビジョンのバージョンアップは誰もが理解でき、共感できるものにすべきです。

 今回の中間論点整理のポイントは、経済産業のイノベーションや構造転換を単体で考えるのではなく、ウェルビーイングの向上や、健康、環境などの社会課題の解決を一体で考えるような大阪の経済モデルの構築が言われており、基盤として、人とデジタルが重要であるといった整理がされています。

 デジタルに関しては、DXをはじめとしたデジタル改革を推し進めることが重要でありますが、人は教育や雇用、人材育成、女性活躍、外国人の支援など、幅広い観点で検討することが必要です。副首都ビジョンの議論の中で、人に関し、どういった意見交換がされているのか、副首都推進局長に伺います。

答弁
副首都推進局長

 意見交換会におきましては、生産性を高め、大阪を成長させていく上で、デジタルと並んで人が重要な基盤であるとの議論がなされております。

 この中では、自ら学び、アイデアを発信できる自律型人材による多様性のある人材構成になっていること、企業内で硬直化している人材の流動性を高めていくこと、高度人材に関して、ものづくり技術やデジタル技術を備えた人材に加え、経営人材の充実を図っていくこと、大阪の若者が将来にわたって定着するのはもとより、国内外の若者が活躍できるまちとすることなどが重要との指摘がなされております。

 引き続き、副首都ビジョンのバージョンアップに向けて、大阪が若者をはじめ様々な人を引きつけ、多様な人材が活躍できるまちとなるよう、議論を深めてまいります。

2022年10月4日

関空の将来構想

質問

 次に、関西国際空港の成長目標について伺います。

 (2022年)先(9)月開催された関西3空港懇談会で、関空の成長目標として、年間発着回数三十万回を掲げ、実現に必要となる発着容量の確保が合意されました。万博や、その後の成長機会を捉えるため、関空の容量拡張を進めるべきです。

 一方、現状はコロナの影響を受け、主力の国際線が大きく落ち込んだままです。関空を早期に復活させ、さらにその先の成長に着実につなげるには、府もしっかり汗をかいていく必要があると考えます。関空の年間発着回数30万回の実現に向け、府はどのように取り組んでいくのでしょうか。政策企画部長に伺います。

答弁
政策企画部長

 関西3空港懇談会で合意いたしました関空の年間発着回数30万回の実現に向けて、まずは現在大きく落ち込んでいる関空の復活を図り、成長軌道に戻すことに最優先で取り組むことが不可欠と認識しております。

 (2022年)今(10)月11日には、国の入国規制が解除されることから、オール関西で一致協力し、インバウンドによる関空の早期回復を図ってまいります。
 さらに今後、万博のインパクトや、大阪、関西のポテンシャルを生かし、ライフサイエンスや環境エネルギーなど成長分野を伸ばすとともに、IRや国際金融都市の実現に向けた取組等を推進し、世界から人、物、投資を一層呼び込むなど、地域の着実な成長を図ることで年間発着回数三十万回の実現を目指してまいります。

質問

 ぜひとも、関空の年間発着回数三十万回の実現に向け取り組まれるよう求めておきます。

 次に、実現に必要となる発着容量の拡張は、泉州地域への環境面の影響が懸念されます。地元に配慮しつつ、慎重に進めることが必要です。

 関空の利用客がこれまで以上に増えるのならば、例えば国内線と国際線の乗り継ぎの時間を活用したトランジットツアーを企画するなど、泉州地域の観光資源を磨き、地域と関空が共に成長する取組をしっかりと進めることが重要です。

 あわせて、府域全域に波及させていくべきです。環境面での配慮や観光振興などの対応がぜひとも必要と考えます。政策企画部長の考えを伺います。

答弁
政策企画部長

 関西国際空港の容量拡張に当たっては、公害のない空港という当初の理念を最大限尊重し、環境への配慮と地元の理解を前提に進めていく必要があることから、国に対しまして、飛行経路の検討に当たっては、地域の実情を十分考慮するよう要請したところでございます。今後は、国から示される検討結果を待ち、環境面での検証を行った上で、関西エアポート社などと共に、地域の理解が得られるよう丁寧に説明してまいります。

 また、地域の観光振興については、まずは2025年大阪・関西万博に向けて、関西の自治体、経済界で構成する関西国際空港全体構想促進協議会を中心にいたしまして、大阪観光局や泉州の自治体等と連携した観光振興策等について検討、推進するなど、泉州をはじめ府域全般にインバウンドの効果が行き渡るよう、空港と地域社会の双方の発展を目指し、取り組んでまいります。

2022年10月4日

市町村のスマートシティ化支援

質問

 次に、市町村のスマートシティ化支援について伺います。

 府域全体でスマートシティ化を実現していくため、大阪府が旗頭となって、住民に身近なサービスを提供する市町村と共に大いに取り組まれるべきです。

 スマートシティ戦略部は、公民連携により、市町村の課題解決を図る大阪スマートシティパートナーズフォーラムに取り組むとともに、システム面では令和3(2021)年度から共同調達を推し進めています。市町村からも歓迎する声を耳にしています。

 共同調達は、システムを導入して終わりではなく、どう利活用するかがより重要です。例えば、電子申請システムで保育施設の利用申込みをする場合、市町村によって様式がまちまちで、認定などもそれぞれ違うことから、全国で統一すれば便利なのにというお声をいただくこともあります。 共同調達のこれまでの具体的な進め方と効果、今後の展開をスマートシティ戦略部長に伺います。

答弁
スマートシティ戦略部長

 大阪スマートシティパートナーズフォーラムでは、市町村と民間企業の間の調達を、従来のように一対一ではなく、複数対複数の調達になるよう仕組みづくりを進めてまいりました。その結果、いわゆる割り勘効果により1市町村当たりのコスト低減が見込まれる一方、ICT企業側にとりましても、従来はビジネス対象ではなかった小規模な市町村もビジネスマーケットとして成立するようになり、多くの公民共同プロジェクトが府域全体で立ち上がるようになりました。

 議員お示しの共同調達につきましても、これまで電子申請システムやチャットツール、それに文書管理システムを対象に、とりわけデジタル人材が不足している市町村のサポートとして、ベンダーとの交渉や市町村間の意見を取りまとめて、共同使用の策定などを実施支援いたしてまいりました。

 効果としまして、各市町村が単独で導入するよりも、おおむね3割程度のコスト削減効果が得られましたほか、電子申請システムの事例では、令和3(2021)年度時点の11市町村から25市町村に、チャットツールでは22市町村から30市町村に、共同調達での参加団体が拡大いたしました。また、後から参加した団体も含めて、システム導入後の利活用が進むように定例会を開催し、市町村間でのノウハウや好事例の相互共有を図っており、さらに今後の展開として様式や申請項目の統一など、システム運用面での標準化と共同化の拡充を進めてまいります。

質問

 次に、スーパーシティについて伺います。

 大阪は、世界有数の大都市でありながら、人が住んでおらず、一からまちづくりを行う大規模なグリーンフィールドが存在し、先端的なサービスや規制改革の取組をスピーディーに進められるという特徴があります。公民の様々なデータの連携、流通を促進し、新しいサービスを創出する基盤となる大阪広域データ連携基盤--ORDENの整備で、全国のデジタル化をリードする取り組みも進めています。
 大阪府市は、スーパーシティを活用し、ヘルスケアやモビリティの分野で先端的なサービスを展開し、技術革新と課題解決の好循環やイノベーションを生み出し、働きやすく住みやすい、健康で快適な質の高い暮らしの実現を目指しています。我が会派も、大阪の区域指定獲得に向け様々な形で後押しをし、本(2022)年4月、ようやく大阪市の区域指定がなされました。

 府市は、(2022年)9月にスーパーシティの取り組みをまとめた全体計画の骨子を公表しました。今後は、年内に全体計画を取りまとめるとともに、冬以降に国と立ち上げる区域会議で、規制の特例措置等を伴う具体的な事業の内容等を記載する区域計画の案を作り、内閣総理大臣の認可を経て成案化されれば、規制改革が実現されるとのことです。(スライド1)

 構想の内容は、ヘルスケアを柱の一つとしています。人口減少と少子高齢化が急速に進むこれからの大阪にとり、誰もが健康で生き生きと暮らせる大阪を目指すことは急務です。ヘルスケア分野でのスーパーシティの取り組みが重要です。どのような取組を進めていくのか、スマートシティ戦略部長に伺います。

スライド1

答弁
スマートシティ戦略部長

 大阪のスーパーシティ構想において目指す未来のビジョンの一つとして、豊かに暮らす健康長寿社会を掲げていますように、ヘルスケアの取組は本構想の柱となるものでございます。

 具体的な取り組みとしまして、万博前にはヒューマンデータとAI分析等によるエビデンスに基づく健康増進プログラムを、また万博期間中には、大阪ヘルスケアパビリオンにおいて未来の診断や医療などが体験できるサービスが提供され、そして万博後には次世代PHRや先端技術を活用したサービスの展開等に取り組むこととしております。加えましては、夢洲を起点に、国籍や場所を問わず医療サービスを享受できる環境整備につきましても、専門家による夢洲における国際医療の在り方研究会議を設置し、検討を進めているところでございます。

 会議の委員からは、夢洲における国際医療貢献の視点が重要であること、あるいは外国人患者を府内の医療機関へつなぐゲートウェイ機能が重要であることなどの御意見をいただいております。

 今後、大阪府市として、こうした御意見を踏まえて、国際医療提供の在り方を取りまとめるとともに、それを含めたヘルスケアの取り組みについて具体化し、全体計画に反映させてまいります。

2022年10月4日

アートフェスティバル

質問

 次に、今議会に補正予算案として上程されているアートフェスティバル事業について伺います。

 先日、我が会派で瀬戸内の島々などを舞台に展開している瀬戸内国際芸術祭を視察、様々な現代アートの展示などを見学し、関係者の方々にお話を伺いました。

 スクリーンを御覧ください。

 まず、高松港フェリーターミナルビル内の飾りつけです。実際に島で暮らす男性がモデルになっています。(スライド2)

 こちらは、直島にある草間彌生氏の作品、「赤かぼちゃ」です。記念撮影をする人でにぎわっています。(スライド3)

 こちらは、高松港にある大巻伸嗣氏の「Liminal Air-core-」という作品です。(スライド4)

 こちらは3年前、私が訪れた小豆島にあった岸本真之氏の「つぎつぎきんつぎ」という作品です。(スライド5)

 瀬戸内国際芸術祭--瀬戸芸は、2010年に始まりました。以来、3年おきに開催、今(2022)年が5回目です。

 私も訪れた前回の2019年は、ゴールデンウイーク期間も会期に入ったことなどから、延べ118万人の来場者があり、経済効果も180億円を記録するなど、過去最高となったとのことでした。今や、世界が注目する芸術祭と言われるまでに成長しています。

 アートは、国内外から多くの人を呼び込み、地域経済にも大きな効果をもたらす力があるのは、瀬戸芸を見ればお分かりいただけるでしょう。ぜひ大阪府も積極的に取り組むべきです。

 さらに、大阪の若手アーティストが活躍の場を求めて東京や海外に流出してしまっているという話も聞きます。大阪で活躍してもらえる手だてを講じるべきです。

 実施を予定しているアートフェスティバル事業は、大阪・関西万博が開催される2025年に向け、どのように取り組まれるのでしょうか。府民文化部長の所見を伺います。

スライド2

スライド3

スライド4

スライド5

答弁
府民文化部長

 アートをはじめといたします文化芸術は、人々の創造性を育み、心豊かな社会をもたらすだけでなく、都市ブランドの形成や地域経済の活性化にも寄与するものと認識しておるところでございます。

 そのため、本府では、アートの魅力発信や文化芸術の担い手育成などに取り組んでいるところであり、さらに大阪が世界中から注目を集めます2025年の大阪・関西万博のインパクトも生かして、こうした取組を一層強化していくこととしておるところでございます。

 具体的には、このたび補正予算案として提案しております大阪アートフェスティバル事業におきまして、府内各地で作品の展示販売を行いますとともに、若手アーティストの活躍の場を創出し、さらに本事業の成果をしっかり踏まえ、万博に向けて、アートによる大阪の魅力発信を進めてまいりたいと考えております。

 今後とも、アートを含む文化芸術により、大阪への集客を図りますとともに、アート市場の活性化による文化と経済の好循環などにより、大阪のさらなる成長につなげられますよう、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

意見

 本事業は、今年度、国の臨時交付金を活用します。アートを本気で大阪に根づかせたいのなら、2025年の万博にとどまらず、さらにその先を見通し、財源を確保して取り組むべきです。

 瀬戸芸が始まって12年、淵源は30年前の1992年、直島にベネッセハウスミュージアムができたことにあります。ベネッセアートサイト直島のホームページには、瀬戸内の島々をキャンバスに、日本の原風景が残る瀬戸内の島々に現代社会へのメッセージ性を持ったアートを置いたら、元気をなくしつつあった地域が変わっていくのでは、そうした思いを抱き、世界にも類のない島とアートの共生が直島から始まりましたとあります。瀬戸内海に浮かぶ島々をめぐって作品を楽しむのも、瀬戸芸の魅力です。

 大阪の都市格の向上に、アートは不可欠な要素と考えます。広く府内市町村の賛同を得て、瀬戸芸のような芸術祭が開催できるよう、府が積極的な役割を果たされることを強く要望します。

2022年10月4日

大阪公立大学

質問

 次に、大阪公立大学が大阪の成長の原動力となるための取り組みを伺います。

 本(2022)年4月開学した大阪公立大学は、府立大学と市立大学が統合した効果を発揮し、ぜひとも魅力ある大学になっていただきたいと期待しています。

 さきの5月議会の我が会派の一般質問でも、今回の大学統合という大改革を断行した効果を最大限に生かしながら、大阪の成長の原動力となるよう、責任を持った取組をお願いしたいと質問。府民文化部長から、大学が幅広い学問領域を生かした大阪の成長や府民の豊かさを支える知の拠点となり、その役割を果たすことができるよう、しっかりと支援していくとの答弁をいただきました。

 大阪公立大学は、両大学の教育を継承し、1学域11学部15研究科による新たな学びがスタートしたばかりです。教育研究の成果を社会に還元し、公立大学として存分に存在感を示されることを願っています。

 とりわけ、大学が重点目標としている応用力や実践力を備えた国際力豊かな高度人材の育成は、統合したメリットを生かして、国内外で活躍できる人材を数多く輩出できるようにしていただきたいと考えます。大阪公立大学は、どのように人材育成に取り組んでいくのでしょうか。府民文化部長に伺います。

答弁
府民文化部長

 大阪公立大学が大阪の成長発展を牽引する知の拠点としての役割を果たしていきますためには、幅広い教養と高い専門性を備え、地域社会から国際社会まで幅広く活躍できる人材を育成することが重要と認識しております。

 このため、大阪公立大学では、統合の強みを生かし、多彩な共通科目を学べる基幹教育や、文系と理系という枠を超えた文理融合の教育など、新たな教育研究活動を展開いたしますとともに、情報に関して高度な知見を有する人材を育成いたしますため、情報学研究科を設置したところでございます。

 さらに、大阪商工会議所やドイツ人工知能研究センターとの連携協定を締結するなど、産学官民の連携機能を強化いたしまして、多様な人々が共に様々な社会課題に取り組む活動を通じ、新たなイノベーションを創出する人材の育成を進めておるところでございます。

 大阪府といたしましては、大阪公立大学が両大学から継承した強みを発揮して、社会を支え、牽引することができる人材を育成し、大阪の成長発展に貢献できるよう、しっかり支援してまいります。

2022年10月4日

外国人材に関する取り組み

質問

 次に、外国人材に関する取り組みについて伺います。

 生産年齢人口の減少が進む中、中小企業の人材不足の深刻化を受け、国は平成31(2019)年4月、新たな在留資格である特定技能制度の運用を開始するなど、積極的に外国人材の受入れを進める方向になりました。大阪府も同(2019)年6月、外国人材の活用に向けた庁内の推進体制を整備し、外国人材の受入れ、共生社会づくりに取り組むとされました。

 その後、世界はコロナ禍に見舞われ、我が国も水際対策等の影響で、留学生をはじめとする新規入国者が激減し、府の取組も一旦休止となりました。大きな打撃を受けた日本社会は、今ようやくコロナとの共存に向け動き始めています。

 我が会派はかねて、人口減少の下、外国人の活躍や共生に向けて取り組むことが重要と考え、府議会で議論を重ねてきました。

 パネルを御覧ください。(スライド6)

 総務省の住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数によると、平成25(2013)年から令和2(2020)年にかけて、外国人住民の数及び総人口に占める割合が増え続けておりました。

 (2022年)先(9)月、OSAKA外国人材受入促進・共生推進協議会が、公民の参画で設置されました。協議会の設置は、大阪府にとり、関係機関の連携を進める上で大きな一歩であり、期待しています。 大阪府は、今後、この協議会の枠組みを活用し、外国人材の受入れ、共生社会づくりにどのように取り組まれるのでしょうか。政策企画部長にお考えを伺います。

スライド6

答弁
政策企画部長

 大阪・関西万博をインパクトにして、大阪の成長を図っていくためには、生産性の向上や女性、高齢者の活躍とともに、外国人が働き手として活躍し、共に暮らしていく環境を整えることが重要と認識しております。

 このため、経済界や労働団体、国、自治体など、外国人材に関わる幅広い機関に参画いただき、本(2022)年9月にOSAKA外国人材受入促進・共生推進協議会を設置いたしました。

 この協議会には、受入れ促進と共生推進の2つのワーキングを設置しております。今後、幅広く御意見を聞きながら、課題を深掘りし、外国人材の受入れ促進と共生推進に関する具体的な取組の方向性の策定に向け、検討してまいります。

 関係機関が情報を共有し、連携して取り組むことで、大阪が外国の方に働きやすく、住みやすいまちとして世界から選ばれる都市となるよう、取り組んでまいります。

2022年10月4日

農の成長産業化

質問

 次に、農業経営基盤強化促進法等の改正について伺います。

 農業者の減少と耕作放棄地の増加が進んでいけば、農地が適切に利用されなくなる不安が高まっていきます。

 本(2022)年5月、生産効率化等を通じた農業の成長産業化に向けて、分散した農地の集約化等を進め、担い手の確保、育成を図るべく、農業経営基盤強化促進法等が改正されました。

 今回の改正で、地域農業の将来の担い手や、担い手が耕作する農地を明確にする地域計画を令和5(2023)年度から2年以内にまとめること等が、市町村、農業委員会に義務化されました。今後、市町村や農業委員会が地域の農業者と将来に向けた農地利用の姿を話し合うことで、貸借が可能な農地が明らかになり、農業への参入を検討している方や企業への貸借が大きく進むなど、大阪の農業の活性化にも寄与するものと期待しています。

 地域計画は、市街化調整区域全ての農地が対象です。府内だと約770集落に及ぶとのことです。市町村が短期間にこれほど多くの集落と話し合い、地域計画をまとめるのは相当困難と考えます。府も今回の法改正に伴う地域計画の取りまとめを支援すべきです。環境農林水産部長に伺います。

答弁
環境農林水産部長

 今回の法改正に基づく地域計画は、担い手の確保や計画的な農地集約などにつながり、力強い大阪農業を実現する上で重要と認識しております。

 これまで、本府では、地域の話合いによる農空間づくりプランの策定を進めてきており、この実績を生かしつつ、今年度からはさらに各農と緑の総合事務所管内に1か所ずつ、計4か所のモデル地区を設定し、市町村などと共に計画策定に取り組みます。

 そこで得られたノウハウを市町村職員向けの研修会で先行事例として共有するとともに、地域での円滑な話合いをコーディネートする専門家を派遣するなど、国の支援策も活用いたします。

 今後、市町村の地域計画策定が着実に進むよう、しっかりと支援し、担い手への農地集積や新規就農、企業参入を加速いたします。

2022年10月4日

脱炭素社会の実現

質問

 次に、脱炭素に向けた意識改革、行動変容について伺います。

 子どもから大人まで幅広く、気候変動やプラスチックごみによる海洋汚染などの環境課題に正しい知識を得て理解を深める土台をつくることが、自ら環境配慮商品を積極的に使うなど、様々な場面で環境に配慮した行動を取ることにつながるのではないでしょうか。環境教育の充実が非常に重要と考えます。

 我が党は、この夏、国に、ブルーカーボンに注目した地球温暖化対策の推進に関する提言を提出しました。

 これまでの環境教育は、古くは公害問題を中心に、ごみ問題など、良好な生活環境の保全の観点を基本に、温暖化などの新たな課題についても学習するよう、範囲が広げられてきました。

 今後は、気候危機の深刻化に伴い、ブルーカーボンなど全く新しい要素も加え、地球温暖化対策としての脱炭素化に関する内容にもっと重点を置くなど、現在の状況に合わせた内容としていくことが必要です。

 府も、大阪府環境教育等行動計画を見直す予定とのことです。改定に際し、府はどのような論点を重視して、どのような方針を取りまとめようとしているのでしょうか。環境農林水産部長に伺います。

答弁
環境農林水産部長

 今回の見直しに当たりましては、環境総合計画に掲げます環境、社会、経済の統合的向上の視点を明確化するとともに、気候変動や生物多様性等の課題に対応するための環境教育の在り方につきまして、ICT技術の活用など、効果的な手法も考慮して検討することとしております。

 審議会では、環境教育に携わる教育者や先進的な環境活動に取り組む専門家へのヒアリング等により、現場での課題の洗い出しも行った上で、想定される論点につきまして漏れなく御議論いただきます。

 審議会での検討を踏まえ、脱炭素社会の構築等、重要性、緊急性の増す課題に的確に対応し、多くの府民の参加や実践を促すことのできる新たな行動計画を策定してまいります。

質問

 次に、水素・アンモニア技術などのカーボンニュートラル技術の情報発信について伺います。

 世界各地で極端な豪雨や干ばつといった異常な気象現象が起きています。欧州はドナウ川の氾濫、中国は長江が干上がるなどの災害が発生し、地域に大きな影響を及ぼしています。これらの異常な気象現象に気候変動の影響が強く指摘されています。

 気候変動の影響を緩和するべく、カーボンニュートラルを実現するにはイノベーションが不可欠です。中でも、エネルギー源として利活用する際に、二酸化炭素を排出しない水素、貯蔵や輸送の点で水素よりも取扱いがしやすいアンモニアを利活用するための技術を高めていくことは重要です。

 国も、再生可能エネルギー由来の電力を活用したグリーン水素の製造技術や、石炭火力発電での混合燃焼など、アンモニア発電技術の実証を国内の様々な地域で推進しています。将来は、新たなエネルギー産業として立ち上がり、大阪でもビジネスチャンスが広がることは期待されています。

 しかし、水素・アンモニア技術をはじめとするカーボンニュートラル技術は、見た目で分かりやすいものとは限りません。この技術が、どのようなビジネスチャンスをもたらすのか、大阪の大多数の企業に分かりやすく伝えるための工夫が非常に重要です。

 2025年の大阪・関西万博は、未来社会の実験場として、カーボンニュートラルの実現に寄与する技術の活用に取り組むこととされています。カーボンニュートラルの実現に寄与する技術を万博という貴重な機会を活用し、工夫して情報発信することが重要であると考えます。商工労働部長の所見を伺います。

答弁
商工労働部長

 カーボンニュートラルの実現は、世界的な要請でもあり、万博の場でこれらの取り組みを発信し、SDGsにも貢献する新たなビジネスへの挑戦を促していくことは、万博の理念を具現化する上で意義深いことです。

 今(2022)年度開始したカーボンニュートラル技術開発・実証事業は、その具体的取り組みでもあり、企業グループなどから28事業もの応募がありました。採択した8事業は、水素や次世代モビリティ、省エネルギーなどの分野で、脱炭素社会の実現に有益な技術です。

 これらの技術について、万博の機会を活用し、多くの事業者が実証実験の意義や成果を広く情報発信することは、ビジネスチャンスの拡大や社会実装に向けた機運を高めることにもつながります。府としても、事業者と連携を図りながら、メディア等も活用し、取り組みが効果的なものになるよう努めてまいります。

質問

 次に、脱炭素社会の実現に向けた建築物の省エネ対策等について伺います。

 世界的な課題である気候変動対策への貢献には、国の掲げる2050年カーボンニュートラル、2030年度中期目標、エネルギー基本計画を堅持する必要があります。大阪府は、本(2022)年7月、おおさかカーボンニュートラル推進本部を立ち上げました。2025年大阪・関西万博を控え、先進都市であることを広く発信するべく、脱炭素社会の実現に向け、強力に推し進めることが重要です。

 中でも、他の分野の消費量が、1990年と比べ減少しているのに対し、エネルギー消費量の約3割を占める建築物分野は増加しており、対策を進めなければなりません。推進には、官民での取組が不可欠で、公共が率先して取り組むことで、民間の脱炭素化を促すことになると考えます。まず、府有施設の脱炭素化の現状について伺います。

 市町村にも、取組を広げることが必要です。例えば、民間の資金やノウハウを活用して、省エネ改修をするESCO事業は、市町村による取り組みが一定の広がりを見せています。大阪府が市町村に対し、積極的に情報提供、技術協力をしてきた結果と考えます。

 脱炭素化を進めるため、ESCO事業以外でも、府の取組で得たノウハウを市町村に展開していくことが重要と考えます。今後、どのように進めるのでしょうか。都市整備部長に伺います。(スライド7)

スライド7

答弁
都市整備部長

 2050年カーボンニュートラルに向け、お示しの府有施設の脱炭素化を進めるため、今(2022)年度、部内に脱炭素建築物推進チームを設置し、建築物の脱炭素化に向け、取り組むこととしました。現在、2030年に予定されている省エネ基準の引上げを見据え、府営住宅のZEHレベルの省エネ水準を満たす標準設計の確立や、建て替え予定の寝屋川高等学校でのZEB化などの検討を進めているところでございます。

 次に、市町村に対しましては、これまで進めてきたESCO事業に関する情報提供などのほか、府が進める省エネ化のノウハウの情報発信や、関係部局が連携して支援を行う建築行政サポートデスクでの具体的な相談などを実施してまいります。

 引き続き、これらの取り組みを進め、府内の公共建築物の脱炭素化に向け取り組むとともに、民間建築物に対しても府民の行動変容を促す周知啓発を行い、より多くの建築物の環境配慮が進むよう、取り組んでまいります。

2022年10月4日

新産業の創出

質問

 次に、スタートアップの資金調達について伺います。

 政府が、本(2022)年6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針2022で、スタートアップへの重点投資を掲げています。戦後日本の創業期に次ぐ第2創業期の実現に、司令塔機能を明確化し、5年10倍増を視野に、スタートアップ育成5か年計画を本(2022)年末に策定予定である旨が明記されています。8月1日には、スタートアップ担当大臣が新設され、国もスタートアップ支援のさらなる強化に向け、本格的に始動しています。

 令和2(2020)年7月、大阪が京阪神連携でスタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市に選定されて、2年余りが経過しています。他都市と切磋琢磨し、国の支援も積極的に活用する中で、大阪スタートアップ・エコシステムの基盤は整いつつあると言える一方、世界はもちろん、東京との差も依然大きいのではないでしょうか。

 2025年大阪・関西万博を見据え、革新的技術を持つ研究開発型スタートアップであるディープテックの中から、時価総額10億ドル超と言われるユニコーンの創出などに向けた支援に、引き続き注力することは重要です。

 大阪のスタートアップにとり、資金調達は成長のボトルネックの一つになっていると考えます。7月に日本証券業協会が、当面の主要課題として、対応すべき重要施策にスタートアップ育成の支援を掲げるなど、国のみならず、民間ベースでもスタートアップ支援に対する機運が盛り上がっています。民間ベースでの取り組みとうまく連携を取ることが、エコシステム形成の鍵と考えます。どのように取り組むのでしょうか。商工労働部長に伺います。

答弁
商工労働部長

 スタートアップ・エコシステム形成の課題の一つである資金調達環境の整備は、民間の知見や活力を生かし協働していくことが重要です。

 特に、民間の金融機関等によるスタートアップへの円滑な資金供給は、スタートアップの業績拡大、企業価値の向上、投資家への利益の還元という好循環を生み出す源泉とも言え、その点からも金融が担う役割は大きいと考えます。

 これまでも府では、銀行をはじめとした金融機関も含め、大阪、関西資本の企業によるファンド出資に向けた啓発やコミュニティ形成に取り組んでおり、今(2022)年度は新たに首都圏ベンチャーキャピタリストと大阪、関西のスタートアップとの接点の創出にも力を注いでいるところです。

 今後も、大阪産業局とも効果的に連携を図りながら、金融機関など民間部門との対話を深め、スタートアップの資金調達をはじめとした成長環境を整備し、産学官によるスタートアップ・エコシステムの形成に努めてまいります。

質問

 次に、蓄電池関連の人材育成と産業振興について伺います。

 蓄電池は、電気自動車の普及や、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーによる電力の効率的な活用など、世界的な需要の拡大に伴い、2030年には2019年の8倍の約40兆円、2050年には約100兆円へと市場が拡大すると見込まれています。

 一方で、日本のメーカーの世界シェアは、2010年代半ば頃には技術的優位を確保していましたが、中国や韓国、欧米のメーカーの追い上げにより、車載用のリチウムイオン電池でも、2015年に約5割あったシェアが2020年には約2割になるなど、大きく減少しました。

 経済産業省は、2030年までに日本のメーカー全体で国内で150ギガワットアワー、世界で600ギガワットアワーの蓄電池・材料の製造能力を確立することや、必要な人材として蓄電池の製造等を直接担う人材や、技術開発等を担う人材を合計2万2000人、材料などサプライチェーン全体で合計3万人の育成確保を目指すことなどの目標を掲げた蓄電池産業戦略を8月に取りまとめました。

 その上で、国は蓄電池関連産業が集積している関西エリアで、産業界や教育機関、自治体、支援機関が参画する関西蓄電池人材育成等コンソーシアムを設立し、大阪公立大学や大阪公立大学工業高等専門学校なども参画して、工業高校や高専等における教育カリキュラム導入など2024年度からの本格開始に向けて、具体的な取組を検討していくとお聞きしております。

 大阪、関西の集積に注目した国家プロジェクトであり、府も協力すべきと考えます。大阪の産業振興にどのようにつなげていくのでしょうか。商工労働部長の所見を伺います。

答弁
商工労働部長

 ロシアによるウクライナ侵攻などを契機に、エネルギーの安全保障が注目されており、蓄電池はエネルギー源の多様化と脱炭素社会の実現を図る上で重要な基盤技術です。

 また、蓄電池業界における人材育成は重要な課題と認識しており、府においても、国のコンソーシアムに参画し、府立工業系高校や高等職業技術専門校などのリソースを生かした人材育成の取り組みを早急に検討してまいります。

 蓄電池は、府としても振興に注力すべき分野と考えており、今回のコンソーシアムの参画を機に、人材の育成を軸とした産学官のさらなる連携を図り、大阪の蓄電池産業の活性化につなげてまいります。

質問

 次に、未来医療国際拠点を中心とした再生医療のサプライチェーンの構築について伺います。

 昨(2021)年12月、世界で初めてヒトiPS細胞由来の神経前駆細胞を脊髄損傷の患者に移植し、いまだ根本的な治療法のない脊髄損傷における初の臨床研究が実施され、大きな期待と注目を集めています。

 今後、このような臨床研究により、治療法の安全性と有効性が確認され、再生医療を一般的に普及させていくため、企業等の力を借りて産業化を進めることが重要になります。再生医療等製品の原料となる細胞に加え、細胞の培養や保管、搬送などに用いる資材が、安全かつ安定的に企業に供給される仕組みが必要不可欠です。

 課題を踏まえ、中之島の未来医療国際拠点が開業を予定している2024年の時点、さらには2025年の万博を見据え、府はどのように再生医療の産業化の動きを加速させていくのでしょうか。商工労働部長の所見を伺います。

答弁
商工労働部長

 再生医療の産業化には、iPS細胞の安定かつ安全な供給や、細胞の培養に必要な専門資材などを確保する仕組み、いわゆるサプライチェーンの構築が重要な役割を持ちます。

 今議会では、この基盤形成に向け、企業や医療機関における課題やニーズについての調査を進めるため、必要な予算の御審議をいただいているところです。

 2024年の開業に向け、今後、未来医療国際拠点を管理運営する未来医療推進機構が中心となり、サプライチェーンの構築に取り組んでまいりますが、府としても2025年の万博開催を見据え、世界から多様な人材や最新の情報が集まる再生医療の拠点が形成されるよう支援してまいります。

2022年10月4日

万博記念公園の将来ビジョン

質問

 次に、万博記念公園の新たな将来ビジョンについて伺います。

 大阪府は、2015年11月にまとめた日本万国博覧会記念公園の活性化に向けた将来ビジョンに基づいて、万博公園を運営し、様々な魅力づくりを進めてきました。

 このほど、現行の将来ビジョン策定後の社会状況の大きな変化を受け、日本万国博覧会記念公園の活性化に向けた将来ビジョン2040の案がまとめられました。万博記念公園は、1970年大阪万博が開催された記念すべき地であり、太陽の塔をはじめとする貴重なレガシーが今なお数多く残されています。

 将来ビジョン2040は、大阪万博のレガシーを継承、再生するとともに、持続可能な未来に向かう交流の場を生み出し、2025年大阪・関西万博とも連携しながら、活性化に向けた取り組みを進めることとされています。

 1970年大阪万博のテーマは、「人類の進歩と調和」でした。時代を先取りした考え方で、55年ぶりに再び大阪で開催される2025年大阪・関西万博の「いのち輝く未来社会のデザイン」にも通じるものがあると感じております。

 改めて、1970年大阪万博に光を当て、時代を超えた魅力を広く府民に理解してもらうことは、万博記念公園のさらなる活性化とともに、2025年大阪・関西万博を盛り上げることにもつながると考えます。将来ビジョン2040に基づく具体的な取組は、今後、アクションプランの中で検討されるとのことです。2025年大阪・関西万博の開催を万博公園のさらなる活性化につなげることは有効と考えます。

 大阪が世界から注目される絶好の機会である2025年大阪・関西万博の開催に合わせ、1970年大阪万博を記念する事業を実施するなど、連携した取り組みを検討すべきです。府民文化部長の御所見を伺います。(スライド8)

スライド8

答弁
府民文化部長

 万博記念公園では、公園を取り巻く社会情勢の大きな変化に的確に対応し、さらなる魅力向上を図る観点から、このたび、日本万国博覧会記念公園の活性化に向けた将来ビジョン2040の案を取りまとめ、議会での御議論等を踏まえまして、11月をめどに成案化をする予定でございます。

 将来ビジョン2040では、太陽の塔をはじめとする大阪万博のレガシーを次世代にしっかり継承いたしますとともに、広大な緑と多くの文化遺産を有した万博記念公園の魅力を国内外に広く発信いたしますことで、より多くの方に利用していただけるよう、今後の取組の基本的な考え方をお示ししているところでございます。

 議員お示しのように、大阪が国内外から注目される2025年大阪・関西万博の開催に合わせ、連携した事業を実施いたしますことは、公園の魅力発信におきまして、有効な取組の一つと考えられますことから、今後策定いたしますアクションプランの中で、関係部局等とも連携を図りながら検討を進めてまいります。

 今後とも、万博記念公園のさらなる活性化に向け、未来を見据え、本ビジョンに基づく取り組みをしっかりと進めてまいります。

質問

 2025年大阪・関西万博の開催に合わせ、連携した事業の実施を検討するとの答弁を府民文化部長よりいただきました。

 万博記念公園での2025年大阪・関西万博と連携した取組は、地元吹田市をはじめ周辺市も大きく期待しております。

 府域全体で2025年大阪・関西万博を盛り上げるための一つの手法として、万博公園の活用は有効だと考えます。知事の御所見を伺います。

答弁
吉村洋文知事

 万博記念公園におきまして、2025年大阪・関西万博と連携した事業を実施するということは、世界中から多くの人を引きつけた1970年大阪万博のエネルギーを2025年大阪・関西万博につなげるとともに、国内外における機運醸成を図る観点から、非常に意義があるものだと考えています。

 今後、このような取り組みを進めて、大阪・関西万博を成功させ、関西全体の活性化につなげていきます。

2022年10月4日

新大阪駅周辺のまちづくり

質問

 最後に、新大阪駅周辺地域のまちづくりについて伺います。

 さきの5月定例議会の一般質問で、6月にまちづくり方針2022を取りまとめ、新大阪駅エリア計画を作成し、まちづくりを進めるとの答弁をいただきました。

 この6月のまちづくり方針2022取りまとめの後、国、府、市、経済団体、民間事業者等による検討協議会で、新大阪駅周辺の都市再生緊急整備地域の議論がされました。7月、府市一体となり、国へ都市再生緊急整備地域指定の申出がなされました。8月には、申出を受け、国が都市再生緊急整備地域の案のパブリックコメントをしました。平成30(2018)年8月に候補地域になってから丸4年、ようやく国の案として提示をされました。都市再生緊急整備地域として早期に指定されることを期待しております。

 次は、指定を受け、具体的に新たなまちづくりを進めていく段階です。既に動き始めている民間都市開発だけでなく、さらなる民間の都市開発の機運を高めていくことも必要です。

 リニア中央新幹線・北陸新幹線にも動きがあります。リニア中央新幹線は、6月の骨太の方針に、2023年から環境影響評価に着手と記載されました。北陸新幹線は、現在、環境影響評価準備書の公表に向けた現地調査等が進められていると聞いております。リニア新幹線・北陸新幹線の新駅の位置が示されれば、速やかにまちづくりの検討を進められるよう、新幹線新駅関連のプロジェクトの準備を進めておく必要もあります。

 まちづくりを進めていく上で、これまで検討協議会が大きな役割を果たしました。引き続き、関係者が一体となって取り組んでいくべきと考えます。

 都市再生緊急整備地域指定の後、新大阪周辺地域のまちづくりをどのように進めていかれるのか、大阪都市計画局長に伺います。(スライド9)

スライド9

答弁
大阪都市計画局長

 新大阪駅周辺地域のまちづくりにつきましては、まちづくり方針2022に基づき、駅とまちが一体となった世界有数の広域交通ターミナルの実現を目指し、公民が連携して進めていく必要があると認識しております。

 都市再生緊急整備地域の指定後は、これまでの候補地域としての検討協議会はその役割を終えますことから、新たな検討体制として、関係者と共に、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備協議会を速やかに設置することを考えております。

 この新たな協議会の下、都市再生制度を活用した民間都市開発の具体化とともに、さらなる開発機運の醸成や開発誘導方策の検討のほか、リニア中央新幹線や北陸新幹線の駅位置が示された後のまちづくり方針の更新等についても検討を進めてまいります。

意見

 新大阪駅にリニア中央新幹線・北陸新幹線が乗り入れてきますと、新大阪駅は日本の一大交通結節点となります。

 都市再生緊急整備地域の指定を受けることをきっかけに、今、答弁をいただきました新たな検討体制を速やかに構築し、ポテンシャルを生かした民間都市開発が進むよう支援をお願いいたします。

 我が会派は、今後も府民の皆様から寄せられる貴重な御意見、御相談や御要望に誠実に耳を傾けながら、様々な課題や問題の解決に全力で取り組んでまいります。

 以上で、代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。