大阪府議会議員 かじき一彦 公明党

会派で佐賀県、福岡県に視察

7月8、9日(月、火) 晴れ

 会派で佐賀県、福岡県に視察に行きました。

 佐賀県は国内唯一の「コスメティック構想推進室」という部署が県庁内にあります。豊富な自然由来原料を生かし、アジアのコスメティック(化粧品)ビジネスの拠点を目指しています。

 県や唐津市を拠点とする「ジャパン・コスメティックセンター」との化粧品科学についての共同研究講座が佐賀大学にあります。担当の徳留嘉寛教授は大手化粧品メーカーで研究開発に携わった経験があり、2021年に佐賀大に着任しました。

 化粧品産業には研究開発だけでなく、商品の企画やマーケティング、ブランドづくりなど文系、理系問わず幅広い分野にまたがります。化粧品をつくるのは「文化やトレンドを創ること」。「幸せな人をより幸せにできる力」があると徳留教授は言います。佐賀県と佐賀大の挑戦に注目しています。(写真1)

 続いて1991年5月に国の特別史跡に指定された吉野ヶ里歴史公園(吉野ヶ里町)を訪れました。弥生時代後期の環濠集落跡として日本最大規模のものです。国営公園の54ヘクタールと県立公園の63ヘクタールを合わせた117ヘクタールの区域が歴史公園として整備されます。

 現地は大正時代から土器の破片などが見つかっていたそうですが、県が工業団地の候補地に選んだことで1986年、本格的な発掘調査が始まりました。

 遺跡の特徴として紀元前4世紀から紀元3世紀ごろの約700年を通じて「小さなムラ」から「一つのクニ」へ発展する過程が明らかになった、という点が挙げられます。

 公園内の各所で物見やぐら(写真2)や祭殿(写真3)、居住空間、墓地(写真4)などが再現されています。コロナ禍で落ち込んだ利用者数も2023年度は72万3000人と過去4番目を記録するまで回復しました。

 土日祝日には勾玉や銅鐸、銅剣などの製作体験プログラムも用意されています。今回は駆け足の視察でしたので、ゆっくり時間をかけて訪れたいと感じました。

 2日目はまず福岡市こども総合相談センター「えがお館」(同市中央区)に伺いました。(写真5)

2003年5月に開設、子どもに関する様々な問題に保健・福祉・教育の分野から総合的・専門的な相談支援に取り組んでいます。

 福岡市でも不登校の小中学生数は年々増え続けているとのことです。市内の7区すべてに不登校の小中学生を受け入れる「教育支援センター」を設置したり、学習動画教材を提供したりしています。

 不登校の原因に「勉強がわからない」と答えた小中学生が想像以上にいたため、学びなおしをできるようにしている、とのことです。

 同じ建物内で児童虐待への対応や15-20歳の引きこもり支援も実施しています。今年度から7区すべてに「こども家庭センター」ができ、市民に身近な区役所で対応できる体制をつくりました。

 施設内を案内してもらいました。虐待を受けた子どもを観察するための部屋には「箱庭療法」の用意がありました(写真6)。

 午後は九州大学伊都キャンパス(福岡市西区)を訪れました。(写真7、8)

 2005年から移転を始めた伊都キャンパスを九大は「水素キャンパス」と位置付けています。脱炭素社会を回せる燃料として水素が重要な役割を果たす、との視点から研究開発を進めています。

 水素をつくるためのコストを下げることで乗用車やトラックなど輸送向けから発電、化学、製鉄への産業分野への利用拡大を見込んでいます。

 国が2021年6月にまとめたグリーン成長戦略(改訂版)によれば、2050年には年間2000万トンの水素を利用する、としています。熱量で換算すると天然ガスの5000万トンに相当し、2023年の年間輸入量(6500万トン)の約4分の3にあたります。

 九大が所有する燃料電池車にも乗せてもらいました。ガソリン車に比べ走行音が静かで揺れも少なかった気がします。(写真9)

 研究するにしても、東京でできないことをする、というのは佐賀大、九大とも共通していると感じました。大阪も自らの「らしさ」「強味」を改めて再確認しないといけないですね。

 おまけの1枚。博多湾に面して鎌倉時代の元寇を防ぐために作られた防塁が今も残っています(写真10)。


写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

写真6

写真7

写真8

写真9

写真10