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2025年3月1日
大阪府議会の加治木一彦です。一般質問の機会をいただきましたので、発言通告に基づき3点お伺いいたします。
まず、淀川流域のにぎわいづくりについてお伺いいたします。
大阪湾から淀川・宇治川を通り、京都市伏見区付近まで船による往来を可能にすることを目的にした淀川大堰閘門が本(2025)年3月16日、運用を始めます。災害時の物資や人員輸送はもちろんのこと、普段は公共工事や観光での利用が見込まれています。
中でも私は観光の面で淀川の舟運を生かした流域のにぎわいづくりに大きな期待を寄せています。水都大阪をはじめとした関西圏と、水・川との深いつながりをアピールする絶好の機会です。
3月16日は国や流域自治体が参画する淀川舟運活性化協議会が「淀川クルーズOSAKA BAY 新航路 OPEN FESTIVAL」と題したイベントを予定しています。淀川舟運に対する機運は確実に高まっていると感じます。
一方で、流域自治体のにぎわい創出のイベントは、それぞれ地元の魅力を生かした取組をしているものの、これまでの事例を振り返ると、イベント間での連携や一体感に欠けていた気がしております。大阪湾から京都まで船の往来が可能になったことを踏まえると、にぎわいづくりのイベントは一体的に開催するほうがより効果的だと考えます。
関西広域連合は、淀川流域の滋賀県、京都府、大阪府などが参加する特別地方公共団体であり、一体的なイベント開催に適した存在ではないでしょうか。
昨年8月の定例会で、関西広域連合として淀川舟運を生かしたにぎわいづくりに関する質問をしました。西脇副広域連合長より、万博期間中に会場から京都までの船内で、関西の魅力を十分堪能いただける取組を検討していく旨の御答弁をいただきました。改めて「船内で関西の魅力を十分堪能できる取組」とは具体的にどういったものでしょうか。関西広域連合が主催者となり、船内だけでなく、淀川流域の公園等、各自治体の持つ魅力ある資源を活用し、一体的にイベントを開くお考えはございませんでしょうか、併せてお伺いいたします。
お答えいたします。淀川流域におけるにぎわいづくりについてでございます。
淀川大堰閘門の開通や大阪・関西万博の開催は、淀川舟運によって紡がれた歴史や文化を再認識するとともに広く発信し、川という新たな視点で、京都と大阪をつなぐ広域周遊を促進する絶好の機会だと考えております。
万博期間中に運航される観光船の船内では、例えば、伝統的酒造りがユネスコ無形文化遺産に登録されたことを生かし、関西の魅力の一つである日本酒の試飲や酒蔵などを掲載した酒蔵周遊マップの配布、関西各地の川や舟運にまつわる歴史文化を講談師の方に語っていただく取組などを実施してまいりたいと考えております。
また、淀川舟運活性化協議会とも連携して、沿川の公園などを活用したイベントで、関西の川の魅力をゆるキャラやパネル展示で発信するなど、関西全域に面的な広がりを持った取組として進めることで、淀川舟運を生かした効果的な誘客に取り組んでまいりたいと考えております。
2025年3月1日
次に、脱炭素社会に向けたアンモニアの燃料利用について伺います。
関西広域連合は、これまでの経験や蓄積を生かし、関西を環境先進地域とすることを目指す「関西広域環境保全計画」をまとめています。同計画に、循環型社会や脱炭素社会に関する取組が記載されております。関西広域連合でも水素やアンモニアの普及促進に向けて取り組まれていると承知しております。
先日、兵庫県にあるアンモニアの燃料利用に関する技術開発を進めている企業を視察しました。取扱技術が確立されているといった利点や水素を効率的に運ぶことができるといった特性があるとお聞きし、アンモニアが次世代のグリーンエネルギーとして実装化される日が近いことを実感しました。
関西広域連合として、アンモニアの燃料利用について、どのような支援をしてきたのでしょうか。また、今後どのように取り組まれるのでしょうか、併せてお伺いします。
アンモニアは燃焼しても二酸化炭素が出ない水素化合物の一つでありまして、カーボンニュートラルの実現に貢献する次世代のエネルギー源ということで、大阪・関西万博の会期中、兵庫県内の事業所におきまして、アンモニアのみを燃料とする発電技術が世界で初めて実証される予定となっております。
関西広域連合では、今(2024)年度、水素やアンモニア、e-メタンに関心のある企業や市民などを対象としまして、関西臨海部において水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けて取り組んでいる企業によるセミナーや、水素・アンモニアを燃料とする先進的な燃焼技術の開発に取り組む施設の見学会などを実施してまいりました。
来(2025)年度につきましては、万博を契機に関西における水素社会実現に向けた機運を高めるため、関西の関係企業や、構成府県市と連携して、水素やアンモニア、e-メタンに関して、万博で披露されます技術や先進的な取組事例などを束ねて発信するイベントを万博の会期中に開催する予定としております。こうした取組を通じて、アンモニアの燃料利用の促進に向けて取り組んでまいります。
2025年3月1日
最後に、ネイチャーポジティブの実現に向けた取組について伺います。
2022年12月に生物多様性条約第15回締約国会議で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に、2030年グローバルターゲットの一つとして、いわゆる「30by30目標」が盛り込まれました。2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。
大阪府は企業向けに「おおさか生物多様性応援宣言」登録制度を創設し、自然に対する負荷の少ない製品の開発や購入、保全活動を担う人材育成を促すなど、ネイチャーポジティブの実現に向けて取り組んでおります。また、JR大阪駅北側のうめきた2期エリアに、官民が一体となって、大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級となる約4.5ヘクタールの都市公園(うめきた公園)を整備し、緑豊かな都市空間を生み出しました。緑が少ないと何かとやゆされる大阪の中心部で、ささやかかもしれませんが、ネイチャーポジティブ実現に貢献することを願っております。
関西広域連合の関西広域環境保全計画にも、「30by30目標」を含む生物多様性に係る新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に資する取組を推進すること、関西の活かしたい自然エリアの一層の活用と発信を通じ、生物多様性の保全と持続可能な活用を図ることといった生物多様性の保全と持続可能な利用を推進していく取組の方向性を示しています。
生物多様性を保全する上で重要な場所は府県境にとらわれず分布しており、府県域に縛られない活動が必要です。広域的に生物多様性保全の取組に対する理解を深め、取組主体を増やしていくための情報発信が必要ではないでしょうか。
関西でのネイチャーポジティブの実現に向け、関西広域連合はどのように生物多様性保全への理解を深め、取組主体を増やしていこうとしているのでしょうか。現在の取組状況と今後の方向性について伺います。
お答えいたします。
生物多様性の保全に当たりましては、議員御指摘のとおり、府県域に縛られない活動が必要だと認識しております。
関西広域連合では、広域的な視点で保全上重要な地域を可視化する取組として、各府県の博物館のネットワークを活用して、生物多様性情報を集約し、関西の活かしたい自然エリアとして、森・川・海のつながりを重視し、府県域を越えた23か所を選定したところでございます。
ネイチャーポジティブの実現に向けましては、生物多様性の保全と活用の観点から、その理解の浸透を図るため、エコツアーに着目し、これらの自然エリアを巡るモデルコースを設定して公表いたしますとともに、旅行会社や教育機関等を対象に、その先進事例を学ぶためのエコツアーを試行しております。例えば、令和5(2023)年度には、大阪府八尾市におきまして、絶滅危惧種の魚ニッポンバラタナゴが生息するため池の保全と、その水を活用して栽培された地域米のお米のブランド化を図る保全と活用の好循環の事例を学ぶツアーを行いました。
また大阪・関西万博において実施いたします関西の活かしたい自然エリアとその保全・活用の取組を紹介するパネル展示なども通じて、エコツアーに参画する企業や団体の裾野が広がるよう、積極的に情報発信してまいりたいと存じます。
さらに、「30by30目標」に向け、生物多様性の保全が図られている区域の拡大に資するよう、今後、自然エリアでの取組から得られた知見を、構成府県市へフィードバックすることなど、必要な施策を検討してまいりたいと存じます。