第5期
2024年
第4期
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2019年
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第2期
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2013年
2012年
2011年
第1期
2010年
2009年
2008年
2007年
2010年10月5日
まず、大阪府の観光戦略についてお伺いします。
今回、公表されました観光戦略素案は、関西の観光インバウンドの拠点化を推進することで成長を支える、とりわけ急増する中国観光客獲得競争に打ち勝つとの趣旨でまとめられたものです。政府も、新成長戦略で、観光立国・地域活性化戦略を7つの戦略分野の一つに位置づけるなど、元気な日本復活に向け力を入れようとしています。
大阪は、海外からの玄関口となる関西国際空港を抱え、関西のほぼ中央に立地し、宿泊施設や交通網など都市としての基盤に強みがあるのは事実ですが、関西の観光インバウンド拠点大阪を目指すと言っても、それは大阪府だけで実現できるものではありません。むしろ、観光振興は、民間企業の力に負うところが大きいと考えます。大阪のまちを歩いていれば、外国人観光客が普通に買い物や食事を楽しんでる姿を見かけます。電話による中国語の通訳サービスを使って、来店者と意思疎通を図る関西空港内の免税店の様子が、あるニュース番組で放映されていました。民間企業は、既に商機を逃すまいと一生懸命に走り出しています。
大阪府は、どうなのでしょうか。観光戦略を立案するのは、府の役割ですが、具体化に向けた実働部隊は、大阪府や大阪市、経済界などで構成する財団法人大阪観光コンベンション協会が役割を担っています。平成19年度を振り返ると、大阪府は、同協会の総収入の27.5%に当たる3億1420万円を負担していましたが、平成22年度は6527万円とわずか9.3%にすぎません。観光戦略の初年度となる平成23年度は、府としてどのように予算措置をされるのか、注目しておきたいと思います。
観光戦略素案を細かく見ると、大阪府の役割として、オール関西の体制づくり、「ととのえる」とのキーワードのもとに、民間の活動を行政がサポート、民間がもうかる、事業が継続する仕掛けという点が取り上げられています。具体的にどのような取り組みをしようと考えているのでしょうか、府民文化部長の所見を伺います。
観光戦略についてお答え申し上げます。
観光振興は、やはり行政の取り組みだけで実現できるものではございませんで、観光関連事業者を初め、民間が主役となって活躍していただくということが、何よりも重要だというふうに認識をしております。また、観光振興に向けた取り組みが効果的で継続的なものになるためには、民間がもうかり、事業が継続する仕組みが必要だというふうに考えております。
そのためには、具体的に何をしていくのかということでございますが、これからいろいろ議論をさせていただき、検討をしていきたいと思っておりますが、例えば飲食店などにおきますナイトエンターテインメントの充実のために、営業時間の規制緩和を軽減するとか、あるいは百貨店、商店街の連携によるキャンペーンの実施など、観光にかかわるさまざまな事業者がおられますので、その間の協力連携を促すようなコーディネートをしたい、あるいは学生や留学生を初めとしたボランティアとの協働による観光案内など、地域を挙げた受け入れ体制づくりなど、民間の多様な活動をサポートしていくことが、行政としての役割であるというふうに考えております。
今後とも、民間の自主性、創造性を最大限発揮できるような場の提供、個々の事業活動を有機的に結びつけるための働きかけなどの取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
観光戦略素案では、大阪を訪れる外国人旅行者を平成25年に400万人、うち中国人旅行者を200万人とすることを目標に掲げています。
では、ほかの世界の主要都市は、年間どの程度の外国人旅行者が訪れているのでしょうか。
イギリスに本拠を置く調査会社、ユーロモニター・インターナショナルが、ことし(平成22)1月に公表した平成20年の外国人旅行者数上位百都市を見ると、1位はロンドンで年間約1500万人、2位がニューヨークで約1080万人、3位がバンコクで約1020万人となっています。日本からは、東京だけがランクインしており、264万人で42位、約400万人の外国人旅行者が訪れたのは、チェコ共和国の首都プラハで25位でした。
ユーロモニターの分析では、平成21年は、世界的な不況と新型インフルエンザの影響で海外旅行者は世界的に減少、この年の下半期から回復傾向が見られるものの、影響を完全に払拭するには平成25年までかかると見込んでいます。このような状況で、大阪を訪れる外国人旅行者を平成21年の170万人から平成25年に400万人にふやすのは、相当な努力が要ると考えられます。
また、中長期的な視野に立つなら、一回大阪を訪れた外国人旅行者に大阪を好きになってもらい、地元に帰って大阪の魅力を宣伝してもらったり、また再び大阪を訪れてもらったりするという好循環をつくり出すための仕掛けづくりが重要です。
日本政府観光局がまとめたJNTO訪日外客訪問地調査2009を見ても、観光客のリピーター率は、前年の平成20年と比べ1ポイント上がり、56.3%となっています。中国からも、6ポイント上昇して25.0%となっており、このようなリピーターづくりがかぎを握るのではないでしょうか。そのための具体的な取り組みとして、実際に大阪を訪れた観光客の生の声を集める仕組みが大事ではないでしょうか。
例えば、関西空港や大阪港の国際フェリーターミナルで出国手続を終えて、飛行機や船に乗り込む前の外国人旅行者から意見を集める投書箱の設置や、直接聞き取り調査をするといったことが挙げられます。また、大阪や周辺地域の観光の魅力を多言語で発信する取り組みを一層強化することが大切ではないでしょうか。
韓国釜山港と高速船が行き来する福岡市を以前視察で訪れたとき、釜山からの旅行者は、福岡の商業施設のバーゲン情報を事前にインターネットで確認してやってくるとも聞いております。言葉の差を感じさせないリアルタイムの発信が、他都市、地域との競争を勝ち抜く上で重要ではないでしょうか。
観光戦略の目標を実現させるため、指摘した点についての府民文化部長の所見を伺います。
ただいま御紹介いただきました都市のランキングに比べますと、まだまだというところはあろうかと思うんですけども、今回の観光戦略素案に掲げた目標というのは、かなり高い目標を掲げたつもりでおります。このような高い目標を達成いたしますためには、御指摘のあったように、リピーターづくりというのは、かぎではないかというふうに思っております。このためには、旅行者の満足度を向上させ、再び訪れたくなるようにさせるということ、それからその地域の魅力をいかに効果的にかつタイムリーに発信をしていくのかということが重要だというふうに考えております。
具体的に申し上げますと、まず満足度向上のためには、御指摘にありましたように、やっぱり生の声を施策に反映させることが大事だと思っております。例えば、空港や宿泊施設を初め、旅行者が訪れるさまざまな場所におきまして、アンケートによるマーケティング調査を実施いたしまして、意見、苦情、評価を幅広く吸い上げまして、観光振興の取り組みに反映させたいと思っています。
また、これらのリサーチも含めまして、旅行者のニーズをしっかりと分析いたしまして、広く情報発信することによりまして、民間の観光関連事業者の行動を促し、快適で旅行しやすい環境づくりを進めていきたいと考えております。
また、情報発信につきましては、商店街がいろいろ外国人向けのリーフレットなどをつくっておられまして、こういった民間による情報発信への取り組みを支援いたしまして、観光PR媒体の充実を図りたいと考えております。
また、多彩な観光魅力が集積する大阪、関西を紹介するホームページの多言語情報をよりリアルタイムで、わかりやすく発信をしたいと考えております。
さらには、海外の現地メディアの活用、あるいはプロモーションビデオなどによりまして、海外の方々に直接大阪、関西の魅力を感覚的に強く印象づけたいというふうな取り組みを進めていきたいと考えております。
これらの取り組みをスピード感を持って実践することによりまして、観光戦略の目標を達成したいと考えております。
観光戦略につきましては、我が会派の代表質問でも取り上げました。また、先ほど一般質問でも取り上げられておりましたが、この観光を発展振興させる上で大前提となるものは、何だと思われますか。それは、平和であり、友好関係であります。自由な行き来がなければ、観光振興発展なんていうものもあり得ないと思います。
ことし(平成22)10月で、ドイツが再統一して20周年、せんだって記念行事が行われました。今から20年前、ドイツが再統一をしたわけですが、それから半年余り過ぎたときに、私、学生時代ですが、ベルリンを訪れました。そこに、まさに東西の壁の跡があって、十字架が並んでおりました。その十字架には、何年何月何日、日付と男性、女性といった文字が刻まれておりました。東側から西側に自由を求めて逃げてこようとして、東側の警察に殺された人たちを弔うための十字架だったそうです。
このように、観光を考える上で人が自由に行き来できるというのは、どれだけとうといことなのか、今回質問を考える上で、こんなことも思い出しました。
行政として、自治体として、大阪府は、さまざまなつながりとノウハウを持っております。外国の諸都市と交流連携をして、そして信頼関係を深めていく、そういった観点からも、観光戦略ということを考えていただければと思います。
2010年10月5日
次に、大阪センチュリー交響楽団についてお伺いします。
財政再建プログラム案のもと実施された府から楽団への運営補助金の削減や楽団の将来の方向性をめぐり、我が会派は、これまで本会議、委員会で府の責任や役割について繰り返し取り上げてきました。御承知のとおり、府から楽団への運営補助金は、今年度は1億1000万円とかつての4分の1に減らされ、平成23年度以降は完全にゼロとなります。
そんな中、大阪センチュリー交響楽団を運営する大阪府文化振興財団は、去る(平成22年)9月22日に、公益財団法人日本センチュリー交響楽団への移行を目指すとの方針を決定されました。水野武夫理事長名でいただいた文書には「大阪における演奏活動に軸足を置きながら、全国に活動の場を広げ、さらなる発展を目指す方針を決定いたしました」とありましたが、具体的にはどのような方向にセンチュリー交響楽団は進もうとしているのでしょうか。府は、どのように対応されるのでしょうか、府民文化部長に答弁を求めます。
大阪センチュリー交響楽団についてお答えを申し上げます。
大阪センチュリー交響楽団を運営いたします大阪府文化振興財団の理事会が、去る9月22日に開催されまして、財団の今後の方針が打ち出されたところでございます。
その内容は、大阪府から自立化し、来(平成23)年4月をめどに公益財団法人日本センチュリー交響楽団として新たに出発し、大阪のみならず、全国各地、海外にも活動の場を広げ、さらなる発展を目指すというもので、そのための具体的な取り組み項目を財団として掲げられたものでございます。
運営に当たりましては、現在の基本財産を財源として活用しながら、民間スポンサーの獲得など民間資金を募りまして、平成28年度をめどに収支均衡を目指すこととしております。また、自立化後、楽団の活動範囲は広がるものの、大阪での公演活動を軸としながら、引き続き府域での社会貢献活動を継続されるとともに、新たに府民向けに名曲コンサートを実施するということも聞いております。
府としては、府の交響楽団として生まれ、この20年間で高い芸術性を得るまでに育った当楽団が、こうした方針のもと自立化をいたしまして、さらなる発展を目指していこうという決断を尊重していきたいと考えているところでございます。
大阪センチュリー交響楽団の運営主体である大阪府文化振興財団は、平成元年5月に設立されました。当時の新聞記事には「文化都市大阪の実現のため、新設する管弦楽団の運営、国際美術コンクールの開催など多彩な芸術文化事業を展開する」とありました。
平成元年12月、大阪センチュリー交響楽団が発足しました。初めての公開練習の後、記者会見をした当時の常任指揮者ウリ・セガル氏は、世界的なレベルのオーケストラに育つ力があると評価しています。また、セガル氏は、平成2年3月のデビューコンサートを前に、ありきたりのオーケストラでなく、美しく澄んだ音で市民に信頼されるように育てたいと抱負を語っていました。
大きな夢や目標を掲げて生まれた文化振興財団、またセンチュリー交響楽団だったわけですが、それから20年以上が過ぎ、現実は大阪府の財政難の中、自立せざるを得なくなったわけです。現在の厳しい経済環境のもと、さらに楽団が発展を目指すのなら、民間からの協賛金や寄附金集めといった努力が一段と迫られます。
大阪府として今後どのように支援をしていくのでしょうか、府民文化部長の答弁をお願いします。
基本財産を活用しながら、民間資金を募りまして府から人的、財政的に自立し、より発展していこうというのが、財団の望む方向であることから、府としては、その方針を尊重したいと考えております。
自立化によりまして補助金や役員、職員の派遣という直接的な支援は行うことはなくなりますけれども、協賛金等の確保、企業紹介などについては、やはり自立化に向けて間接的なバックアップということで、できる限りのバックアップ、サポートをしていきたいというふうに考えております。
センチュリー交響楽団には、名前が変わっても、タッチ・ジ・オーケストラを初めとする次世代育成や公益性の高い事業は、ぜひとも大阪府で継続していただきたいと考えます。そのため、これまでセンチュリーを育ててきたという歴史を踏まえて、府もできる限りの支援をお願いします。
例えば、府が編集発行する広報媒体やホームページに楽団の定期演奏会の案内を掲載することを初めとした広報宣伝活動を側面支援するということが挙げられます。また、活動拠点である服部緑地のオーケストラハウスの継続利用に当たっては、一定の配慮をしていただけるよう強く要望しておきます。
2010年10月5日
次に、警察の設置する街頭防犯カメラと列車内への防犯カメラの設置についてお伺いします。
繁華街を初め、街頭に防犯カメラを設置するのは、街頭犯罪の抑止など安心安全なまちづくりを進める上で、非常に大きな役割を果たすと考えます。今定例会に上程された9月補正予算案にも、街頭防犯カメラの設置が盛り込まれています。
私の地元、大阪市淀川区は、皆様御存じの十三や西中島といった歓楽街を抱え、地域の人たちが風俗関係の悪質な客引き行為や街頭犯罪を減らすべく活動を展開しています。お聞きしたところでは、十三地区は本(平成22)年度の当初予算分と9月補正予算案の分を合計すると20台、西中島地区には9月補正予算案で15台が設置されるとのことで、警察の設置する街頭防犯カメラに期待する声もいただいております。
一方で、プライバシー保護の観点から、防犯カメラの設置や運用に対しては、慎重に対応すべきではとの意見もあります。
そこで、既に大阪府警が設置している街頭防犯カメラの運用状況と犯罪の抑止や検挙などの効果、プライバシー保護の対策についてお伺いします。
次に、列車内の痴漢防止対策についてお伺いします。
車内に防犯カメラを設置することで痴漢を防止できないかということについては、我が会派の八重樫議員が、ことし(平成22)二月定例会の警察常任委員会で取り上げました。
首都圏では、混雑時の痴漢被害が後を絶たないJR埼京線で、JR東日本が昨(平成21)年12月に試験的に10両連結1編成の1両に防犯カメラを2台、ことし(平成22)2月には別の編成に4台を設置しました。埼京線の痴漢被害は、昨(平成21)年1年間で174件と首都圏で最悪だったのが、ことし(平成22)1から3月の被害は、前年の同期間に比べ半分以下の22件にとどまったそうです。痴漢被害の減少に一定の効果があったとして、JR東日本はことし中に埼京線の全編成にカメラを設置する予定で、相互乗り入れしている東京臨海高速鉄道りんかい線も、来(平成23)年春までに8編成すべてに設置するそうです。
大阪府警としても、痴漢抑止対策を話し合うために、ことし(平成22)1月、鉄道事業者と協議されたと2月定例会の際に答弁をされていますが、その後も鉄道事業者に対して働きかけはされているのでしょうか。また、鉄道事業者の反応はどのようなものなんでしょうか。以上、あわせて警察本部長にお伺いします。
まず、警察設置の街頭防犯カメラの運用状況とその効果、またプライバシー保護の観点からの対策につきましてお答えをいたします。
警察設置の街頭防犯カメラは、街頭犯罪の多発地域や歓楽街などに現在261台設置をしております。街頭防犯カメラの設置によりまして、犯罪の抑止を図る上で効果が上がっているというふうに考えております。
例えば、西日本有数の歓楽街がありますミナミ地区では、平成20年3月に防犯カメラを設置しましたけれども、平成20年中1119件でありました街頭犯罪の認知件数が、平成21年中には896件と減少しておりますが、これは防犯カメラの設置が抑止の要因の一つになっていると考えています。
また、地元住民やミナミ地区を訪れる人々に安心感を与えるという面からも、効果があると考えております。
さらに、街頭防犯カメラは、事件検挙の面からも効果が上がっておりまして、例えば本(平成22)年6月、ミナミ地区の路上で発生をしましたオートバイ使用のひったくり事件で、ビデオ画像などをもとに犯人を逮捕したところであります。そういった事件の検挙がございます。
プライバシー保護のための措置につきましては、大阪府公安委員会規程及びそれに基づく運用要綱によりまして、運用管理者などを指定するとともに、設置場所における街頭防犯カメラ設置についての表示や、施錠設備のある保管庫での記録データの保管、保存期間経過後の記録データの消去、データを活用した際の公安委員会への報告などの厳格な管理を行っているところであります。
次に、痴漢防止のための電車内防犯カメラの設置に向けた働きかけについてお答えをいたします。
電車内防犯カメラ設置の働きかけにつきましては、本(平成22)年1月に近畿内の主要な鉄道事業者出席のもと開催しました電車内における痴漢事犯対策会議において、また本(平成22)年7月の大阪府内の全鉄道事業者との大阪府鉄道警察連絡協議会におきまして、電車内防犯カメラの必要性などを説明するとともに、設置に向けました働きかけを行いました。また、個別に鉄道事業者に対しまして、防犯カメラ設置の実現に向け、継続して働きかけを行ってきたところであります。
こうした私どもの働きかけに対しまして、各鉄道事業者においては、検討はされているものの、設置運用に係る費用の問題、設置に当たっての技術上の問題、また乗客の反応等への懸念などにより、現在のところ設置には至っておりません。
警察としては、今後とも鉄道事業者による防犯カメラの設置が推進されるよう粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
列車内の防犯カメラ設置促進について、ただいま警察本部長より答弁をいただきました。
痴漢対策は、我が党、我が会派としても、若い女性の声に耳を傾け、女性専用車両の導入や、メールを活用した相談体制づくりなどの提案をしてまいりました。防犯カメラの設置については、埼京線の事例を踏まえれば、十分効果があると考えます。街角に設置した防犯カメラが、さまざまな街頭犯罪の抑止につながるのと同様、列車内の防犯カメラについても、痴漢だけでなく、すり、置き引きなどの犯罪や暴力行為の抑止にも役立つのではないでしょうか。
府としても、知事が先頭に立ち、列車内の防犯カメラ設置をぜひ鉄道事業者に働きかけていただきたいと考えますが、知事、いかがでしょうか。
加治木議員の御質問にお答え申し上げます。
電車内の衆目の中で女性をねらう痴漢行為や暴力行為は、決して許されるものではありません。議員御指摘のとおり、電車内での犯罪防止への取り組みについては、機会をとらえて、さらに進めていただくよう鉄道事業者に要請していきます。
2010年10月5日
では最後に、府営東三国住宅の用途廃止事業の今後の進め方についてお伺いします。
府営住宅のあり方については、我が会派の代表質問で取り上げたところですが、その上でぜひとも忘れていただきたくないのが、淀川区の府営東三国住宅の事例です。昨(平成21)年度より用途廃止事業、居住する全世帯に退去してもらい、建物を取り壊す事業が進められています。
東三国住宅は、昭和43,44年度に府営住宅としては第一号の高層住宅として建てられ、5600平方メートルの敷地に11階建ての建物が4棟、計366戸あります。東を新御堂筋、西を公園、北を下水処理場、南を民間所有地に囲まれた高密度の団地です。エレベーターが1、4、7、10階にしかとまらないスキップフロア方式の建物で、プライバシーを重視した恐らく当時としては時代を先取りした設計思想だったのでしょう。それが、かえって入居者の高齢化が進んだ今となっては、あだとなってしまっています。
私は、昨(平成21)年の9月議会で、当時300世帯を超す入居者にとって大きな不安となっていた移転先住宅の確保や、転居に際しての一層の配慮を求めて一般質問しました。知事からは、人命を尊重する観点から早期に移転していただく必要がありまして、他の耐震性のある府営住宅等を近隣であっせんすることに最大限の努力をする、入居者の皆様にできる限り心労をおかけしない形での移転を実現したいとの御答弁をいただきました。移転費用の上積みや、移転先の府営住宅を最優先で確保されるなどの配慮をいただいたことには、感謝を申し上げます。
入居者が用途廃止を知らされてから、1年半が過ぎました。住みなれた我が家を離れざるを得ない入居者の大半を占める高齢者にとっては、負担の大きい事業であるにもかかわらず、7割を超す世帯は、近くのUR都市機構の団地を初め、ほかの府営住宅など移転先の住居が決まり、既に移転を済ませた人も多くいます。いまだに移転先が決まっていない世帯は、3割弱となりましたが、この先どうなってしまうのかとの不安の声もいただいております。府として、残された入居者にどのように対応されるのでしょうか。住宅まちづくり部長の答弁をお願いします。
府営東三国住宅の用途廃止事業についてお答えいたします。
東三国住宅につきましては、施工性等から耐震改修などを行えないと判断いたしまして、やむを得ず用途廃止を行うこととなり、入居者の皆様には、他の住宅へ移転していただくこととなりました。
移転されている状況でございますけども、昨(平成21)年度からこれまですべての入居世帯である311世帯に対しまして、移転先住宅のあっせんを行ってまいりました結果、この九月末日現在で、移転先が決定した世帯数が約72%、226世帯、移転先が未定の世帯につきましては85世帯となっております。
大阪府といたしましては、残る85世帯に対しましても、居住の安定を図りますことが用途廃止事業において最も重要なことであると考えており、府営住宅に加えましてUR住宅や公社住宅など、周辺の住宅を中心にあっせんを行っているところでございます。
今後とも、入居者の皆様が円滑に移転できますよう、入居者の意向に沿った空き家住宅の確保などに、より一層努めますとともに、きめ細やかな個別相談を行ってまいります。
先日、東三国住宅で長年自治会の役員をされてきた方とお会いしました。その方のお話では、新築の住宅に移転できた上に、新しい人間関係ができて楽しく暮らしているという人がいる一方で、なかなか新しい環境になじめずに困っているという人もやはりいるそうです。
今後も、10世帯以上がまとまって同じ団地に引っ越しをすることがあると聞いております。そのようなときは、引っ越し先の団地の自治会の役員に事情をお話しして、スムーズに受け入れてもらえるよう配慮をお願いするなど、きめ細かな対応をしてもらえますよう要望しておきます。
最後に、皆様も、鳥の目、虫の目という言葉をお聞きになったことがあると思います。鳥の目は、高いところから物事を大きくとらえるという見方、虫の目というのは、まさに地べたをはう虫、目の前の一つ一つの細かなことにしっかりと目を向ける。私、政治家として、議員として、3年半やってまいりましたが、常にその鳥の目、虫の目という物の見方、考え方を心がけてまいりました。本日ここにいらっしゃいます皆様方も、きっと同じ思いだと思います。これからも、その鳥の目、虫の目というその2つの目でしっかりと物事を見て、判断して行動できる、そのようにまた取り組んでまいりたいと思います。
以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。