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9月9、10日(月、火) 晴れ
府議会教育常任委員会の視察で北海道函館市を訪れました。
まずは今年4月に開校した北海道函館高等支援学校へ(写真1)。普通、生産技術、食品デザイン、福祉デザインの4科で29人の生徒が在籍しています。
北海道でも中学校の卒業者数は減る一方、知的障がいのある生徒向けの特別支援学校高等部への進学者数は増えています。そこで、高校統廃合で使わなくなる北海道函館陵北高校の施設を函館高等支援学校に転用しました。
現在は高等支援学校の1年生と高校の2、3年生が校舎を区分して使っています。高校生が在籍している高校の校舎を使って特別支援学校を設置したのは函館が4例目とのことです。
高等支援学校への転用にあたってはトイレの改修や普通教室内への流し台設置などをしました。もともと40人の生徒を収容する教室だったので、他の支援学校よりは広く使えるのは利点だといいます。一方、エレベーターの設置が開校に間に合わなかった、などの不都合もありました。
この日は生産技術科の生徒が選別した豆を焙煎して入れてもらったコーヒーをごちそうになりました(写真2)。記念に手作りのコースターもいただきました(写真3)。
来年度は一般の人向けのカフェを開くそうです。地域に開かれた学校づくりに期待したいですね。
続いて函館大学付属柏陵高校に伺いました(写真4)。こちらは高校卒業後の進路について1年生から総合学習の時間などを使い、キャリア教育に力を入れています。22年の18歳成人に向け「自立できる、能動的な生徒を育てたい」との願いも込められています。
同じ学校法人が運営する専門学校や大学への訪問、社会人へのインタビューなど多彩な取り組みを通し、働くことの意味を考えさせています。
さらに希望者には課外コースとしてのキャリアデザインプログラムも用意しています。医療、調理栄養、教育の3分野で職場体験などをします。
中には「自分に向いていない」と希望を変える生徒もいますが、他の分野に視野を広げるきっかけにできた、と前向きにとらえてくれているそうです。将来の自分と向き合ういい機会になっています。
翌日は公立はこだて未来大学に行きました(写真5、6)。2000年4月に開学、当初は函館市を含む1市5町、現在は2市1町による広域連合が大学を運営しています。
地域に根差す公立大学として「社会連携センター」を置いています。企業などから大学と共同研究したいテーマを募り、具体化を図っています。人工知能を活用し人員配置の最適化を目指すホテルとの共同研究は地元メディアでも取り上げられました。
気がかりなのは人口減少です。函館市の人口は現在約17万人ですが、40年には10万人に減ると予測されています。先駆的な教育で貢献しているが、同じように人工知能に取り組むほかの大学とどう差別化するのか、との議論もあるそうです。特色ある大学づくりはどこも向き合わざるを得ない課題です。
おまけの2枚、函館の見事な夜景(写真7)と帰りの飛行機から見えた虹(写真8)です。
9月5日(木) くもり
各地で外国にルーツを持つ児童生徒が増えています。この日は岐阜県庁(写真1)とNPO法人可児市国際交流協会にお邪魔し、現状や課題についてお聞きしました。
岐阜県はこの4月から教育委員会に次長級職員をトップに「外国人児童生徒支援推進チーム」を立ち上げました。外国人児童生徒の就学マニュアルや、初歩的な日本語指導の様子を収録したDVDの作成などを進めています。
県内で日本語指導の必要な児童生徒数は2018年度で1403人、母語はポルトガル語とフィリピノ語が多いものの、ベトナム語やネパール語など多言語化や、10年前には外国人児童生徒がいなかった3市町で在住するなど散在化が進んでいます。
そこで、県はすでに外国人児童生徒が多く暮らす市の持つノウハウを他市町村に展開するとともに、県内6か所の教育事務所にいる指導主事が通訳と一緒に巡回できる体制づくりを検討しています。
可児市国際交流協会はもともと「国際化が日常化された地域社会の実現」を基本理念に2000年、市民による任意団体で発足しました。
03年、外国人の子どもたちが学校に通っていない実態を踏まえ市に提言、「定住外国人の学習保証事業」につなげました。08年にNPO法人化、可児市多文化共生センター「フレビア」の指定管理者にもなりました。
私が訪れたときは外国人小中学生向けの学習支援をしている真っ最中でした(写真2)。本来なら可児市教育委員会の日本語初期指導「ばら教室KANI」に通うべき子どもたちですが、同教室が定員いっぱいのため、国際交流協会で肩代わりしているとのことでした。
就学前の子ども対象の「おひさま教室」から小中学生向けの学習支援、ポルトガル語学習や15歳以上で高校進学を希望する子どもたちなど幅広く支援をしています。
驚いたのは午前9時から午後10時まで開館(水曜日休館)していることです。仕事を終えてからでも気軽に生活相談に立ち寄ってもらえるよう、遅くまで開けているそうです。
外国人住民への日本語支援、情報提供、相談窓口など行政だけでは手の届かない部分を同協会が支えています。引き続き取り組みを注目していきたいですね。